ながい坂(下巻) の商品レビュー
今まで山本周五郎は読んだことがなかったが、本書を読んで、長く読まれてきた理由がわかった気がする。読ませるストーリーなのはもちろんのこと、物語を通して「人生」を書いている。少し物足りなかった点としては、主水正と両親、特に父との関係についてだ。最後の「自分は父親違う」と思いつつ父親と...
今まで山本周五郎は読んだことがなかったが、本書を読んで、長く読まれてきた理由がわかった気がする。読ませるストーリーなのはもちろんのこと、物語を通して「人生」を書いている。少し物足りなかった点としては、主水正と両親、特に父との関係についてだ。最後の「自分は父親違う」と思いつつ父親と同じ行動をとってしまっているシーンをもう少し掘り下げて書いて欲しかった。 ただ物足りない点があるとはいっても、それは些細なことにすぎない。折にふれて読み返すことになるであろう、数少ない書の1つになった。
Posted by
山本周五郎の晩年の作。そのせいか深みがあり、単純ないい話以上のものを感じる。善悪で事象を判断せず、人間のやることに大差はない、とするあたりや、単なる個人の成長物語とせず、年を経るごとに考え方が変遷していくあたりが、重厚感につながっていると思う。
Posted by
読み応えがある、重厚な作品。ここまで自分に厳しく生きる人がいるのか…。ラスト、兵部を真剣勝負で立ち直らせるところが圧巻だった。深いなぁ。
Posted by
結局別れてしまう彼女がかわいそうなのと、奥さんの開眼がちょっとエロイ。 でもラストの締まり方は素晴らしい。
Posted by
主人公の心の成長が身に染みてきます 。自分に置き換えてみて、つい考えさせられます。奥さんのつると主人公との関係が不器用で、結構好感が持てます。
Posted by
平侍出身の三浦主水正が城代家老まで立身出世する物語。 生きること、仕事すること、男であること、親子や夫婦であること、様々なことを考えさせられる。 特に、 「人間はどこまでも人間であり、弱さや欠点をもたない者はいない。ただ自分に与えられた職に責任を感じ、その職能をはたすために...
平侍出身の三浦主水正が城代家老まで立身出世する物語。 生きること、仕事すること、男であること、親子や夫婦であること、様々なことを考えさせられる。 特に、 「人間はどこまでも人間であり、弱さや欠点をもたない者はいない。ただ自分に与えられた職に責任を感じ、その職能をはたすために努力するかしないか、というところに差ができてくるだけだ。」 (P489) など仕事人としての行動指針を多く学んだ。
Posted by
ながい坂を上り続ける主人公。 割り切った考えを持ちつつ、時折苦悶に襲われる場面が印象的だった。 つるや谷先生の変化ぶりにびっくり。 展開も面白く、人生というものを感じさせられた。 後味もいい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
どっかのレビューか評論で、この作品はめでたい小三郎の出世物語に過ぎない、後半は殿様のお家騒動に終始しており、当初の立ち向かうべき問題であった商人の独占と重役侍の癒着は、途中からうやむやになってしまった。 そんな批判が加えられていたが僕はこれでいいと思った。 人生はままならないもので、敵かと思っていたら別の問題が持ち上がることで味方になってしまう。どうにもならないと諦めていた問題が時間が経つだけで自然と解消してしまう。 どんな先が待っているかわからないが、手持ちの情報を元に当面の問題へ全力で対処する。情勢が変わったらまたそのときだ。思い通りにならないのが人生でそれが面白い。 自分の信じるままに、護りたいもののために懸命に生きればいい。 周五郎はそんなメッセージをこの作品に込めたように感じられた。 非情におもしろい作品だった。
Posted by
『正雪紀』のつぎに読んだ、山本周五郎の長編作品です。面白い、と言われて読んだけど、私にはちょっとあいませんでした。主人公に感情移入できません。短編とはまた違った感じでした。
Posted by
物語の主人公は、下級武士(徒士組頭)の息子、三浦主水正(幼名・阿部小三郎)。8歳のある日、父親と一緒に釣りに出かけたときにいつも通り慣れていた道に架かる橋が取り壊されていた。藩の重臣の息子の学問所を建てることになり、この道を人が通ると学問の邪魔になるため通行できないように取り壊さ...
物語の主人公は、下級武士(徒士組頭)の息子、三浦主水正(幼名・阿部小三郎)。8歳のある日、父親と一緒に釣りに出かけたときにいつも通り慣れていた道に架かる橋が取り壊されていた。藩の重臣の息子の学問所を建てることになり、この道を人が通ると学問の邪魔になるため通行できないように取り壊されたのであった... 【開催案内、あらすじ等はこちら↓】 http://www.prosecute.jp/keikan/001.htm
Posted by