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罪と罰(上) の商品レビュー

4

306件のお客様レビュー

  1. 5つ

    93

  2. 4つ

    95

  3. 3つ

    71

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    1

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2019/06/10

貧困な環境こそ悪の蔓延る温床となり得ることを根底に置きつつ、そんな中で犯罪に手を染める主人公を描く。人生の方向性を見失い捨てばちになった主人公ラスコーニコフは殺人を犯し、更に混沌の中に身を投じるが、文無しのマルメラードフの死に際に全財産を投じ献身的に家族を救うことで一転、生への執...

貧困な環境こそ悪の蔓延る温床となり得ることを根底に置きつつ、そんな中で犯罪に手を染める主人公を描く。人生の方向性を見失い捨てばちになった主人公ラスコーニコフは殺人を犯し、更に混沌の中に身を投じるが、文無しのマルメラードフの死に際に全財産を投じ献身的に家族を救うことで一転、生への執着を覚えることになる。 そもそも殺人の動機についても他の人々を救済することが目的であり、歪んだ使命感からくるものであることが終盤のポルフィリーのと論争でより明確になっていく。その闘争から主人公のインテリと潜む狂気が顕になる。 主人公の殺人とその後の奇行にはらはらしながらも読み進めつつ、登場人物たちのちょっとした心の襞を繊細に描く筆力に感心する。また、気持ちの入った激した会話、相手を罵る表現などにも面白さがある。相手を罵る言葉など、 同一人物でも何通りかの呼び名があるので混乱して読書の妨げになるので、多少のネタバレは覚悟しつつネットに公開されている人物相関図を手元に置き、参照しながら読み進めることをオススメしたい。相関図さえあればそんなに難しい内容ではない。物語の時代背景の知識があれば更に楽しめそう。

Posted byブクログ

2019/01/16

名著と呼ばれているため読んでみたが難しかった。それは登場人物の名前や関係性といったものがごちゃごちゃしていたからだと思う。 後半からは割と話が進んできて面白くなってきた。下巻が楽しみ。

Posted byブクログ

2018/11/13

上巻の登録者6000人に対して下巻の登録者4000人。ここまで読んで辞めた人もいそうだけど、ここで辞めたら永遠に晴れない気がするんだけど

Posted byブクログ

2018/11/03

ただひたすら長い。何度か挫けそうになったが何とか上巻を読む。日本人にとっては登場人物の名前が長すぎるのと一人に対してあだ名が複数あって特に断りもなく出てくるので、わかりづらいったらありゃしない。 殺人者や周囲の人間の心理描写は、刑事コロンボや古畑任三郎のように初めから犯人がわかっ...

ただひたすら長い。何度か挫けそうになったが何とか上巻を読む。日本人にとっては登場人物の名前が長すぎるのと一人に対してあだ名が複数あって特に断りもなく出てくるので、わかりづらいったらありゃしない。 殺人者や周囲の人間の心理描写は、刑事コロンボや古畑任三郎のように初めから犯人がわかっているミステリーもののような感じでぐいぐい引き付けられるのは確か。ただこの本を読む間に他の本を何冊も読めるので下巻は時間を置いてから読むことにする。

Posted byブクログ

2020/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今読んでも衝撃的な内容で、善悪の新しい見方を提示してくれる。まさに金字塔ですね。 そして、登場人物が全員どこか欠けていて、愛おしかった。 どんなダメ人間にも美点や愛せるところがあって、これもまた人間賛歌だなと思った。 犯罪や善悪についてかなり深遠な議論してて、さすが名作文学。 哲学的でキレキレの名台詞たちに痺れます。 最後に救いがあるのも良いなあ。 許すことの尊さについて考えさせられた。 ラスコーリニコフの選民意識的な思想は、デスノートのキラに似てるとも思う。 それにしてもロシアの名前って覚えづらい上に、呼び名が複数あるため、だいぶ混乱した笑 ドストエフスキー自身が投獄された経験があるためか、心に迫る切実さがあった。 当時のロシアについても、もっと知りたいと思いました。

Posted byブクログ

2018/04/04

今月の初め、古稀を目の前にしてドストエフスキーの傑作《 罪と罰 》を完読した。わたしにこのような意欲と集中力をいまだに授けていて下さる神に感謝したい。 多くの人が知りながら、なかなか手のつけられない大部の小説で、文庫本にして1200頁程ある。《 罪と罰 》というとなにやら難解で哲...

