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読書と社会科学 の商品レビュー

4.2

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

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2013/10/26

本書から引用. 「電子顕微鏡を通して肉眼では見えない世界を見るように,社会科学では,概念という装置をつかって現象の奥にある本質を見きわめようとする.自前の概念装置をいかにして作るか.それを身につけることで何が見えてくるか」 とにかく密度の濃い本だった. 読書では,本を読むので...

本書から引用. 「電子顕微鏡を通して肉眼では見えない世界を見るように,社会科学では,概念という装置をつかって現象の奥にある本質を見きわめようとする.自前の概念装置をいかにして作るか.それを身につけることで何が見えてくるか」 とにかく密度の濃い本だった. 読書では,本を読むのではない,本に書かれてある中身を読むのである.

Posted byブクログ

2014/04/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【本当の批判力とは】p76 歴史家・山路愛山「夫れ社会は幾層の皮殻を有す、之を徹して其実想を見るは、豪傑の士に非れば能はざる也。多読は往々人をして、世と疎からしむ、読む所の事を以て遭ふ所の事に融会せしむるは、眼光紙背に徹する人の非れば能はざる也。」『荻生徂徠』 「たとひ深遠なる哲理を論ずるも、彼れの哲理に非ずして、書籍上の哲理ならば、何ぞ深く敬するに足らんや。...博士、学士雲の如くにして、其言聴くに足る者少なきは何ぞや。是れ其学自得する所なく、中より発せざれば也。彼等が唯物論として之を説くのみ、未だ嘗て自ら之を身に躰せざる也。故に唯物論者の経験すべき苦痛、寂寥、失望を味はざる也。彼等が憲法を説くや亦唯憲法として之を説くのみ、未だ嘗て憲法国の民として之を論ぜざる也、故に其言、人の同感を引くに足らざるなり。彼等の議論は彼等の経験より来らざる也」『明示文学史』 老色、日に面に上り 歓情、日に心を去る 今、既に昔に如かず 後、当に今に如かざるべし 今なお未だ甚しくは衰えず 事毎に力任うべし 花時なお出づる愛し 酒後なおよく吟ず ただ恐る、かくの如きの興も また日に随って消沈せんことを 東城の春、老いんと欲す 勉強して一たび来尋す(「白楽天全詩集」)p130 何か問題があるらしいが、何を問題とすべきか、問題とすべき対象は見えない。日常語の世界にうずまり日常語だけに頼っていては、学問的に解明することができないだけでなく、解決すべき問題そのものも明確には捉えられない。で、学術語を組み合わせた概念装置をつくり、それを駆使することで問題を発見し解決する。あるいは解決しながら問題を捉え直す。p147 【自分の眼を補佐するもの】p157 本を読むことは大事ですが、自分を捨ててよりかかるべき結論を求めて本を読んじゃいけない。本を読むことで、認識の手段としての概念装置を獲得する。これがかなめです。それも、―概念装置が自分の眼に代わってものを見る手段に化けちゃわないで、自分の眼そのもののはたらきを補佐する手段として役立ちうるようなかたちで獲得することがかなめですから―認識手段としての概念装置を習うについても、単にこれを覚える、配線図のリプリントみたいに筋書きを頭にたたきこんじゃ駄目です。組み立てながら、たえず自分の眼をはたらかせてその効果のほどを験してみながら、組み立て方・使い方を体得する。そういう操作をすることで、はじめて既成の概念装置も、自前の概念装置として役立ちましょう。 実習には、できるだけ単純な、素人にも使いやすいものがいい。複雑高度なものよりも基本的なものを使いこなす術を覚える。あてがいぶちの顕微鏡よりもルーペを使いこなすこと、これが基本といいますからね。p158-159

Posted byブクログ

2013/03/16

第1刷 1985年発行 著者の私的な読書論が書かれている。 本を読む目的は、 『本を読むことで、認識の手段としての概念装置を獲得する』 新しい情報を得るという意味の「情報を読む」だけではなく、情報を見る眼の構造を変え、情報の受け取り方、生き方を変えるという意味の「古典とし...

