1,800円以上の注文で送料無料

「空気」の研究 の商品レビュー

3.8

158件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    41

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    4

レビューを投稿

2012/10/12

「その場の“空気”では言い出しにくかった」 「“水”を差されて場の“空気”が白けた」 「“空気”の読めねー奴」 本書が研究の対象とするのは、上のような文脈で用いられる“空気”および“水”である。 “空気”とは何か? それはどのようにして発生するのか? 過去の過ちを“当時の空気...

「その場の“空気”では言い出しにくかった」 「“水”を差されて場の“空気”が白けた」 「“空気”の読めねー奴」 本書が研究の対象とするのは、上のような文脈で用いられる“空気”および“水”である。 “空気”とは何か? それはどのようにして発生するのか? 過去の過ちを“当時の空気”にして済ませてよいのか? 戦時中の日本がとんでもない道を突き進んだのも“空気”のせいじゃなかったか? 著者の分析によると、“空気”は臨在的把握――すなわち、実際にはないものを「ある」ように感じたり、単なる物質や単語を、きわめて特別な存在であるように認識したりする感覚――によって生じるという。 そして、何でもかんでも絶対化してしまう精神は、多神教的・汎神論的伝統に生きてきた日本人特有のものである、と。 臨在感的に把握され、絶対化された対象に特別な感情を抱くことによって我々は“空気”を作り出し“空気”に支配される。 著者は具体例として、戦中の天皇や戦後の憲法、公害の元凶とされた“カドミウム”などを挙げている。 抗いがたい“空気”は、現代でもいたるところで発生している。 「言いたいけど言えない……」というのは誰もが経験したことがあると思う。 そんな“空気”からは常に自由でいたいし、この本を読んだからには、よからぬ“空気”を打破する責務が俺にはある!……と勝手に感じている。

Posted byブクログ

2012/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『水・通常性の研究』と『日本的根本主義について』は 読んでいてあまり集中できなかったので、そのまま図書館に返却。 群衆論に興味をしぼっているから? それとも時事ネタが多く、リンチ事件などの詳細を知らないせいからなのか。 とりあえず、日本人論に興味がわいたら、また読もうと思います。 骸骨搬出の仕事を一週間続けただけで具合を悪くする日本人、 骸骨なんてへいちゃらで仕事を続ける外国人、 空気の研究は日本人が敏感なだけに、日本人のほうが向いてるかも。 大和出撃にみる非現実的な決定、政治でも会社でも もあちこちで目にするのではないでしょうか? その決定に影響を与えている空気とは何なのか? 明治以降の近代国家成立とともに、強まる空気の支配力。 この関係性をもっと研究してみるのも面白そう。 人・モノ・言葉、相対化できなければ あらゆるものから支配されてしまうのは アニミズム国日本の運命でしょう・・・。 ウィキリークスで日本政府には戦略がないと某国の高官が言ったとか言わないとか。 空気に流され右往左往する日本にとって、 ますます重要性のます本だと思います。 引用: プネウマの出てくる記述を読んでいくと、「なるほど、こういうことを書くのが本当のリアリストなのだな」と思う。彼らは霊(プネウマ)といった奇妙なものが自分たちを拘束して、一切の自由を奪い、そのため判断の自由も言論の自由も行動の自由も失って、何かに呪縛されたようになり、時には自分たちを破滅させる決定をも行わせてしまうという奇妙な事実を、そのまま事実として認め「霊の支配」というものがあるという前提に立って、これをいかに考えるべきか、またいかに対処すべきかを考えているのである。

Posted byブクログ

2012/09/15

2回目。なぜ日本人は論理的な正しさを超えて、空気に拘束・支配されるのか?について「空気」「水=通常性」をキーワードに論じられた本。1983年に書かれた本だけど、全く色褪せず、今の日本人にも適用できる話なのが凄い。 日本人の特性は、 「情況を臨在感的に把握し、それによってその情況...

