天人五衰 の商品レビュー
四部作完結。結末が気になってんとか読んだけど、うん、よくわからない。 耽美的な空気感とインテリっぽい理屈っぽさがおもしろいと言えばおもしろい。でもそれに入りきれない自分もいて。ついていけない。 でもこういう小説もあるということが知れたことは良かった。
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シリーズ最終話。比較的読みやすいがおぞましい。三島由紀夫はそんなに老いることを恐れていたのか?三島由紀夫の日本語の美しさが際立つ。一度読んだら忘れられない本。
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まるで江戸川乱歩の小説を思わせるアンファン・テリブルの主題による最終巻。 この巻で転生する清顕の系譜は徐々に歳を経ていく本多の願望の写し絵なのだということが明確になります。 それにしてもひたすら美しい『春の雪』から始った連作が自らを全否定する結末へといたるのはいったい何を意味して...
まるで江戸川乱歩の小説を思わせるアンファン・テリブルの主題による最終巻。 この巻で転生する清顕の系譜は徐々に歳を経ていく本多の願望の写し絵なのだということが明確になります。 それにしてもひたすら美しい『春の雪』から始った連作が自らを全否定する結末へといたるのはいったい何を意味しているのか、宙ぶらりんのまま考え込んでしまいました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最後の門跡に話を伺うところで全てが「空」になる。諸行無常なり。 このシリーズは明らかに自分の心に何かを残していった。それがどういったものであるかを正確に分析し、言語表現しつくすのは不可能だと思う。結局のところ自分の自我とはその程度なのだろう。透のように全てを己の認識によって支配し、己の自意識の世界で生活していくことは不可能に近い。実際に物語の後半で慶子によってその認識世界は瓦解するが。。。 こういった自分を揺さぶる読書をしていきたいし、そのような本を常に読んで行きたい(かのフランツカフカも己を切り刻むような読書体験をするべきだし、そのような本を読むべきだといっていた。。。とカフカ賞を受賞した村上春樹が言っていた。。。)。
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何もかもがツボな最終巻ですが、やっぱり惹かれるのは久松慶子。好きすぎる。三島作品には強い女と、何かしらのメタモフフォーゼを経て侵しがたい存在になる女が良く出てくるけれども、これってやっぱり幼少期のトラウマ なのかしら? 余談ですが、『豊饒の海』ってラヴェルのLa Valseっぽい...
何もかもがツボな最終巻ですが、やっぱり惹かれるのは久松慶子。好きすぎる。三島作品には強い女と、何かしらのメタモフフォーゼを経て侵しがたい存在になる女が良く出てくるけれども、これってやっぱり幼少期のトラウマ なのかしら? 余談ですが、『豊饒の海』ってラヴェルのLa Valseっぽい。美しく絢爛な前半部を過ぎ、後半部分に入ったあたりから変則的なリズムと不穏なフレーズを 繰り返してある一点へと収束してゆく。一度、聴きながら再読してみようと思う。
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良い意味で裏切られた最後に大変印象が残った。 これが最後の作品か。 なんか妙に納得出来た感じもする。 素晴らしい4部作だった。
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三島由紀夫の遺作。生まれ変わりの小説。もの凄い綺麗な描写から、もの凄く難解な描写まで、四部に渡って、計算して書いているところが素晴らしい。この本の最後の終わり方がミステリアスに感じる。
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豊穣の海第四巻。 ついに読み切ってしまった。 今までの三作とは違い、あっさり読み終えてしまう。 けれど決して軽くなく、むしろ一番心にずしんときた。 変わる時代、変わらない本多。 透の自意識過剰と、本多の自意識過剰。 透の自意識過剰は可愛いもので、それが余計に本多を貶める。 ラス...
