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悪霊(上) の商品レビュー

3.9

53件のお客様レビュー

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2010/08/03

 この作品は一度では理解できないのではないか。スタヴローギンについては再読で考えたい。ステパン氏が当時の知識階級の投影であろう。非合法組織の内ゲバ、密告は運命だ。最後は宗教的慈愛に取り込まれるように描かれているが、これは検閲へのオブラートであろう。作者のシンパシーは穏健改革・無血...

 この作品は一度では理解できないのではないか。スタヴローギンについては再読で考えたい。ステパン氏が当時の知識階級の投影であろう。非合法組織の内ゲバ、密告は運命だ。最後は宗教的慈愛に取り込まれるように描かれているが、これは検閲へのオブラートであろう。作者のシンパシーは穏健改革・無血革命にある。

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2010/05/23

ロシア旅行の前に読みました。 罪の意識がなく、平気で人を殺しては精神障害者の振りをして無罪となり、 女性と関係をもっては公然と彼女を侮辱し、親友の妻を孕ませ、 好き勝手やっていた男性に悪霊が取り憑いて、彼は自殺に追いやられた。 福音書の中にイエズスが人々から悪霊を取って...

ロシア旅行の前に読みました。 罪の意識がなく、平気で人を殺しては精神障害者の振りをして無罪となり、 女性と関係をもっては公然と彼女を侮辱し、親友の妻を孕ませ、 好き勝手やっていた男性に悪霊が取り憑いて、彼は自殺に追いやられた。 福音書の中にイエズスが人々から悪霊を取ってやると、 悪霊は豚の中に入り、豚が集団自殺する話があり、それにかけてるらしい。 ドストエフスキーは、人を自殺に追い込む悪霊は「良心の呵責」だという。 イエズスは「あなたの罪は許された」と大勢に告げた。 良心の呵責や罪の意識が悪霊で、それがない状態がいいのだろうか。 ユダが自殺したのも良心の呵責による。 良心の呵責こそが悪霊の正体? 自分で自分を処刑するのだろうか。 悪霊が良心の呵責で、良心の声が聞こえないでなんでもありの状態が 人間社会でうまく生きられる人だなんて、なんという目の付け所なんだろう。 ユダの自殺が悪霊によるものなんて、この本によって初めて考えた。 ドストエフスキーは天才だ。

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2010/05/15

1861年の農奴解放令によって一切の旧価値が崩壊し、動揺と混乱を深める過渡期ロシア。青年たちは、無政府主義や無神論に走り、秘密結社を組織してロシア社会の転覆を企てる。本書は、無神論的革命思想を悪霊に見立て、それに憑かれた人々とその破滅を、実在の事件をもとに描いたものである。 登...

1861年の農奴解放令によって一切の旧価値が崩壊し、動揺と混乱を深める過渡期ロシア。青年たちは、無政府主義や無神論に走り、秘密結社を組織してロシア社会の転覆を企てる。本書は、無神論的革命思想を悪霊に見立て、それに憑かれた人々とその破滅を、実在の事件をもとに描いたものである。 登場人物が多いのと、一人の登場人物に対して呼び名がいくつもあることが災いして、誰が誰なのかよくわからなかった。 物語自体も内容が込み入っていて、一度読んだだけでは理解できない部分が多く、非常に難しいと感じた。

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2013/10/13

(2004.08.23読了)(1997.09.19購入) 高校生の頃、米川正夫訳で、「罪と罰」を読みました。何がなにやらよくわかりませんでした。2000年に、工藤精一郎訳で「罪と罰」を読み直しました。今度は面白くてどんどん読めました。訳者との相性で、読みやすさが違うのではないかと...

