失敗の本質 の商品レビュー
・大東亜戦争を題材にして、日本が失敗した原因を検討している本です。 ・声の大きい人の意見が通る、人情論が強く戦略性に乏しい、攻撃目的が曖昧、「察する」ことを基盤とした意思疎通など「現代もその風潮が残っていません?」ということも書かれており、今の時代でも役立つ本だと思いました。 ...
・大東亜戦争を題材にして、日本が失敗した原因を検討している本です。 ・声の大きい人の意見が通る、人情論が強く戦略性に乏しい、攻撃目的が曖昧、「察する」ことを基盤とした意思疎通など「現代もその風潮が残っていません?」ということも書かれており、今の時代でも役立つ本だと思いました。
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2024年1月14日読了。大東亜戦争における日本軍の特徴的な6つの敗戦をケースにとり、日本軍がどのような失敗を犯し、それがどのような組織風土・文化からくるものなのか分析した古典的名著。1984年刊だが今日でもたびたび話題になる本、「なかんずく」とか言葉遣いは古く文章も重厚だが内容...
2024年1月14日読了。大東亜戦争における日本軍の特徴的な6つの敗戦をケースにとり、日本軍がどのような失敗を犯し、それがどのような組織風土・文化からくるものなのか分析した古典的名著。1984年刊だが今日でもたびたび話題になる本、「なかんずく」とか言葉遣いは古く文章も重厚だが内容が面白いのであっという間に読めた。そもそもの物資・国力の日米の差異が敗戦の主因であるのは確かなのだが、日本軍の「過度の楽観主義・精神主義」「人間関係・情緒が規則を上回る」「情報通信・補給の軽視」「状況変化に弱い」などなど本書で書かれる特質は、日本に生きる自分が所属してきた様々な組織においても顕著な特質であり、全く他人事・過去の一時点の出来事のようには思えない…。上記に加え、「現場からのフィードバックが上部に伝わらない」点は米国の機動的・合理的な組織運営に比較して、これこそが「失敗の本質」なのではないか、と感じるところ大。自分の所属してきた米国企業では「フィードバックが命」として、アンケートとか現場からのフィードバックをひたすら求めていたもんなあ…。戦争だから勝敗があるが、企業の場合はこれらの特質をもった企業であってもだらだらと生き続けられる、と考えると、この国の将来が心配でならない。
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第二次世界大戦の失敗から、組織のダメなところを論理的に説明してくれている名著でした。上官の言うことは絶対だと映画や本で目にするが、どうして逆らえない雰囲気になったのかを細かく分析してくれています。また、日本の敗戦を決定づけた6つの作戦それぞれを紐解き、失敗の共通項などを示してくれ...
第二次世界大戦の失敗から、組織のダメなところを論理的に説明してくれている名著でした。上官の言うことは絶対だと映画や本で目にするが、どうして逆らえない雰囲気になったのかを細かく分析してくれています。また、日本の敗戦を決定づけた6つの作戦それぞれを紐解き、失敗の共通項などを示してくれています。歴史と失敗、両方で深い学びが得られる一冊でお薦めです。ただ、内容が難しく、心が沈む内容も含まれているので元気な時に読んでください。
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当時の日本の陸軍や空軍はエリート集団だったはずだが、だからこそ官僚組織の悪い部分が醸成されてきたのだろう。 そしてそれが様々な決定をする局面で、戦略やデータより、精神論や面子、感情が優先されてしまった。 西南戦争でもあれほど精神より戦略や技術、装備が勝ることが実証されているはずな...
当時の日本の陸軍や空軍はエリート集団だったはずだが、だからこそ官僚組織の悪い部分が醸成されてきたのだろう。 そしてそれが様々な決定をする局面で、戦略やデータより、精神論や面子、感情が優先されてしまった。 西南戦争でもあれほど精神より戦略や技術、装備が勝ることが実証されているはずなのに、日露戦争で無謀な肉弾戦を続けた乃木希典が神格化されたように、大和魂という言葉が心の拠り所になってしまうのは、今も変わらない。 軍隊だけでなく、日本の組織の現在の問題点がここにある。
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戦争の凄惨さや情景が頭に浮かんでしまって苦しかった。日本軍の妄信的なところは他の国からすると信じられない程の脅威だったのだろうけれど、それが弱みでもあったんだなあ。 組織として情報収集、上下・横のコミュニケーションは必要な要素で、それは自分が所属する組織でも感じるところ。私達は命...