第1刷 1985年発行 著者の私的な読書論が書かれている。 本を読む目的は、 『本を読むことで、認識の手段としての概念装置を獲得する』 新しい情報を得るという意味の「情報を読む」だけではなく、情報を見る眼の構造を変え、情報の受け取り方、生き方を変えるという意味の「古典として読む」読み方がる。 古典として読む、速読でなく精読みたいなことですが、先人たちが作り上げてきた、概念をとらえる・理解する考え方も自分の脳中に一つ一つ組み立てていき、自前の概念装置を作ることが必要である。 本を読む心構えというか、目的を説いている。本を読むことで何を得たいのか、最終的な目的はなんなのかを考えるようになる。 新しい情報を得る以外の目的を、読書に求める場合は、一読の価値あり。 難解な内容があったので、再読は必要かな。

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2013/01/13

超一級の社会科学者による社会科学が科学として成立するための必要十分条件の洗い出しといったとこでしょうか。 平易な言葉で書かれているものの内容は相当に刺激的。 このような挑発的かつ一般向け書物を書ける大学教授、その出版を許す出版社、必ずしも「経済的・政治的」でない研究を許す大学及び...

超一級の社会科学者による社会科学が科学として成立するための必要十分条件の洗い出しといったとこでしょうか。 平易な言葉で書かれているものの内容は相当に刺激的。 このような挑発的かつ一般向け書物を書ける大学教授、その出版を許す出版社、必ずしも「経済的・政治的」でない研究を許す大学及び日本社会など、色々なレベルで知的空間の豊饒性が現在の日本に存在するのか改めて問いかけている書物という気がする。

Posted byブクログ

2013/01/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三部構成になっており、一部は読書全般について、三部は社会科学と読書の関係について書かれています。二部は読むことおよび経験科学についての断章です。 書下ろしではなく、過去の複数の講演等を編集しなおしたものとなっているため、読みづらく感じるかもしれません。 読書の意義や技法について知りたくて読んだのですが、一部は 概説、三部は実践編としてある程度回答を得られました。特に三部は具体的でためになりました。 要旨は、読書には情報を読む読み方と古典を読む読み方の、主に二種類があること。また時代とともに前者の読み方への傾倒が見られることを指摘しながらも、後者の重要性にふれ、その詳細な説明を試みています。 特に社会科学を学ぶに際し読書をする目的は、過去の賢人の考えを理解するだけにとどまらず、 「概念装置」を会得することだと述べられていました。たとえば自然科学では顕微鏡などの実験装置を使うけれど、社会科学では専門用語そのものが「概念装置」なのだという考え方は目からうろこでした。 私が理解した範囲では、社会科学の言論を理解する際に、なぜその時代にその言論が必要になったかを考え、理解し、自分の時代に生かす、ということが著者の言いたかったことではないかと思います。

Posted byブクログ

2012/12/17

社会科学のとこは、ちょっと偏ってるけど読書についてはスッゲー良かった。良い批判とは、本人も気づいてない宝を見つけること。なんだって!マジ名言!

Posted byブクログ

2012/10/13

「勉強」についての話が好きだった。読書についてはそうそう!と思うことしきり。あと古典についても。概念装置については既に似たようなことをどこかで読んでたので、改めてなるほどなーと思いながら読んでた。

Posted byブクログ

2012/07/28

悪くはない本なのですが、 起こしたのが講演と言う形式上 読んでいて違和感を感じますし 最初の章に限っては上から目線が強すぎ 不快感すらおぼるかもしれません。 ただし、読書の手法に関しては 使える要素が多々あるのではありますが これらのマイナス要素がそれらのプラス要素を 見事に打...

悪くはない本なのですが、 起こしたのが講演と言う形式上 読んでいて違和感を感じますし 最初の章に限っては上から目線が強すぎ 不快感すらおぼるかもしれません。 ただし、読書の手法に関しては 使える要素が多々あるのではありますが これらのマイナス要素がそれらのプラス要素を 見事に打ち消してしまっているのです。 あまり薦められる作品ではない気がします。

Posted byブクログ

2012/03/28

「読書力」の35ページにある本… 法政大学第一中・高等学校で岩井歩教諭が実践した、定期テストに読書問題を取り入れた実践。 18冊目…高3の定期テストに 難しかった印象が…。

Posted byブクログ

2012/01/22

様々な職種・業種の人々が集う読書会で著者が述べたことをまとめたのがこの本である。ところどころ痛烈な言葉を交えながら、読書、また読書会においてなにが大切なのかを述べている。その主張は一言でまとめるなら、「概念装置」の獲得である。人は何かを見たり聞いたりしたときに、自分の中で何らかの...

様々な職種・業種の人々が集う読書会で著者が述べたことをまとめたのがこの本である。ところどころ痛烈な言葉を交えながら、読書、また読書会においてなにが大切なのかを述べている。その主張は一言でまとめるなら、「概念装置」の獲得である。人は何かを見たり聞いたりしたときに、自分の中で何らかのフィルターをかけて判断する。このフィルターが概念装置であり、人は様々な本を読み、多くの著者の概念装置に触れることで自分の概念装置を強化、拡大していくことの重要性が述べられている。

Posted byブクログ