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新史太閤記(下) の商品レビュー

4.2

88件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2020/11/09

豊臣秀吉、この男の後年は暗い。今まで抑えてきた感情を年老いて抑えることが出来なくなり、朝鮮出兵などを無謀をおこす。 司馬遼太郎は秀吉の辞世の句でこの、物語に幕を下ろす。 露と置き露と消えぬる我が身かな     浪華のことも夢のまた夢 まさに夢ような話だ。 織田信長がいなくな...

豊臣秀吉、この男の後年は暗い。今まで抑えてきた感情を年老いて抑えることが出来なくなり、朝鮮出兵などを無謀をおこす。 司馬遼太郎は秀吉の辞世の句でこの、物語に幕を下ろす。 露と置き露と消えぬる我が身かな     浪華のことも夢のまた夢 まさに夢ような話だ。 織田信長がいなくなってなら、柴田勝家との戦い、そこで発揮される人並みはずれた知略と人誑しの才能で、天下人となるのだか。 徳川家康を上洛させて物語が終わる。 秀吉の人誑しの才能と並々ならぬ精神の強さ、智略、それらを駆使して掴んだ天下人の地位。 だから、この終わりでいいのだ。

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2020/09/19

全国統一のグランドデザインを、日本を経済圏として見ていたのは、武将ではない秀吉ならではの発想なのだろう。してみると、商人上がりの斎藤道三では時代が早すぎたし、織田信長は既成概念にとらわれない頭脳の持ち主とはいえやはり大名であり武士であるから、秀吉のような構想を持ちえたかどうか疑問...

全国統一のグランドデザインを、日本を経済圏として見ていたのは、武将ではない秀吉ならではの発想なのだろう。してみると、商人上がりの斎藤道三では時代が早すぎたし、織田信長は既成概念にとらわれない頭脳の持ち主とはいえやはり大名であり武士であるから、秀吉のような構想を持ちえたかどうか疑問だ。まさに歴史の要請があるところに、例を見ない上昇志向の持ち主がいて、しかも異常なまでのバイタリティと先見の明を持っていて、血縁や家柄であるとか、個人ではどうしようもない概念のような困難なものまで含んだそれまでの世の中の仕組みを、実際に変革していくだけの行動力を持った男がここに誕生していて、それにいろいろな偶然が重なりながら歴史が変わっていくことの妙。外交と経済で日本を統一していく太閤秀吉のスタイルには信長の残した資産が必要であったし、最終的に統一国家を継承する徳川家康は秀吉が造り上げた世界がなければ長期政権は無しえなかっただろう。すべてが筋書きのようですらある。主人公をファンタジーのように描くのではなく、とはいえ、妙に現代ビジネスマンのように描くのでもなく、歴史上の人物を同時代の人間が物を感じ物を考える人のように描く作者の人間描写が好きだ。

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2020/08/11

人生を狂言の如く、強く生き抜いた秀吉。 出生の卑しさを物ともせず、出世の道を一人の努力と才能とセンスで切り開き、日本一の栄華を極めた者の心の光と影を、筆者は優しさで包み込むようにして描いていた。文末の辞世の句が胸に染みる。 露と置き露と消えぬる我が身かな        浪華のこ...

人生を狂言の如く、強く生き抜いた秀吉。 出生の卑しさを物ともせず、出世の道を一人の努力と才能とセンスで切り開き、日本一の栄華を極めた者の心の光と影を、筆者は優しさで包み込むようにして描いていた。文末の辞世の句が胸に染みる。 露と置き露と消えぬる我が身かな        浪華のことは夢のまた夢

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2020/07/26

司馬遼太郎の戦国三部作では一番面白い! 文庫本で上下巻程度の長さなので、1週間程度で読み終わるので、時間のない社会人でも一気に読めます。 秀吉の戦略眼の高さ、根回し、人間力など秀吉の良さがふんだんに描かれますが、同様に秀吉の上司・信長の魅力的に描かれてます。秀吉を介すると周り...

