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絵のない絵本 の商品レビュー

3.7

172件のお客様レビュー

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    33

  2. 4つ

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  3. 3つ

    56

  4. 2つ

    11

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2011/12/11

全部で33の月が語る短い情景的な物語。  あたかも夏目漱石の「夢十夜」のような、稲垣足穂の「一千一秒物語」のような、はたまた「千一夜物語」のようなといったちょっと幻想的な雰囲気の物語集です。  「絵のない絵本」というタイトルが表しているとおり、絵画的な繊細な描写が見事な作品で、こ...

全部で33の月が語る短い情景的な物語。  あたかも夏目漱石の「夢十夜」のような、稲垣足穂の「一千一秒物語」のような、はたまた「千一夜物語」のようなといったちょっと幻想的な雰囲気の物語集です。  「絵のない絵本」というタイトルが表しているとおり、絵画的な繊細な描写が見事な作品で、この言葉によって紡がれる情景を読者の想像力によって「絵」に仕上げる絵画作品・・・・と言っても過言ではないような気がします。 (中略) それにしても「月」っていうのは不思議な存在ですよねぇ。  人間が、そして地球が生きていくためには太陽の恩恵に浴している部分が圧倒的で、例えば農業なんかをやっている時や、山小舎で雪に閉ざされちゃっている時なんかは太陽の有難味をヒシヒシと感じるわけだけど、そのエネルギッシュさが圧倒的に過ぎるためか、なかなか詩情は湧いてこない・・・・・。  でも、お月様は天文学的には地球で生きる生物に大いなる恵みをもたらしてくれている天体らしいけれど、有難味を感じるというよりはもっと情緒的な部分で人に影響を与えているような気がするんですよね。 そうであるだけにこの物語の語りべは「太陽」ではありえなくて、やっぱり「月」じゃなきゃいけない。  そしてその聴衆はしがない芸術家でなくちゃいけない。  アンデルセン自身を投影したと考えられるこの「しがない絵かき」の無常観、透明な観察眼があって初めて言語化された物語だと思います。 「月の光」っていう、どことなくぼや~っとした照明だからこそ浮かび上がる情感っていうのがやっぱりあるんだと思う。  これが「太陽の光」だと明るすぎるうえに、影の部分であってさえも影としてある意味赤裸々に見せつけられちゃう。  でも「月の光」だとその影が色彩の陰影ほどにしか見えず、そしてあたかも滲むように消えていく・・・・。  その余韻こそがこの物語集の底に流れる「詩情」なんじゃないか・・・・・。  そんなことを感じました。 (全文はブログにて)

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2021/06/23

物語の絵描きになったつもりで、絵を描いてみた。 第一夜、第十七夜の情景が印象的。 眠れぬ夜に恋しくなるのは、この本の中の幻想的な夜。 雨音を聴きながら思い起こすのは、月の煌々と照る夜の情景。 月と共に過ごす夜。こんなにも美しい夜が存在するんだと、世界中のこどもたちに教えたい。

Posted byブクログ

2011/10/24

 読みづらかった。  何度も挫折してやっと読めた。  読み返すには気力がなかった。  つまりは今の気分じゃなかったってことだと思う。 追記  今久しく彼氏さんと会っておらず(ひと月くらい。けんかとかじゃなくお互いの都合が合っていないだけですが)情緒不安定というか、余計な...

 読みづらかった。  何度も挫折してやっと読めた。  読み返すには気力がなかった。  つまりは今の気分じゃなかったってことだと思う。 追記  今久しく彼氏さんと会っておらず(ひと月くらい。けんかとかじゃなくお互いの都合が合っていないだけですが)情緒不安定というか、余計な事たくさん考え出してしまっているので、文にして視覚化してみる。  アンデルセンさんは、生涯を独身で過ごしたのだそうだ。それは自ら望んだわけでなくそういう結果の人生だった、ということらしい。  「結婚願望がない。」とか「私は結婚できない人間だと思う。」と、お年頃なもんで、聞かれる人間にそう話している。私の話。  決まって人は、「そんなことないよ。」「絶対出来るって。」と答える。まぁそうとしか言いようがない私の返事なのだろう。  結婚願望が、ないわけじゃない。今の彼氏さんと一緒になれたら、多分私は何があっても幸せだと感じることができると思う。でもなんだろう、この幸せであると言うことは、それ自体なんだか居心地が悪い。  私は、人と一緒にいるための努力と言うものを、何一つしていない。そこに対する、後ろめたさなんじゃないかと思う。 「好きな人と、無理なく一緒にいられているってことじゃん。」 果たしてそうだろうか。違う人間が、一緒にいると言うことで生まれる摩擦との折り合い、ない方が不自然じゃなかろうか。多分私が感じていない分、向こうが感じているのかもしれない。100あるうちの私への不満を、100とも呑み込んでいるんじゃないかと思ってしまう。私は不満など言われたことがない。不満が全くないと言われたら、何も物を考えていない人間なのかとなり、最悪のパターンに繋がるわけだが、それは思いたくない。 (付き合い方が、私のわがままを全面的に受け入れる方向でなりたっているってのが大きいのかもな。逆を言えば全面的に私のわがままを受け入れることでしかなりたっていない、彼氏が我を出すことなど皆無に等しいと言うことだ。それが健全な人間関係なのかが良く分からない。)  わたしは、誰かとともにいるということが、誰かがそばにいてくれると言うことが、自分の傲慢だと思ってしまう。  自分のことしか考えられない人間が、私のことを少しでも思ってくれる人を占有するなんて、図々しいことだと思ってしまう。  そんなわたしのことを思ってくれるような奇特な人は、絶対に幸せにならなきゃいけないと思う。  でもその幸せのために、私は何も努力する気が、ないのだ。  その傲慢さ。自分自身が気持ち悪い。こんな人間は、一人でいた方がいい。誰もそばにいてくれない寂しさをかみしめていた方がいい。その方がまだ、自分がまともな気がして、生きることに耐えられる気がする。 (ふと思ったのだけど、私にとって居心地の悪い「幸せ」を、私以外の人にとっては追い求めるべきものだと考えているのは、おかしなことなんだろうかね。でも人が幸せだと感じている姿は、見ていてとても温かい。)  相手にとって、何が幸せかなんて、分かったもんじゃないからと、  わたしは思考停止して、今の彼氏さんとともにいる。考えないようにしながら、4年の月日がたつ。いや、一度考え出して別れていたことがあるが・・・。考え出せば、いとも簡単に崩壊するのだ。本当のことに目を向けようとすれば、月日の壁なんていともたやすく崩れ去る。  「本当のことに目を向けることが、必ずしも正しいことではない。」  世の中には、実に様々な思考停止の言い訳があふれている。  私も知らぬ間に、どんどんその言葉に毒されているのだろう。  いつしか長い時間をかけてその毒を体にしみこませて、わたしは人とともに歩く道を選択するのだろうか。  耽美な毒だ。  死へ向かうって、耽美な行為なのだと、ふと思う。  わたしは、いらない。  どうせいつか、老いた脳が思考を止める時が、くるのだ。生きているうちにくるかもしれない。  わたしは、考えていたい。見苦しくも、耐えていたい。  人には言えない、大好きな人にはもっと言えない。誰にも分かってもらえない、消えない私の悲しみ。