豊穣の海第四巻。 ついに読み切ってしまった。 今までの三作とは違い、あっさり読み終えてしまう。 けれど決して軽くなく、むしろ一番心にずしんときた。 変わる時代、変わらない本多。 透の自意識過剰と、本多の自意識過剰。 透の自意識過剰は可愛いもので、それが余計に本多を貶める。 ラスト、聡子との対比。 本多と同じく変わりゆく時代の中、敢えて変わらなかった聡子との対比に鳥肌が立った。 あなたは歴史に例外があると思った。例外なんてありませんよ。人間に例外があると思った。例外なんてありませんよ。(p292) 慶子はきっとずっと昔から本多の自意識過剰も見抜いていたんだろう。 その上でジン・ジャンと交わったのは、本多との付き合いを続けたのは、 と考えると慶子怖いな。 それとも慶子も自意識過剰だったんだろうか。 自己正当化の自殺。 「ところで鼠の死は世界を震撼させたろうか?」 自殺によって自己の存在を正当化することは不可能ではない。 ただ、そのたった一人の死によって、世界の認識を変えることはできるのか。
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豊饒の海4部作の最終巻。 登場人物の異常性がもっとも際立った作品だと思います。 「世界は主観的なものであり、自己認識によって形成される。」といった考えが作中を支配しており、三島流の肉体讃美と退廃的な世界観、衝撃的な結末が相極まって、他人の存在、ひいては自我さえを疑いたくなる...
豊饒の海4部作の最終巻。 登場人物の異常性がもっとも際立った作品だと思います。 「世界は主観的なものであり、自己認識によって形成される。」といった考えが作中を支配しており、三島流の肉体讃美と退廃的な世界観、衝撃的な結末が相極まって、他人の存在、ひいては自我さえを疑いたくなる様な、妙な感覚を受けました。 不健全な人は、読まない方が得策です(^^;)
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とうとう、三島由紀夫さんの豊饒の海シリーズを読み終えました。 彼の描く世界には、色々と考えが浮かんできます。 本多さんにスポットをあてて豊饒の海シリーズ4巻全てから1番に感じた事は、変わる時代を「変わらない自分」として生き続ける本多と、変わる時代によって合わせて生まれ変わる清...
とうとう、三島由紀夫さんの豊饒の海シリーズを読み終えました。 彼の描く世界には、色々と考えが浮かんできます。 本多さんにスポットをあてて豊饒の海シリーズ4巻全てから1番に感じた事は、変わる時代を「変わらない自分」として生き続ける本多と、変わる時代によって合わせて生まれ変わる清さまのコントラストです。 どんどん変化していく時代にうまく対応していない本多さんの姿がとても印象に残っています。 第1巻と第4巻を比べた時の時代の変わりようにも驚かされました。 確かに、あの時代は1番時代の変化が大きく起こった時代です。 その時代を「自分」として生き続け、様々な転生との遭遇を通じて多くの苦悩を感じる本多。 恐らく、本多は自分の人生を「波乱万丈」と呼ぶにふさわしいと思っていた事でしょう。 それだけ、本多は「変わらない自分」に信念をもって「変わる時代」を生き抜いてきたのです。 そして、最期に聡子に逢い、本多は打ちひしがれてしまいます。 なぜなのか。 ここが、物語の真髄だとCarrieは思っております。 本多が打ちひしがれた理由、それは、自分こそは「すごい」人生を歩んできた!というおごりにあるのではないでしょうか。 どれだけ、自分が「すごい!」と思っていたところで、見る人が変われば、それはほんの些細な事でしかないという事。 清顕の転生を追い続けた本多の人生。 彼は、これは世界をも揺るがすほどの出来ごとだと思っていたに違いありません。 しかし、変わる時代を同じく変わらずに生きてきた聡子はどうだったかというと、清顕の転生は、変わる時代の中のほんの小さな出来事の1つでしか無かった...。 自分1人の生き方・考え方で時代に影響を与える事は出来ない...。 三島さんは、この4巻を通じてそれを伝えたかったのではないでしょうか? 例えば、三島さん本人の割腹自殺。 確かに、その当時は多くの人の心に残り、多少なりとも時代に影響は与えた事でしょう。 しかし、変わりゆく時代の中で三島さんの「死」が時代に影響を与えているでしょうか? Carrieはそんなに影響を与えているとは思いません。 三島さんは自分の「死」をもって、自分1人の「死」をもっても時代に影響を与える事は出来ない。 それを証明したかったのかもしれません。 変わりゆく時代の中では、あまりにも無力な私たち。 その中で、私たちが生きている意義とは何なのか? これは、三島さんから与えられた最後の宿題なのかもしれません。 まぁ、個人的に言うならば... Carrieは、時代に影響を与えなくても自分のやりたいように生きていこうと思っておりますが(笑)
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