2回目。なぜ日本人は論理的な正しさを超えて、空気に拘束・支配されるのか?について「空気」「水=通常性」をキーワードに論じられた本。1983年に書かれた本だけど、全く色褪せず、今の日本人にも適用できる話なのが凄い。 日本人の特性は、 「情況を臨在感的に把握し、それによってその情況に逆に支配されることによって動き、これが起る以前にその情況の到来を論理的体系的に論証してもそれでは動かない・・」 「空気を醸成し、水を差し、水という雨が体系的思想を腐食して解体し、それぞれを自らの通常性の中に解体吸収しつつ、その表面に出ている「言葉」は相矛盾するものを平然と併存させておける状態なのである。」 (いずれもp.212) 科学者が論理的に説明しても聞き入れられず、感情的に過剰反応されてしまう、瓦礫受け入れや原発推進・脱原発の話にそのまま当てはまってしまうのが恐ろしい。

Posted byブクログ

2012/09/15

恐らく私が最も知りたかったことに、最も的確に適切に応えてくれた本。 この本は凄い。 しかし…難 し い よ !  大学入試の国語より一生懸命読んで、大学のレポートよりもがんばってノート8ページにわたって要約とまとめをしたけど、分かんなかった。 この後にも数冊戦争関連の本を読みま...

恐らく私が最も知りたかったことに、最も的確に適切に応えてくれた本。 この本は凄い。 しかし…難 し い よ !  大学入試の国語より一生懸命読んで、大学のレポートよりもがんばってノート8ページにわたって要約とまとめをしたけど、分かんなかった。 この後にも数冊戦争関連の本を読みましたが、「あの時代の空気」やら「雰囲気」やらが何度も出てきて、(どこまで厳密に同じ意味で使われてるかは措いておくにしても)本当に重要なファクターなんだなあと。 そういう意味で言うと、「KY」とか秀逸な言葉だよね。 女子高生凄い。

Posted byブクログ

2012/08/24

その場の「空気」によって決定が後から考えるとおかしなことになってしまうのはなぜか。ちょっと昔の本なので例としてあげているもの(公害問題とか)の世間の雰囲気(空気感?)がつかめなく理解しづらくなっている点もあるが、なかなかおもしろいです。 原因として日本人として今までのアニミズムと...

その場の「空気」によって決定が後から考えるとおかしなことになってしまうのはなぜか。ちょっと昔の本なので例としてあげているもの(公害問題とか)の世間の雰囲気(空気感?)がつかめなく理解しづらくなっている点もあるが、なかなかおもしろいです。 原因として日本人として今までのアニミズムとか儒教とか、対比してキリスト教とか書かれている。対比が西洋なので儒教にも影響を受けているのならば中国とかはどうかなとは思った。 この本を読んで思ったのは「空気」をタブーとしてしまってい、これを指摘することができないのが問題かと。タブーとしていないとグループ(ムラ)に入れず、聞き入れてもらえない。 あわせてグループ外の言葉は無視(もしくは軽視)するというのも。 もしグループ内で「空気」について指摘すると、グループ全体を敵に回したこととイコールになってしまう。「あいつは~だから」とラベル付してグループから外れてしまった人として扱ったり。 たとえば「天皇って人間だよね」って言ったのが日本人なのか、イギリス人なのかで感じる差がグループの内と外の違いかと。 「空気」についてタブーとせずなんでも突き詰めて議論していったのがキリスト教の宗教改革だったりするのかなと。

Posted byブクログ

2012/08/11

 「空気を読め」の空気ってナニよ!?  そう思ったらとにかく一読すべし。  私は多分この内容を完全に理解出来ないままなんだとおもうけれど、ストンと胸に落ちてくるものがあった。形が無いものは、定義さえ決めてくれれば安心出来る。  ああ、でもそんな安心さえ作られた虚像なのかと思うと、...

