私の個人主義 の商品レビュー
夏目漱石の講演録。約100年も前のものとは思えない、現代にも十分通用する優れた思想を読み取ることができる。同時期に読んだ内田樹にも漱石と同じようなことを言っている、と感じる箇所があったのがその証拠。ユーモアを交えた語りなので楽しく読めます。 ちなみにゲーム理論の教科書によると、自...
夏目漱石の講演録。約100年も前のものとは思えない、現代にも十分通用する優れた思想を読み取ることができる。同時期に読んだ内田樹にも漱石と同じようなことを言っている、と感じる箇所があったのがその証拠。ユーモアを交えた語りなので楽しく読めます。 ちなみにゲーム理論の教科書によると、自由で自律的な個人がいかに協力してより良い社会を作ることができるかを研究する学問であるゲーム理論の背景には、夏目漱石の「わたしの個人主義」に見られる近代個人主義思想があるらしいです。いずれにせよ様々な分野に引用され得る普遍性を持っているということ。
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いかに生きるべきかを若者に向けて説いた講演「私の個人主義」を収める。苦悩と孤独を経て漱石が晩年に到達した境地とは。そこから発せられる渾身のメッセージは、現代を生きる私たちにも生き方の指針を与えてくれる。
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漱石の講演をまとめたもので、「道楽と職業」「現代日本の開化」「中身と形式」「文芸と道徳」「私の個人主義」の5本立てです。 「道楽と職業」では、世の中では、自分のためにする仕事量と他人のためにする仕事の分量が等しくなることを前提ににして、人のためにするという意味を 高尚では...
漱石の講演をまとめたもので、「道楽と職業」「現代日本の開化」「中身と形式」「文芸と道徳」「私の個人主義」の5本立てです。 「道楽と職業」では、世の中では、自分のためにする仕事量と他人のためにする仕事の分量が等しくなることを前提ににして、人のためにするという意味を 高尚ではあるが偏狭な意味で人のためにするというのではなく、天然の事実そのものを引きくるめてなんでも蚊でも人に歓迎されるという意味 だと結論づけている。 私はこの主張に7割ほどは納得しながらも、完全には同意できない種類の人間です。 今世の中にあふれているさまざまな職業のほとんどが、生きていくのにさして重要でもない仕事を選択しているように感じているからです。 もちろん資本主義的循環とかいろいろこじつければ役にったっているのですが、例えば車の会社で毎日自分が働くと考えると、毎日必死になって働くほど車に価値があるのかとか、かえって車という高々機械に働かされている風に思えてならないです。(これがまさに資本が中心で人が中心でない資本主義そのものの弊害だと感じるのですが・・・) 書きたいことと違う方向に行ってしまった気がしますが、まあこんな感じで他4篇も鋭い社会認識にあふれています。高校生ぐらいによむのが一番いいのではないのでしょうか。開化の話は私の高校教科書にものっていましたし。
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ぼくが漱石の小説、特に『猫』が好きであるとか、そういうことはここでは脇に寄せておく。 当書の表題ともなっている『私の個人主義』という講演録は、まずひとこと、すばらしい。 これだよ、これを求めていたんだ――と熱くなったところで、評価★5つは確定した。 かの著名なJ・Sミル『自由...
ぼくが漱石の小説、特に『猫』が好きであるとか、そういうことはここでは脇に寄せておく。 当書の表題ともなっている『私の個人主義』という講演録は、まずひとこと、すばらしい。 これだよ、これを求めていたんだ――と熱くなったところで、評価★5つは確定した。 かの著名なJ・Sミル『自由論』はこういう土壌で生まれたのか、と妙に得心した風情にひたったり、漱石の語り口調の軽妙さに心がほころびたり、今も昔も似たようなことを問題にしてるんだな、と史上月並な感想をもったり、「畢竟、程度問題」という言い回しに俺この言い方好きなんだよなー、畢竟程度、されど程度ってねーなどとニヤニヤしたり、とにかくたのしく読めた。 ただし一点だけ、個人主義の淋しさを語るところについて、ぼくは漱石が書いたようには(少なくともそう読めるという意において)おもわない。きみはきみの個人主義で、ぼくはぼくの個人主義である。これが通じる相手に出会えれば、それはそれで好さがあるんじゃないかなあ。 ガタガタと多くを語りすぎた。伝えたいのはひとつだけ。 しかし、それをいってしまえばこの"個人主義"と矛盾してしまうかもしれない。 星にでも願うような気持ちで、今これを書いている。
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本のタイトルにもなっている「私の個人主義」は40pに満たない講演録ですが、己の人生を考えるエッセンスが詰まったものであった。 ・自己の個性と他者の尊重、自由と秩序 ・権力と義務、金力と責任 漱石も人生の中で懊悩し、考え抜いて「自己本位」という言葉を己の手で握った。私も事を得られる...
