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悪霊(上) の商品レビュー

3.9

53件のお客様レビュー

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2014/03/03

司馬遼太郎が、ある講演で、日本の小説は前置きが短いが、海外の小説は本題までがやたら長く苦痛なのがあると言ってたが、この小説はその最たるものかもしれない。14.3.3

Posted byブクログ

2014/02/24

「地下室の手記」→「罪と罰」→【悪霊】→「カラマーゾフ」の順で読んでいくと、長さ的にもムリなく、ドストエフスキーの根暗な魅力にハマれると思います(^ω^)

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2014/05/19

※このレビューでは上巻のみならず下巻もまとめて扱っています。 【内容】 変革期のロシア。 社会の土台である制度が転換する際、人々の心の安定は失われる。 とある地方の街に、センチメンタルでなよなよした思考の、中年の学者がいた。彼は、富裕な地主である未亡人によって家庭教師として雇わ...

※このレビューでは上巻のみならず下巻もまとめて扱っています。 【内容】 変革期のロシア。 社会の土台である制度が転換する際、人々の心の安定は失われる。 とある地方の街に、センチメンタルでなよなよした思考の、中年の学者がいた。彼は、富裕な地主である未亡人によって家庭教師として雇われていた。彼の息子と彼女の息子はただならぬ才覚を持っていたが、その用いられ方が問題を起こす。 この4人を軸として大勢を巻き込み進む物語は、悪霊に憑かれた豚の群れのように。 【類別】 小説。群像劇。 革命思想を題材としているので、人によっては受け付けないものかもしれません。 いわゆる"純文学"的な特徴はありません。 【書き表し方】 文体や言い回しの古さはありますが、問題になるほどではないと感じます。 一点、注意されるべきは、原文の会話文中でフランス語だったものが全てカタカナ表記されていることです。翻訳で意図的に行われたものであり、ニュアンスを効果的に示す表現だとは思いますが、同時に、非常に読みづらいものです。箇所が大量にあるわけではないので、全体における妨げとしては微小なものです。 冗長さはあります。 【備考】 このレビューは以下の版の鑑賞に基づくものです。 ・上巻…48刷(39刷改版) ・下巻…42刷(35刷改版) 私感として、銃による自殺を行おうとしている者と対峙している場面に最も鮮烈な印象を受けました。狂気。

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2015/09/06

帝政ロシア末期、地下組織が脱退者を殺害したという「ネチャーエフ事件」をモチーフに書かれた。革命勢力を揶揄しているとして、ソ連時代は弾圧された問題の小説。子離れしない親を持つ各々の息子スタヴローギンとピョートル。二組の親子を中心とした人間関係を成す多彩な登場人物たち。やはりキリーロ...

帝政ロシア末期、地下組織が脱退者を殺害したという「ネチャーエフ事件」をモチーフに書かれた。革命勢力を揶揄しているとして、ソ連時代は弾圧された問題の小説。子離れしない親を持つ各々の息子スタヴローギンとピョートル。二組の親子を中心とした人間関係を成す多彩な登場人物たち。やはりキリーロフが好きである。語り手の一人称は誰だろう?と思っていたら、いつのまにか「G」という名前で呼ばれる人物として物語の中に入り込んでくる。個人的には「スタヴローギンの告白」はあまり好きでない。10年位前に改版されて文字が大きくなった。

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2013/01/24

この世で起こりうる全ての犯罪という犯罪を試み、その犯罪の外見よりずっと深く卑劣を極めているニコライ・スタヴローギン。 多くの読者は、この信仰を無くし放蕩を尽くした最低野郎の最低っぷりに怒りを感じながらも同情を禁じえない。 彼は自分のした悪行の中でも最も醜悪な事件を文章にし、ビラと...

この世で起こりうる全ての犯罪という犯罪を試み、その犯罪の外見よりずっと深く卑劣を極めているニコライ・スタヴローギン。 多くの読者は、この信仰を無くし放蕩を尽くした最低野郎の最低っぷりに怒りを感じながらも同情を禁じえない。 彼は自分のした悪行の中でも最も醜悪な事件を文章にし、ビラとして刷ったものを牧師のもとへ持って行く。 その内容は卑劣極まるもので、小説の中心的な役割を果たす箇所でありながら出版元が掲載に許可を出さず、ドストエフスキーの存命中には復活が叶わなかった程。 スタヴローギンはこの「告白」を牧師にすることによって、最後の懺悔を試みたのかもしれない。しかし、それも失敗に終わる。 彼と世界のあいだには深淵が口を開けており、それを埋めることはできないのである。 スタヴローギンには愛がない。哀れみを抱くべき相手に嫌悪を向けてしまう。徹底的に冷静で無関心。 『罪と罰』で老婆を殺したラスコーリニコフにドストエフスキーは最終的に救いを差し出している(ように思える)が、このヒーローには絶望による自殺を運命づけている。 なぜドストエフスキーはこのような人物を描く必要があったのかを考えてしまう。革命の動乱が産んだニヒリズムへの警鐘か。 普通に生きていけば、人は常識的な善悪の基準や、それが依拠するとのことの感情を失うことはないと思うが、現代のスタヴローギンが出現しないような社会であって欲しい。