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2011/09/18

お月さまの語る,三十三夜物語。 空高く夜空に輝く月は見る。 ドイツにイタリア,フランス,ベネチア… 明るく照らすその月はヨーロッパが好きみたい。 ほかにもアフリカ,中国,インドって沢山のお話をしてくれる。 そんなはなしを聞いてると,自分も世界を照らす月になりたくなってしまう...

お月さまの語る,三十三夜物語。 空高く夜空に輝く月は見る。 ドイツにイタリア,フランス,ベネチア… 明るく照らすその月はヨーロッパが好きみたい。 ほかにもアフリカ,中国,インドって沢山のお話をしてくれる。 そんなはなしを聞いてると,自分も世界を照らす月になりたくなってしまう。 そしたら毎晩旅行に出掛けたい。 あまりに有名な作家・作品で,集英社や講談社など様々な出版社でだされているけれど,新潮社の女の子の描かれたカバーが可愛くて,イメージと合ったのでつい手にとってしまった。

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2011/09/14

読んでみて題名の意味が分かった。 なにか事が起こるとかではないけど、すごくゆったりしてて映像的だと思った。おもしろさを求めて読むんじゃなくて、リラックスするために読んだ方が合ってる。それこそ夜とかにぼんやりした光の中で。 他の人も言ってるけど、月は地球を回ってるから全てのものを見...

読んでみて題名の意味が分かった。 なにか事が起こるとかではないけど、すごくゆったりしてて映像的だと思った。おもしろさを求めて読むんじゃなくて、リラックスするために読んだ方が合ってる。それこそ夜とかにぼんやりした光の中で。 他の人も言ってるけど、月は地球を回ってるから全てのものを見ることができる、っていう発想が素敵。いろんな国が出てきてるから読みながら異国っぽさを妄想できる。

Posted byブクログ

2011/09/03

たいせつな本。モノクロの版画が、アンデルセンの紡ぎだすおとぎ話の案内係のようで、そう、お月さまのやさしい視線がアンデルセンの視線そのもので、ちょっともの悲しいけれど、やさしさいっぱい感じます。

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2011/08/28

200年以上前に生まれた人の作品。ヨーロッパと童話が好きな人は読むといいと思う。日本生まれ日本育ちにはいろんな参考資料が必要かも。僕はわからないことが多くて疲れちゃった。

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2011/08/17

慣れない街に住む孤独な男に月が語りかけるという設定の33篇。1篇1篇は短く、薄い本だけど、それぞれが静かでリアルなシーンを目の前に想像させてくれつつ、簡単には読み解けないストリーが展開される。それでいて深く余韻を残すシーンが連なっています。絵はないけど、たしかに絵本ですね。 大人...

慣れない街に住む孤独な男に月が語りかけるという設定の33篇。1篇1篇は短く、薄い本だけど、それぞれが静かでリアルなシーンを目の前に想像させてくれつつ、簡単には読み解けないストリーが展開される。それでいて深く余韻を残すシーンが連なっています。絵はないけど、たしかに絵本ですね。 大人の目から見た童話って、実は深い意味を持っているとはよくいわれることだけど、アンデルセンという人は童話という枠だけでは表現しきれない奥深さ、純粋さを持ち合わせた人だったのだろうな、と感じさせる1冊。たまにこういう本を読むといつもとは違った場所から元気が沸いてきます。

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2011/08/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

心温まる、というのがぴったり。一つ一つのお話がすごく短いんだけど、その中にすごく沢山のものが描かれている。きれいでユーモラス。心落ち着く。

Posted byブクログ

2011/09/24

とてもきれい ストーリーや意味や教訓がない話も多く、きれいなものだけが残っている あわれなプルチネッラ、少女が悪を見る瞬間、すてきな胸の苦しさを感じられる

Posted byブクログ