流れる の商品レビュー
しろうと、の視点による堅気で流麗な文章の中で、においたつ、とでも言うような過剰な女たちの美しさいやらしさ、そして幾つもの出来事が、重なり合い浮き沈みながら流れて行くようだった。流されて消えてしまって、さみしい。 とってもおもしろかったです。 見当外れなことを言うようだけれど、美...
しろうと、の視点による堅気で流麗な文章の中で、においたつ、とでも言うような過剰な女たちの美しさいやらしさ、そして幾つもの出来事が、重なり合い浮き沈みながら流れて行くようだった。流されて消えてしまって、さみしい。 とってもおもしろかったです。 見当外れなことを言うようだけれど、美しいって一つの才能で、やっぱりどうしようもなく、焦がれてしまうなあ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今時人の所作にどきりとしたり、見惚れたりってないもんなあとしみじみ。 全てが素敵で憧れるわけではないけれど、全てが眉を顰めることばかりではない。 主人公が妙にその世界に惹かれてしまう気持ちがわかるかも。
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水村美苗氏が幸田文をベタぼめだったので読んでみた。初幸田文。いかにもいかにもきちんとしてそうで、躾が行き届いていて、端正で美しい日本語が使われてそうで、いかにも「ナチュラルでていねいな暮らし」ぽくて(?)ステキ女子たちが読んでそうで、って、反発があって(バカ)ずっとあんまり読む気...
水村美苗氏が幸田文をベタぼめだったので読んでみた。初幸田文。いかにもいかにもきちんとしてそうで、躾が行き届いていて、端正で美しい日本語が使われてそうで、いかにも「ナチュラルでていねいな暮らし」ぽくて(?)ステキ女子たちが読んでそうで、って、反発があって(バカ)ずっとあんまり読む気になれなかったんだけど。いや、おもしろかった。普通の小説なんだ(バカ)。いろいろあって芸者家の女中になった主人公。「本格小説」でも思ったけど、よくできた女中さんって、ものすごくよく観察していて、気がついて、頭がよくて、芯は強くて、分をわきまえていて、自分を客観視できてるんだな、と。その聡明さにあこがれた。いわゆるお仕事小説でもあるわけで、淡々と働くってのもいいものだな、とか思ったり。この主人公の過去、寮母とか掃除婦とかしていたころのこととか、この小説のあとの新しい店をまかされてからの話なんかも読みたい、と思った。ただ、描写がうまいせいか、死にそうな犬とか病気の子どもとか汚れた寒々しい家とかまざまざと見えるようで、読んでると気持ちが暗く寂しくなってしまうような。どうも日本文学ってそういうところがある気がする。読むときのこっちの体調や気分にもよるのだけれど。
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初めて読んだのは中学の時です。難しい話ではないけれど、古い言い回しや物の名前等、分からない部分も結構ありました。 でも時にたゆたい、時に蕩々と流れる文章のリズムが心地よくて。 何度も読み返し、少しずつ腑に落ちて、そのたび味わいが増すように思います。
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大分前ですがきものを読み面白いな~と思って購入。そのまま忘れていたのですが本棚を発掘したときに出てきたので読みました。 読み出したら面白くて! でも読み終わって考えてみると結構切ない、寂しい話だなあと思いました。その辺りも橋のたもとで行こか行くまいか考えてるような心持なので...
大分前ですがきものを読み面白いな~と思って購入。そのまま忘れていたのですが本棚を発掘したときに出てきたので読みました。 読み出したら面白くて! でも読み終わって考えてみると結構切ない、寂しい話だなあと思いました。その辺りも橋のたもとで行こか行くまいか考えてるような心持なのでしょうか。 女性はたくましい!と言うかたくましくありたいなと思いました。 面白かったです。
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すっげ! と思った。 しなやかにして強靭。 流れるような文体。 登場人物の、誰をも憎めない。 人間臭いのに、愛しい人がいっぱいです。
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幸田文は、露伴を父とし、厳格に育てられ、結婚し一女をもうけるも離婚、離婚後に作家として成功自立しており、「家守る女」と「経済的に自立する女」との両方を体験した人。ちなみに、幸田露伴の妹たちは洋楽の先駆者であり、自立する女の先がけでもありました。その著者が、実際に花柳界に住み込んだ...
