そして夜は甦る の商品レビュー
ストイックでシニカル。 寂れたビルの小汚い事務所。 たゆたう煙草の紫煙。 スクラップ寸前のブルーバード。 ハードボイルド風味の由緒正しき探偵物です。 この雰囲気は嫌いじゃないのですが、終盤のミステリーのお約束『関係者を集めて探偵役が全てを解説、犯人は誰だ!?』に少し気持ちが萎えま...
ストイックでシニカル。 寂れたビルの小汚い事務所。 たゆたう煙草の紫煙。 スクラップ寸前のブルーバード。 ハードボイルド風味の由緒正しき探偵物です。 この雰囲気は嫌いじゃないのですが、終盤のミステリーのお約束『関係者を集めて探偵役が全てを解説、犯人は誰だ!?』に少し気持ちが萎えました。 探偵物には必要不可欠なのでしょうか...?
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
沢崎は渡辺探偵事務所の探偵。ただ渡辺は5年前に事件を起こして失踪しているため、実質的にたった独りで仕事をしている。ある日「ルポライターの佐伯直樹が事務所を訪ねてきてはいないか」と身元不明の男がやってきたが、明確な答えをしないでいると、金を置いて帰ってしまう。その沢崎に今度は更科修蔵という美術評論家から、娘の夫を探してくれと依頼が入る。その尋ね人はまさに佐伯だった。佐伯は更科の娘・名緒子と離婚をする予定だったが、慰謝料5,000万を受け取りに来ず行方不明。更に佐伯は何らかのスクープを追っていた節があり……。更科の後妻、更科順子(大手企業の相談役)、その弟も巻き込む事件になる。 きっと個人的にハードボイルド好きなんだろうと思います(^^;) ★3か4か迷ったけれど……うーん4でいいかなやっぱり。ちょっと淡々と地味ですがやはりかっこいい! 沢崎かっこいい~(≧▽≦) せりふ回しがいいです、錦織警部との会話いいです。微妙な渡辺を挟んだ関係が、少しずつ変わっていく。 また据え膳食わないのもいい(^^;) 女子大生を助けた辺り、言い寄られたりして、このエピソード関係ある? 伏線? と思ったけれど、ストーリーそのものの伏線ではなかったよう。でも効いてます~。 佐伯夫妻の離婚などは誤解の産物なのだけれど、あえて沢崎は知らせたりしないし、ラストも何だか理不尽な気がして、しんどい気持ちにすらなります。でも助けた女子大生が最後に伝言メッセージでありがとう、と伝えてきたことによって、ものすごく救われた気持ちになりました。 いや、次作の「私が殺した少女」を以前から読みたかったのだけれど、デビュー作のこちらから先に読んで良かったかもしれない。。。 とにかくやはり、おもしろい!!
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探偵・沢崎の始まりの本。 「私が殺した少女」を先読してしまっていたので、 予行演習が出来ていたものの、またすっかり心を奪われて 一気読みしてしまった。 (寡作この上ないので、もっと温存しておきたかったが) 本編並にシニカルなあとがきも趣向があって、いい。 そして何より沢崎が素...
探偵・沢崎の始まりの本。 「私が殺した少女」を先読してしまっていたので、 予行演習が出来ていたものの、またすっかり心を奪われて 一気読みしてしまった。 (寡作この上ないので、もっと温存しておきたかったが) 本編並にシニカルなあとがきも趣向があって、いい。 そして何より沢崎が素敵。 ああ言えばこう言う関係の錦織警部とのやりとりもたまらない。 頭の良い、腕の立つ男。ほんとかっこいい。
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キャラクター、セリフ、雰囲気が素晴らしく良かったです。 ただ、如何せんストーリーが面白くなかったです。
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1988年『このミス』創刊年の第二位作品。 しかもこの著者は、ジャズピアニスト。で、これが小説家初めての作品。 すっごいね~。こんな本格的ハードボイルドな本書けちゃうんだ~。 やっぱり器用な人は何でも出来るんだね~。 主人公の勤める探偵所にある男が現れ「佐伯をしらないか?」と尋...