(2004.08.23読了)(1997.09.19購入) 高校生の頃、米川正夫訳で、「罪と罰」を読みました。何がなにやらよくわかりませんでした。2000年に、工藤精一郎訳で「罪と罰」を読み直しました。今度は面白くてどんどん読めました。訳者との相性で、読みやすさが違うのではないかと思います。 今度の、「悪霊」は江川卓訳です。残念ながら読みにくかった。訳に関係なしに翻訳物のわかりにくさの原因の一つは、苗字、名前がなじみがなくさらに愛称が使われると、慣れるまで誰のことかがわからないというのもあります。 物語に主に出てくる人物は、ステパン・トロフィーモヴィチ・ヴェルホーヴェンスキー氏とワルワーラ・ペトローヴナ・スタブローギナという陸軍中将夫人。 ステパン氏は、外国帰りの大学講師。詩人、学者、市民活動家。ワルワーラ夫人は資産家。 二人の交流は、22年続いている。夫人は、乳母のようにステパン氏の世話をやいてきた。その代償として、時には奴隷的服従を彼に要求した。 新しい時代の動きを感じ取ったワルワーラ夫人は、時代がどう動こうとしているのかを知るために、新聞雑誌、国外で出される禁制出版物や、檄文にいたるまで、全部自分で読んでみようとした。だがわけがわからないので、ステパン氏に説明を求めたが、彼の説明は夫人を少しも満足させなかった。 そこで夫人は、ペテルブルクに出て、万事実地に確かめ、直接に当たってみた上で、もしできるなら、新しい活動にすべてを賭けてみようといい、自分の手で新しい雑誌を創刊して、それに余生のすべてを捧げるとまで言い出した。 夫人は、新思想に身を投じるために、自宅で夜の集まりを催し始め、文学者仲間に声をかけると、大勢押しかけてくるようになった。批評家、小説家、劇作家、諷刺作家、暴露記者と揃っていた。ステパン氏は、新思想の指導者たちに渡りをつけて、ワルワーラ夫人のサロンに招待したりした。サロンでの話題は、検閲や硬音符の廃止、ロシア文字のローマ字化、追放事件、勧工場のスキャンダル、自由な連邦的結合のもとでのロシアの民族別分立策の利点、陸海軍の廃止、ドニエプル沿岸のポーランドの失地回復、農民改革や檄文の流布、相続、家族制度、親子関係、聖職者の廃絶、婦権問題、等等であった。 ロシア帝政末期の貴族社会の様子が描かれているのだろう。ロシアの歴史を勉強してみるか。 著者 ドストエフスキー 1821年10月30日 モスクワ生まれ、次男 1837年2月 母(マリヤ・フョードロヴナ)死去 1839年6月 父(ミハイル・アンドレーヴィチ)農奴に惨殺される 1843年8月 工兵士官学校卒業 1846年1月 「貧しき人びと」発表 1849年4月23日 逮捕、11月死刑判決(ペトラシェフスキー会) 1865年 「地下室の手記」発表 1866年 「賭博者」「罪と罰」発表 1868年 「白痴」発表 1871年 「悪霊」発表 1881年1月28日 死去、59歳

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2009/10/26

友人の影響で、ちょっとドストエフスキーを読んでみたくなり、図書館で借りてきて読んでみたのですが・・・・。 うーむ、なんか辛い。 気になっていた文体的にも読みにくい訳ではないのに、何故か全然ストーリーが頭の中に入ってこない!全然読み進められない!!! 2週間の貸出期間の半分過ぎて...

友人の影響で、ちょっとドストエフスキーを読んでみたくなり、図書館で借りてきて読んでみたのですが・・・・。 うーむ、なんか辛い。 気になっていた文体的にも読みにくい訳ではないのに、何故か全然ストーリーが頭の中に入ってこない!全然読み進められない!!! 2週間の貸出期間の半分過ぎても上巻の2/3しか読めないため、とりあえず今回の読破は断念しました・・・。 ドストエフスキーは難しいです・・・・

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2010/05/30

2009 9/22 第一編を読み終えた。第一編の範囲での感想を書いてみよう。 長編小説と言うと、面白くなるのが遅いと言う印象がある(現在の小説は別だが)。この小説もその例に漏れず、第一編ではストーリーに直接関係ないステパン氏やワルワーラ夫人の逸話が多く語られるため、この上巻を評価...

