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「空気」の研究 の商品レビュー

3.8

158件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    41

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  5. 1つ

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2012/06/21

まずこの本が30年以上前に書かれたことに驚き。原子力に対しての記述なんかは、今の脱原発ブームと非常によくにた状況を指摘している。ということで、テーマとしては非常におもしろい。のだけれど、なぜ人々が「空気」たる存在に怯え、支配されるのか、そこの落とし所がいまいちしっくりこない。如何...

まずこの本が30年以上前に書かれたことに驚き。原子力に対しての記述なんかは、今の脱原発ブームと非常によくにた状況を指摘している。ということで、テーマとしては非常におもしろい。のだけれど、なぜ人々が「空気」たる存在に怯え、支配されるのか、そこの落とし所がいまいちしっくりこない。如何せん文章がおそろしくわかりづらいので、ちょっと整理が必要。

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2012/06/15

空気と水を考えるなんて素晴らしい。本自体は少々古いし内容は小難しいけど、それでもその着眼点はステキだ。我々はその場の空気の影響を受けて物事を決めている(原発再起動の問題で県会議員の多くが賛成も反対も出来ないもの今と言う時の空気のなせる業)。一方でKYなんて言葉あるのだけど、これは...

空気と水を考えるなんて素晴らしい。本自体は少々古いし内容は小難しいけど、それでもその着眼点はステキだ。我々はその場の空気の影響を受けて物事を決めている(原発再起動の問題で県会議員の多くが賛成も反対も出来ないもの今と言う時の空気のなせる業)。一方でKYなんて言葉あるのだけど、これは「水」なんだろうなあ。「水を差す」って言うのはKYだけど、それはそれで熱にうなされ論理的判断が出来なくなった場に現実(通常性)を提示するということなのだろう。空気に流されるのは好きだけどそれを意識したうえで臨みたいものです。

Posted byブクログ

2012/05/24

『「空気」の研究』1983年(初1978年) 「空気」とは大きな絶対権をもった妖怪である。 何しろ海軍の首脳に「作戦として形をなさない」ことが「明白な事実」であることを、強行させ、後になると、その最高責任者がなぜそれを行なったのかを説明できない状態に落とし込んでしまうのだから。 ...

『「空気」の研究』1983年(初1978年) 「空気」とは大きな絶対権をもった妖怪である。 何しろ海軍の首脳に「作戦として形をなさない」ことが「明白な事実」であることを、強行させ、後になると、その最高責任者がなぜそれを行なったのかを説明できない状態に落とし込んでしまうのだから。 ----- そういえば、途中で読むのを挫折した『日本海軍の戦略発想』千早正隆(1995)のp.37にも、空気に支配された日本軍の記述がありました。 連合艦隊参謀である著者は「説明会では末席であったが、私はあえて立ち上がって、ビアク島は戦術的ばかりでなく地勢的な特異性から敵の上陸は必至であり、それを失えば豪北方面の防衛戦は瓦解するであろうことを力説した。そのため説明会の進行はしばらく行き詰まった。 すると連合艦隊司令部に専任の陸軍参謀であった島村陸軍大佐が私のところにやってきて、「千早君、このへんで議論を止めたらどうかね。この問題はすでに中央(東京)で決定されたことだし、君が議論を続ければ会議が進まなくなるから」と、小さい声で告げた。」 ------- 日本人って、天才すぎるバカなのかな。 空気読みすぎるアホというか…。 うーん…良い面もあるし、悪い面もあると思う…。 多方面から考えさせられました。面白かった!

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2012/05/18

いちいち心に刺さる、現代日本人の必読書。 3.11の震災後の原発絶対反対は、すでに時代の空気になっていると考えられる。 少なくとも収束に百年単位の時間を要する代物が、「絶対反対」だけで済むはずがない。終わらせるためにこそ、冷静な判断が必要になるはずだ。 だが、難しいのも事実。...

いちいち心に刺さる、現代日本人の必読書。 3.11の震災後の原発絶対反対は、すでに時代の空気になっていると考えられる。 少なくとも収束に百年単位の時間を要する代物が、「絶対反対」だけで済むはずがない。終わらせるためにこそ、冷静な判断が必要になるはずだ。 だが、難しいのも事実。何度も読み返して、血肉にしたい一冊。

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2012/05/14

日本人論の名著。 著者の山本七平は、戦争中に従軍した壮絶な経験を私の中の日本軍という本にまとめられております。戦後、自身で出版社をおこされ発言を続けられた方です。日本人論にとどまらず、キリスト教、ユダヤ教に関する著作もあり知識の深さと広さに圧倒されます。戦争の経験がその後の著者の...

