赤と黒(下) の商品レビュー
大分時間がかかりましたが、やっと読み終わりました。自尊心がれ異常に膨れ上がった天才肌の美青年ジュリアンが、色恋とその自尊の狭間で命をすり減らし、最終的には自尊心が恋に優り、それゆえに犯した罪の元斬首される話。こんな書き方は全くあらすじではないですが、巻末にある当代の評論家がかいた...
大分時間がかかりましたが、やっと読み終わりました。自尊心がれ異常に膨れ上がった天才肌の美青年ジュリアンが、色恋とその自尊の狭間で命をすり減らし、最終的には自尊心が恋に優り、それゆえに犯した罪の元斬首される話。こんな書き方は全くあらすじではないですが、巻末にある当代の評論家がかいたその批評が、著者スタンダールの執筆意図をしっかりと言い当てています。 フランス革命の前後において、全く変わってしまったフランスの時代的情緒を描いた作品だということです。私個人としてはフランス革命を手放しで称賛することはできない立場ですから、大革命を前後したフランスの時代を描写した本作は、とても大きな印象を私に残しました。 もう一度じっくり読み返してみたいです。人間描写の巧みといいましょうか、それも含めて時代描写の傑作であると思います。 15.07.23 - 15.10.18
Posted by
スタンダール『赤と黒』新潮文庫 『赤と黒』は、イエズス会と亡命貴族が作り上げた社会に対する痛烈な諷刺の書である。 (解説より) ヘッセの『車輪の下』やバルザックの『ゴリオ爺さん』、ナポレオンに傾倒しているところは『罪と罰』のラスコーリニコフを思い出しました。
Posted by
ピカレスク青春恋愛成り上がり社会派小説。 盛りだくさんで、古典とされているが読みやすく、抑圧された時代背景も鑑みて読めば深みも感じられる。 さすが世界の十大小説。
Posted by
フランスの歴史などの予備知識はないのですが、大学の先生がおすすめしていたので読みました。 社会風刺的な描写についてはほぼ理解できていないのですが、ジュリヤンの何より名誉を重んじる生き方はいいなと思いました。 先生がおすすめしてたのはそういう点なのかな…?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「ー」 名誉を重んじたジュリアン。名誉なんてくだらないと考える人もいるかもしれない。しかし、彼にとっては名誉を得、守ることこそが大事なのであった。 ジュリアンを好きになることで自分が他よりも高貴であると考えたマチルド。ジュリアンのために奔走する姿をあえて他人に見せつけることで、自分が英雄的であると表現した。 ジュリアンの犯した罪は、レーナル夫人に対して銃を撃ったことだ。しかし、裁判にかけられている本当の罪は、卑しい階級から抜け出し社交界に出られるまでに出世したことだ。故に、死刑。 彼は穏やかにギロチンへ向かった。 名誉ある生き方をせねば、と深く感動した。自分の名誉を傷つけられて場合には、なんとしてでも挽回しなければならない、と。
Posted by
赤と黒。読み終わるのになかなか苦労しましたが、面白くないことはないものの、洋書に最近触れていなくて外国人の名前がわからなくなるのが辛いです。笑。 恋愛まじりですが、フランス革命の政治が主に語られているようで、そのなかでどう恋をしいい階級についていくか。そんか恋の駆け引きと政治の...
赤と黒。読み終わるのになかなか苦労しましたが、面白くないことはないものの、洋書に最近触れていなくて外国人の名前がわからなくなるのが辛いです。笑。 恋愛まじりですが、フランス革命の政治が主に語られているようで、そのなかでどう恋をしいい階級についていくか。そんか恋の駆け引きと政治の駆け引きがあちらこちらで行われる一冊。 ただ、誰が誰なのかさっぱりわからなくなるあたり問題だよね。笑。 主人公とかその近しい人はわかるんだけど、他の人はさっぱり。 うーん。フランス革命時の貴族との格差などはなかなか惨く描かれております(O_O)。 二冊はきついな。
Posted by
解説を読んでイエズス会や亡命貴族連中への風刺として書かれたものだと理解しましたが、個人的な実感としては、社会風刺よりも恋愛小説のような印象が強いと思いました。 レーナル夫人とマチルド、対極に位置する二人の女性に求愛するジュリヤンの描写は、自然の恋と頭脳による駆け引きの恋を鮮明に対...
解説を読んでイエズス会や亡命貴族連中への風刺として書かれたものだと理解しましたが、個人的な実感としては、社会風刺よりも恋愛小説のような印象が強いと思いました。 レーナル夫人とマチルド、対極に位置する二人の女性に求愛するジュリヤンの描写は、自然の恋と頭脳による駆け引きの恋を鮮明に対置させており、ここにこの時代のフランスに充満した空気を読み取ることができました。 実在の事件をモデルにして描いたスタンダールの写実的な人間・社会描写は当代のフランスを知る意味で非常に有意義なものでした。
Posted by
現代的に見てこの恋愛論に共感できるかはともかくとして、ジュリアンがその才能を発揮してのし上がっていくある種中二病的な面白さは現代に通じるものがあると思います。 個人的には7月革命前夜のフランスの空気感に触れることができたのが一番興味深かったかも。 山川教科書で得た高校世界史レベル...
現代的に見てこの恋愛論に共感できるかはともかくとして、ジュリアンがその才能を発揮してのし上がっていくある種中二病的な面白さは現代に通じるものがあると思います。 個人的には7月革命前夜のフランスの空気感に触れることができたのが一番興味深かったかも。 山川教科書で得た高校世界史レベルの知識だけじゃちょっと太刀打ちできなかったのでもう少し勉強したいなと思いました。
Posted by
なにしろ、中身のしっかりした小説であったと言えるだろう。 時代や立場を反映した人々の内面描写が素晴らしくて、その瞬間の風俗、思想をつまびらかにするものであると同時に、それゆえに、掛け値無しの心の入った恋愛小説にもなっている。 小説的な作られたドラマの妙というよりはむしろ小説よりも...
なにしろ、中身のしっかりした小説であったと言えるだろう。 時代や立場を反映した人々の内面描写が素晴らしくて、その瞬間の風俗、思想をつまびらかにするものであると同時に、それゆえに、掛け値無しの心の入った恋愛小説にもなっている。 小説的な作られたドラマの妙というよりはむしろ小説よりも奇たりえる現実の面白さ、時代の空気によって当然引き起こされるような天然のドラマの興奮、と言ったものが味わえる。良かった。
Posted by
赤と黒 軍服と僧衣を示す。 これが何を表すのか。 自尊心が高く、上流階級への野心に燃えるジュリヤン。 物語の中で2人の女性が登場する。 下剋上の政治小説ではなく、純恋愛小説といえるだろう。
Posted by