 「空気を読め」の空気ってナニよ!?  そう思ったらとにかく一読すべし。  私は多分この内容を完全に理解出来ないままなんだとおもうけれど、ストンと胸に落ちてくるものがあった。形が無いものは、定義さえ決めてくれれば安心出来る。  ああ、でもそんな安心さえ作られた虚像なのかと思うと、これまた不安に苛まれるのだけれど。

Posted byブクログ

2012/08/04

「日本辺境論」「失敗の本質」を読んだ流れで、この本も読んでみました。 熱しやすく冷めやすい、そして「空気」によって様々な決定が為されてしまう、そんな日本人ってなんなんだろう?という疑問に一つの解を与えてくれます。 ただ、この本は(少なくとも私にとっては)ちょっと読むのが難しかっ...

「日本辺境論」「失敗の本質」を読んだ流れで、この本も読んでみました。 熱しやすく冷めやすい、そして「空気」によって様々な決定が為されてしまう、そんな日本人ってなんなんだろう?という疑問に一つの解を与えてくれます。 ただ、この本は(少なくとも私にとっては)ちょっと読むのが難しかったです。 要所々々で扱われている時事ネタが、自分の生まれる前の話なので、「その時の空気」が全くわからないと、話についていけないのです。(特に第二章) ただし、「空気」とは何か、それは「臨在感的把握」によるものだとする指摘というのはとても興味深い指摘だと思います。「臨在感的把握」とは何か?というと、ざっくり簡単な例で言うと「お札」がわかりやすいかと思います。泊まった旅館とかで、何気なく絵の額縁をはずしてみたら、お札が張ってあったらキモチ悪いですよね?でも、お札なんて、単なる紙切れ、物質に過ぎない。でも、そのお札に、なにか恐ろしいもの、キモチ悪いものが「臨在」しているように感じてしまう、そういう「臨在感的把握」が「空気支配」を生み出すもとになっている、みたいです。 ・・・正直、まだ自分自身咀嚼しきれていない感があるので、またしばらくしたら読み直すかもしれません。(読み直さないかもしれません)

Posted byブクログ

2012/08/01

う〜ん、このような論理的思考にはついていけない上に、興味をひかれるテーマではあったが、だからどうする?というところまで行き着けなかった... 見直してみたら、何とかは何とかでないとか、あり得ないとか否定の語尾で終わる文が多いみたい。 二重否定だけでわからなくなってしまう人間には...

う〜ん、このような論理的思考にはついていけない上に、興味をひかれるテーマではあったが、だからどうする?というところまで行き着けなかった... 見直してみたら、何とかは何とかでないとか、あり得ないとか否定の語尾で終わる文が多いみたい。 二重否定だけでわからなくなってしまう人間にはついていけません...

Posted byブクログ

2013/07/01

「なぜ人間は空気に支配されてしまうのか」という問いに正面から挑んだ本です。 著者は、空気とは、思い込みや妄想がいつのまにか絶対的な判断基準となり、それに抵抗するものを徹底的に排除する「妖怪」のようなものだと言っています。 そのような空気から自由になるために必要なのは「相対化の言葉...

「なぜ人間は空気に支配されてしまうのか」という問いに正面から挑んだ本です。 著者は、空気とは、思い込みや妄想がいつのまにか絶対的な判断基準となり、それに抵抗するものを徹底的に排除する「妖怪」のようなものだと言っています。 そのような空気から自由になるために必要なのは「相対化の言葉」です。「どのように絶対化しているように見える言葉でも相対化されうるし、相対化されねばならない。(中略)そうしないと、人は、言葉を支配できず、逆に、言葉に支配されて自由を失い、そのためその言葉が把握できなくなってしまうからである。」空気に支配されたくない人、そして空気をつくってみんなを支配したい人にもお勧めです。 湘南OPAC : http://sopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1605417

Posted byブクログ

2012/06/26

日本の意思決定が場当たり的で無責任なものになりがちなことを論じられている。 内容は難しい。 名著。

Posted byブクログ