りかさん の商品レビュー
『りかさん』→『からくりからくさ』の順に読むのをおすすめ。人間相関図がすんなり(でも無いけど)頭に入る。
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題材が日本人形の児童文学って珍しいよね、素敵だ。素朴で純朴なストーリーと癖のあるキャラクタ(雛人形とか)がもろツボでした。梨木香歩さんはハズレがないから良いなー。
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レビューはブログにて。 http://tempo.seesaa.net/article/26193764.html
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からくりからくさの続編。 前作では見えてこなかった部分が本作では出ています。 2006-08-30 12:36:30
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ようこは自分の部屋に戻り、箱を見た。お人形のおいてあった下には、着替えが幾組かたたんであり、さらにその下のほうにもう一つ、箱のようなものが入っている。開けると、和紙にくるまれた、小さな食器がいくつか、出てきた。「説明書」と書かれた封筒も出てきた。中には便せんに、おばあちゃんの字で...
ようこは自分の部屋に戻り、箱を見た。お人形のおいてあった下には、着替えが幾組かたたんであり、さらにその下のほうにもう一つ、箱のようなものが入っている。開けると、和紙にくるまれた、小さな食器がいくつか、出てきた。「説明書」と書かれた封筒も出てきた。中には便せんに、おばあちゃんの字で、つぎのようなことが書いてあった。『ようこちゃん、りかは縁あって、ようこちゃんにもらわれることになりました。りかは、元の持ち主の私がいうのもなんですが、とてもいいお人形です。それはりかの今までの持ち主たちが、りかを大事に慈しんできたからです。ようこちゃんにも、りかを幸せにしてあげる責任があります。』…人形を幸せにする?…どういうことだろう、ってようこは思った。どういうふうに?梨木香歩・最新ファンタジー。
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からくりからくさの後にこれを読んだのですが、本当はどっちが良かったんだろう。でも蓉子のりかさんへの思いが理解できて目から鱗でした。
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人形が意思を持ったら? 永遠とも言える命を持つ人形の、ずっと抱き締めてきた思い出を知る力を持ったら? 子供向けに書かれていはいるけれど、その内容の深さには驚かされる。しんしんと胸を打つ。 この本を読む度に「児童文学」というジャンルの名の付け方は間違ってると思わずにはいられ...
人形が意思を持ったら? 永遠とも言える命を持つ人形の、ずっと抱き締めてきた思い出を知る力を持ったら? 子供向けに書かれていはいるけれど、その内容の深さには驚かされる。しんしんと胸を打つ。 この本を読む度に「児童文学」というジャンルの名の付け方は間違ってると思わずにはいられない。 続編『からくりからくさ』と併せて読むのがお勧め。
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本屋であらすじを見て、りかさんとようこの出会いが面白かったので買ってみたものです。たしか、高1の夏。 りかさんだけに限りらず、梨木さんの本はどんな世代にも読みやすいのではないでしょうか。なのに、普段気づけない”簡単なようで難しいこと”を教えてくれます。りかさんであるなら、生きとし...
本屋であらすじを見て、りかさんとようこの出会いが面白かったので買ってみたものです。たしか、高1の夏。 りかさんだけに限りらず、梨木さんの本はどんな世代にも読みやすいのではないでしょうか。なのに、普段気づけない”簡単なようで難しいこと”を教えてくれます。りかさんであるなら、生きとし生けるもの、自分が普段から使っているものに、愛情を持って接する、といったところでしょうか。 言葉では上手く表せませんが、りかさんから多くのことが学べました。文章表現も簡単でそんなに長い物語でもないので、興味がある人は一度手にとって見てください。
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今回も付箋、たくさん付きました。 ◆ おばあちゃんがようこに語る場面 『・・・・人形の本当の指名は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露に返すようにね』 ◆ 人形の役目を知ったようこが、今まで粗末にしてしまった...
