Yの悲劇 の商品レビュー
あちこちに引かれた伏線。単純にはいかない奇妙な事件。 ここから派生した数々のミステリにも触れている現代の我々からすれば、不利な部分も多いはずだが、やはり傑作なのでは。 ゆっくりと時間をかけて、謎をかみしめながら読み進む。それでもラストはとまることができずに一気に読み終えてし...
あちこちに引かれた伏線。単純にはいかない奇妙な事件。 ここから派生した数々のミステリにも触れている現代の我々からすれば、不利な部分も多いはずだが、やはり傑作なのでは。 ゆっくりと時間をかけて、謎をかみしめながら読み進む。それでもラストはとまることができずに一気に読み終えてしまう。
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初めて読んだ時は衝撃的な結末に圧倒されました。こんなロジックも アリなんだ!と。となりで読んでる人いたら犯人言いたくなるw
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元シェイクスピア舞台俳優のドルリイ・レーンシリーズ2作目。誰からも嫌われているいじの悪い富豪の老未亡人の家で、盲目、聾、唖の娘の毒殺未遂事件が起きた。そしてその2ヶ月後、老未亡人が殺された。毒物を使った不可解な事件が続き、爆発事故も起こる。病毒遺伝がある家族の中で、犯人は誰なのか...
元シェイクスピア舞台俳優のドルリイ・レーンシリーズ2作目。誰からも嫌われているいじの悪い富豪の老未亡人の家で、盲目、聾、唖の娘の毒殺未遂事件が起きた。そしてその2ヶ月後、老未亡人が殺された。毒物を使った不可解な事件が続き、爆発事故も起こる。病毒遺伝がある家族の中で、犯人は誰なのか。 かなり意外な犯人だったけど、納得は出来る。でも遺伝的に犯罪者の血が流れているというのが少し気の毒。やっぱり本格派推理小説だね。実際の捜査のように、警察がなかなか犯行をあばけない様子がでていて、事件と事件の間に期間がおかれているところも良かった。
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X,Y,Zすべて読んだけれど一番びっくりしたのがこれ。 なんというか「……言われてみれば」って感じ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読んだのが何年も前で、あらすじしか覚えていない状態で再読。 犯人やトリックがわかっていても、たいへん興味深く読めた。 たくさんのロジックが複雑にからみ合っていて、細部がとても面白かった。 以下、ネタバレ いくつものロジックが組み合わされ、一つのシーンに別の意味が隠されてたりして構成が凝っている。 バーバラが「父は小説を書こうとしていた」というシーン(P110)、実験室の紙ばさみが一つだけ空になっていたこと、などさりげなくちりばめられた伏線。 事件の前日配達された果物からジャッキーとビリーが梨を食べた(P114)という家政婦の証言(ジャッキーは梨を食べずにとっておいたのだろう) 男性キャラを出すたび、頬に赤毛の剃り残しが…みたいな描写があるのも、「すべすべしたやわらかい頬」じゃないという強調だったのかも。 登場人物のほとんどは背が高い、という言及も目立った。 メリアム博士のカルテの提示も、ヨーク・ハッターがワ氏プラスであったことを示すと同時に、登場人物たちの身長を明示している(P293) 最初はパウダーを床に撒き散らしたのがわざとかと思ってたけど、そこは偶然で、ルイザの「すべすべしたやわらかい頬」と爪先立ちの足跡から犯人の身長を割り出す根拠になった。 マーサにペルーのバルサムをとってもらうシーンも、同時に(背の低い彼女でも棚に手が届いた)犯人の身長の推測につながる。 鈍器→マンドリンは言わずもがな。 いたんだ梨にその場で毒薬を注入するとか、子供の発想が随所にあってアンバランスな不気味さを生みだしている。 実験室の出入口に足跡がない、など。 ハッター家に遺伝する「病毒」の正体は、ハッター氏のカルテにワッセルマン反応プラス1、と書いてあるくらいで、その後はっきりと言及されない。 これは梅毒の検査。ヨーク・ハッター氏の皮疹は梅毒の症状だったのか。 そしてワ氏プラスが出て、病気が発症してしまったことに絶望して自殺したのかもしれない。 このへん詳細に書くと偏見につながるからぼかしたのだろうか。 ルイザが毒を飲んだはずなのに死なない、という状況を目の当たりにした犯人の表情。毒を全部入れてしまった時点でもうやばい。 そして犯人は、お手本の小説を離れて毒を盗み、さらなる殺人に走ろうとする。 いちばん恐いシーンは、レーンが洋服箪笥からのぞいてるとき、自分の意思で実験室から毒を持ち出した犯人の燃え立つような目。 これでレーンは、こいつもうだめだ……と思ったのだろう。(P368) ヴァニラの香りのするものを屋敷中から徹底的に探すため、ご婦人の下着までくんくんするレーン氏にびっくり(笑(P181) あと時代なのだろうか、仕事でおじゃましてるお屋敷の葉巻きやお酒をふつーにいただいちゃってるサム警部。 食事も普通にごちそうになっているし。 そんなもんなんですかねえ。 ラストはやはり、思わせぶりな書き方から、レーン氏がルイザとジャッキーのグラスを入れ替え、ジャッキーが毒を飲むように仕向けた。 ということなのかな。 このようなレーン氏のキャラ付けが、悲劇シリーズに通底しているのかも。
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まさかでしたね。 そう来ましたか、エラリイ先生。 先生の発想には頭が下がります。 人物までもがクルッテイル方々なので、 犯人は誰が犯人かはわかりづらいです。 だけれども、この手の作品ではよく使われる 手法からすると必然的に絞られます。 しかし、レーン氏はらしくなかったですね。...
