峠 改版(上) の商品レビュー
R1.11.15 読了 個人的な話で恐縮だが、大学で日本史学を専攻するくらいには歴史は好きなのだが、その割には歴史小説は殆ど読んだことがなく、司馬遼太郎も小学校の図書館にあった漫画版「竜馬がゆく」以来で、小説は初めて読んだ。 割と読み応えがあるように感じるのに、スラスラ読める感...
R1.11.15 読了 個人的な話で恐縮だが、大学で日本史学を専攻するくらいには歴史は好きなのだが、その割には歴史小説は殆ど読んだことがなく、司馬遼太郎も小学校の図書館にあった漫画版「竜馬がゆく」以来で、小説は初めて読んだ。 割と読み応えがあるように感じるのに、スラスラ読める感じ 上手く読ませるなぁという印象 さて、本書の感想だが、 主人公継之助の考え方は、自分と正反対で、興味深く思うとともに、彼が江戸幕政300年の中で培われた事なかれ主義について痛烈に批判している様は、事なかれ主義万歳の私個人の生き方についても痛烈に批判させれている様な気がしてハッとさせられる。 人の世は自分を表現する場なのだ なんて言葉も、私個人は思ったこともない。 信念にのみ基づき前だけを見ている継之助の人柄・生き様は、ある意味でとても眩しく思え、彼が数奇な目で見られながらも人を惹きつける人物として描かれることに納得するとともに、いつの間にか、読者である自分自身も引き込まれているのであった。 中・下 でどんな展開が訪れるのか、読むのが待ち遠しい 最後に、継之助の言葉で私が気に入った一文を、開き直りながら引用したい 「そういう小器量の男に生まれたものは幸福であると言う。自分の一生に疑いももたず、冒険もせず、危険の縁に近づきもせず、ただ分を守り、妻子を愛し、それなりで生涯を過ごす。」
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著者の言う通り、前半は継之助の奇人ぶりと、世界を知るための女巡礼とも言うところ。 志を持って生きることは感心するが、ヨーロッパ人が日本の欠点を、好色の風俗とそれに対する道徳的鈍感さであると指摘した事、150年以上経って、やっと理解しつつあるが、まだ同じである事に、恥ずかしくも思う...
著者の言う通り、前半は継之助の奇人ぶりと、世界を知るための女巡礼とも言うところ。 志を持って生きることは感心するが、ヨーロッパ人が日本の欠点を、好色の風俗とそれに対する道徳的鈍感さであると指摘した事、150年以上経って、やっと理解しつつあるが、まだ同じである事に、恥ずかしくも思う。
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久々の司馬小説。 竜馬がゆくとはまた違った切り口から幕末が語られるのが面白い。 この上巻を読んだ限りで、坂本龍馬と一番違うなと感じたのは、幕府・藩という組織の傘の中で考えることが多い点。いくらぶっ飛んだ思考の持ち主でもその枠から出ることは容易ではなかったんだなという辺りに、ある...
久々の司馬小説。 竜馬がゆくとはまた違った切り口から幕末が語られるのが面白い。 この上巻を読んだ限りで、坂本龍馬と一番違うなと感じたのは、幕府・藩という組織の傘の中で考えることが多い点。いくらぶっ飛んだ思考の持ち主でもその枠から出ることは容易ではなかったんだなという辺りに、ある種自己投影しながら読める。笑
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河井継之助なる人物が主役となっている作品 そこまで有名な人物ではないですよね? 私はこの作品を読むまで知らなかったです そして、おそらくですが今後も覚えていないかも知れない というのは私だけで結構有名な人なのかも知れない Wikiを見ても結構な量が書かれている そして彼につい...