戦争の凄惨さや情景が頭に浮かんでしまって苦しかった。日本軍の妄信的なところは他の国からすると信じられない程の脅威だったのだろうけれど、それが弱みでもあったんだなあ。 組織として情報収集、上下・横のコミュニケーションは必要な要素で、それは自分が所属する組織でも感じるところ。私達は命がかかっていなくとも何かをやり遂げることをさぼるけれど、戦場にいる人達は死地に向かうと解っていても向かうしかなかった。この遂行する力もとっても大切だと思う。
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ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦の6つの戦いを検討し、共通する失敗要因を析出し、その原因を分析する。 「日本軍の失敗の過程は、主観と独善から希望的観測に依存する戦略目的が戦争の現実と合理的論理によって漸次破壊されてきたプロ...
ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦の6つの戦いを検討し、共通する失敗要因を析出し、その原因を分析する。 「日本軍の失敗の過程は、主観と独善から希望的観測に依存する戦略目的が戦争の現実と合理的論理によって漸次破壊されてきたプロセスであったということができる。」(274頁) 「組織学習には、組織の行為と成果の間にギャップがあった場合には、既存の知識を疑い、新たな知識を獲得する側面がある......その場合の基本は、組織として既存の知識を捨てる学習棄却......つまり自己否定的学習ができるかどうかということなのである。」(369頁) 「日本軍の最大の失敗の本質は、特定の戦略原型に徹底的に適応しすぎて学習棄却ができず自己革新能力を失ってしまった、ということであった。」(395頁)
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少し古い漢字が使われていることまた、内容も難解であることから、非常に読みづらい。一度では完全に理解できない内容だった。ただ、当時の日本軍の戦略や行動などは現代の企業の経営にも通じるところが多く、学びは多い。
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負けが自明な無謀な作戦を実行した組織背景が分かりやすく解説されている。今の組織にも通じる論理であり、読んでて胃が痛くなる。
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日本の陸海軍が敗れた6つの作戦を考察・分析。共通点を導き出してその失敗の本質を論じている。 過去の成功体験への固執が自己変革の妨げになるということは組織のみならず個人にも当てはまると思った。学習棄却の重要性。自分にもそういうところはないかと考えさせられた。
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日本軍の失敗(敗戦)から今日でも通用する原理原則を抽出し、解説する良書。 前半は太平洋戦争の一連の各事件における戦略的な失敗を史実に基づき、解説。実際の事件の詳細も教えてくれるので、歴史を学ぶ上でも非常に役立った。また、各事件での考察も交えているので、短編的に読むこともでき、読み...
日本軍の失敗(敗戦)から今日でも通用する原理原則を抽出し、解説する良書。 前半は太平洋戦争の一連の各事件における戦略的な失敗を史実に基づき、解説。実際の事件の詳細も教えてくれるので、歴史を学ぶ上でも非常に役立った。また、各事件での考察も交えているので、短編的に読むこともでき、読みやすかった。 後半はそれらの事件からの本質を抽出し、日本軍にそもそも欠けていたものを組織論的に解説。 日本軍は日露戦争から始まる成功事例からのみ、その学びを抽出し、集団主義(人的ネットワークの間柄を重視)するあまり、失敗から学ぶことはしなかった。(失敗は得てして、誰かに責任を問うことになるから。) また、そういった集団主義から、コミュニケーションに抽象性が都度混じることで、相手にその意図を汲ませることに期待するコミュニケーションになっていた。(空気読め、的な) 事例から一般法則を導き出す帰納法的な考え方に囚われ、原則から事例に落とし込むことができなかったために、欧米に負け、かつ、通常であれば、帰納法・演繹法、双方からの学び(ダブルループ)ではなく、ひたすら事例を積むことで学ぶ(シングルループ)のみに終始。※インクリメンタルと著書は説明。 その結果、環境に適応できず、自己革新力(自己否定)ができなくなった。この点、環境に適応しすぎて、環境能力が無くなった、という表現が面白かった。(ガラパゴス化に通ずるところが) 陸軍は仮想敵国をロシアとし、海軍は仮想敵国をアメリカとし、それぞれが分化した結果、縦割り組織になって、大本営も統合権限をなかったので、一緒に協力しよう、という努力義務で結局実現できなかった。 (自己革新力には統合と分化が必要) 分化と統合→自己革新力、 仮説から結論、実践から仮説、双方のアプローチ、 人情に依らない人的な関係性や組織評価制度、 科学的合理性にも寄った判断の重要性、 この一冊から学ぶことは多かった。 (戦後の企業隆盛が戦争による旧来日本の否定によってできた、というのがとても皮肉的。。。)
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