今月の初め、古稀を目の前にしてドストエフスキーの傑作《 罪と罰 》を完読した。わたしにこのような意欲と集中力をいまだに授けていて下さる神に感謝したい。 多くの人が知りながら、なかなか手のつけられない大部の小説で、文庫本にして1200頁程ある。《 罪と罰 》というとなにやら難解で哲学的な内容のとっつきにくい小説と思われているが、読み始めてみるとさにあらず何と流麗で読みやすいことかと驚かされる。今読んでもちっとも古くないし現代小説を読んでいるのと同じという感想を持たせる。 物語の舞台は19世紀中ごろの古都サンクトペテルブルク。その夏の二週間程の間の出来事である。元大学生ラスコーリニコフは薄汚く天井の低い狭い屋根裏部屋に下宿していた。彼は頭脳明晰ではあるが鬱屈したニヒルな性格の持ち主である。貧窮していて質入れのため弊衣破帽のまま外出する。都とはいっても当時は悪臭漂う家々が連なりいかがわしい店もあった。彼がふと入った酒場で質入れして入手したなけなしの金で飲んでいると元官吏の男と出くわした。彼から後妻と三人の子供、それに家計を助けるため娼婦となっているソーニャの話を聞かされる。ここがその後の物語の展開にかかわる重要な場面となる。ラスコーリニコフはかねてから強欲で虫けら同然とみなす質屋の老婆を殺害することを企てていた。ちょうどいい計らい時が訪れたと断じ、彼は老婆とそして予期に反して居合せたその義妹を殺害してしまう。首尾よく逃げおうせたものの、それからは罪の意識といつか司直の手に落ちるのではないかと戦々恐々とする。いわば生き地獄の様な心理状態である。 わたしは長々とストーリーを追うつもりはない。核心となる重要なポイントが掴めれば幸いであると思っている。 ある夜更け、街角でくだんの元官吏、ソーニャの父が事故で死にそうになる場面に彼は偶然居合わせる。家に運ばれるが助からない。ラスコーリニコフは母が送金してくれた金を葬儀代にとすべて未亡人に与えてしまう。そういう優しい面も彼は持ち合わせているのだ。 同じ頃、彼の母と妹が上京して投宿していた。ラスコーリニコフは殺人事件以来、精神病やみの様になっていた。それを彼の友人たちが懸命に支えた。それと妹と婚約していた卑劣な俗物弁護士の横柄さに婚約は解消された。 またラスコーリニコフを老婆殺しと嫌疑をかける予審判事の三度にわたる追及は鬼気迫るものがある。その根拠としているのが彼が以前ものした論文でそれに予審判事はこだわる。ここがこの小説の核心部分となるのかもしれない。その論文の論旨は『一つの悪事は百の善行によって償われる』、つまり正義のためには凡人は殺しても構わないとした彼のある意味独創的ではあるが選民思想的な傲慢極まる論理に依拠する。 これら何れの場面もいつ果てることもなく延々と叙述されるのである。これもこの小説の特徴の一つである。 ここで一つ不満を述べさせてもらいたい。ソーニャがラスコーリニコフに所望されて聖書を読んで聞かせるところは感動的であるが、いわば彼にとって聖母マリアにも相当する彼女の描写がそれほど多くないことである。ラスコーリニコフが初めて罪を告白したのはソーニャへであり、彼に自首を促すなど重要な役目を果たしたのも彼女である。 エピローグでシベリアに流刑されたラスコーリニコフについて行き身の回りの世話をするのは彼女である。互いに手を取り合って残る刑期を指折り数えて待つ彼らの姿は美しい

Posted byブクログ

2018/03/02

再読です。 二度目のこの本あっという間でした。 マルメラードフの話が好き。 ((飲んだくれでも無視されないのが嬉しいんだよ)) この発想は面白いと思いました。 たぶん共感する方、割といるかと思います。 この作品は、ラスコーリニコフの老婆殺しの罪と、その苦悩の罰に焦点を当てている...

