紀ノ川 の商品レビュー
結婚するときは、川の上流から下流方面に移動するするのがよい、というくだりが印象的。女の内情の変化がよく書かれていて非常に面白かった。
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花、文雄、華子の女三代にわたる大河小説。 「家」とはなにか、そして「女」とはなにか。 そういういものを描いていた小説のようにおもいます。 1960年代の作品なので少し古い小説ですが楽しむことはできたようにおもいます。
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有吉玉青の「身がわり」を再読し、御母堂の佐和子さんの作品も思い出して再読。 やはり文章が美っつい。 再読でも発見がある。 これを書きながら玉青さんを育てていたんだなぁと思うと不思議な感じ。(実際には佐和子さんのお母さんが玉青さんの面倒をよく見てくれたから成立していたようだけれど...
有吉玉青の「身がわり」を再読し、御母堂の佐和子さんの作品も思い出して再読。 やはり文章が美っつい。 再読でも発見がある。 これを書きながら玉青さんを育てていたんだなぁと思うと不思議な感じ。(実際には佐和子さんのお母さんが玉青さんの面倒をよく見てくれたから成立していたようだけれども…それはおいといて。) 「身がわり」は処女作にも関わらず、大変よくまとまった文章。 子供時代の思い出から、反抗期、自立を目指し始めた矢先の母佐和子の急死。それらを客観的に見て書き残すことのできる素晴らしさ。 玉青さんの他作品も読みましたが、「身がわり」にかなうものは今のことろ発見できていません。 欠番品なのか、中古でなんとか手に入れました。
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花さんの姿を見て、これが日本の「妻」だと思いました。夫に尽くし家に尽くし、主導権を握っているように思わせてその実したたかに実権を握る。それが嫌味なく行われている。娘の文緒、孫の華子に至るまで悩み苦しみながら女性たちは強くしなやかです。3代の物語と言いつつ、主人公は花さんです。華子...
花さんの姿を見て、これが日本の「妻」だと思いました。夫に尽くし家に尽くし、主導権を握っているように思わせてその実したたかに実権を握る。それが嫌味なく行われている。娘の文緒、孫の華子に至るまで悩み苦しみながら女性たちは強くしなやかです。3代の物語と言いつつ、主人公は花さんです。華子が紀ノ川が海へと流れていく姿を見るラストは感動的で、でもどこか寂寥。
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花、文緒、華子の三代を描いた、3部構成からなる作品。 といっても、花が作品を貫く主人公であると感じた。 そして、その花が信じぬいた日本の「家」。 和歌山の言葉がなんともたおやかで、花の台詞を追うのが楽しかった。 星4つと思っていたけれど、終盤でなんとも心が痛み、3つ。
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明治・大正・昭和と流れゆく時代を生きる母子三代のものがたり 時代のなかで、生きてきた環境のなかで 価値観を育て 自分の生き方をまっすぐに信じる女性の姿が描かれてる 伝統は、反抗することでしか受け継がれない ってくだりがとても印象的で 古いものが少しずつ形をかえてゆくさまを目撃し...
明治・大正・昭和と流れゆく時代を生きる母子三代のものがたり 時代のなかで、生きてきた環境のなかで 価値観を育て 自分の生き方をまっすぐに信じる女性の姿が描かれてる 伝統は、反抗することでしか受け継がれない ってくだりがとても印象的で 古いものが少しずつ形をかえてゆくさまを目撃したみたいだった 花が持つ美意識、"家"という概念、妻という生き方 いまはもう失われつつあるものたちのなかに こんなにも美しさを見出せるあたしは やはり根っから日本人なのだとおもう 真似はしないし、できないけれど こういう美しいものたちが失われてしまうことは、とてもかなしい だけど、模索することはできる いくつもの矛盾を内包して、それでも受け継ぐべき伝統を 知ること、愛することはできる 美しい紀州のことばにのせて語られる美しいものがたりは なんだかとっても豊かな時間をわたしにくれました。 名作、のふたもじがとっても似合う たくさんのひと、とくに女性に 読んでほしい、知ってほしい小説 。
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女三代記です。読み応えがありました。 「家」や「伝統」を考えさせられる話でしたね。 軸となる女性は花、文緒(花の長女)、華子(文緒の長女)の三人。 花の人望のおかげ(いわゆる内助の功)で栄えた花の嫁ぎ先真谷家。 母親の花を「旧時代の女」として反抗している典型的な大正モガの文緒。 ...
女三代記です。読み応えがありました。 「家」や「伝統」を考えさせられる話でしたね。 軸となる女性は花、文緒(花の長女)、華子(文緒の長女)の三人。 花の人望のおかげ(いわゆる内助の功)で栄えた花の嫁ぎ先真谷家。 母親の花を「旧時代の女」として反抗している典型的な大正モガの文緒。 戦後没落しつつある真谷家をなんとかしようとして、叔父の政一郎に迫る華子。(まあ、政一郎はいわゆるEDなために何も感じなかったのですが) 登場するどの男性よりも生命力・躍動感に満ち溢れているのではないでしょうか。 祖母の豊乃に、大黒柱の夫を強く支える女性であれ、と育てられたように、文緒にも琴を習わせたり、しとやかにでも強い女として育てようとしたりと奮闘する花ですが、文緒は生来の負けん気かはたまた時代の風か、花が望むような女性には育ちません。 伝統を重んじる花と、それを否定して新しいものに惹かれる文緒。 お互いに反発しあう二人ですが、第三部の華子編で、文緒は、「豊乃」から「花」に受け継がれた、柔らかですべてを飲み込んでしまうような生命力・躍動感を一番濃く受け継いでいる女性だと描写されています。 文緒の叔父である浩作が花の生命力を「紀ノ川」に例えています。 ほかの小さな川をその身に取り込んでしまうが、見込みのある川には一気に流れ込む。 そんな「紀ノ川」のような流れが豊乃、花、文緒、華子にも流れていると思うのですよ。
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非常に好きな作品。 和歌山の旧家に生きる女三代のお話。 著者の代表作であり、この小説でやっとお母様に認められたそう。 上品な情景描写が心躍らせる。
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日本語はとっても美しいなと思いました。 紀ノ川の美しさも目に浮かぶようでした。 後半にかけては、感動でドキドキして胸が熱くなる場面が何度も。 読めてよかったです。
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花が二十歳の明治の時代から終戦後の十余年、病に伏す昭和の時代まで、紀州の名家出身で、その時々を妻として、母として立派に勤め上げる中で、戦争という時代に次第に家が崩壊し、人が死に、経済的貧困もあり、娘の文緒の変わりよう、逆に文緒を鏡としてか、孫の華子が自分と同じような考え方を理解し...
花が二十歳の明治の時代から終戦後の十余年、病に伏す昭和の時代まで、紀州の名家出身で、その時々を妻として、母として立派に勤め上げる中で、戦争という時代に次第に家が崩壊し、人が死に、経済的貧困もあり、娘の文緒の変わりよう、逆に文緒を鏡としてか、孫の華子が自分と同じような考え方を理解してくれてることに、堪らなく嬉しくなる。 丁度祖母の豊乃がいだいたであろう感慨を味わっているような。そして、文緒も次第に昔の反抗的なところが変化してくる。 脳溢血で倒れ、華子と文緒の区別も判らなくなり、当時の思いを告げている花の姿は、年のせいか何とも偲びがたく、人生を感じさせる。
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