誰がために鐘は鳴る(下) の商品レビュー
スペイン内戦についてしっかり勉強した上で読んだので余計に面白く感じた。それにしてもヘミングウェイの言葉の熱量が凄くて、これは実際従軍したから書けるものなんだなと強烈な敗北感を抱かざるを得ない。 ・「鉄の林のなかをくぐるターザン」
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戦争の話をアメリカ側で読むのは初めてだったかもしれない。日本の同様の小説と大きく読み方が変わるというわけではなく、敵国に対してというよりは戦争のある社会というものへ人の気持ちが向かっている。日本の戦争小説で自分が読んでいるものはどれも天皇万歳というものはなく(そういう小説はあるのかしら?)、戦争に参加する個人に焦点が当てられているものである。けれども国に命を捧げるつもりであったという意思は人物のなかに感じていた。誰がために鐘は鳴るも同様で、敵国の兵士の命を奪うことに疑問は抱きつつも、個人の願望より命を捧げようとする行動が主人公にちゃんと見られた。 この話は終わり方がよかったかも。瀕死状態で最後に主人公は残りの兵士を撃つためにピストルを構えるところで終わる。彼の生き方が浮き彫りになっていた気がした。
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最後はやられました。 逆にやられました。 とにかく心理描写がリアル。 戦争に対する個々の立場の捉え方が矛盾なく、細やかに表現されてる。 前々から近代と現代では死生観に大きな変化があるんちゃうの?とおもてた。舞台はスペイン内戦、思想のために戦うことは、それまでの歴史の延長線上に...
最後はやられました。 逆にやられました。 とにかく心理描写がリアル。 戦争に対する個々の立場の捉え方が矛盾なく、細やかに表現されてる。 前々から近代と現代では死生観に大きな変化があるんちゃうの?とおもてた。舞台はスペイン内戦、思想のために戦うことは、それまでの歴史の延長線上にあった時代。法の整備なのか、教育の充実なのか、平和への盲従なのか理由はわからんけど今の日本(世界のほとんどの国)で主人公の考えは受け入れられへんやろ。 なんせ生命至上主義党の独裁政権やから。 これから俺らは生命が情報に変わっていき、情報を奪われることが精神の略奪になる世界を目の当たりにするやろう。もっぺん考え直したい。
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文庫が改版されて活字も大きく読みやすく さすが大久保康彦訳丁寧な訳文でわかりやすく 文章が込み入っていたのでもなく むしろ簡潔で、しかも情緒的たっぷりで ストーリーが起伏に富んでおもしろく やっぱりヘミングウェイ一番の傑作だと 戦いと男と女と、生きるか死ぬか 少々メロ...
文庫が改版されて活字も大きく読みやすく さすが大久保康彦訳丁寧な訳文でわかりやすく 文章が込み入っていたのでもなく むしろ簡潔で、しかも情緒的たっぷりで ストーリーが起伏に富んでおもしろく やっぱりヘミングウェイ一番の傑作だと 戦いと男と女と、生きるか死ぬか 少々メロドラマ風でもあり いや そんな風に言っては失礼であり ファッショと闘う人民軍という設定が 中東の民主化デモの殺戮が オーバーラップして 深く、深く考え込んでしまった 人間の戦い癖、殺し合いは止まるものか 生まれて死ぬるはなんぞや 扉の言葉(ジョン・ダン)がとてもいいので 写しておこう なんびとも一島嶼(とうしょ)にてはあらず なんびともみずからにして全きはなし ひとはみな大陸(くが)の一塊(ひとくれ) 本土のひとひら そのひとひらの土塊(つちくれ)を 波のきたりて洗いゆけば 洗われしだけ欧州の土失せるは さながら岬の失せるなり なんびとのみまかりゆくもこれに似て みずからを殺(そ)ぐにひとし そはわれもまた人類の一部なれば ゆえに問うなかれ 誰がために鐘は鳴るやと そは汝(な)がために鳴るなれば
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下巻は上巻より面白かった。 100ページ手前あたりから停滞していた物語がやっと進行していく。 戦いの数日前の静けさ、とてつもなく退屈で(読者が)長く感じる時間、新しい仲間、他人にとってうんざりする回想、どうでも良い会話、、これらはアクション映画でもスペクタクルな小説でもなく現実...
下巻は上巻より面白かった。 100ページ手前あたりから停滞していた物語がやっと進行していく。 戦いの数日前の静けさ、とてつもなく退屈で(読者が)長く感じる時間、新しい仲間、他人にとってうんざりする回想、どうでも良い会話、、これらはアクション映画でもスペクタクルな小説でもなく現実で、市民戦争のあったあの時、スペインの地でどこにでもあった光景、忘れられた過去の一部だ。 死と隣り合わせの状況で、物事を色々深く考えていたら精神が破壊され生き延びれないだろう。パブロのように過去に何があって何を見てきたとしても、のうのうと酒を飲んで暮らしているような人間、苦労しない方の人間、ロベルトもまた生き抜く術を持っているのだ。 そしてなによりこの戦争は意味を持たない。勝つか負けるか、生きるか死ぬかただそれだけのことである。意味を深く考えても仕方がないのである。 何箇所かスペイン語が間違っていた。一例は166ページ、hay que tomar la muerte como si fuera aspirina が正解だ。siがsoになっている。
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スペイン内戦にゲリラ側として参戦、高架橋爆破にいどむ米国人青年と、その恋人、同志テロリストたちの友情。「日がはまた昇る」と違って、爽やかなヒロイズムを感じる。
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原書名:For whom the bell tolls 著者:アーネスト・ヘミングウェイ(Hemingway, Ernest, 1899-1961、アメリカ・イリノイ州、小説家) 訳者:大久保康雄(1905-1987、茨城県、翻訳家)
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どうやら「橋を爆破する」という作戦は無意味なものになったらしい。何故なのかはよく分からないが、読んでいると気づく。その無意味な作戦のために命を落とさねばならない。状況が変わろうが命令されたことは実行しなければならない。恋人のマリアと別れなけらばならない。ゲリラの仲間たちを危険にさ...