再読です。 二度目のこの本あっという間でした。 マルメラードフの話が好き。 ((飲んだくれでも無視されないのが嬉しいんだよ)) この発想は面白いと思いました。 たぶん共感する方、割といるかと思います。 この作品は、ラスコーリニコフの老婆殺しの罪と、その苦悩の罰に焦点を当てているが、実はそれだけではなく、登場人物全ての罪と罰が細かく描写されていて、なかでも予審判事ポルフィーリイとの対決はかなりの読みどころだと思います。ルージンのゴミッカスな罪も、ある意味読みどころかと思います。 ドストエフスキーは二度目が良いと聞き齧っていましたが、とても良かったです。

Posted byブクログ

2018/02/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『選ばれた者は大義のために人を殺しても構わない』 そんな考えに取りつかれたラスコリ―ニコフ。 綿密な計画は想像ほどはうまくいかない。 自分に容疑がかかることへの恐れ、罪悪感、予想もしていなかった事態に憔悴していく。 一人の男の熱病と破滅に周囲の多くの人が振り回される。 そんな中でも、不幸な境遇で娼婦に身を落とした可憐な娘ソーニャとの出会いが印象的。 憐れまれ、崇拝され、愛されながらも、彼女が地獄の穴の底に落ちることを誰もが望んでいる、という「同情」の残酷さというものも描かれていたように思う。

Posted byブクログ

2018/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 主人公のラスコーリニコフは、自身の生活や経験から、頭脳と精神の強固な者だけが、人々の上に立つ支配者となり、多くのことを実行する勇気のある者が誰よりも正しいと悟った。そして、歴史が示しているように、人類の進歩のために新しい秩序を作るために現行秩序を踏みにじる権利は、物事を勇敢に実行する(善の大きな目的のためには、ちっぽけな悪には見向きもしないで踏み込む)者のみに与えられるという信念の下で、自分にその資格があるか試すために敢然と金貸しの老婆を殺害する計画を実行した。 最後まで逃げ続けよう、自分のことを疑っている奴らには決して屈服しないと考えていたラスコーリニコフであったが、その計画を実行する前後には、ラスコーリニコフは、犯行に対する不安や危惧、また、家族をはじめとする周辺で起こる出来事やそれに対する懸念などが相まって、何日も頭を痛めることになった。これは、ラスコーリニコフは、ナポレオンにはなれなかった、すなわち、権力を有するに相応の天才ではなく、ただの愚かな卑怯者に過ぎなかったことを示すものであり、彼もそのことを悟るに至る。また、知り合った退職官吏の娘であるソーニャの決して嘘をつかない真っすぐな生き方、自他を問わず不幸を受け入れようとする生き方に心を打たれ、最終的には自らが犯した犯罪のすべてを自白する。  本編は全7部からなっており、1000ページを超える長編となっていること、登場人物が多く、時には名前が略されて述べられることなどから、読み切るには相当の根気が必要である。ただ、読み継がれている世界的巨匠の作品というだけあって、秀逸かつ独特な点がいくつもあった。例えば(これは、『罪と罰』に限らず、ドストエフスキーの作品に共通するのかもしれないが)、登場人物たちがかなり雄弁であり、現場の緊張感や当時の風俗のリアルがひしひしと伝わってくる。また、多くの小説では排除されている主人公以外の者たちの事件には直接関係のない会話や心境等が細かく記述されていることで、特異な状況(殺人犯、偏執狂)にある主人公とそれ以外の人物のそれぞれの時の流れや緊張感をリアルに感じられたと同時に、犯人の犯行前後の行動には様々な出来事や出会いが複雑に絡み合っているということを実感させられた(この作品を読んだ後では、通常の小説は、事件以外の時間をあまりにはしょりすぎて、現実からやや乖離しているといえるのかもしれない)。  まとめると、本編は、罪を犯してしまったラスコーリニコフの罰ともいえる苦悩と戦いの物語である。ドストエフスキーは、理性による改革は失敗するということ、愛は人間の意思決定に介入し、行動を変えさせる力を有するということを示したものと考えられる。

Posted byブクログ

2017/10/31

「青春時代に読んで、胸にじいんとした」という教授の言葉を聞いてからずっと早く読まなきゃと気にかかっていた本。 思っていた以上の読みやすさ。おもしろさ! 文章は会話文が続くからといって必ずしも陳腐になるわけではないのだと知る。おもしろさの中に思想や思考の深さが滲み出ている。 ラズミ...

「青春時代に読んで、胸にじいんとした」という教授の言葉を聞いてからずっと早く読まなきゃと気にかかっていた本。 思っていた以上の読みやすさ。おもしろさ! 文章は会話文が続くからといって必ずしも陳腐になるわけではないのだと知る。おもしろさの中に思想や思考の深さが滲み出ている。 ラズミーヒンがたいへんかわいい。

Posted byブクログ