司馬遼太郎の戦国三部作では一番面白い! 文庫本で上下巻程度の長さなので、1週間程度で読み終わるので、時間のない社会人でも一気に読めます。 秀吉の戦略眼の高さ、根回し、人間力など秀吉の良さがふんだんに描かれますが、同様に秀吉の上司・信長の魅力的に描かれてます。秀吉を介すると周りも輝くのでしょうか。 このあたりが、光秀との違いのような気がします。 秀吉は晩節を汚したといわれますが、そのあたりは意図的にスルーされてます。でも、それでいいと思います。最後は、家康との和睦シーンで終わりますが、これが、なぜか泣きそうになりました。 読了して心地のいい、名作です。

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2020/07/15

下巻はいよいよ本能寺の変から本格的に秀吉が天下統一を果たしていくことになる。 信長という存在がある限り、秀吉の目的は信長を儲けさせる事。そのためなら信長から殴られようが蹴られようが、その目的のために事をなしていく。 ふと信長のやり方よりも自分のやり方のほうが上手くいくと思って...

下巻はいよいよ本能寺の変から本格的に秀吉が天下統一を果たしていくことになる。 信長という存在がある限り、秀吉の目的は信長を儲けさせる事。そのためなら信長から殴られようが蹴られようが、その目的のために事をなしていく。 ふと信長のやり方よりも自分のやり方のほうが上手くいくと思っても、そこは耐える。主君を裏切ってまで我を張らない。自分のほうが器が大きいと思っても。 それが信長という存在がいなくなる事で解放された時、秀吉の才能が爆発する。後半は秀吉の独り舞台。 天下を取るために、どのように相手に振る舞えばいいか。大名という土台がないだけに自分一人の才能が頼りになる。 不世出の天才の後半は描かれない。小説としてここで終わるのは残念だが、この後は秀長が没し歯止めが効かなくなる。これでいいと思う。

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2020/07/12
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※このレビューにはネタバレを含みます

家康に実母を人質として差し出し、大阪城に呼び出したところで終了。 朝鮮出兵とか、利休切腹とかは扱わない。 あとお市の方の話も、ほぼスルー。 人たらし。 中国大返し。 膠着した戦況打開のための「中入れ」。 別動隊を割いて動かすが、たいてい失敗する。 賤ケ岳の戦いや長久手の戦い。

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2020/07/08

一筋縄ではいかぬ徳川家康を懐柔し、上洛させようと策を練る秀吉の姿を圧巻にして幕が閉られます。家康が上洛して後、秀吉が没するまでの十三年間の醜悪な出来事を描かず、華々しく賑々しい生涯の絶頂期までを余韻を残して終わっています。読者としても爽やかな印象のまま読み終えられる【司馬遼太郎】...

一筋縄ではいかぬ徳川家康を懐柔し、上洛させようと策を練る秀吉の姿を圧巻にして幕が閉られます。家康が上洛して後、秀吉が没するまでの十三年間の醜悪な出来事を描かず、華々しく賑々しい生涯の絶頂期までを余韻を残して終わっています。読者としても爽やかな印象のまま読み終えられる【司馬遼太郎】作品ならではの読み甲斐のある歴史小説です。

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2020/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

司馬遼太郎を初めて読む。 千利休繋がりで豊臣秀吉のキャラクターに興味を持ち購入にてみたが、とても面白い。 司馬を読むとその主人公のファンになってしまうとどこかで読んだが、まさにこの期間は秀吉ファンとなってしまった!中村と言う土地の田舎の童が、僧に拾われたのをきっかけに商人を目指して、街に出る。その間、貧しく生きるのにも精一杯の中、なんとか様々な仕事先を得て、持ち前の賢さ、身のこなしの軽さ、そして計算高さ、またひょうきんに振る舞う術を活かした「人誑し」にて着実にのし上がっていき、最終的には天下も統一してしまう。 数々の武将が、秀吉の屈託ない姿に愛着が湧いてしまうように、私自身読んでいてもその処世術に引き込まれてしまう。彼の武運を象徴する水攻め戦法、信長の敵討ちとしての中国大返し、山崎の戦い、柴田勝家との乱など、一つ一つの調略、戦略自体も面白い。そして彼は働きっぱなしである。 ただ戦国時代は裏の裏を読まなければ死んでしまう、騙し合いの時代だなと思うと、なんて生きづらいときなんだろう。。

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2020/04/01

この時代に生き、名を馳せていく人間達の凄さを感じた。 死をこれほどまでに近いものとして見ているのは本当に凄い事だと思う。

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2020/03/27

【いちぶん】 ふと秀吉は、織田家に仕えた自分の生涯のふりだしのそもそもから狂言であったような気がした。その生涯を狂言の連想とすれば、なんとながい狂言であったことであろう。 (p.524)

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