五分後の世界 の商品レビュー
最初から最後まで、息つく暇がほとんど無いナリ。 途中1箇所あるくらいで、ず~っと重い。 カテゴリを大冒険にしたけど、大人の大冒険ナリ。 SFだとは思いますが、リアルな模写が沢山あって、結構ひどめの戦争モノが読めない人はコレも読めないナリ。 ただ、ただ、終わり方がなぁ~。
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もしかしたらありえたかもしれない日本の未来 戦後の東西冷戦の中で、韓国もベトナムもカンボジアも東ティモールも内戦状態に陥った。 そして、現代では、アルカーイダに代表されるテロ組織が、欧米各国を狙っている。 もしかしたら、日本も戦中戦後の歩み方によっては、ゲリラ戦の舞台となり、...
もしかしたらありえたかもしれない日本の未来 戦後の東西冷戦の中で、韓国もベトナムもカンボジアも東ティモールも内戦状態に陥った。 そして、現代では、アルカーイダに代表されるテロ組織が、欧米各国を狙っている。 もしかしたら、日本も戦中戦後の歩み方によっては、ゲリラ戦の舞台となり、またはテロ組織の拠点となっていたのかもしれない。 アメリカの占領政策のおかげか、平和憲法のおかげか、はたまた単なる偶然の産物にすぎないのか、幸い日本は戦後これまで、再び戦禍に巻き込まれることはなかった。 しかし、そのような未来が実は紙一重のところで生まれたものなのだということを、リアリティをもって描いてみせる。さすが村上龍さん。 戦争に巻き込まれなかったことは、それだけで絶対的な価値をもつと思う。 しかし、平和ボケしているからこそ、見えなくなるもの、置き去りにされてしまうものがあるのも事実。 日本は、平和だったからこそ、戦争の反省を十分にはしてこなかった。 そのことは、この小説で描かれているとおり事実なのだと思う。 戦争責任があやふやにされてしまったからこそ、実感として欠点とは認識されなかった、日本人の特質ともいえる欠点がある。 そして、平和な日常の中で、死というものが意識的に遠ざけられている。 それは決していいことではない。 死を死として受け入れるには、死を体感するしかない。 突然の死、不条理な死が身近になくなってしまった今、われわれは生の尊さを本当の意味で味わえるのだろうか。 だからといって、戦争を肯定しようとは思わない。 戦争は肯定できないからこそ、われわれが反省し、自らを改めなければいけない部分はどこなのか、われわれが失ってしまった大切なものはなんなのかということを、このような作品を読むことによって考えてみる必要がある。 でも、われわれが失ってしまったものとおなじように、平和な生活の中でこそ味わえる本当の幸せもある。 そのことも同時に忘れてはならない。
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この前買った雑誌の特集で向井くんがあげていた本のひとつ。 あらすじを読んだ時から気になってたので、さっそく。 村上龍先生の作品は久しぶり。 ダブル村上は昔から結構好きです。全然タイプは違うけど。 今回は有川先生の「クジラの彼」の後だったので、ギャップがっ……。 あらすじはざっと...
この前買った雑誌の特集で向井くんがあげていた本のひとつ。 あらすじを読んだ時から気になってたので、さっそく。 村上龍先生の作品は久しぶり。 ダブル村上は昔から結構好きです。全然タイプは違うけど。 今回は有川先生の「クジラの彼」の後だったので、ギャップがっ……。 あらすじはざっというと、もうひとつの日本、だ。 第2時世界大戦後も、日本が降伏せずにいまも戦争が続いているという設定。 日本人口は26万にも減り、地下に潜んで暮らしている。 1994年の作品なのだけれども、一癖も二癖もあります。 まずはかなり残酷な描写があるので、これは苦手な人はとことんダメかもしれない。 私は結構大丈夫な口なので、読み進めるけれども、描写が永延と続く。 ほとんど改行もないような描写が続くので読みにくさを感じにくくはないけれど その詳細がありありと描かれるので、 つい自分もその場所にいるような錯覚を覚える。 全体的に今の日本に対する批判のようなものが滲み出ている。 お前たち、それでいいのか? と問いただされているような気がする。 戦争という意味での「戦い」ならば私は反対するけれども 精神的な意味での「戦い」、自己に問い掛ける「戦い」ならば 確かに今のこの平穏な世界に住む私たちには欠けているものがあるのかもしれない。 与えられたものをただ受け入れて いいとされるものを疑問もなくいいものだと思う。 この何も自身で考えることなく ただ与えられた情報をただ呑み込むだけの現代人に対する憤慨。 もっと疑え。 もっとちゃんと自分で考えろ、ということか。 続編もあるらしいので、ちょっと読んでみたい。
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おもしろかったです! ラストが好みでした。読んだ後、気分がどんよりするような終わり方じゃなくてよかった… とりあえず戦闘描写すごいなー
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村上龍さんの小説は読み終わってストーリーを誰かに聞かれたら、大事な場面や名前忘れて話繋がらないなんてことがあるのに、非常に細かいシーンをずっと何年も覚えていることが多い。 若い女性の赤い剥げかけのペディキュアが五分後の世界から現実に引き戻した描写が心に残ってる
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実際にあったこと、いた人物を持ち出して作られたフィクション。 第二次世界大戦で日本が無条件降伏しなかった『五分後の世界』に突如出現する小田桐。 村上龍はいつもいつも警告していた、日本人が平和ボケで無知なのは、今まで侵略をされた歴史がないからだと。 『イビサ』や『愛と幻想のファシ...