本のタイトルにもなっている「私の個人主義」は40pに満たない講演録ですが、己の人生を考えるエッセンスが詰まったものであった。 ・自己の個性と他者の尊重、自由と秩序 ・権力と義務、金力と責任 漱石も人生の中で懊悩し、考え抜いて「自己本位」という言葉を己の手で握った。私も事を得られるように精進したい。
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彼の示した『個人主義』の考え方に深く納得させられた。権利とは一種の自由であり、自由には限度がないと無秩序状態に陥ってしまう。義務がないとカオスの世界を作り出すことになりかねない。だから権利を持つことを許された者は、それをどこかで還元すべきなのだ。それが義務なのであり、新たな自由、...
彼の示した『個人主義』の考え方に深く納得させられた。権利とは一種の自由であり、自由には限度がないと無秩序状態に陥ってしまう。義務がないとカオスの世界を作り出すことになりかねない。だから権利を持つことを許された者は、それをどこかで還元すべきなのだ。それが義務なのであり、新たな自由、権利を生み出す元になってくれる。今を生きる私も、そのことを忘れずに生きていこうと思った。
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一度読み終えた... 多分 凄くいい事が書いてあるんだと思う... 読解力が無くてきっと1/10も理解してないんだと思う。 最後の「解説」をもう一度じっくりと読んで、そして次に「私の個人主義」を読み、後ろから読んでみようと思う... 内面の形成、個人主義 個人がとても自由であ...
一度読み終えた... 多分 凄くいい事が書いてあるんだと思う... 読解力が無くてきっと1/10も理解してないんだと思う。 最後の「解説」をもう一度じっくりと読んで、そして次に「私の個人主義」を読み、後ろから読んでみようと思う... 内面の形成、個人主義 個人がとても自由でありながらとても秩序のある国イギリス 己の進むべき道を「掘り当てた」という確信を見つける事の大切さ... 等々... 講演を収録した物... 未だ、はっきりと理解してないけれど、これから生きて行く上で、そして社会の中で気持ちが揺れ動かないで居られる為に何をしたら良いのか...を考える。という事を考えなければ...と気付かせてくれる一冊だと思う。 ちゃんと理解する迄 何度でも読まなくちゃ..
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かの文豪、夏目漱石が晩年に行った講演の記録。 本書のタイトルになっている「私の個人主義」は学習院において学生に対して行った講演であるが、そのほかの講演はすべて一般の人を相手にしたもの。 先だって福澤諭吉の「学問のススメ」を読んだ際、その際立った先見性に驚愕した。学問に貪欲...
かの文豪、夏目漱石が晩年に行った講演の記録。 本書のタイトルになっている「私の個人主義」は学習院において学生に対して行った講演であるが、そのほかの講演はすべて一般の人を相手にしたもの。 先だって福澤諭吉の「学問のススメ」を読んだ際、その際立った先見性に驚愕した。学問に貪欲であり続けながら見聞を広め、思索を深めていくことで100年先の社会の在り方までも見えてくる例に触れたのである。 漱石もまた、本書に収められている講演内容から今日の日本のありようを、明治後期には見据えていたことがうかがえる。それにとどまらず、漱石は「何が文明を発達させるのか」、「職業とはどういうものか、道楽との差は何か」といった、普遍的テーマについての思索をめぐらせ、自身が得た結論を民衆に説くのである。そしてその内容は100年を経過した現在の日本人が接しても大変に納得できるものであり、先述の福澤同様、きわめて先見性に富んだ議論を展開していたことがわかる。 タイトルとなっている学生向けの講演「私の個人主義」は、こうした漱石の思考・論考がどうして生みだされたのか、自身の経歴をその時々の悩みとともに振り返りつつ、ひとつのケースとして学生に熱く語りかけている。この講演において漱石は、徹底して自分の人生において突きつめたい事柄(必ずしも学問とは限らない)に対して、決して妥協しないことを求める。また、学問を修めた者、金のある者には、自然と世の中を動かす力がついてくるため、その行使の方向を間違えれば危険な世の中をつくることにもなりかねないとし、学習院という当時の上流に位置する家庭の子女である学生に対して早くから高い倫理観を持つことを求めている。 漱石の講演は哲学的でもあるが、一般の人が無理なく理解できるよう、その内容は大変練られたものである。文人としての側面しか知らなかった私であったが、本書に触れ、学者として、思想家としての漱石を垣間見ることができ、非常に有意義であった。
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様々な事柄に関して夏目漱石の考えが提示されています。 講演をもとにしているので口語体で読みやすく、どの章も散漫に聞こえる聴衆への語りかけから本質に流れるように論説が進んでいく様は「すばらしい」の一言。特に「現代日本の開化」には明治の時点で日本を現在のような視点で案じていることに驚...
様々な事柄に関して夏目漱石の考えが提示されています。 講演をもとにしているので口語体で読みやすく、どの章も散漫に聞こえる聴衆への語りかけから本質に流れるように論説が進んでいく様は「すばらしい」の一言。特に「現代日本の開化」には明治の時点で日本を現在のような視点で案じていることに驚き、「私の個人主義」では個人的に生きる勇気をもらえた気がします。漱石先生は優れた思想家でもあるという発見ができました。
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中学の国語の教科書に載っていて衝撃を受けた。その後の人格形成に多少影響を受けた。中学の教科書の中でもっとも印象に残っている。
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