今回も付箋、たくさん付きました。 ◆ おばあちゃんがようこに語る場面 『・・・・人形の本当の指名は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露に返すようにね』 ◆ 人形の役目を知ったようこが、今まで粗末にしてしまった人形たちに対して後悔している、とおばあちゃんに言うと 『それはそれで、その人形たちは役目を終えたんだよ。人形遊びをしないで大きくなった女の子は、疳が強すぎて自分でも大変。積み重ねてきた、強すぎる思いが、その女の人を蝕んでいく』 それはほんとそう思う・・今年のお正月の新聞を見て、女性議員が少子化対策について書いていたのを読み、思わずメールしちゃったのを思い出した。 確かに金銭的に援助したり、生まれた子供を働く女性の代わりに見る場所を増やすことも有意義だとは思うけど、物の真髄はそこではないんじゃないかと・・・ 金銭的に大変で子供を生まない家庭も確かにあるだろう・・だけど本当にそうかな・・・ 私はふと、女性が子供を生みたくないような育ち方をしているような気がするのですよ・・・ おもちゃ屋さんから人形売り場が減った・・代わりに、違った嗜好の人形を売るお店が増えた・・人の趣味に水をさすつもりはないけど、世の中、なんか変わった・・・ 男の子は風呂敷を首に巻いて、新聞紙を丸めた刀を持っていた時代、女の子はママー人形を紐で背にくくっていた時代・・それぞれの役目を自然に果たしていたような気がする・・ と言っても、私はゲイを否定するわけではない。これは本人のせいではないから仕方ないこと。 かと言って、女の子に人形遊びを無理強いしても意味のないこと・・自然じゃない・・・ 21の長女のベッドサイドに最近、人形がいくつかあるのに気がついた。 それはいわゆるぬいぐるみの域のちょっと変わった人形(ひとがた)ではないのだけど、私は彼らが長女の業を吸ってくれるといいと思う。 この本の話を長女にしたところ、心当たりがあると言う。 『必要になったんだね』と話した。 それが今だったとしても、私は良いと思う。 人の成長には時期があるものだから・・・ ◆ 道端の朽ちて切り倒された桜の老木の供養だと草木染めをするおばあちゃんとようこの会話 『・・・草木で染めたのと、普通のTシャツとかの色とは、随分違うよねえ。どうして?』 『それは化学染料と植物染料の違いだ。化学染料の場合は単純にその色素だけを狙って作るんだけど、植物のときは、媒染をかけてようやく色を出すだろう。頼んで素性を話してもらうように。そうするとどうしても、アクがでるんだ。自分を出そうとするアクが出る、それは仕方がないんだよ。だから植物染料はどんな色でも少し、悲しげだ。少し灰色が入っている。一つのものを他から見極めようとすると、どうしてもそこで差別ということが起きる。その差別にも澄んだものと濁りのあるものがあって・・・おまえ澄んだ差別をして、ものごとに区別をつけて行かなくてはならないよ』 深い・・実に深い・・小学生の子供相手にこういうことを話して聞かせられるお年寄りになりたい・・ どうしたらよいのか?と問うようこに『自分の濁りを押し付けない。どんな差や違いも”かわいい”ってまず思うのだと教える。 同じ草でも木でも、眺めている景色、愛でられている年月、取り巻いている空気で一つとして同じ経験を積む草木はないのだから、出るアクも、出す色目も違って当たり前・・・ そして出会う媒染によって醸し出す色が違うってことも頷ける・・・人の思い出や人格にも似ている・・・ 学生時代通っていた美大の教室から学食に行くのに、染めの教室の前を必ず通った。 染めの教室に近づくと、いつも酢のようなツンと酸っぱい匂いが鼻をついた。 あの頃はそれがあまり好ましくない匂いだったけど、子供たちが独立して、一年の半分を軽井沢で過ごせるようになったら、染めの勉強をして草木の素性をそっと聞き出してみたい・・ってすごく思った。 あそこなら、どんなに酸っぱい匂いを出しても誰にも怒られない! 草木や花の素性を糸に染め上げ、機織で布に織り上げてみたい・・・ 無心になって草木の素性を織り上げる語り部のおばあちゃんがアタシ・・・ また一つ、やりたいことが増えちゃったじゃないね^_^;
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みんなが持っているからと言う理由で、自分もリカちゃんが欲しい!とおばあちゃんに頼んだようこ。しかし、おばあちゃんが贈ってくれたのは、”リカちゃん”人形とは似ても似付かない、黒髪の市松人形だった。名前は「りか」 こんなはずではなかったと落ち込むようこだったが、箱から出してあげないと...
みんなが持っているからと言う理由で、自分もリカちゃんが欲しい!とおばあちゃんに頼んだようこ。しかし、おばあちゃんが贈ってくれたのは、”リカちゃん”人形とは似ても似付かない、黒髪の市松人形だった。名前は「りか」 こんなはずではなかったと落ち込むようこだったが、箱から出してあげないと可愛そうかなと思い直し、りかを抱き上げたところから、不思議な事に気がついた。 りかちゃんは、心を通わせる術を持っているのだ。 「私のことを、りかさん、と呼んでくださらない?」 梨木さんの物語には、頻繁に多くの草木の名前が出てくると、これを読みながら気がついた。『西〜』も『裏庭』も、どれも”庭”、”緑”、”自然”などが出てきて、この『りかさん』も例に漏れず、自然の様と人の心が対応する物語展開。そして、主人公は年若く、大体が少女。その視点から見た大人の様が描かれ、そして子供にとってすっぽりと包み込む暖かさを持った大人が一人は出てくるようで。まだこれ以外の作品を読んでいないので、全部にとは言えないのですが。こういったポイントが理由なのか、梨木さんの作品は児童文学好きの私にはとても親しみやすい感じがする。 『りかさん』は、人形であるりかさんを媒体として、主人公のようこが人形の言葉を聞き、人形の役目を知り、人形の必死に守ろうとしてきた物を見ることを通じて、様々な人の人生を疑似体験してゆく物語。自分の定められた役目を悲しいまでに果たそうとする人形もいれば、雛壇の中で爪弾きにされて居場所を無くしそうな男雛もいるユニークさ。そんな人形達との出会いを通じて、そしておばあちゃんの紡ぐ言葉を、身を以て体感することで、ようこの”言葉”と”心”の世界が成長して行く様が素敵だなと思う。ようこの身の回りの環境(特におばあちゃんの存在)が、なんて良いのだろうと思う一方で、その素敵な環境の中で、まわりの発する言葉や感情を自分の内に素直に取り込むことの出来るようこに驚かされ、素直に凄いと思える。じん・・・とくる、面白い話を読みたいときにお薦め。
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