ランドマーク の商品レビュー
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先日読んだ「パレード」が良かったので、読んでみました。 選んだのは装丁が良かったのと、あらすじを読んで気になったから。 だけど、期待はずれです。 大宮に建設中の高層ビル。 フロアがねじれながら螺旋を描くというそのビル。 このビルの設計士の男と組み立てる鉄筋工の男が主人公で、この二人の日常が描かれる。 この二人が変わっているといえば、変わっている。 設計士の男は不倫をし、鉄筋工の男は自らの性欲を禁じるかのように貞操具をつける。 二人の日常は、ビルが螺旋を描くようにゆがみ、ちょっとした力で脆くも崩れ去っていくとあらすじにあるが、正直どの辺がそうなのかが読み終わってもわからなかった。 段々と歪んでいくのでなはく、初めから二人の日常や精神状態は不安定であり歪んでいるように見え、それは二人にとって普通のことだと描かれているように感じたためだと思う。 そして、この二人にリアリティがない。 大宮の街の描写や時より時代性を感じさせる有名人などが出てきて、実際に二人が大宮の街にいるんだということはわかるが、二人がどういう人間なのか最後まで捉えられなかった。 二人が考えること、思うことが、ふわふわとしていて、二人とも自分が何がしたいのか、どう思っているのかをはっきり表現できないからだろうけれど、これは作者が狙ったこのなのか。 また、狙ったといえば、物語が中途半端な状態で終わる。 ひとつ大きなことが終盤に起こるが、その顛末が描かれない。 作者は、読者にこの物語の顛末を想像させるつもりなのだろうか。 この不安定な日常をおくる人たちの先に何があるのだろうかと。 結局、作者が何を描きたかったのか、私には分からずじまい。 少し、読むのが苦痛でした。
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大宮に建設中のo-miyaスパイラル。 そこで働く設計士と鉄筋工の生活までもがビルのように不安定になって行く。
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なんだろう、出てくる女性が「男の考える都合の良い女性像」て感じがして嫌だった 恋愛物と思って読むとげんなりー
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頭にすんなり入ってきて、さぁーっと頭から出できました。 期待しすぎたかな(^_^;) 個人的にはイマイチな終わり方でした。
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うーんと、すごい困る。 貞操帯をつけている男はなにかの象徴なんだろうか?30階だての建設現場に、1階ごとに貞操帯のスペアキーをコンクリに混入させたりとかさ。混乱する。 最後もなんだろう、そのビルの手抜き工事を匂わせる流れが延々描かれて、現場で資材納入担当者が自殺して、設計士が現場に向かうところで話が終わる。 文章を読むことを楽しむということにおいては、まさに純文学なのかもしれないけど、読了感は手に余る。
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≪内容≫ 大宮の地にそびえたつ地上35階建ての超高層ビル。それはフロアがねじれながら、巨大な螺旋を描くという、特異な構造をもっていた。設計士・犬飼と鉄筋工・隼人、ふたりの毎日もビルが投影したかのように不安定になり、ついにゆがんだ日常は臨界点を超える。 ≪感想≫ そびえ立つランドマークとそれに関わる2人の男の日常。Number10から始まりNumber1で終わる各節のタイトルは、歪みの臨界へのカウントダウンとなっている。結末が明確でないことに不満を感じる方もいるのかもしれないが、徐々に歪みに耐えられなくなっていく2人の不安や焦燥感と、その捌け口となる行動がとてもリアルに感じられ、現代の閉塞感を巧みに描き出している点もさすがと思った。建設中のランドマークの各階に貞操帯の鍵を埋め込んでいくという理解し難いはずのその感覚に惹きつけられるのは、僕だけではない、はず。
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自分が建築を学び始めたから思うのだろうけれど、「そうきたか!」と思った小説。ゆがんでゆがんで、破裂する。もう救いの無い様なストーリーだけど、文章の所々に、なにか共感する所がある、そんな一冊。
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自分の地元が舞台で、その詳細な描写に光景が浮かんだ。 また別の楽しみ方ができた。この街が舞台ってあんまりなくて嬉しいような。。 上手いな~と思う。 誰もが感じている閉塞感のようなもの、 空気のように当たり前でいて、実は最も根源的であり その危機的状況をランドマークタワーに投影し...
自分の地元が舞台で、その詳細な描写に光景が浮かんだ。 また別の楽しみ方ができた。この街が舞台ってあんまりなくて嬉しいような。。 上手いな~と思う。 誰もが感じている閉塞感のようなもの、 空気のように当たり前でいて、実は最も根源的であり その危機的状況をランドマークタワーに投影していて、 果たして他人事とは思えない。
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ねじれた形の高層ビルを設計した男と建築する男。 彼らの人生もまたねじれていく。 共感もしなきゃ感動もしない。 だけども、この人の本は文学の香りがする。
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主人公の一人、隼人は鍵を埋める 作り手として自分だけが知っている秘密を残したいのか それ以上の意味があるのか 隼人のそれまでの行動がとんでいるのでわかりがたい もう一人の主人公、犬飼は愛人部屋で “グローバル経済と現代奴隷制”という書籍を見つける この本が気になって(実際にある...
主人公の一人、隼人は鍵を埋める 作り手として自分だけが知っている秘密を残したいのか それ以上の意味があるのか 隼人のそれまでの行動がとんでいるのでわかりがたい もう一人の主人公、犬飼は愛人部屋で “グローバル経済と現代奴隷制”という書籍を見つける この本が気になって(実際にある書籍のため)購入 現代奴隷制という相反するような言葉が連なって ひとつの単語を形成していることはなんだか不思議な印象 最後、これで終わり?と思う終わり方になっている 吉田さんのお話はあくまで生活の一部を切り取ったもの という形になっている気がする 何か大きなことが起こったとしても わかりやすいハッピーエンドも哀しい結末もなく ただ、その後にも続く生活の余韻を感じるよう それが素敵なんだけど、吉田テイストの余韻は (あまり明るくもなくカラッともしていないので) 積極的には味わいたくないかも…と思ってしまいます(笑)
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