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2013/01/22

ドストエフスキーの長編小説の中でも最も難解といわれるこの『悪霊』だけどその分より深淵に踏み込んだ、どうにも救われない個人の内面というテーマの描かれ方は随一。見栄や思想、強欲、宗教、そして時代…誰もが目に見えない「何か」に心を奪われ、病人の様に生きている。キリスト教には病人の代わり...

ドストエフスキーの長編小説の中でも最も難解といわれるこの『悪霊』だけどその分より深淵に踏み込んだ、どうにも救われない個人の内面というテーマの描かれ方は随一。見栄や思想、強欲、宗教、そして時代…誰もが目に見えない「何か」に心を奪われ、病人の様に生きている。キリスト教には病人の代わりに悪霊を引き受けてくれる豚たちがいる。だけど僕らには、そんな病を引き受ける豚はいない。目に見えない何かに取り憑かれたまま溺れていく人は今も沢山いるわけで、そんな人達になんとか呼吸の仕方を伝えようとするような、例えるならそんな小説。

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2012/11/19

こんな場面転換、ありなのか・・・ ストーリーといい、登場人物の多さといい、ドストエフスキーの作品はまだまだ私と馴染みが良くないようです。 下巻へ行くには、いったん、休まねば…

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2012/11/07

政治思想、あるいは思想。そういう領域ですか? 各時代にはその時代ごとの、地域ごとの思潮・風潮がある。(きっとこの今、現代にも) それを描き出し書き留めておくのが彼や彼らなのだろうなと。こういうことを誰かがやらないとダメなんだろうなと。 歴史は事実(史実)の連なりだから正確ゆえに無...

政治思想、あるいは思想。そういう領域ですか? 各時代にはその時代ごとの、地域ごとの思潮・風潮がある。(きっとこの今、現代にも) それを描き出し書き留めておくのが彼や彼らなのだろうなと。こういうことを誰かがやらないとダメなんだろうなと。 歴史は事実(史実)の連なりだから正確ゆえに無味無臭。 そうではなくて、物語の形態に再構築することで、激しく匂い立ち、それでいて、腑に落ちる。そういうことね、と五感でもって、体感的な理解に至る。 いや、しかしムズいので、再読が必要かも・・ とりあえず下巻へ。

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2012/10/23

「ニコライ・スタヴローギンは事実、部屋の中にはいっていた。彼はごく静かに部屋にはいってくると、一瞬戸口で立ちどまり、もの静かな眼差しで一座をみわたした。」 やっと出てきたか、と言いたいけど、スタヴローギンの登場で物語は動き出す。 ヒントは二つある。 (ヒントその1) ミハイ...

「ニコライ・スタヴローギンは事実、部屋の中にはいっていた。彼はごく静かに部屋にはいってくると、一瞬戸口で立ちどまり、もの静かな眼差しで一座をみわたした。」 やっと出てきたか、と言いたいけど、スタヴローギンの登場で物語は動き出す。 ヒントは二つある。 (ヒントその1) ミハイル・バフチンはドストエフスキー小説の特徴を、 「自らの意思と声を持つ、自立的な存在としての登場人物を設定し、 相違なる思想同士の、事件に満ちたポリフォニー(多声楽)のような対話が実現している。 そのジャンルは民衆的な笑いの文芸、カーニバルにたどりつく。」と述べている。 (ヒントその2) ドストエフスキーは世界中文学中もっとも偉大な小説としてセルヴァンテスの「ドン・キホーテ」を挙げ、理想としている。 実際の事件をヒントに空想のつばさを広げる、まさに近松の浄瑠璃なのだ。おおいに笑えばいい、泣けばいい。

Posted byブクログ

2012/09/24

一番難解といえば難解。スタヴローギンとは結局何者か。キリーロフがいい。お茶が好きで、生きているのが好きなんだけど死のうとしている。その思想がスタヴローギンの所産とされているのが解せない。スタヴローギンの他人をそそのかすという資質がとても良い。ピョートルステパノヴィチの実務的な才能...

一番難解といえば難解。スタヴローギンとは結局何者か。キリーロフがいい。お茶が好きで、生きているのが好きなんだけど死のうとしている。その思想がスタヴローギンの所産とされているのが解せない。スタヴローギンの他人をそそのかすという資質がとても良い。ピョートルステパノヴィチの実務的な才能とは違い、そのカリスマ性を描写されている。主人公がいるタイプの作品。結構好きだよ。

Posted byブクログ