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破船 の商品レビュー

4.2

114件のお客様レビュー

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病気の描写がなまなま…

病気の描写がなまなましく、こっちまで気分が悪くなる文章はなかなか。

文庫OFF

2024/07/24

小さな村で過ごす少年の3年が書かれている。 魚をみろ、魚でさえいつも体を動かしている、と口癖のように言う母。お金のため3年の奉公に出た父。お船様からの恵みがなければまともに食べていけない貧しい村。 少年が成長していく描写が多いにも関わらず、いつこの日々が崩れるのかという緊張感や悲...

小さな村で過ごす少年の3年が書かれている。 魚をみろ、魚でさえいつも体を動かしている、と口癖のように言う母。お金のため3年の奉公に出た父。お船様からの恵みがなければまともに食べていけない貧しい村。 少年が成長していく描写が多いにも関わらず、いつこの日々が崩れるのかという緊張感や悲しさが漂っており、小さなお船様が来た時には、こうなるだろうと頭では分かっていながらハラハラした。 悲しい物語と銘打たれている小説より、毎日を淡々と、感情さえも淡々と書かれている方が一層悲しく思えることもあるものだと思った。

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2024/06/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

再読。 貧しさの為に口減らしや身売りが行われている漁村が舞台。「お船様」さえくれば、そのようなことをせずに済む。2年続けてやってきた「お船様」は幸運をもたらすものだったのか...? 初めて読んだ時は閉鎖的な村社会での村おさの存在が衝撃的でした。今回は少し視点が変わって主人公の成長が印象的でした。わずか9歳にて父親不在の一家の長男として漁に出る。その後彼を見舞う様々な出来事を通して彼は一人前の大人へと成長していく。また、彼の中にすでに根付いている価値観・死生観も興味深かったです。 本編230頁程度。展開が比較的早いので先へ先へと読み進めたくなるテンポの良さがあります。

Posted byブクログ

2024/04/16

なんかもうずっとつらいのよ。大自然のペースに合わせてしがみつくような生き方とか、村ぐるみで犯罪を隠したりしてるとか。お船様で一時は生き延びられるかもしれないけど、それが永遠ではないってわかってるところとか。 それでも好きな娘との淡い交流とか、漁の腕前が上がったとか、友人との関係が...

なんかもうずっとつらいのよ。大自然のペースに合わせてしがみつくような生き方とか、村ぐるみで犯罪を隠したりしてるとか。お船様で一時は生き延びられるかもしれないけど、それが永遠ではないってわかってるところとか。 それでも好きな娘との淡い交流とか、漁の腕前が上がったとか、友人との関係が穏やかなものになっていったりとか、きらめく瞬間がある、あったのにさぁ~~…

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2024/04/10

物語はフィクションであろうが、舞台にとっている設定は必ずしもフィクションとも言い切れないのかも。 貧しい漁村が生きるために、冬の荒れた海を航行する船に向かって火を灯し灯台と勘違いさせて座礁させその積荷を奪ったという苛酷な生きる知恵とその悪行に対する大きな報い。

Posted byブクログ

2024/02/06

なんだろうな...海の恵みの描写とか四季の移り変わりの描写とかうつくしい風景目白押しのはずなのに人々の暮らし描写の陰鬱さがそれに並ぶ不思議。村から出たいとも思わず村長を中心に一致団結することで暮らしが成り立つ不思議。地方の因習ネタのホラーとか好きなんだけど現実に即するとなるとこう...

なんだろうな...海の恵みの描写とか四季の移り変わりの描写とかうつくしい風景目白押しのはずなのに人々の暮らし描写の陰鬱さがそれに並ぶ不思議。村から出たいとも思わず村長を中心に一致団結することで暮らしが成り立つ不思議。地方の因習ネタのホラーとか好きなんだけど現実に即するとなるとこうなるのか...

Posted byブクログ

2023/11/10

一人前の漁師/大人になるという自覚が芽生え始めた少年が主人公。出稼ぎ(身売り)により父が不在の三年間を描く物語。 読み進めて早い段階から、自然現象に左右される寒村という共同体の、心細さと危うさが重くのしかかり息苦しさが続く。それでも、主人公が徐々に成長して生活は安定に向かうのか...

