時雨みち の商品レビュー
この短編集について…
この短編集については、前に一度表題作の「時雨みち」についてレビューを書いたが、紹介し切れなかったのでもう一度レビューに載せます。「山桜、おさんが呼ぶ、おばさん、盗み食い、幼い声」これらの短編は皆、藤沢周平の作品には少ない、女をテーマにした作品である。桜の枝を手折つてくれた武士が...
この短編集については、前に一度表題作の「時雨みち」についてレビューを書いたが、紹介し切れなかったのでもう一度レビューに載せます。「山桜、おさんが呼ぶ、おばさん、盗み食い、幼い声」これらの短編は皆、藤沢周平の作品には少ない、女をテーマにした作品である。桜の枝を手折つてくれた武士が、昔の縁談の相手であることがわかり、恵まれぬ現況の中で、密かに芽生えてくる恋心(山桜)。苦界に身を落としながらも、毅然として幼馴染の男たちの同情をはねつける(幼い声)。もう若くはない女が、一緒に暮らした男に裏切られ、捨てられる悲し
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一話完結の短編集であ…
一話完結の短編集である。それぞれに深い味わいがあり、秀作ぞろいである。「時雨みち、帰還せず、飛べ、佐五郎、山桜、盗み喰い、滴る汗、幼い声、夜の道、おばさん、亭主の仲間、おさんが呼ぶ」の12短編を収める。表題作「時雨みち」について書く。辛い、寂しい、たそがれ、悔恨といったイメージが...
一話完結の短編集である。それぞれに深い味わいがあり、秀作ぞろいである。「時雨みち、帰還せず、飛べ、佐五郎、山桜、盗み喰い、滴る汗、幼い声、夜の道、おばさん、亭主の仲間、おさんが呼ぶ」の12短編を収める。表題作「時雨みち」について書く。辛い、寂しい、たそがれ、悔恨といったイメージが伝わってくる「時雨みち」である。このイメージを持つ小説を書かせたら、藤沢の右に出るものはいない。人生の寂しさや、哀歓を実にさり気なく引き出し、読者の心の中に余韻を残して、小説は終わる。『暗い空に、まだ雨の気配が動いているのを感じな
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1984(昭和59)年発行、2007(平成19)年改版、新潮社の新潮文庫。11編。『おさんが呼ぶ』声が出ない(出せない)理由と声が出るようになる理由がすごい。そしてその後がどうなるのか。『亭主の仲間』などのように暗い未来を暗示されつつも「解決のない」(解説の言葉)物語がよい。 ...
1984(昭和59)年発行、2007(平成19)年改版、新潮社の新潮文庫。11編。『おさんが呼ぶ』声が出ない(出せない)理由と声が出るようになる理由がすごい。そしてその後がどうなるのか。『亭主の仲間』などのように暗い未来を暗示されつつも「解決のない」(解説の言葉)物語がよい。 収録作:『帰還せず』、『飛べ、佐五郎』、『山桜』、『盗み喰い』、『滴る汗』、『幼い声』、『夜の道』、『おばさん』、『亭主の仲間』、『おさんが呼ぶ』、『時雨みち』、解説:「解説」岡庭昇(昭和59年4月、文芸評論家)、他:昭和56年4月青樹社より刊行、
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2023/11/26 読了 市井もの短編集。え、その後どうなったの?という終わり方の話が多い。無用の殺しで隠密の素性がバレそうになるが、その後どうなるで終わる「滴る汗」など。より現実に迫っている、と解説されているが・・・
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藤沢周平の短篇時代小説集『時雨みち』を読みました。 『三屋清左衛門残日録』に続き、藤沢周平の作品です。 -----story------------- あの時あの女と添い遂げていれば……。 捨てた女を妓楼に訪ねる男の肩に、時雨が降りかかる。 取り返しのつかない時の流れを刻む珠玉...
