紀ノ川 の商品レビュー
三代にわたる女の一生の物語。花柳界モノは読んだことがあったけれど、やはり読ませるし博識(と書くのもコチラが無知すぎるだけなので畏れ多い)に読んでいて知識が増える感じがして楽しい。欲をいえば、もっと長くして、流さないでエピソードを増やしたり、書き込んだりしても良かったのではと思う。...
三代にわたる女の一生の物語。花柳界モノは読んだことがあったけれど、やはり読ませるし博識(と書くのもコチラが無知すぎるだけなので畏れ多い)に読んでいて知識が増える感じがして楽しい。欲をいえば、もっと長くして、流さないでエピソードを増やしたり、書き込んだりしても良かったのではと思う。あと、時間とともに人の考え方は変わるのかも知れないが、それにしても登場人物のキャラにブレがあるのが気になった。戦前から戦後まで、時代の移り変わりや文化・風俗を知ることができる。家紋や着物の染め、出産時の風習など知らないことだらけで、これからも詳しくなることもなさそうで、そういった呪術的ですらある文化を捨てて今があるのだなあと。「〜のし」という方言が多用されてステキなのだけれど、どんな発音か聞いてみたい。
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前からずっと読んでみたいと思ってた有吉佐和子。 「お母さんは古うて古うて、どないにもなりません。 私(うち)の行動を制限するんやったら、日本女性の敵ですえ。 同姓だけに許せんわ。親やなかったら・・・」 文緒のこんな台詞を読んで、花の視点から見れば生意気 でまだまだわ...
前からずっと読んでみたいと思ってた有吉佐和子。 「お母さんは古うて古うて、どないにもなりません。 私(うち)の行動を制限するんやったら、日本女性の敵ですえ。 同姓だけに許せんわ。親やなかったら・・・」 文緒のこんな台詞を読んで、花の視点から見れば生意気 でまだまだわかっとらんと感じ、 文緒の立場から見ると花みたいな女性観に嫌悪感を示したくなる。 自分に流れてきている時代の名残みたいなものが一切ないことに 気づき、びっくりした。 これでいいのかとも思う。 これは三部作となっているらしく次の「有田川」「日高川」も読んでみよう。
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美しい文章を書く人だなあと思いました。 情景描写も,心理描写も,言葉ひとつひとつは煌びやかな表現じゃないのに,連なって文章となると,うっとりするような日本美が出来上がる。まるでたおやかな匂いが文章からたちこめるようでした。 「紀ノ川」は,舞台が夏でも,川辺から東京に移って...
美しい文章を書く人だなあと思いました。 情景描写も,心理描写も,言葉ひとつひとつは煌びやかな表現じゃないのに,連なって文章となると,うっとりするような日本美が出来上がる。まるでたおやかな匂いが文章からたちこめるようでした。 「紀ノ川」は,舞台が夏でも,川辺から東京に移っても,話全体的に湿気を感じられて…まさに”女”の話だなあと感じました。 花の義弟である浩策が文緒に花のことを評して言う台詞, 「お前はんのお母さんは、それやな。云うてみれば紀ノ川や。悠々と流れよって、見かけは静かで優しゅうて、色も青うて美しい。やけど、水流に添う弱い川は全部自分に包含する気や。そのかわり見込みにある強い川には、全体で流れ込む気魄がある。・・・」 物語の感触も,こんな感じのお話です。看板に偽りなし。(笑) 技法としては、旧いものと新しいもの,野卑なものと典雅なもの,といったように対照的な描写をすることで,それぞれの性質を際だたせるような表現方法が目に付きました。 私が借りた本は全集の内の1巻だったんだけど,「紀ノ川」と共に収録されていた「地唄」「江口の里」「墨」にも同じ方法が見受けられました,作者の特徴なのかしら? どうにも好みな文章を書く方なので,他の作品も読んでみたいな。
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母子三代のお話。明治〜昭和にかけての時代の流れの中で鮮明にそれぞれ生き方が違う というのがわかります。なぜだか戦時中に孫の為に買ってあげた反物が仕立てられずに芋などに変わっていくところが非常に悲しくなってしまいました。なぜだろう。
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紀ノ川のたおやかな流れと共に、時代を感じさせる小説。物語の端々に筆者の問題提起を感じました。それぞれの時代に生きた女性を主体的に感じ考えさせる作品☆
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女三代の、土地を背景にした物語。地理オンチで無関心の私がめずらしく「紀ノ川ってどんなところなんだろう」と興味をもつほど、物語と絡み合って描かれています。
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大正・明治・昭和と時代は移り変わる中で、3世代の女性の人生を描く。場面は淡々と移り変わるのに重厚で圧倒させられます。
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