赤と黒(下) の商品レビュー
フランスの小説家の作…
フランスの小説家の作品。主人公ジュリアンのレナール夫人に対する思いが感動的です。ぜひ、上巻と合わせて読んでみてください。
文庫OFF
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キショいほどの記憶力を発揮するジュリヤンは貴族のオッサンにその能力を買われ、パリにくる。仕事上、とあるサロンに通うようになるのだが、メッチャ美人の超ド級ツンデレ侯爵令嬢が居た! 前半はその心理的攻防を克明かつ執拗に描いていく。 確かに恋愛小説と言えるが、ハーレクイン的な甘く感傷を揺さぶられることはほぼない。描き方はクールかつドライである。間違っても湖上の妖精だとか、そういった類いのモノは出現しない。 幕切れは新約聖書に出てくるサロメや、現代で言うならば School daysを想起させる。なかなかエグい展開となるが、これも愛の成せるわざである。 レーナル夫人は旦那に始末されたのでは?と予想している。
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いやあ、知らなかったなあ。 19世紀パリでは、男がいつまでも変わらぬまごころを誓い、深く愛していると相手に思わせれば思わせるほど、相手の女性の心では男を下げることになったんだって。毎朝恋人を失いそうだと思うのでなければ、パリの女性は恋人を愛することが出来なかったんだって。 ...
いやあ、知らなかったなあ。 19世紀パリでは、男がいつまでも変わらぬまごころを誓い、深く愛していると相手に思わせれば思わせるほど、相手の女性の心では男を下げることになったんだって。毎朝恋人を失いそうだと思うのでなければ、パリの女性は恋人を愛することが出来なかったんだって。 めんどくさー。よっぽど退屈してたんだね。 小説の後にあった、D・グルフォット・パペラさんという人による、この小説の書評に分かりやすく書いてあったりよ。ところでパペラさんて誰?ええ?フランスではスタンダールという名前のイタリアの住民?
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恋愛と社会階級のふたつの側面からそれぞれに注目しながら読むと楽しめるかもしれません。なんなら2回読むのもありでしょう。 筆者は「恋愛論」なんて本も書いている方であるため、解説等にもあるように恋愛を分析した描写はかなりひきつけられます。 社会階級に関しては、主人公がよく喋るためにそこまで理解し難いものでもなく、対立構造は難なく読みとけます。当時の雰囲気が伝わってくるため、世界観に入り込みやすいと思います。 私は上下巻で1ヶ月ほど時間をかけて読みました。 個人的にですが、もっと一気に読み進めればまた違った感想になったのかなと思います。 またいつか読みたいものです…。
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国語便覧に載るような有名な小説なので、読んでおこうと思い手にとった。平たく言うと材木屋のせがれのジュリヤン・ソレルが貴族社会で成り上がろうとして、挫折する話である。読み終わってから知ったが、実話に着想を得ているという。 赤は軍服、黒は僧服を表している(諸説あり)。本当は副題に「...
国語便覧に載るような有名な小説なので、読んでおこうと思い手にとった。平たく言うと材木屋のせがれのジュリヤン・ソレルが貴族社会で成り上がろうとして、挫折する話である。読み終わってから知ったが、実話に着想を得ているという。 赤は軍服、黒は僧服を表している(諸説あり)。本当は副題に「1830年代記」と付されているらしいが、新潮文庫版にはなかった。原書は1830年刊行なので、「1830年記では」という疑問が頭をよぎった。 文学史的には主観的リアリズム小説の先駆であり、心理小説、社会小説の傑作とされている。バルザックと比較されることも多いようだが、文学史に明るくないのでよくわからない。王政復古時代の雰囲気をよく描き出しているという定評もある。 ジュリヤン・ソレルはラスコーリニコフと並んで有名な主人公だと思う。どちらも象徴的なキャラクターである。人によって占める位置は違っても、誰の脳にもジュリヤンやラスコーリニコフらしき何かがもともと住み着いていると思っている。 『赤と黒』を読むと、自分の心中にぼんやりと渦巻くだけだった反抗心や自負心にジュリヤンと名前が付けられ、はっきりとした形を作る。「こちとら家のローンや年金問題で汲々としているというのに、代々資産家の連中は金が生んだ金で十分生活ができ、生活費の算段に頭を悩ますことがないのだからな!能力も性格もよくなるというものだ!やりきれんわい!」と騒ぎ出す。反社会性の強いラスコーリニコフと違って、ジュリヤンはルサンチマンを溜め込んで身を亡ぼすこともない地に足の着いた野心家である。彼を脳内に招けば、嫉妬や見栄に駆られて、自らの価値を下げるような真似もしなくなる気がする。 それをもって人におすすめできるかといえば、そうでもないけど、私は読んでよかったと思った。
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深く考えずタイトルで選んだ小説でしたが、読んでいくうちにどんどん引き込まれ、しまいには深く考えさせられる内容でした。特に貴族と平民の描写、自尊心の高い主人公と貴族の女性や婦人との恋愛模様の描写の細かさに感銘を受けました。重要そうに思えるところはあっさり、細かい些細な部分は?重厚に...