藤沢周平の短篇時代小説集『時雨みち』を読みました。 『三屋清左衛門残日録』に続き、藤沢周平の作品です。 -----story------------- あの時あの女と添い遂げていれば……。 捨てた女を妓楼に訪ねる男の肩に、時雨が降りかかる。 取り返しのつかない時の流れを刻む珠玉の藤沢文学11編。 にがい思い出だった。 若かったとはいえ、よくあんな残酷な仕打ちが出来たものだ。 出入りする機屋の婿養子に望まれて、新右衛門は一度は断ったものの、身籠っていたおひさを捨てた。 あれから二十余年、彼女はいま、苦界に身を沈めているという……。 表題作「時雨みち」をはじめ、「滴る汗」「幼い声」「亭主の仲間」等、人生のやるせなさ、男女の心の陰翳を、端正な文体で綴った時代小説集。 映画化 山桜(2008年5月公開) ----------------------- 1979年(昭和54年)から1981年(昭和56年)に発表された作品11篇を収録した作品… 『夜の道』、『おさんが呼ぶ』、『時雨みち』は再読、『山桜』は、田中麗奈、東山紀之主演で2008年(平成20年)に映画化されており、1年半くらい前に観たことのある作品です。 ■帰還せず ■飛べ、佐五郎 ■山桜 ■盗み喰い ■滴る汗 ■幼い声 ■夜の道 ■おばさん ■亭主の仲間 ■おさんが呼ぶ ■時雨みち ■解説 岡庭昇 田中麗奈、東山紀之主演映画『山桜』の原作を収録… とり返しのつかない回り道をしてしまった――若くして不幸な結婚を二度経験した野江、、、 一度目は夫に死なれ、二度目の夫は、野江を出戻りの嫁と蔑んでいる… しかし二度も失敗することなどできず、耐え忍ぶ日々を送っていた。 そんなある日、山桜をひと枝折ろうと、爪先立って手をのばす野江の頭上から、不意に男の声がした… 「手折って進ぜよう」――薄紅いろの山桜の下、たった一度出会ったその男は……。 『山桜』をはじめ、全11作品を収録した時代小説集。 藤沢周平の短篇集はクオリティが高いですねー どの作品も面白かった! 特に主人公・野江や一途に野江のことを想う手塚弥一郎の生き方に共感でき、爽やかな読後感に好感が持てる『山桜』は大好きです。 それ以外で印象に残ったのは、 公儀隠密の厳しい生き方が強烈な読後感を残す『帰還せず』、 殺人は許されないことだけど… 因果応報の結末に納得してしまった『飛べ、佐五郎』、 汗が滴るほどの緊迫感… そして策を弄することにより、墓穴を掘ってしまった結末が忘れられない『滴る汗』、 幼い頃を思い出すシーンが、映像に浮かんできそうなほど鮮烈な『夜の道』、 解決のないエンディングが恐ろしさを増幅させる『亭主の仲間』、 明るい未来が予感できる結末が心地良い『おさんが呼ぶ』、 かなー どの作品も面白いんですけどね。
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藤沢周平「時雨みち」、1984.5発行。山桜、幼い声、夜の道、おさんが呼ぶ、時雨みち など11話。味わいはあるけど、せつない、やるせない話が多い。「飛べ、佐五郎」や「滴る汗」「おばさん」はダメな男だし、「亭主の仲間」は気持ちが悪い話。最初に紹介した5つの短編がお気に入り。特に、「おさんが呼ぶ」と「夜の道」。
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表題作『時雨みち』の物語展開は、藤沢周平ならではのものだと思う。 過去の過ちに向き合うことの勇敢さ、あるいは偽善性を言い立てるのではなく、取り返しのつかないことを胸に秘めて、それでも生きることの哀しさを物語る。 時雨みちを歩む主人公と同じように、読者も雨に打たれているように感じる...
表題作『時雨みち』の物語展開は、藤沢周平ならではのものだと思う。 過去の過ちに向き合うことの勇敢さ、あるいは偽善性を言い立てるのではなく、取り返しのつかないことを胸に秘めて、それでも生きることの哀しさを物語る。 時雨みちを歩む主人公と同じように、読者も雨に打たれているように感じる。 哀しいが、それでも生きることへの絶望を感じさせないのは、さすがの筆力だと思う。
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青樹社の単行本で。11篇の短編集だが、読後感幸・辛・幸・辛とテレコで並んでいるような感じ。個人的にはやはり”幸”のほうの「山桜」「おさんが呼ぶ」が好みであるが、どの作品も、ひとの過ちと後悔、苦さが通底していていい。
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久しぶりの藤沢周平作品。映画『山桜』を見て原作を読みたくなり手に取った。 収録された11の短編のうち、お気に入りは『おさんが呼ぶ』。 ぜい肉をそぎ落とした文章に、情景がありありと浮かぶ様は、さすがの藤沢作品。映画化を望みたい。 『山桜』については、キーマンとなる手塚弥一郎の出番が...
久しぶりの藤沢周平作品。映画『山桜』を見て原作を読みたくなり手に取った。 収録された11の短編のうち、お気に入りは『おさんが呼ぶ』。 ぜい肉をそぎ落とした文章に、情景がありありと浮かぶ様は、さすがの藤沢作品。映画化を望みたい。 『山桜』については、キーマンとなる手塚弥一郎の出番がほとんどないにも関わらず、その存在感が圧倒的。今更ながらに著者の手腕に驚いた。
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短編11編。 帰還せず/飛べ、佐五郎/山桜/盗み喰い/滴る汗/幼い声/夜の道/おばさん/亭主の仲間/おさんが呼ぶ/時雨みち すこしゾッとする話や、やりきれない話が多め。舞台はお江戸で、200年から昔の人間模様で、この本が書かれたのがだいたい40年そこら昔のこと。なのに今読んでる...
短編11編。 帰還せず/飛べ、佐五郎/山桜/盗み喰い/滴る汗/幼い声/夜の道/おばさん/亭主の仲間/おさんが呼ぶ/時雨みち すこしゾッとする話や、やりきれない話が多め。舞台はお江戸で、200年から昔の人間模様で、この本が書かれたのがだいたい40年そこら昔のこと。なのに今読んでる現代の私の胸の奥が、物語のなかの後悔や不首尾に共鳴してしまっていたりする。うまく生きられないねえ、いまもむかしもにんげんは、、、、 という溜息とともに閉じる、そんな読後感。となりのひとの話のようで、どこかに自分がいたようで。大人にオススメな短編集。
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