メルヒェン の商品レビュー
ヘルマン・ヘッセの短編集。大人のための童話みたいな物語がたくさん収録されている。いくつか好きな作品があった。が、ヘッセの良さは短編では出きらないな、とも思った。なぜなら、ヘッセの良さというのは、人間が心の奥底で悩んでいることについて、それが自分自身にもよく言い表せないような状況に...
ヘルマン・ヘッセの短編集。大人のための童話みたいな物語がたくさん収録されている。いくつか好きな作品があった。が、ヘッセの良さは短編では出きらないな、とも思った。なぜなら、ヘッセの良さというのは、人間が心の奥底で悩んでいることについて、それが自分自身にもよく言い表せないような状況において、それを見事なまでに文章化する点にある。そしてもっとすごいところは、さらに自分自身でもそこに存在していたことに気が付かなかったような細かな感情の揺れ動きまでを見事に表すことができる点にある。こんな事をするには長ーい前ふりと細やかな記述が必要なのだけれども、短編ではそこのところができなくなってしまう。なのでヘッセの作品は長編の方がいいと思う。
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表現が綺麗でとても好きです。アウグスツスと詩人が特に好きです。愛されるのと愛すことの違いはやっぱり大きいなと思いました。そして、詩人も興味深いです。全体的に、音楽を聴いているような感覚で本を読んでいました。本当に綺麗な話です。
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外国文学というものがどうしても苦手なのです。そんな中オススメされたのがこの本でした。 最初はやはり苦手意識が先行し、いつもよりは読むスピードがかなり遅かったのですがその中に紡がれている文章の綺麗さに、後半は割とスラスラ読むことができました。 ものすごい感動があるわけでもないで...
外国文学というものがどうしても苦手なのです。そんな中オススメされたのがこの本でした。 最初はやはり苦手意識が先行し、いつもよりは読むスピードがかなり遅かったのですがその中に紡がれている文章の綺麗さに、後半は割とスラスラ読むことができました。 ものすごい感動があるわけでもないですが読んだ後、心に残る。私にとってはそんな作品でした。
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「おすすめの本を貸して」と言われたときに、最初に渡すのがこの本です。なのでとにかく本棚1冊めはこれ。 ヘッセを読み始めたのは高校生のとき。それから数冊読みましたが、気に入ったのは「知と愛」とこの「メルヒェン」です。 なかでも好きなのは「アウグストゥス」「ファルドゥム」「暗い...
「おすすめの本を貸して」と言われたときに、最初に渡すのがこの本です。なのでとにかく本棚1冊めはこれ。 ヘッセを読み始めたのは高校生のとき。それから数冊読みましたが、気に入ったのは「知と愛」とこの「メルヒェン」です。 なかでも好きなのは「アウグストゥス」「ファルドゥム」「暗い川」。誰か絵本にしてくれないかしらん?ファンタスティックで音楽の聞こえてきそうな作品たち。アウグストゥスのような、人生やり直し系?はヘッセらしい話ですが、いつも考えさせられます。人間迷ってしまったら、1からやり直すこともできるし、人生無駄なことはなにひとつない、でもいろいろやり直して試して…とやるには人の一生は短すぎる、では今をどう生きるべきか?…というように。 高橋健治氏の訳がまた丁寧で上品で、私はドイツ語は得意ではありませんし原文に触れたこともありませんが、おそらくは繊細で几帳面なヘッセの書き方によく合っていると思います。 何年かおきに読み返したい短編集です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
9話から為る短編集。 あたしのオススメは、「アウグスツス」と「別な星の奇妙なたより」 ヘッセ文学が持つ仄かな灰色と、童話らしいクリーム色が織り交ざったような感じ。 彼が持つ闇と光と希望が、すべて現れているような気がした。 ドイツ文学の翻訳なので、読みやすいとはいえないけど、文学作品すきとか興味があるひとは是非是非!!
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この本の話は全体的に見て、美しい話ばかりだったように思う。この本から、ヘッセの考えるところのメルヒェンが見えたように思う。すっかりとヘッセが好きになった。詩集は途中まで読んだけど、師が絶対的に美しいわけでなく。物語の美しさという物を、再認識したように思えた。この本全体の感想と言...