幸田文は、露伴を父とし、厳格に育てられ、結婚し一女をもうけるも離婚、離婚後に作家として成功自立しており、「家守る女」と「経済的に自立する女」との両方を体験した人。ちなみに、幸田露伴の妹たちは洋楽の先駆者であり、自立する女の先がけでもありました。その著者が、実際に花柳界に住み込んだ経験をもとに書きあげた昭和30年の作品。 そこから半世紀、「男女雇用機会均等法」からもう30年以上たつというのに、幸田文が抱え、彼女の小説にでてくる「女の葛藤」は今に通じる。「女が仕事で成功するためには女を捨てるか、女を武器にするかどちらか」とは今でもよくいわれる話でしょう? この「流れる」では、女を武器にしているほうの女の葛藤を描いているわけですが、特にウーマンリブ的な女人に読んでもらいたい。「女らしさ」について、あるいは「女らしい女」について勉強になると思います。女同士だからこそ、わかっているつもりで、何もわかっていないことはよくあるでしょ? 社会の変化は緩やかだし、こと「女の経済的自立」という問題は、人間の根源(産む育てるという女の性)にからむ問題で、あと50年、いや100年後も「思うに任せない」状態が続くに違いないもの。 この本から女の自立についての答えは見つからないけれど、時間や時代の趨勢の流れ(=つまり社会)と自分との距離感、「流れに乗りたい」「落ちこぼれてもそれも良しとする」「流れに乗れない人(あるいは自分の側にいない人)にどういう態度をとるのか」等、隅田川の流れのようにゆるやかに肩ひじ張らず考える時間を持てる一冊だと思います。 How toの書かれたビジネス本や男女の性を精神的医学的な本で、ロジカルなアプローチをするのも良いけれど、同様に、もっと皮膚感覚で「女」というものを感じることって、遠回りのようで「女の社会適応」にとって必要なことだなと思われてなりません。 成瀬巳喜男監督、山田五鈴、杉村春子、高峰三枝子、岡田茉莉子等オールスターキャストで 映画化もされています。この映画のほうもオススメ。変わりゆく日本の街の風景、花柳界、建築、服装などが見事に映像化されていて、素晴らしい。
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時代の流れで落ち目になっている芸者家の主人、年を取っても芸者としての実力の持ち主染香姉さんのすばらしさ、弱み、その両方を梨花が見ながら、また、くろうとの世界にしろうとが入って、下に見られながらも、しろうとの怖さを垣間見させる場面、梨花のすぐれたところが次第に認められながら、次第に...
時代の流れで落ち目になっている芸者家の主人、年を取っても芸者としての実力の持ち主染香姉さんのすばらしさ、弱み、その両方を梨花が見ながら、また、くろうとの世界にしろうとが入って、下に見られながらも、しろうとの怖さを垣間見させる場面、梨花のすぐれたところが次第に認められながら、次第にこの世界を好ましく、離れられなくなってしまう梨花の気持ちが、最後の場面では強く感じられ、気持ちの良い読書になった。
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図書館。 置屋の住み込み女中になったアラフォー寡婦・梨花の物語。 どちらかというと、ヒロインは傍観者的な存在。 口語体が心地よかった。
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四十過ぎの未亡人梨花は、没落しかけの芸者置屋に女中として住み込みます。 しろうとから見る花柳界は、芸者達のふとした仕草や姿の美しさに目を奪われたり、芸者を取り巻く風習の合理的な部分と曖昧な部分が入り混じった様子や、出入りする女の表裏が見えたりして、美しく華やかであると同時に、脆く...
四十過ぎの未亡人梨花は、没落しかけの芸者置屋に女中として住み込みます。 しろうとから見る花柳界は、芸者達のふとした仕草や姿の美しさに目を奪われたり、芸者を取り巻く風習の合理的な部分と曖昧な部分が入り混じった様子や、出入りする女の表裏が見えたりして、美しく華やかであると同時に、脆く哀しくもあります。 裕福な旦那の後妻に納まる女もあれば、貢いだ挙句に捨てられる女もあり、 美しく芸達者な主人の娘は醜く売れなかったり、そうかと思うと病気の姪は素行がおかしいが美しかったり。 どこか不揃いな人間同士が寄り合ったり交差したりしながら生きている、人間模様・人生模様がおもしろかったです。
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