幸福について-人生論- の商品レビュー
30歳を過ぎた頃に読むと、その後の人生が変わるかもしれない本だと思う。それ以前に読んでおくのも良いと思うが、それが本書に記されていることを行動として起こせるのだろうかと思ってしまう。30にもなれば、人生についてある程度の見解が開けてくる。その中で本書に出会うことで、さらに人生に幅...
30歳を過ぎた頃に読むと、その後の人生が変わるかもしれない本だと思う。それ以前に読んでおくのも良いと思うが、それが本書に記されていることを行動として起こせるのだろうかと思ってしまう。30にもなれば、人生についてある程度の見解が開けてくる。その中で本書に出会うことで、さらに人生に幅を持たせ人間らしい人生を歩んでゆけるのではないかと思う。ただ著者に真似て言うならば、読んだからと言って変われるひとばかりではないと言うことだと思う。
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哲学書を読む楽しみは、個人的に二つあります。 ひとつは自分が何度か考えたことのある問題を、名のある哲学者たちも考えたことがあったのだと発見すること。 もうひとつは自分がこれまで一度も考えたことがない問題を指摘され、世界の見方が一変するときです。 本書は前者に当たります。 ...
哲学書を読む楽しみは、個人的に二つあります。 ひとつは自分が何度か考えたことのある問題を、名のある哲学者たちも考えたことがあったのだと発見すること。 もうひとつは自分がこれまで一度も考えたことがない問題を指摘され、世界の見方が一変するときです。 本書は前者に当たります。 幸福は「モノの所有」と「他者との関係」では規定できません。 欲しいモノを手に入れたとしても、手に入れた途端、また新たに欲しいモノが出てきます。いて欲しい人と望ましい関係を築いても、また別の人との関係を望むようになります。 しかも病気になってしまえば、欲しいモノや築きたい人間関係以前に、ただただ健康であることを望むようになります。 モノの所有にしても人との関係にしても、常に相対化されてしまい、際限がありません。幸福であることの絶対的な条件を考えるとき、人やモノなど、自分の外部の状態によっては幸福を規定することはできず、外部がどんなに理想的な状態でも幸福であるとはいえません。 ショーペンハウアーは、幸福を、享楽が大きいことではなく、苦痛がより少ない状態だと指摘します。苦痛を少なくするには、社交的であるよりも孤独である方がよく、才能に優れた人なら、孤独であっても退屈とは無縁で、自足することができると説いています。 才能無き身ながら、共感することが非常に多い本でした。また、本書がよく売れているのも、社交に違和感を感じ、孤独を好む人が増えているからでしょうか。
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哲学書は滅多に読まないし苦手な分野だけど、今までの中では読み易い本でした。時間をかけてじっくり読み込めば、もっと深く読み取れるような気がします。けど、やっぱり哲学は苦手なようです。 じっくり読書出来る環境で、哲学初級?という人に薦めます。
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話題になっていたので手に取った。ちょっとがっかりだったかも。まず翻訳が直訳調で非常に読みにくい。書かれている社会・時代が古いヨーロッパで全く共感できない。平凡な人間の私には、全体を流れる厭世的口調になじめない。読んでいると不幸になりそう。
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哲学はすでに完了した学問だ。人間の悩みや行動パターンは数百年前にもうすでに解明されているのだということが分かる。悩むのはあとだ!本を読め!
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休日の読書として、古典をとりあげた。 ショーペンハウエル『幸福について』。まあ、人並みに幸福だとは思うが、小人物などで、つならないことに気をやむ傾向にあり。 この本を読んで気に入った言葉。 (1)青年期の立場からみると、人生は無限に長い未来である。老年期の立場からは、...