どうやら「橋を爆破する」という作戦は無意味なものになったらしい。何故なのかはよく分からないが、読んでいると気づく。その無意味な作戦のために命を落とさねばならない。状況が変わろうが命令されたことは実行しなければならない。恋人のマリアと別れなけらばならない。ゲリラの仲間たちを危険にさらさなければならない。 なんと恐ろしく、悲しいことだろう。 1930年代のスペイン内戦。ヘミングウェイもこの戦争に参加したという。 以下、引用~ ・二日前まで、おれはあのピラールも、パブロも、ほかの連中の存在も、まったく知らなかった。マリアも、この世にいなかった。たしかに、いまよりもっと世の中は簡単だった。 ・彼は自分でもパブロが利口なことをよく知っていた。鉄橋爆破命令の誤った点を、たちまち見抜いたのはパブロではなかったか? ・「おれは、あまり苦労しない人間なんだ」 「おれもさ」とアグスティンは言った。「世の中には、苦労するやつと、苦労しねえ奴がいるだ。おれなんざ、ちっとも苦労しないほうの人間だな」 ・「Que cosa mas mala es guerra」(戦争ってやつはなんていやなものだろう) ・おれは今日死のうとしているが、そうではなくて、ずっと長い間生きていられるのだったらどんなにいいだろう。というのは、この四日間に、人生について、じつに多くのことを学んだからだ。いままでの生涯を全部合わせたよりも多くのことを学んだように思う。おれは老人になって、真実のことが知りたいのだ。人間というものは、いつまでも学び続けていけるものだろうか?それとも、それぞれ、ある一定量しか理解できないものだろうか? ・「行ってくれ、おじさん」とロバート・ジョーダンは言った。「戦争では、こういうことはよくあるんだ」 「戦争なんて、なんて下劣なもんなんだろう!」とアグスティンは言った。「戦争なんてくだらねぇだ」 「そうだよ兄弟、ほんとうにそうだ。だが、行ってくれ」 「あばよ、イギリスさん:とアグスティンは右のこぶしを握り締めながら言った。 「さよなら」とロバート
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やはり緊迫した展開が多くなったせいか上巻よりも楽しめた気がする。相変わらず小難しい印象は変わらなかったが おそらく私の理解力が足りないからだろうが理解できない部分が多かった。そのせいで何故橋を爆破しても既に無意味なのか、何故ロバートはしつこく自分に話し掛ける癖があったのかと...
やはり緊迫した展開が多くなったせいか上巻よりも楽しめた気がする。相変わらず小難しい印象は変わらなかったが おそらく私の理解力が足りないからだろうが理解できない部分が多かった。そのせいで何故橋を爆破しても既に無意味なのか、何故ロバートはしつこく自分に話し掛ける癖があったのかという疑問が残ったままだった。 しかし、それでもこれが名作と呼ばれる理由が少し見えた気がする。作品の中で徹底されていたのは戦争狂を出さないことではないかと私には思えた。誰もが各々の事情や信念を掲げて戦争に参加している。あのマルティでさえも銃殺狂と呼ばれているが、自分の信ずる行為を貫徹しているつもりなのだ。 これだけの激しい戦闘であろうとも戦争全体から見れば開戦の端緒にしか過ぎないというロバートの独白が強烈な衝撃を与える。 本書を更に理解するには更なる知識の追加と、実写映画でどのように描かれているのか確認する必要がある気がした。映画ではあの長いモノローグはどうなっているのだろうか。少々興味が沸いた。
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For Whom the Bell Tolls(1940) これは、歴史小説だと感じた。スペイン内戦を詳しく知らなかったので、状況や意味が理解できない部分もいくつかあったが、作戦の遂行過程やゲリラ部隊と親密になっていく様子が生々しく描かれていて、その部分は楽しめた。 特に、主人公ロバート・ジョーダンの心の葛藤がよく伝わってきた。心の中の激しくも静かな葛藤が物語の多くを占めている。橋の爆破作戦を通じて、自身の死の訪れを感じているかと思えば、生き延びて旧友やマリアとの甘いひと時を想像したりしている。 パブロやピラールなど、ゲリラの仲間たちに苛立ちを感じながらも、彼らをすばらしい仲間だと思っている。 物語の終盤も、主人公の心の葛藤がほとんどになっている。 スペイン山中の閉鎖的で、暗い状況で渦巻く人の思いを生々しく感じさせてくれる物語だった。だが、表題の「誰がために鐘は鳴る」と物語との関連、パブロの不穏な行動など、理解できなかった部分が多かったので、私はこの物語の本当のメッセージをまだ読みこめていないのだろう。
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