1988年『このミス』創刊年の第二位作品。 しかもこの著者は、ジャズピアニスト。で、これが小説家初めての作品。 すっごいね~。こんな本格的ハードボイルドな本書けちゃうんだ~。 やっぱり器用な人は何でも出来るんだね~。 主人公の勤める探偵所にある男が現れ「佐伯をしらないか?」と尋ねられてることから始まる人探し。しかし、その背景には思いもかけない政治的絡みがあって、その真犯人も思いもよらない人だった。 というハードボイルドな話。 なんか、すっごいカッケ~男の世界にどっぷり浸ってる話。 この探偵・沢崎ってのがちょっとクールで格好いい。 でもって、錦織(にしごり)警部もなんか男っぽくって素敵。二人が罵り合っても、実はお互いに尊敬しあってるような感じがなんとも言えない。 この誘拐に背景には政治的な絡みがあったんだけど、あの知事と元俳優の向坂兄弟。 なんかね~、石原慎太郎と石原裕次郎みたいな設定なんだけど~。 でも、この本の出版当時は石原慎太郎はまだ知事になってないからね~、なんだか未来を予言してるような設定にちょっと驚いてしまったわ。 後半、頭を使わないと読めない人間のシガラミみたいな表現があるけど、今までジャズピアニストだった著者がここまで書けてしまい、でそれ以降小説化として成功してしまうこの才能に惚れたわ。
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西新宿の高層ビル街のはずれに事務所を構える私立探偵・沢崎。 ある日、海部と名乗る謎の男が事務所を訪れ、 ルポ・ライターの佐伯がここに現れたかどうか、 沢崎から聞き出そうとするが、沢崎は応じない。 その直後、沢崎はその佐伯の義父である更科修蔵の邸宅に呼ばれ、 同様の質問を...
西新宿の高層ビル街のはずれに事務所を構える私立探偵・沢崎。 ある日、海部と名乗る謎の男が事務所を訪れ、 ルポ・ライターの佐伯がここに現れたかどうか、 沢崎から聞き出そうとするが、沢崎は応じない。 その直後、沢崎はその佐伯の義父である更科修蔵の邸宅に呼ばれ、 同様の質問を、更級修蔵や、佐伯の妻の名緒子から受ける。 名緒子からの依頼を受け、沢崎は佐伯の行方の調査を始めるが 謎の海部氏と佐伯をつなぐ糸をたどっていくと 過去に起きた東京都知事狙撃事件との関連が浮かび上がり――。 ハードボイルドの巨匠レイモンド・チャンドラーに捧げられた 「沢崎シリーズ」第一作にして、著者のデビュー作。 原尞という作家も、例によって「このミス」で知った。 ハードボイルドというジャンルの作品を読むことも 今回がほとんど初めてと言っていい。 作品全体を通して、主人公の沢崎が考えていることや 思っていることはほとんど描写されない。 また、沢崎は口が悪く、人をほとんど信用しないし、 信用していても馴れ合わないし、 人にどう思われるかということもあまり気にしない。 こういった沢崎の“孤高さ”についての演出が最高なのだ。 他のハードボイルド作品がどうなのかは知らないが、 「こういった雰囲気がハードボイルドというものなのか」 などと思ったりもした。 そういった雰囲気だけでなく、本作はプロットも凄い。 行方不明の男を捜していく中で様々な事件が起こり、 それらが都知事狙撃事件へと収斂していくのだが、 多くの人間の思惑が二重三重に絡み合う複雑な構造になっており その構造を読者に理解させていく手際が実に見事。 ラストには、ミステリ的な意外性のある展開も待ち受けていて 「よくぞこれだけ作りこんだ!」と言いたくなる。 また、沢崎以外のキャラクターの配置の妙にも感心させられる。 特に、錦織警部の存在感は沢崎に匹敵するほど。 今までハードボイルドは読んでこなかったが、 このレベルの作品が読めるなら手にとらないのは損だ。 そう思わせるだけの求心力を持った作品。 最後に余計なことだが、作者の名前である「りょう」は、 本当は「療」からやまいだれをとった字であるのだが、 ネット環境では表示できないことも多い字であるらしく、 ひらがなで表記されていることが多いのは実に残念である。 人名はいつも正確な表記が望ましい、と思う。
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失踪から始まったこの事件は複雑になっていく予感がしたので、時間をかけてゆっくりと読み進めました。 でも、ここが伏線だ・・といくつも感じたのに、この先がどうなっていくのかは想像もつかず、最後までわからなかった。そしてラストシーンでの諏訪が潔く思えたあの結末。 一つの時代が終...