休日の読書として、古典をとりあげた。 ショーペンハウエル『幸福について』。まあ、人並みに幸福だとは思うが、小人物などで、つならないことに気をやむ傾向にあり。 この本を読んで気に入った言葉。 (1)青年期の立場からみると、人生は無限に長い未来である。老年期の立場からは、極めて短かった過去である。(p334) (2)不合理なことが民衆の間に、あるいは社会において語られ、著書に書かれて堂々ととりあげられ、すくなくとも論難の対象とはなっていないことがあるが、およそそういう不合理に接した場合、絶望的になって結局いつまでもこのままなのだろうと考えるのはよくない。そうではなく、問題はあとになってぼつぼつ再検討をうけ、正体を明らかにされ、熟考を加えられ、論究の的となり、大抵の場合結局正しい判断がくだされるのだから、問題のむつかしさに匹敵するだけの期間がたてば、かつて一人の明敏な頭脳が直ちに看破したところをついにはほとんどすべての人が理解するようになるのだということを知って、それで心を慰めるがよい。(p272) (3)「幸福に生きる」ということは、「あまり不幸でなく」すなわち我慢のなる程度に生きるという意味に解すべきものであることから、幸福論の教えが始まるのでなければならない。もとより、人生は本来、楽しむべきものではなく、克服し始末をつけるべきものなのである。(p184) いずれも奥が深い。なまじっかのやすっぽい幸福論とは違い、厳しいが、人生、その厳しさを克服し続けることが幸福だということで納得した。
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“幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。がそうは悟れない。”そんな哀れな人間を諭すように、本書は冷静な眼差しで人生とは、幸福とは何なのか。語りかけてくる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。だがそうは悟れるものでない。 この悟れない人間を悟れないままに、幸福の夢を追わせつつ、救済しようというのである。 人生はこの意味で、そのまま喜劇である。戯画である。ユーモアである。 したがってこれを導く人生論も諷刺的、ユーモア的にならざるをえない。 本書は厭世哲学者といわれる著者が、豊富な引用文と平明な表現で人生の意義を説き幸福を教える名随筆『処世術箴言』の全訳である。 ショーペンハウエルと言うドイツの哲学者が書いた人生論。 訳も良かったのだと思うけれど、面白い。 1788-1860の生涯であったショーペンハウエルの書いてある内容が、 今の現代でも大いに為になる内容が書かれている。 時代が変わっても人間の本質や世界は変わっていないのかもしれない。 騎士道の話についても、今の時代と全く関係のない内容なわけでは無い。 幸福には二つの敵があり、その二つは苦痛と退屈だと言う。 富裕層は退屈により幸福を阻まれ、 貧民は苦痛により幸福を阻まれる。 うんうんと頷ける内容が沢山ありました。 人間の三つの根本規定と訓話と金言は読んで損は無いと思います。 今後も再読をしたいと思う。
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人間の幸福について考えるとき、「安寧で平穏」、いわゆるアタラクシアに重点をおき、「生きてないよりはマシ」に落ち着くのがよろしいというのが基本的な発想。1章から4章は幸福の要素を、(1)人がら (2)所有物 (3)人からの評価に三分し、(2)、(3)は自分の圏内にないものであるから...
人間の幸福について考えるとき、「安寧で平穏」、いわゆるアタラクシアに重点をおき、「生きてないよりはマシ」に落ち着くのがよろしいというのが基本的な発想。1章から4章は幸福の要素を、(1)人がら (2)所有物 (3)人からの評価に三分し、(2)、(3)は自分の圏内にないものであるから(1)こそ省察に値すべきと説く。5章ではそれまでの理論をベースにした箴言集。6章は経年の変化についてで、やはり5章までが面白い。4章の中盤の「騎士の名誉」は現代にどう妥当するのか評価しづらく、停滞した。 ここまで書けばわかる通り、これはいわゆる処世術の本。私はショーペンハウアーに対しては遁世の偏屈爺のイメージを勝手に抱いていたのだけど、そのイメージからは想像もつかない現実的な視座に基づき、プラグマティックに中庸をすすめる文章で書かれているので読みやすかった。この内容を500倍に希釈すればそのへんで売れてるなんちゃって社会論とか自己啓発本になるのだと思う。 脳の生理的機能に触れ、固有で不変な人間の性質(いわゆる性格的なもの)を無視せず、とりわけ超自然的要素すなわち運を人生の最たる要素と指摘するあたり、後続する(と解説に書いてあった)マンやニーチェの「超人」思想よりも地に足が付いている感じがある。「意思と表象としての世界」と「ラ・ロシュフーコー箴言集」は読みたくなったわ・・・。あとゲーテも。
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やはりショーペンハウエルは面白い.本書はでもちょっと危うかった.全6章のうち3章4章6章はものすごく面白くない.だるい.こいつのせいでだいぶだれる.1章2章5章だけまとめて終わって欲しいくらいだ. 要約すると,人間の幸福はおおよそ3つに分けられる.それらは1)人のあり方:人格,品...
やはりショーペンハウエルは面白い.本書はでもちょっと危うかった.全6章のうち3章4章6章はものすごく面白くない.だるい.こいつのせいでだいぶだれる.1章2章5章だけまとめて終わって欲しいくらいだ. 要約すると,人間の幸福はおおよそ3つに分けられる.それらは1)人のあり方:人格,品性など2)人の有するもの:物理的意味での所有物3)人に抱かれる印象:地位,名誉,名声 である.そして人間の幸福のほとんどが1の要素で決まるのだ.おおらかに生まれた人はそれだけで幸せということになる.以上の要約で4章までは説明できる.5章では金言や訓話を元に,実際的な処世術の説明がある.これが面白い.この部分は一読の価値ありである.要するに,5章なのだ.5章がなければ★2つ.
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