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ブラームスはお好き の商品レビュー

3.9

83件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

    31

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

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2023/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 美貌で金もある夫との生活を捨て、自らの幸せのために仕事を持ち独立もした39歳の主人公ポールが、ロジェという自分より少し年上の浮気性な恋人と仕事先で出会った若く美しい自分に献身的に尽くしてくれるシモンとの恋愛の中で揺れる物語。  心情描写が非常に細かくリアルに感じられ、主人公が最後にする一見すると理解が難しいような選択でもすんなりと気持ちに寄り添えたことに驚いた。恋愛を幸せなものだけとして描いておらず、その時の状況やその日の感情によっても微妙に変わるところが表現されていたり、会えていない時に会いたいと思い続けていてもいざ実際に会うときに想像よりも普通な相手に気持ちが少し冷静になってしまったり、自分たちの間では何の問題もない事柄でも周囲の陰口一つで気にかかるようになるとなるところなど自分のことと照らし合わせて非常に親近感が湧いた。全体として、人の孤独や気持ちの身勝手さを描いていて途中で文体が少し変わるところもそういうことを意味しているのかなと思った。  個人的には、シモンがポールに振り回された時にシモンは少し冷めれしまうがポールは振り回した結果に満足していたという状況からの一連の車の中での描写、お互いにお互いのことを理解する描写とポールの仕事帰りに迎えに来たシモンの会えない時の虚無感や会った瞬間の戸惑いや抱き合った時の解放感を表現した描写がとても好きだった。  時々ではあるが、冗談や話の受け答えに違和感があるところがあり、フランス語の知識がないことが残念だった。またシモンとロジェが会ってから一気に話が面白くなり、仕方ない部分もあるがそれまでは冗長な印象を受けた。  作中で「ブラームスはお好き?」という問い掛けが二回それぞれシモンとロジェから行われる。シモンは一途にデートの誘い文句として言い、ロジェはからかうような調子で言った。これは最初から最後まで変わらない二人の性格をよく表していると思う。作中、ポールは自分は幸せになるためにこれまで様々な選択をしてきた、と語るシーンがある。結果だけを見ればポールの状況は物語の最初と最後で変わらないままであった。幸せとは何かと考えさせられた。4.5。

Posted byブクログ

2022/10/23

素晴らしかった。とても切ない。ただ1人だけのことを考えながら読んだ。 恋する女の幸せと不幸せ。描かれている感情があまりに繊細微妙なので、恋してる時じゃないと響かないんじゃないかと思うくらい、言葉では普通言い表せないところが描かれている。 シモンとの電話を切った後に鏡に向かって櫛...

素晴らしかった。とても切ない。ただ1人だけのことを考えながら読んだ。 恋する女の幸せと不幸せ。描かれている感情があまりに繊細微妙なので、恋してる時じゃないと響かないんじゃないかと思うくらい、言葉では普通言い表せないところが描かれている。 シモンとの電話を切った後に鏡に向かって櫛をときながら、「鏡の中には、いましがた一人の男から『愛しているよ』と言われた、ひとりの女の顔がうつっていた」というところがたまらなく好き。きっと自分も、そうとしか形容のしようがない顔をしている時があるのだろう。 読み終わったあと、ポールはどうやったら幸せになれるんだろう?(なれたんだろう?)と考えてなんだか悲しくなった。 どちらを選んでも少しだけでも確実に深く不幸。 私はまだこんな気持ちになったことがないのは、まだ若いからなの?40手前になったらこんな気持ちになるのかな?不思議だ。その歳になったら読み返したい。

Posted byブクログ

2022/10/16

「ブラームスはお好き」は、1959年、サガンが23歳の時に発表された作品。 冒頭には「ギイへ」とあり、当時の夫であるギイ・シェレールに捧げられている。 もし、ボクが妻からこの作品を捧げられると、 とても意味深な、複雑な気持ちになると思います・・・(;^_^A というような物語...

「ブラームスはお好き」は、1959年、サガンが23歳の時に発表された作品。 冒頭には「ギイへ」とあり、当時の夫であるギイ・シェレールに捧げられている。 もし、ボクが妻からこの作品を捧げられると、 とても意味深な、複雑な気持ちになると思います・・・(;^_^A というような物語です(;^_^A

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2021/11/02

サガンしゅき。。。浮気男のロジェにも彼なりの不幸とポールへの愛情があって、行動では示しきれないつながりを感じるから切り離せない気持ち。仕事も何もかも考えられなくなるぐらい自分を烈しく愛してくれるシモンと、10年後一緒にいるのは想像できない気持ち… 結局のところ迷って苦しんで自分の...

サガンしゅき。。。浮気男のロジェにも彼なりの不幸とポールへの愛情があって、行動では示しきれないつながりを感じるから切り離せない気持ち。仕事も何もかも考えられなくなるぐらい自分を烈しく愛してくれるシモンと、10年後一緒にいるのは想像できない気持ち… 結局のところ迷って苦しんで自分の心を痛めてる時の方が生きてる実感が持てるから、3人ともこういう選択をして一方通行な三角関係みたいなのが出来上がるんかな…幸せとはなんなのか。。

Posted byブクログ

2021/08/04

渋谷Bunkamuraで開催されたベルナール・ビュッフェの展覧会でビュッフェの絵が表紙となっているこの本をミュージアムショップで購入。 サガンの小説にはビュッフェの絵が本当によく合う。実際交友関係もあったそう。しかし現在ビュッフェの表現で発売されているのはこの本のみと言うからとて...

