限りなく透明に近いブルー の商品レビュー
村上龍の原点が描かれる半自叙伝。セックス、ドラッグ、バイオレンスの描写がえぐく、読み進めるのが辛い瞬間もあった。今井裕康の解説が、この作品の本質は決してそうした過激な描写にあるわけではないことをはっきり認識させてくれる。 享楽的かつ退廃的に惰性で進んでいく青春の時間。その時の流...
村上龍の原点が描かれる半自叙伝。セックス、ドラッグ、バイオレンスの描写がえぐく、読み進めるのが辛い瞬間もあった。今井裕康の解説が、この作品の本質は決してそうした過激な描写にあるわけではないことをはっきり認識させてくれる。 享楽的かつ退廃的に惰性で進んでいく青春の時間。その時の流れにリュウはただ力感なく身を任せる。どこか第三者の視点から自分の人生を傍観しているような感覚。主観の不在。そして未熟な自己を窒息させる社会という名の「鳥」。 終始淡々と無感情な1人称で語られるこの作品において、リュウの自分の人生に対する能動的な思いが語られているのはたった3行しか無い。 『限りなく透明に近いブルーだ。僕は立ち上がり、自分のアパートに向かって歩きながら、このガラスみたいになりたいと思った。そして自分でこのなだらかな白い起伏を映してみたいと思った。僕自身に映った優しい起伏を他の人々にも見せたいと思った。』
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スキャンダラスにみえる青春の奥にひそむ深い亀裂を醒めた感性と詩的イメージとでみごとに描く鮮烈な文学。
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タイトルに惹かれて読みました。初の村上龍。 爽やかな青春小説かと思いきや退廃したロケンローな方の青春でした。薄めの本ですが初めは暴力やドラックの描写のせいか入り込みにくいし、読みにくくて放置してました。が、手放す前に途中から読んでみたら不思議と読まされました。良くも悪くもパワーが...
タイトルに惹かれて読みました。初の村上龍。 爽やかな青春小説かと思いきや退廃したロケンローな方の青春でした。薄めの本ですが初めは暴力やドラックの描写のせいか入り込みにくいし、読みにくくて放置してました。が、手放す前に途中から読んでみたら不思議と読まされました。良くも悪くもパワーがある文章です。 読む時期を選ぶと思います。 未来への光も見えないし、自分の中もわからない青春のなか、たまに見える綺麗なもの。 当時大学生だった村上龍の内面も出てるのかな。 タイトルの一部とフルートのくだりの部分がたまにみえる綺麗なもので救いなのだろうと思います。
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高校生の頃、生まれて初めて読んだ芥川賞受賞作品。69が面白かったのでチャレンジしたが、なんだか意味がわからなかった記憶あり。
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好き嫌いがあると思うけど、熱量のある本が好きな人は面白く読めると思う。峻烈な青春の一冊。ぴりぴりする。
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激しいモチーフと対称的に、静かな詩的表現が美しい。パイナップル、飛行機、虫、黒い鳥、それぞれが何を表しているのだろう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
福生の米軍基地エリアを舞台に、荒廃した青年たちの日々を描いた物語。セックス、ドラッグ、酒、暴力。しかし、内容と対比するように、静謐さを伴う文章が印象的。リュウの視点は定点カメラのようで、生々しい臭いはリュウの嗅覚を静かに刺激し、リュウの耳は部屋の片隅に落ちているかのように「」のない会話を捉える。 最後の「鳥」の描写だけが現実感をもって迫ってくる。鳥とは何を表すのか、私の理解が至らなかったけれど、解説の「現代社会、その構造の暗喩だ」という考察に納得感があった。ただ、その時代を知らない分、想像が及ばない自分が残念。 第75回芥川龍之介賞受賞作。24歳でこんな小説書けるなんて天才かよ。そしてタイトルが秀逸すぎる。
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不潔で猥雑で、登場人物全員に同情できず、理解不能と一蹴してしまいたくなる物語。ただ、嫌悪感から登場人物と自分を突き放すことで、却って物語を冷静に見つめ直してしまう。すると、彼等に見えて自分に見えない、見えても目を背けてしまうものが見えてくる。
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ただの官能小説?途中でページをめくる手をとめました。あまりにも意味がわからなくて。きっと読むには若すぎたのでしょう。まだ高校生でしたから。
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酒とセックスとドラッグばかりで、何が面白いのかさっぱり???でした。 もうすこし、大人になったら再読したいです。
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