日本人論の名著。 著者の山本七平は、戦争中に従軍した壮絶な経験を私の中の日本軍という本にまとめられております。戦後、自身で出版社をおこされ発言を続けられた方です。日本人論にとどまらず、キリスト教、ユダヤ教に関する著作もあり知識の深さと広さに圧倒されます。戦争の経験がその後の著者の人生に大きく影響したものと思われ、戦争を知る世代がどんどん減っていくこれからにこそ、もっと読まれるべき本だと思います。著者自身に非常に興味がわきますが、この本はそんな山本七平の代表する著書です。日本人を強烈に支配する空気について書かれており、読んだ実感としては、戦前戦争中と現在、深いところでは何も変わってないのではということです。開戦の決定の際に、場の空気でなんとなく決めてしまい、その後の悲惨な結果を生み出すという構造。今でも十分ありうることです。

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2012/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 「空気は読むもんじゃない、切り裂くもんだ」というのは知り合いのめんどくさいおっさんの言葉なのだが、本書を読んで、そのおっさんの言葉がようやく自分の中で咀嚼できた気がした。  普段生活をしていると最終的な決定が空気にゆだねられる機会というのは意外と多い。あとで振り返ったら「当時はそういう空気だったから」としか言いようのないこともよくある。  本書は、そういった空気に雁字搦めされ冷静な判断が出来なくなる、もしくは判断自体を放棄せざるを得なくなる状況の恐ろしさを、明治維新から当時の事例をもとに説明している。  30年以上前の本なので事例にピンと来ないというのと、僕のような馬鹿ものには表現がなかなか難解だったのですべてを理解できたかというと全然なのだけど、テーマとして面白く、心の片隅にとどめておくには非常に興味深い本だった。

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2012/04/23

先の大戦に従軍した筆者がその経験をもとに今なお引き継がれる日本社会のネガティブな面を考察。我々の知らない戦中から戦後にかけての事例を現代社会との関係で問題提起した視点は貴重であり、それこそ筆者の言う「情況」の記録としても有用である(「情況」の正確な伝承が不可能なことを筆者は指摘し...

先の大戦に従軍した筆者がその経験をもとに今なお引き継がれる日本社会のネガティブな面を考察。我々の知らない戦中から戦後にかけての事例を現代社会との関係で問題提起した視点は貴重であり、それこそ筆者の言う「情況」の記録としても有用である(「情況」の正確な伝承が不可能なことを筆者は指摘しているのだけれど)。 しかし一方で、提起した問題に対する考察には粗さが見られる。例えば、この後の様々な作品にも引用される戦艦大和の出撃という不合理な決定が、物質・物体(ここでは大和)の臨在感による支配に帰せられてしまう。 そこは日本的集団に潜む意思決定メカニズムとその存続理由を追求すべきだと思うのだが、本書の役割は問題提起であって解明は他の優れた文献と補完し合うべきなのだろう。それだけ遠大なテーマなのである。

Posted byブクログ

2021/06/24

はやりものかと思いきや 予想外の1970年代の本 ただし、その内容は確かに今に通じる、 よくまとまった本。 また、空気と水の対比や比喩が、すっと心に落ちる 自由とは、水をさす自由 戦時下では、空気が固定化されて水をさせなくなった。 水を差すことで、場の倫理としての空気に、個の...

はやりものかと思いきや 予想外の1970年代の本 ただし、その内容は確かに今に通じる、 よくまとまった本。 また、空気と水の対比や比喩が、すっと心に落ちる 自由とは、水をさす自由 戦時下では、空気が固定化されて水をさせなくなった。 水を差すことで、場の倫理としての空気に、個の倫理としての水を入れる。 日本文化の基盤は、場に適時絶対的な信仰対象?を持つことができ、 それを水を差すなどで変転していける点にある よい内容、分析だと思うが 空気と水というタームの印象が強すぎるせいか、論理自体に新鮮味が感じられない(70年代だからあたりまえかもだが)

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2012/03/08

誰もが一度は直面する日本特有の権力、「あの場の空気」。これに対して宗教的見地から考察した結果見えたのは、日本文化の特徴とは宗教の不在ではなく宗教の過剰なのではないかという興味深い逆説。実際、この「空気」を英訳しようとすると、それは「エアー」ではなく「アニマ」、霊的なものに言い換え...

誰もが一度は直面する日本特有の権力、「あの場の空気」。これに対して宗教的見地から考察した結果見えたのは、日本文化の特徴とは宗教の不在ではなく宗教の過剰なのではないかという興味深い逆説。実際、この「空気」を英訳しようとすると、それは「エアー」ではなく「アニマ」、霊的なものに言い換えるしか説明ができないのだ。また一神教なら絶対的な神以外全てのものは相対的な存在なのだが、多神教だと絶対的なものが乱立するが故に意見を相対化できず、議論が成り立たなくなるのだという指摘には確かにその通りと関心させられた。

Posted byブクログ

2012/02/01

この本が出たのが1977年。「戦後30年たってるけど何にも変わっちゃいない」という考えに貫かれているけど、さらに30年たった今もまるで一緒。 イタイイタイ病のカドミウムを放射能に置き換えたら……完全に一致。

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