渋谷Bunkamuraで開催されたベルナール・ビュッフェの展覧会でビュッフェの絵が表紙となっているこの本をミュージアムショップで購入。 サガンの小説にはビュッフェの絵が本当によく合う。実際交友関係もあったそう。しかし現在ビュッフェの表現で発売されているのはこの本のみと言うからとても残念です。 小説の内容はパリの街並を思い浮かべながらオシャレな恋愛映画を観ている、と言った気分になれます。ブラームスも聴きたくなります。 過去に映画化された邦題は『さよはらをもう一度』だったそうで。イングリッド・バーグマンにイヴ・モンタン…映画も観てみたい^ ^

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2021/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画のような作品。ポールに熱烈に惚れ込んでアプローチかけるシモンは現実離れしていて気持ちよかった。結局長年付き合った浮気症彼氏に戻るのもリアルだが物語としては斬新に感じた。題名を含めて言葉の言い回しがおしゃれ。時代は変わってもゾラの書いたようなフランス人の国民性?は変わらないように感じた。

Posted byブクログ

2021/03/21

39歳になったポールはかつて優しく金持ちの夫を捨て、ひとりの女性として自立していく道を選んだ。 いまの恋人は歳上で、ちょっとがさつでよく浮気もするロジェだ。 ポールはそんなロジェに諦めもしながら離れられないでいた。 そんなとき、デザイナーの仕事先で15歳若いシモンと出会う。 シモ...

39歳になったポールはかつて優しく金持ちの夫を捨て、ひとりの女性として自立していく道を選んだ。 いまの恋人は歳上で、ちょっとがさつでよく浮気もするロジェだ。 ポールはそんなロジェに諦めもしながら離れられないでいた。 そんなとき、デザイナーの仕事先で15歳若いシモンと出会う。 シモンのポールに対する熱烈な求愛が始まった。 果たしてポールの選択とは…。 ちなみに本書の題は、シモンがポールに初めてデートに誘った言葉です。 サガンです。 かつて新潮文庫ではたくさん彼女の著作が出版されていたと思いますが、いまとなっては『悲しみよ こんにちは』と本書の2冊だけのようですね…。 時代にそぐわなくなったんですかね。? 本書はサガンの4番目の著作とのことでしたが、残っている理由が気になりますね。(笑) 個人的に言えば本書のような女性の心の移り変わりには付いていけませんでした…。 やはりパリの時代の風潮なのかなあ。 表紙はサガンの本とよくコラボ?されていたベルナール・ビュッフェの絵です。 サガンとともにベルナール・ビュッフェの表紙絵も消えていく…。 ところで本書の展開はサガンの願望ではないでしょうか。(笑) 女一人で自立して、夫を捨て、いままた15歳若い美貌の青年に見初められる。そしてあっちの方も…。 まさに1960年代満開ですね! 1960年代のフランスの雰囲気が堪能できる作品です。

Posted byブクログ

2021/03/16

サガン、高校生ぶりに読んだがあまりに素晴らしすぎて言葉を失った。べっとりとした現実を象徴するロジェは移り気で、そこに愛はあるのだが、いつも自分を裏切る。若さと青春を象徴するシモンに耽溺しようと必死になるのだが、自分はもはやその世界に属さないことは分かっている。シモンの方向へと行き...

サガン、高校生ぶりに読んだがあまりに素晴らしすぎて言葉を失った。べっとりとした現実を象徴するロジェは移り気で、そこに愛はあるのだが、いつも自分を裏切る。若さと青春を象徴するシモンに耽溺しようと必死になるのだが、自分はもはやその世界に属さないことは分かっている。シモンの方向へと行きたいのだが、常に自分はロジェに絡め取られ、裏切られる。人生に残されているのは漠とした孤独ーーー相変わらずフランス人の恋愛へのメンヘラぶりにはちょっと辟易したが、人生の哀しさが刻まれていて震えた。なんて素晴らしいんだ!!と叫び出しそうになる。 なにより、身体描写が良い。39歳の女性が鏡を覗き込んで、自分の顔の皺を一本ずつ点検する様子。自分の手の甲の静脈を見て、ふとこの入り組み方は自分の人生だと思う様子。この身体への執着は、女性作家のものだと感じる。なるほど、サガンだったのかという驚きがある。

Posted byブクログ

2021/03/12

言葉では説明のつかない何か、心理的な結びつき。 それが恋愛の中には存在していて どうしようもない力で、ポールをロジェに惹きつける。 ロジェのために不幸にる自分がいることを理解してもなお決別することができなくて、ある種自己犠牲的。 でも結局は、失うよりもその不幸の中に身を置く方が幸...

言葉では説明のつかない何か、心理的な結びつき。 それが恋愛の中には存在していて どうしようもない力で、ポールをロジェに惹きつける。 ロジェのために不幸にる自分がいることを理解してもなお決別することができなくて、ある種自己犠牲的。 でも結局は、失うよりもその不幸の中に身を置く方が幸せだという矛盾したような公式が成り立つ。

Posted byブクログ

2021/01/31

初サガン。渋谷でブッフェの展覧会を見た後、ビュッフェの絵が表紙になっているこの本を買い読んだ。半世紀以上前の小説だが、パリでの都会的な人々の生活が物語られ、憧れの世界のようなものを感じられる。パリに行きたい。パリでカフェや街歩きを楽しみ、フランス文化を体感したいと強く思わされた。...

初サガン。渋谷でブッフェの展覧会を見た後、ビュッフェの絵が表紙になっているこの本を買い読んだ。半世紀以上前の小説だが、パリでの都会的な人々の生活が物語られ、憧れの世界のようなものを感じられる。パリに行きたい。パリでカフェや街歩きを楽しみ、フランス文化を体感したいと強く思わされた。現在、残念ながら、ビュッフェの絵が表紙になっているのはこの本しかないようだが、「悲しみよこんにちは」などほかの作品も読んでみたいと思った。

Posted byブクログ