深く考えずタイトルで選んだ小説でしたが、読んでいくうちにどんどん引き込まれ、しまいには深く考えさせられる内容でした。特に貴族と平民の描写、自尊心の高い主人公と貴族の女性や婦人との恋愛模様の描写の細かさに感銘を受けました。重要そうに思えるところはあっさり、細かい些細な部分は?重厚に描かれているところも、新鮮に感じました。
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強烈なコンプレックスに支えられた野心が、ジュリアン・ソレルを高みへ押し上げると同時に、死の淵にまで追いやる。成功に指がかかった矢先の転落、敬愛するナポレオンの様に長く続かない一瞬の輝きが儚い。
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フランス文学は恋愛、心理、自己嫌悪、嫉妬等生々しい感情がストレートに表れると感じた。共和主義と自由主義との階級対立という背景が掴めないと分かりにくい。レーナル婦人、ジュリヤンソレル、アマンダ、マチルダ嬢、クロワズノフ伯爵、舞踏会、自殺等人間の心理的描写がよく分かった。
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大学生の頃読んだ時より恋愛の駆け引きがよく理解できますた。 昔の小説なのでどうしても中盤だれるが、節々に現れるエクストリームな感情描写にグッとくるor爆笑必至で、面白く読める。 後半ジュリヤンが死に向き合うシーンでは、それまで仮にジュリヤンの野心を他人事のように思っていた読者も自...
大学生の頃読んだ時より恋愛の駆け引きがよく理解できますた。 昔の小説なのでどうしても中盤だれるが、節々に現れるエクストリームな感情描写にグッとくるor爆笑必至で、面白く読める。 後半ジュリヤンが死に向き合うシーンでは、それまで仮にジュリヤンの野心を他人事のように思っていた読者も自らの生き様とジュリヤンのそれを比べずにはいられないのではなかろうか。
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ナポレオン失脚後の復古王政時代のフランスを、下層階級の生まれでありナポレオン信者である主人公ジュリアンの視点から鮮明に描いた作品。 正直、多少なりともこの時代のフランスについて知識を持っていないと何が何やらさっぱりだと思われる。 実際読んでいていまいち背景が掴めない部分もあった...
ナポレオン失脚後の復古王政時代のフランスを、下層階級の生まれでありナポレオン信者である主人公ジュリアンの視点から鮮明に描いた作品。 正直、多少なりともこの時代のフランスについて知識を持っていないと何が何やらさっぱりだと思われる。 実際読んでいていまいち背景が掴めない部分もあったので、ざっくりとだが勉強し直したりもした。 言ってしまえば、田舎から都会へと立身出世を夢見て上京した野心溢れる青年が、将来の成功と眼前の色恋に揺れ人生を狂わされていく物語。 個人的に恋愛要素はあまり必要としていないのでいささか強く感じられたが、当時の貴族や聖職者、ブルジョワジーや労働者などの思想や価値観などがありありと描かれていて、後の七月革命へと続く暗雲とした雰囲気が常に感じられる良い作品だった。
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