河井継之助なる人物が主役となっている作品 そこまで有名な人物ではないですよね? 私はこの作品を読むまで知らなかったです そして、おそらくですが今後も覚えていないかも知れない というのは私だけで結構有名な人なのかも知れない Wikiを見ても結構な量が書かれている そして彼について書かれた文献もかなりあるようです ドラマにもなった事があるらしい 河井継之助は越後のお侍さん 頭が良いというよりも行動派で、知識をもって弁が立つというよりも、常に自分の頭で物事を突き詰めて考えて正しいと思う道を突き進むタイプ 知見を求めて江戸に出たいと藩のお偉いさんに相談 藩側としては河井継之助の能力はある程度認めているものの、突飛な行動を取りがちと判断 そういった人物を江戸に行かせて、有力なお偉いさんと揉め事を起こしたら藩自体の問題になると尻込みをするが、最終的には許可される 江戸ではとある塾に通うが、勉強についての考え方が他の人と違う事等から軋轢を生みつつも何人かとは上手くやりながら時を過ごす 女を買ってばかりいた事も人から低く見られる点だった とある人物に会いたくなり、別の場所に向かう そこでも勉強をしつつ女を買いつつというような感じ なんだろう ある程度の史実を小説にしているというだけなのだろうけれども面白みはあまり無いと思う ただ、河井継之助という人物の英雄感はある 中巻や下巻もあるようなので読み進める
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河井継之助という歴史上の人物の行動を通じながら、その時代の政治的背景、人間の心理などを考えさせられる。ただ単に歴史小説というカテゴリーにとどまらない。 難しそうで、読みやすくしてくれている司馬遼太郎さんの文体に感謝の一冊。
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長岡藩士、河井継之助の物語。 なんとしても江戸へ出府し、諸国を遊歴したいと望む継之助は、牧野家の首席家老稲垣平助に、毎日毎日しつこくその許しを請いに行く。何度あしらわれようとも、目的を果たすまで通い続け、ついに根負けさせて許しを得る。 雪深い越後長岡から、江戸へ出るのに、春までまたずにわざわざ雪の中を一人出発する。 世は朱子学が盛んであるというのに、彼だけは陽明学を行動の規範とする。 上中下の三巻のうちの上巻冒頭の描写では、偏屈者のにおいが濃厚(笑)。そういうわけでネットで顔写真の画像を検索してみたところ、思わずうなづいてしまった。 小説の中でも大変な自信家である。そしてまた強気である。相手が誰であろうと自分の主張を曲げることはまずない。また相手を睥睨するような性格も見え隠れし、手放しでは好きになれないタイプだ。 しかし、その実行力は非常に優れていると感じる。これも陽明学をよりどころとしている一つの表れのようだ。 上巻では、江戸へ出て古賀謹一郎の私塾に学び、それに飽きたりず備中松山藩の山田方谷のもとへ旅立つ河井が描かれている。彼は自ら人を求めていく。 横浜では、当時の通訳の第一人者福地源一郎との接点を作り、時世の情報を収集する。また、方谷訪問の道中に偶然出会った吉田松陰門下の吉田稔麿と対話し、美濃では大垣の財政再建で名をあげている小原鉄心を訪れ、また恩師・斎藤拙堂に会いにいく。 「拙堂先生は学者であり能吏であるが、おしむらくは思想がない。思想がないがため、将来を予言することはできぬ」と師に対しても手厳しい。が、師を超えようとする素直な思いであろうとも思える。 桜田門外の変で大老井伊直弼が暗殺され、幕府の勢力が衰えていく時勢の中で、徳川三河系列の越後長岡藩の将来を見すえる継之助が、徐々に頭角を現してきた。
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「おれは知識を掻きあつめてはおらん」 せっせと読んで記憶したところでなんになる。知識の足し算をやっているだけのことではないか。知識がいくらあっても時勢を救済し、歴史をたちなおらせることはできない。(p.53上) 継之助の知りたいことは、ただひとつであった。原理であった。 歴史や世界はどのような原理でうごいている。自分はこの世にどう存在すればよいか。どう生きればよいか。 それを知りたい。知るにはさまざまの古いこと、あたらしいこと、新奇なもの、わが好みに逆くもの、などに身を挺して触れあわねばならぬであろう。(p.193上) 「いま日本は攘夷さわぎの渦中にあるが、しかし10年後にはすべてが洋式になる。それが、文明(ということばは使わなかったが)の勢いというものだ。勢いというものは山から落ちる水のごとく、なにものにも阻まれぬ」(p.419上)
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下巻まで読了。3週間くらいかな。 上巻は退屈なほど。でもだからこそ、後半の彼の行動にもついていけるのだろうなあ。
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河井継之助のことを全然知らずに読む。 薩長土側(クーデター側)を痛快に書いた作品群とは異なり、政権側(但し末端)の視点の本作は、大企業に勤める組織人として感情移入しやすく、大変おもしろい。主人公の顛末を知らないだけに中下を読むのが楽しみ。
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久しぶりに痛快な、作品を読んだ。幕末だから、活躍できたともいえるが、先を見る力が尋常ではない。最近の売れ筋の本と比べると凄く楽しめる作品。主人公の継之助を私が、全く知らなかったから、余計楽しめたのだろう。
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