失踪から始まったこの事件は複雑になっていく予感がしたので、時間をかけてゆっくりと読み進めました。 でも、ここが伏線だ・・といくつも感じたのに、この先がどうなっていくのかは想像もつかず、最後までわからなかった。そしてラストシーンでの諏訪が潔く思えたあの結末。 一つの時代が終わったことを感じさせました。。 著者はチャンドラーに心酔ということですが、チャンドラーの様な豪華絢爛な文章ではなく、さっぱりとしています。でも登場人物達の会話は、チャンドラー同様に小粋で、探偵・沢崎のハードボイルドぶりもかなり魅力的でした。
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日本ハードボイルドの名作と呼ばれる本作を読んでみました。 作者さんは、"元ジャズピアニスト"で、"作家"という方。 これで"実は裏で探偵をしている"なんて要素が加われば、数えで役満が上がれそうです。 内容は、主人公の探...
日本ハードボイルドの名作と呼ばれる本作を読んでみました。 作者さんは、"元ジャズピアニスト"で、"作家"という方。 これで"実は裏で探偵をしている"なんて要素が加われば、数えで役満が上がれそうです。 内容は、主人公の探偵・沢崎がとある失踪者を探すところから始まります。 やっぱり名作と呼ばれるだけありハラハラ読めますが、最近のハードボイルドに慣れてしまっているせいか、もうちょっと主人公が苦しんで、そこから立ち上がる的な要素があると嬉しいかなぁとも思ってしまいました。
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デビュー作をようやく読んだわけだが、これはとても辛かった。 何が辛かったって、読んでも読んでも全然終わらない、そしてやがて読めなくなっていく…… ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。(「BOOK」データベースより) とても盛りだくさんなうえ、登場人物が多く、だが...
デビュー作をようやく読んだわけだが、これはとても辛かった。 何が辛かったって、読んでも読んでも全然終わらない、そしてやがて読めなくなっていく…… ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。(「BOOK」データベースより) とても盛りだくさんなうえ、登場人物が多く、だがその登場人物もなかなか頭の中で像になってくれず、(都知事だけは某都知事閣下(笑)がとても自由に私の中で演じてくれましたが(笑)、間を開けてしまうことが多かったので、そういう初歩的なところでも苦労しました。 内容はとっても優等生で、まるで教科書や参考書を読んでいるのかと疑いたくなるほど完璧な殺人マニュアルでした。(などと言うと、とても誤解がありますが プロットはとても複雑で込み入っていて、決して生易しいものではありません。 ですが、やはり一昔前の印象がそこここに漂い、犯人の目星、動機、詳細な犯行内容までがわりと早い段階で推理出来てしまうのが残念だった。 しかし翻訳調の素晴らしさや沢崎の台詞の格好良さがずば抜けていて、「面白かった?」と聞かれると間を開けずに「面白かった!」と言ってしまうくらい今回も心に残る作品となりました。 そして何よりおまけが本編よりもずっと格好よくてじたばたする件について。 私にとっては、もうこちらが本編でした。(おい 今回は「読む」という行為に対して、私のほうの準備もできていなかったけれど、話が佳境に入るまでが冗長で内容が頭に入らず、途中沢崎だけが次にすべきことを分かっているという状況がわくわくにつながらず、辛かった。 そして本当の久々に本物のハードボイルドに浸かったので、吸ってないのに頭がショートピースでヤニクラ起こしています沢崎たまらんハアハア! 次はどれを読もうかな。 原先生の次回作が出るのが先か、私が彼の著作物を全て読み終えるのが先か……(笑)
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途中までは会話や展開が冗長だなと思って読むのがだるくなっていたのだが真相が語られ始めると、どこにも無駄な箇所は無くうまい具合に伏線となっていた。 沢崎の言動の随所に渋さが感じられてかっこ良かった。本格的なハードボイルドは初めて読んだが、最初にこれを読んで良かったと思う。
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