一人前の漁師/大人になるという自覚が芽生え始めた少年が主人公。出稼ぎ(身売り)により父が不在の三年間を描く物語。 読み進めて早い段階から、自然現象に左右される寒村という共同体の、心細さと危うさが重くのしかかり息苦しさが続く。それでも、主人公が徐々に成長して生活は安定に向かうのかと思った矢先、ついにお舟様が到来し、寒村の日常は狂い始め、あまりにも悲劇的で無情な幕引きへ。 村人の自死シーンでサラッとギョッとすることが書いてあったり、村人達の犯す大罪がテキパキ機械的に進んだり、文体/描写はかなり淡々としていて、だからこそ抵抗できない暴力の怖さ不穏さを強く感じた。一方で、クライマックスの母の健気な強さには胸を貫くような切なさがあり、あわや落涙するところだった。 230ページとは思えないくらいズシンと重厚/濃厚な一冊。

Posted byブクログ

2023/10/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 本作は少年の視点から綴られる僻地の寒村の3年間の物語だ。大人が年季奉公で廻船問屋に売られ、未成熟な子どもが一家の労働力として漁をせざるを得ない貧困。村に大きな幸を齎す“お船様”(難破船)を求めて祈り、実際に到来したなら情け容赦無く積荷を奪い取る共同体全員での犯罪。その“お船様”によって富ではなく疫病を齎され、村があっという間に崩壊寸前にまで追い込まれる厄災。これら苛酷で不幸な日々が無駄を削ぎ落とした簡明な文章によって描写され、読者に強烈なリアリティーを与えてくる。

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2023/09/25

会社の先輩からお借りした一冊。 この作者の本は、漂流から2冊目かな? 漂流もこの先輩からお借りした本だった。 漂流もリアリティ溢れ、臨場感が半端ない小説だったが、この本も凄い! 目の前に情景が現れる。自分がその村に迷い込んだような錯覚を起こす。 すっごい惹きつけられる小説な...

会社の先輩からお借りした一冊。 この作者の本は、漂流から2冊目かな? 漂流もこの先輩からお借りした本だった。 漂流もリアリティ溢れ、臨場感が半端ない小説だったが、この本も凄い! 目の前に情景が現れる。自分がその村に迷い込んだような錯覚を起こす。 すっごい惹きつけられる小説なのだが、常に恐怖感が付き纏っていた。 何処か不気味で、何かに怯えながら読んでいた気がする。何に怯えていたのかは、読み終わった今も謎だけど(^◇^;) 北の海に面した、貧しい村が舞台となる。 痩せた土地には雑穀しか育てたない為、村民は鰯やイカ、タコ、秋刀魚などを採り、隣村まで売りに行き、穀物と交換してギリギリの生活を送っていた。 いや、ギリギリ以下の生活だったのだ。 そんな村だが、冬の海が荒れ狂う頃、貨物を乗せた船が座礁し、荷を村民で分かち合うことができた。 それはお船様と呼ばれ、村民はわざと天候の荒れる日に塩を作るために火を起こし、船を村の方へ誘い込むのだった。 そんな村にある日災が起こる。。。

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2023/09/17

 「破船」は2022年の本屋大賞の「超発掘本!」選ばれた本でもあります。本屋大賞の「超発掘本!」とは、ジャンルや刊行年を問わず今読み返しても面白い本が選出されるものです。  日本海沿岸の閉鎖的な貧しい寒村。土壌が痩せて作物もうまく育たず、魚介類もその場しのぎ程度の漁が精一杯の土地...

 「破船」は2022年の本屋大賞の「超発掘本!」選ばれた本でもあります。本屋大賞の「超発掘本!」とは、ジャンルや刊行年を問わず今読み返しても面白い本が選出されるものです。  日本海沿岸の閉鎖的な貧しい寒村。土壌が痩せて作物もうまく育たず、魚介類もその場しのぎ程度の漁が精一杯の土地。村人たちは近海を通る貨物船の船荷をあてに座礁を祈る。  生きることがこんなに苛酷だとは...。ちょっと気分が暗くなってしまいますが、海外でも広く評価され、多くの国の言語に翻訳された作品でもあります。

Posted byブクログ