野火 の商品レビュー
聖書の引用を調べたり言い回しを調べたり……理解が追いつかず難しい部分も多々ある。 書評読んだり100分で名著見たり…… 出会いは塚本監督の劇場版であるがやはり原作で読む迫力は凄まじい。 聖書の要素は重要で、原作は必ずセットにしておかないと。そう思うと同時に映画版はリアルに田村の...
聖書の引用を調べたり言い回しを調べたり……理解が追いつかず難しい部分も多々ある。 書評読んだり100分で名著見たり…… 出会いは塚本監督の劇場版であるがやはり原作で読む迫力は凄まじい。 聖書の要素は重要で、原作は必ずセットにしておかないと。そう思うと同時に映画版はリアルに田村の隣を歩いているような気分になれる。 自然の雄大さ美しさに混ざる死体の山が広がる光景。最悪の気分。
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凄惨。テンポの良い読み味と、戦争の悲惨さと宗教観の織り交ぜ方が好き。 締めの「神に栄えあれ」に続く文が読んでて気持ちいい名文。
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立ち昇る自然の生命力と、戦争の生々しさと、すべてが鮮明なイメージで記憶され、そこに十字架が浮かび上がるといった構図を忘れることができない。全体的に静謐で、無駄のない文体が印象的。
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高橋源一郎の本で紹介されていた戦争を描いた戦後に書かれた名著である。読んだつもりでいたが全く忘れてしまっていた。フィリピンの戦場で人を食べるかどうかの話とばかり思っていたがそれはテーマの一つであり全体ではなかった。捕虜となり帰国して最後は精神病院に入りその時にフィリピンの教会の場...
高橋源一郎の本で紹介されていた戦争を描いた戦後に書かれた名著である。読んだつもりでいたが全く忘れてしまっていた。フィリピンの戦場で人を食べるかどうかの話とばかり思っていたがそれはテーマの一つであり全体ではなかった。捕虜となり帰国して最後は精神病院に入りその時にフィリピンの教会の場面を思い出すという最後の場面を読んだ記憶がなかった。
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順序は逆だが、塚本版映画を観てから読了。主人公一人称による内面の吐露、特に信仰心と飢えの限界で見る幻覚のシーンが映画との大きな違い。 ひたすら彷徨い、食いものを探し、傷病に苦しむ(それも戦闘が原因ではない)兵士たちの無残さが際立つ。戦況とは無関係の、延々と続く地獄が赤紙兵卒の戦い...
順序は逆だが、塚本版映画を観てから読了。主人公一人称による内面の吐露、特に信仰心と飢えの限界で見る幻覚のシーンが映画との大きな違い。 ひたすら彷徨い、食いものを探し、傷病に苦しむ(それも戦闘が原因ではない)兵士たちの無残さが際立つ。戦況とは無関係の、延々と続く地獄が赤紙兵卒の戦いだ。撃たれて死ねればまだよし、ほとんどは泥水に浸かり、生きながら腐って屍を晒していく。こんなに生き死にが無意味な場所で、人肉食に思い悩む主人公は滑稽だが、狂ってさえも割り切れないのも人なのだろう。
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私は道徳的に生きてきたと思っていた。しかし、それは、たまたま道徳に反する必要がなかっただけだ。人生の分かれ道はたくさんある。その選択の数だけ人生はある。それが必然なのか偶然なのかわからない。ただ、この小説を読むと、私の人生や価値観は偶然でしかないように思われる。
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モラルとか良心とか、普通の暮らしを成り立たせている観念は実はとっても脆いものなんだなとしみじみ思った。死が身近な環境だと、共同体や他者との関係なんてないようなもの。
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19歳くらいの時に読んだ時は、カニバリズムに興味津々で人肉を食うなんて一体どんな話!?という感じでストーリーは頭に入ってこなかった。 しかし10年が経ち、再び読むと、この本はそれを伝えたいのではないのだと分かった。 単に人肉を食うその衝撃さを伝えるというよりも、飢えに苦しんだ末...
19歳くらいの時に読んだ時は、カニバリズムに興味津々で人肉を食うなんて一体どんな話!?という感じでストーリーは頭に入ってこなかった。 しかし10年が経ち、再び読むと、この本はそれを伝えたいのではないのだと分かった。 単に人肉を食うその衝撃さを伝えるというよりも、飢えに苦しんだ末に人肉に手を出すか否かという人間の極限状態にスポットを当てた作品である、といまは考察している。 キリスト教の影響を受けた考え方なのか分からないが、1度は食べようとした味方兵の死んだ肉体。彼は死ぬ前、俺が死んだら食べてもいいよと右足を指していた。 主人公は、山蛭が彼に吸い付き吸い込んだ血を、 山蛭を介して吸い込む。人間の血であるが、直接でなければ問題ないと考えたのだ。 そして、結局主人公は飢餓の極限状態に陥ったとき、味方兵から与えられた干し肉 を食らう。 猿と言われていたそれは、実は滅んだ兵士の肉だった。 葛藤があれと、この主人公は自らは決して人肉を食べようとしなかったが、他人から与えられたものは素直に口にしてしまうんだなと。飢えとはそういうもの、正常な考えを麻痺させてしまう危険なものなのだと、感じた。
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戦争風景の叙述と、哲学的死生観が混ざるが、死生観は難しい。悟りか諦めか暁光か。 繰り返しの日常と、死へ向かう前進が対になるということはわかった。 戦争が原因であり運命であった殺人と、人肉を食べないという主体的選択の差。そう思わないとやってられない窮地のロジックと言うのはあまりに外...
戦争風景の叙述と、哲学的死生観が混ざるが、死生観は難しい。悟りか諦めか暁光か。 繰り返しの日常と、死へ向かう前進が対になるということはわかった。 戦争が原因であり運命であった殺人と、人肉を食べないという主体的選択の差。そう思わないとやってられない窮地のロジックと言うのはあまりに外側から見ているからか。解説が難しすぎて… 戦争を論ずるときに、為政者や市民を話題にすることは多いが、敗残の一兵卒を見ることも感じ入ることは多いと思う。 死ぬまでの時間を思うままに過ごすことができるという無意味な自由だけが私の所有であった
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娘の学校で推薦図書の一冊になっていた本であるが、あまりに重い。戦争は本当に過酷だ。極度の飢えに襲われた時に、自分や周りの人間がどういうことになるか、あまりに恐ろしい。戦争文学とはどういうものかがわかる一冊である。
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