まさかでしたね。 そう来ましたか、エラリイ先生。 先生の発想には頭が下がります。 人物までもがクルッテイル方々なので、 犯人は誰が犯人かはわかりづらいです。 だけれども、この手の作品ではよく使われる 手法からすると必然的に絞られます。 しかし、レーン氏はらしくなかったですね。 あんなしょぼくれたレーン氏は かわいそうでもありました。
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クイーンの中でも個人的には低い評価の作品です。 面白い論理展開もないし、屋敷や家族の暗い描写も他の作家と比べて稚拙に感じました。
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ドルリー・レーン4部作の2作目。 ミステリ史上の傑作だと言われるだけあって、論理性、意外性、重厚な雰囲気などすべてにおいて素晴らしい。 論理的に考えていくと犯人は特定されざるを得ないわけだが、誰がこの結末を予測しえようか。 考えれば考えるほど、クイーンの罠にはまっていってしまう。...
ドルリー・レーン4部作の2作目。 ミステリ史上の傑作だと言われるだけあって、論理性、意外性、重厚な雰囲気などすべてにおいて素晴らしい。 論理的に考えていくと犯人は特定されざるを得ないわけだが、誰がこの結末を予測しえようか。 考えれば考えるほど、クイーンの罠にはまっていってしまう。 推理することの喜びを感じることのできる作品。
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名作の誉れ高い作品だけれども、あまり響いてこなかった。 物語の導入部分や、ハッター家の紹介のところなどは、いったいこの家族に何が起こるのだろうとかなりワクワクしたのだけれど、その後、期待していたほどの広がりは見せなかった。 登場人物に魅力が感じられないということや、差別的な描写や...
名作の誉れ高い作品だけれども、あまり響いてこなかった。 物語の導入部分や、ハッター家の紹介のところなどは、いったいこの家族に何が起こるのだろうとかなりワクワクしたのだけれど、その後、期待していたほどの広がりは見せなかった。 登場人物に魅力が感じられないということや、差別的な描写や発言が多いことや、探偵役のレーンの価値観や行動に共感出来ないところ、などなどが読後にさっぱり納得感がなかった理由だと思う。 しかし、謎解きの部分の構成は、とてもよく出来ていると思った。伏線や材料はきちんと、作品の中に余すところなく提示されているし、読者との情報共有の仕方も非常にフェアだ。この、予想をはるかに上回る見事さには驚いた。 意味不明な騙しうちのようなことはなく、種明かしの過程での論理的整合もきちんとしていて、少なくとも、「なんじゃこりゃ!」という憤慨はまったくない。この点について言えば、読む価値は充分にある。 これで、謎解き以外の部分も含めて感動できていれば、間違いなく「好きな本」のリストに入っていたと思うのだけれど、物語全体で考えると、感覚的に、あまり好きになれる作品ではなかったのは残念だ。 この家こそ、一世代にわたってとかくの評判を生んだ後、以前に起こった事件などはすべて、偉大なドラマのほんの序幕にすぎなかったと思われるほど苛烈きわまりない悲劇の舞台となる運命をもっていたのだ。(p.34) あなたは、ご自分の職業道徳をこの上なく忠実に履行なさってこられたのです。だが、それと同時に、いま人間の道そのものが、思いきった措置をとるように迫っているのですよ。(p.292)
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ハッター家連続殺人事件。 自殺した当主の夫。卵酒による毒殺未遂、なしに注射された毒。 夜中に殺害された当主ハッター夫人、凶器に使われたマンドリンの謎。 爆発した薬品庫。 2002年2月18日再読
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