この本の話は全体的に見て、美しい話ばかりだったように思う。この本から、ヘッセの考えるところのメルヒェンが見えたように思う。すっかりとヘッセが好きになった。詩集は途中まで読んだけど、師が絶対的に美しいわけでなく。物語の美しさという物を、再認識したように思えた。この本全体の感想と言えば、ありきたりな言葉で、心が洗われたようだと言ったところだろうか。 「アウグスツス」…この話は、母親の子に対する愛情から出た悲劇に始まって、その子アウグスツスが最後には自分が誰からも愛されるという悲劇に気付いて、更正というか自分のした罪を認めていくことで話が終わる。読み進める内に非常に母親の愛情がもどかしかった。人から愛され過ぎて人を愛せないということが、傍目に見てこんな事なんだな。と感じた。何もアウグスツスが悪い訳じゃないんだろうな、と感じ続けていた。 「ファルドゥム」…人が山になるという発想は正に童話的だと思う。しかしこの話の中心はそこになくて、その山でありかつ男でありかつ女であることにある。山になった物がただ寂しいというのでなく、単性的である事に寂しさがあるというのは、このただの童話に見えるような話の中に、恋物語のような物が垣間見れて楽しかった。 このほかの話も非常に美しくて、心地よかった。グリム童話なんか読んでたら心が汚されるな、とも思うくらい快かった。
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童話集ということで宮沢賢治的なロマンチックな世界観をイメージして読んでみたら、初っ端からいきなり子どもに読ませてはいけないような話で、何ともヘッセらしいと思ってしまった。 全編に共通することだけど、これは疲れた大人向けの作品集と言えるだろう。 ヘッセの魅力はドロドロとした怨念...
童話集ということで宮沢賢治的なロマンチックな世界観をイメージして読んでみたら、初っ端からいきなり子どもに読ませてはいけないような話で、何ともヘッセらしいと思ってしまった。 全編に共通することだけど、これは疲れた大人向けの作品集と言えるだろう。 ヘッセの魅力はドロドロとした怨念にも似た感情を見事なまでの美文で表現しているところにあると思うのだけど、それはこの作品集に所収されている短編童話でもその本領を発揮している。 ここまで詩的な美しさがありながら読み易い文章を書ける人もそういないと思う(もちろん翻訳も素晴らしいのだろうけど、原文で読める能力がない自分が本当に惜しい)。 特に印象に残ったのはやはり「アウグスツス」「アヤメ」の二作。 愛に翻弄される・・・なんて有りがちなテーマのはずなのに考えさせられた。 ヘッセは少年期に読むべき作家というイメージが強いかもしれないが、この二作に関してはこれから結婚を考えている女性に推薦したい。
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この訳を「メルヘン」じゃなくて「メルヒェン」にした高橋健二はエライ!!どっからどーみても絶妙にメルヒェン。穏やかで情熱的な話の展開とか、優しい登場人物がいまいち甘やかしてくれないところとか、どーにもドイツ文学。なにより美しい。 アウグスツスが一番人気みたいですが、わたしは詩人が...
この訳を「メルヘン」じゃなくて「メルヒェン」にした高橋健二はエライ!!どっからどーみても絶妙にメルヒェン。穏やかで情熱的な話の展開とか、優しい登場人物がいまいち甘やかしてくれないところとか、どーにもドイツ文学。なにより美しい。 アウグスツスが一番人気みたいですが、わたしは詩人がとても興味深かったです。 男の人が男主人公でえがく求道小説というのは読んでいて「自分勝手だなあ!」と思ってしまうことが多いのですが、この話は前半多少汗臭いものの全体的に童話っぽくてなんとなく可愛らしい。とても短い話なんだけどちゃんとポエティックで、ラストはゆっくりと息を吐いてしまいました。 五感全部で小説を読んだのは久しぶりです。ヘッセはこれですきになった。
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まさにオルゴールのような短編集。小さな箱を開けると、懐かしさとともに封じられていた世界の秘密が鳴り始める。 特に忘れられないのが「アウグスツス」と「アヤメ」。
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誰からも愛される子に、という母の祈りが叶えられ、少年は人々の愛に包まれて育ったが──愛されることの幸福と不幸を深く掘り下げた『アウグスツス』をはじめ、大人の心に純朴な子供の魂を呼び起こし、清らかな感動へと誘う、最もヘッセらしい珠玉の創作童話9編を収録。 9編の物語に共通している...
誰からも愛される子に、という母の祈りが叶えられ、少年は人々の愛に包まれて育ったが──愛されることの幸福と不幸を深く掘り下げた『アウグスツス』をはじめ、大人の心に純朴な子供の魂を呼び起こし、清らかな感動へと誘う、最もヘッセらしい珠玉の創作童話9編を収録。 9編の物語に共通しているのは、死へと向かっていくということである。けれども、その死は不幸なものではなく、幸福な気持ちを持ったものであるというところに、この童話集の素晴らしさがある。 こうした童話を創りだすことができるのは、人々と自然を愛したヘッセならではの魅力であろうと思う。
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