2009 9/22 第一編を読み終えた。第一編の範囲での感想を書いてみよう。 長編小説と言うと、面白くなるのが遅いと言う印象がある(現在の小説は別だが)。この小説もその例に漏れず、第一編ではストーリーに直接関係ないステパン氏やワルワーラ夫人の逸話が多く語られるため、この上巻を評価する際、面白さを考慮に入れると、星五つを献上するのが難しい。しかし、あくまでまだ面白い部分に差し掛かっていないと言うだけのことであり、第一編だけでも例えばキリーロフの人生論など、深い部分は沢山ある。そういう部分を味わいつつ読んでいけば、十分楽しめる内容と言えそうだ。 しかしながら、スタヴローギンが現れるととたんに面白くなる。まだ第一編の範囲では、彼の『悪魔的超人』と呼ばれる所以の魅力は現れていないようなので、第二編、第三編への期待はいやがおうにも高まってくる。この先彼がどのような言動と思想を披露してくれるのか楽しみだ。 よく『悪霊』は面白くて深い本だ、と言われる。調べてみると分かるが、前半は僕が感じたとおり、面白さで言うとやや劣るが、後半に入ってストーリーが怒涛の流れを見せ始めると、恐ろしいくらいに面白くなるらしい。しかし、どのように面白くなるのかについてはネタバレになるせいか殆ど書かれていない。なので、後半でいかにして面白くなるかが楽しみだ。その面白さの鍵は第一編で殆ど出てこなかったスタヴローギンが握っていることはまず確実だろう。 2009/10/2 追記 多くの人が理解するように、著名な古典長編小説は面白くなるのが遅い。上巻を読んで、それはこの小説にも当てはまると確信した。 もちろん、深さや広さと言った要素は初めからあるのだろう。箴言のような言葉はのっけからそこらじゅうに漂っている。そもそも古典小説に面白さを求めることが間違っているのかもしれない。しかし僕はそうやって、これまで数多くの古典長編小説を面白く読んだ。 この小説は、上巻に関して言えば、ドストエフスキーを読んだ事がないという人には薦められない。内容が難解と言うより、単純な面白さと言う面で、初心者の人には厳しいところが大きいと思うからだ。挫折してしまっては勿体無い。そんなわけで僕はドストエフスキー入門には素直に『罪と罰』を薦める。 こう書くと面白くない小説と取られるかもしれないが、それも間違っている。ステパン氏の滑稽な言動など、笑いポイントは随所に用意されているし(ただしこれはある程度ドストエフスキーに慣れている人にしか理解が難しいと思われる)、上巻終盤のセミョーン聖者の逸話は、思わずぷっと噴出してしまうようなドストエフスキー一流の楽しさがあった。これがあるからドストエフスキーを読むのをやめられない、と言うところだ。 また、これは蛇足かもしれないが、ドストエフスキーは病んだ人間の描写が上手い。そう言うと、「いや、彼の小説はみなどこか病んでるよ」と言う意見が帰ってくるかもしれないし、それには賛成なのであるが、僕が言うのは狭義のいわゆる『統合失調症等精神疾患に罹患している』人の描写も不気味なくらい上手いということだ。上巻ではその病んだ女性マリヤが4ページほど延々と、前後のつながりが断絶されている意味不明の話をするシーンがあるのだが、その意味不明具合までがまさに『病んだ人』そのものだった。 下巻には怒涛の展開が用意されており、読んだ人の総評から『恐ろしく面白い』とでも表現できそうな面白さがあると言うことなので、これからの展開が非常に楽しみである。

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2009/10/04

農奴解放令によってこれまでの価値観が崩れ、混乱を深める過渡期のロシア。改革という名のもとただ破壊に走る若者達の破滅的な行動を、作者は「悪霊につかれた者たち」として表現しました。それは人間誰もが潜在的に持っている「悪」の表出にすぎないのかもしれません。数あるドストエフスキーの作品中...

農奴解放令によってこれまでの価値観が崩れ、混乱を深める過渡期のロシア。改革という名のもとただ破壊に走る若者達の破滅的な行動を、作者は「悪霊につかれた者たち」として表現しました。それは人間誰もが潜在的に持っている「悪」の表出にすぎないのかもしれません。数あるドストエフスキーの作品中でも「救い」の見られない、残酷で悲しい作品です。

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2009/10/07

 無神論的革命思想を携えて集まった秘密組織の人たちが上流階級の秩序を破壊する様を、悪霊のらんちき騒ぎに見立てて描いた小説。【参考】人物相関図を印刷して持ち歩かないと確実に登場人物がこんがらがるので次を参照。→http://f.hatena.ne.jp/ariyoshi/20080...

 無神論的革命思想を携えて集まった秘密組織の人たちが上流階級の秩序を破壊する様を、悪霊のらんちき騒ぎに見立てて描いた小説。【参考】人物相関図を印刷して持ち歩かないと確実に登場人物がこんがらがるので次を参照。→http://f.hatena.ne.jp/ariyoshi/20080208201513 。2008.8.1-4.

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2009/10/04

なんかすごいということがわかる。 カラアニもだけど、、、文章の密度というか、おいしさというかコクというのか。 ドストエフスキーが特別なのか、それともこういう雰囲気の小説はほかにもあるのだろうか?

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2009/10/04

今読んでる。 ドストエフスキーの良き個性、特徴であって悪い所でもあるんだけど、同じ所を何回も読み返さないと何を言ってんだか分からない(笑) なんか思想家(?)としてのドストエフスキー全開な本だと思う。

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