約束された場所で の商品レビュー
事件当時、生まれて間もなかったこともあり記憶はほとんど無い。 アンダー・グラウンドと一緒に読み進めてきたが、一足先に読み終わった。 「オウム」と一括りにするのではなく、個人を見れば、当然一人の同じ人間であることに気が付く。 河合隼雄氏との対談も必読。
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『アンダーグラウンド』では1995年地下鉄サリン事件の被害者インタビューで構成されていたが、本作品はオウム元信者インタビューで構成されている。興味深いのは前者は傍聴に徹していたのに対し、本作品では積極的にインタビュイーと議論し反論している点だ。ひょっとすると村上氏は『アンダーグラ...
『アンダーグラウンド』では1995年地下鉄サリン事件の被害者インタビューで構成されていたが、本作品はオウム元信者インタビューで構成されている。興味深いのは前者は傍聴に徹していたのに対し、本作品では積極的にインタビュイーと議論し反論している点だ。ひょっとすると村上氏は『アンダーグラウンド』で事件への関与が高まり被害者サイドに感情移入した結果なのかもしれない。中立性はやや薄まりながらも問答は興味深い。何か圧倒的な空虚めいたものに挑む村上氏の姿を感じる。 同書に収録されている河合隼人氏との対談で「内部に善を求めると外部に絶対的な悪が必要となる」という話が印象的であった。
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ナチスドイツのアイヒマンが村上春樹の別のフィクションの本で登場したことがあったと思うが、悪について考え始めたのはオウムのインタビューからなのか。オウム信者は世界を重箱のように捉えることができておらず、話してみると「いい人」という印象をもつらしい。人として豊かに生きるための想像力っ...
ナチスドイツのアイヒマンが村上春樹の別のフィクションの本で登場したことがあったと思うが、悪について考え始めたのはオウムのインタビューからなのか。オウム信者は世界を重箱のように捉えることができておらず、話してみると「いい人」という印象をもつらしい。人として豊かに生きるための想像力ってどうやって培えばいいんだろうな。自分への問いかけとして。
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社会不安が増大している、読み時はいまだと思った。 宗教の話には弱い、妙に怖くなってしまう。けれどこの本は、文章のおかげで興味深くあっという間に読めた。 河合隼雄さんとの対談もよかった。 最後には自分が考えないといけない、と、そのためには悪い物語に覆われないように、とおもう。
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オウム真理教にいた人たちへのインタビュー。 オウムの人たちは、世の中の矛盾をなあなあにしたくない人たち、自分の心の醜さをなくして平穏に生きたい人たちが多かったのだろうな、と思った。 自分も当時成人していたら、もしかしたら初期のオウムに魅力を感じたかもしれない、と思う。
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悪 とは? 物語とは? 河合隼雄 林郁夫 の著作も気になる。 『アンダーグラウンド』、『1Q84』と合わせて読んで、内容が複層的に読める。
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(01) 地対地,地縛,地面に近いところ,グラウンドがテーマの本書にあって,著書は時折,わたしたちが立つ場所の根拠や平等を担保する「地」に触れている.また,河合氏との対談では「箱の中」というキーワードが持ち出される.この「地」と「箱」はどのような関係にあるのか.オウム真理教の一連...
(01) 地対地,地縛,地面に近いところ,グラウンドがテーマの本書にあって,著書は時折,わたしたちが立つ場所の根拠や平等を担保する「地」に触れている.また,河合氏との対談では「箱の中」というキーワードが持ち出される.この「地」と「箱」はどのような関係にあるのか.オウム真理教の一連の事件の被害者や加害者が巻き込み/巻き込まれた情況を把握するのに,この二つの隠喩を参照することは有効であるのかもしれない.もちろん,地下鉄はアンダーグラウンドであって,「地」に潜る「箱」でもあるのだから. 7人へのインタビューはどれも各氏の半生が浮き彫りにされており,ここでの著者のアプローチや筆致が適切であったことを告げている.彼女ら彼ら(*02)は著名な作家であるから話をしたということもあるだろうが,彼女ら彼らの話が,これほどまとまって聞かれる場所はそれまでにあったのだろうか,逆に,彼女ら彼らがこれほどまとまって話をする場所が,その半生のすべての期間を通して,あったのだろうか.話を聞くことと話をすることがセラピーである以前に,人の話が人によって聞かれる場所は,この社会に用意されているのだろうか. (02) とはいえ、彼女ら彼らは既に渦中にない。サリン事件等の凶悪な犯罪に対して指導的な立場や実行的な活動にあったわけではないため、ややオウム真理教を客観視することもできている。その立ち位置が、読者によっては、無責任に思えるかもしれないし、社会とカルトの社会の両方にまたがる生を歩んだものの両義的で分裂的な実存を本書で確認することができるのかもしれない。 また、やや渦中から遠い場所にいる河合氏や村上氏であっても、ふたつの異同ある側面を見ようとするからこそ、優しい分裂から逃れられているわけでもない。
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環境で人は動く。環境次第で、狂気的にも穏やかにもなる。自分が’自分’でいられる環境に身を置くことの大切さ。
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オウム事件のインタビュー集。 思考回路と行動に興味がある私は人はなぜ宗教にひかれるか?というところにも興味があります。 村上春樹は小説よりエッセイやインタビューの方が好きですがきっと異端な考えなんだろうなあ。。。
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自分的には斬新な1冊。洗脳なのか、環境なのか。明日は我が身的な思いが、アンダーグラウンドより強く感じる内容だった。
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