実際にあったこと、いた人物を持ち出して作られたフィクション。 第二次世界大戦で日本が無条件降伏しなかった『五分後の世界』に突如出現する小田桐。 村上龍はいつもいつも警告していた、日本人が平和ボケで無知なのは、今まで侵略をされた歴史がないからだと。 『イビサ』や『愛と幻想のファシズム』ではそうした、言うなれば『五分前』の世界が舞台だった。 今作は違う。 日本がアメリカを相手に不屈のゲリラ戦を戦い続ける世界が舞台だ。 日本人が知り得なかったこと、無くしていったものが壮絶な戦闘描写と共に、残酷なまでに描かれている。
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「気がつくと小田桐は人間一人がやっと通れるような森の中の狭いケモノ道をフラフラしながら歩いていた。」 そんな一文で始まる小説。 小田桐はその後、果てしなく続く過酷な戦闘と規律と統制の世界に強制的に巻き込まれていく。 小田桐は気付くとパラレルワールド=5分後の世界に迷い込んでい...
「気がつくと小田桐は人間一人がやっと通れるような森の中の狭いケモノ道をフラフラしながら歩いていた。」 そんな一文で始まる小説。 小田桐はその後、果てしなく続く過酷な戦闘と規律と統制の世界に強制的に巻き込まれていく。 小田桐は気付くとパラレルワールド=5分後の世界に迷い込んでいたのだ。 そこは日本が日本であって日本でない。 5分後の世界の人々は狂っているかにみえるが、 果たして狂っていたのは、元の自分自身なのかもしれない。 こんな厨二病設定の村上龍の小説があったなんて知らなかった。 いや知らなかった自分が情けない。大学生とか高校生とかそんな時に読んでおきたかったなぁ。 今よりもっともっと感じるものがあったはずだ。 2部作?続編?も読もう。さらに感性が鈍くなってしまうその前に。
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第二次世界大戦から現代に至るまで米軍を中心とする連合軍と戦争を継続している世界を描いてある。 ゲーム化もされている。
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五分時間軸がずれているパラレルワールドでは日本人が日本人らしく生存し続けるために世界の聖戦を続けている。 実は村上龍は食わず嫌いで一度エッセイ「すべての男は消耗品である」を手にしたことがあったけど、女性にたいする描写がとても耐えられなくて途中でやめてしまったので読了したのはこの...
五分時間軸がずれているパラレルワールドでは日本人が日本人らしく生存し続けるために世界の聖戦を続けている。 実は村上龍は食わず嫌いで一度エッセイ「すべての男は消耗品である」を手にしたことがあったけど、女性にたいする描写がとても耐えられなくて途中でやめてしまったので読了したのはこの作品が初めてでした。 アンダーグラウンドで小田桐が手にした社会の教科書の内容がとても迫真なこと、この並行した世界においても出生率の低下が問題になっていることがとても印象的。 終盤の能を観ている時の描写に 「小田桐は一瞬そこに本当に年老いた女がいて、泣いているような錯覚に囚われた。単純で、かんまんで、バランスが崩れていないために、その面が想像を強要してくるのだ。」 という箇所があるが、氏の戦闘シーンの描写はより鮮明で、想像を強要してくるというよりも、網膜に強制的に場面を浮かび上がらせる。
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学生時代、割と熱心に読んだ村上龍。最近ではカンブリア宮殿の司会のイメージが強かったが、ふと思い立って本著を手にとってみた。 昔は手に汗握って読んだであろうリアルな暴力描写がなぜか鬱陶しくてたまらず、最後まで読むことができなかった。 決して、面白くないことはないのだが・・・
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