美しい星 の商品レビュー
思想と美を追求した社会・政治を言及する宇宙の形成を紐解いた上質で異質な物語。 久々にグッときたアタリ本。 SF調な空想癖がある家族の物語だと思い読んでみたが、読み始めた後に私の読みやすい本だと気付いた。(SFと推理ものは苦手) これは最初の入り口はSFに見えるが内容を理解する...
思想と美を追求した社会・政治を言及する宇宙の形成を紐解いた上質で異質な物語。 久々にグッときたアタリ本。 SF調な空想癖がある家族の物語だと思い読んでみたが、読み始めた後に私の読みやすい本だと気付いた。(SFと推理ものは苦手) これは最初の入り口はSFに見えるが内容を理解すると、核兵器や人間(地球人)の愚かさを訴え人間の本質を細部まで扱き下ろし人間を救済する物語だった。 物語の主人公で埼玉に住む大杉一家は、それぞれの惑星の選ばれた者たちである(仮想の設定) 父は火星、母は木星、息子は水星、娘は金星。 それぞれその星の宇宙人であり人間(地球人)とは異なる「特別なる者」であることを信じ、人間を時に上から目線で見下ろしながら神様的な慈愛と歪曲で人間の生活を見守る。 客観的に人間を眺めているからこそわかる人間の本質を三島由紀夫は大杉一家を通して語っているが、それが実に面白く感心してしまう。 また大杉一家は独特な価値観で人間を救済しようと考えているが、 同じく他の惑星の宇宙人だと言うある3人組も、独特な価値観(破壊)で人間を救済しようと目論む。 この者たちとの論議合戦も面白く、宇宙人からみたら人間なんて非力な平和ボケした愚かな生物なのだなと物思いに耽ってしまう。 読了後は笑ってしまいながらも、核兵器や政治的な話を深く描いているので、何とも言えない空虚な余韻を感じる。 また星や月に興味がある人はさらに楽しめると思う。 大杉一家が宇宙を眺めるさいに度々語られる星や惑星の描写が美しく、自分も特別な人間なのかもしれないと危険な思想に取り付かれそうになる文章能力である。
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自分を宇宙人だと思っている家族。それぞれの出身は、違う星。だから究極に信頼しあえていない。家族を思うとき、人間となんら変わらない苦悩のなかにいる。最後は1つの円盤に乗って。。。どこに向かったのだろう。重一郎と仙台から来た3人のディスカッションのところは、クライマックスだが、自分には難解で消化できなかった。もう一度読まないといけないな。
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地球とは別の天体から来た飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核兵器を持った人類の滅亡をめぐる現代的な不安を、SF的技法を駆使してアレゴリカルに描き、大きな反響を読んだ作品。著者は、一家を自在に動かし、政治・文明・思想、そして人類までを著者の宇宙に引き込もうとする...
地球とは別の天体から来た飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核兵器を持った人類の滅亡をめぐる現代的な不安を、SF的技法を駆使してアレゴリカルに描き、大きな反響を読んだ作品。著者は、一家を自在に動かし、政治・文明・思想、そして人類までを著者の宇宙に引き込もうとする。著者こ抱く人類の運命に関する洞察と痛烈な現代批判に満ちた異色の思想小説である。 社会的な内容に対して設定の発想すごすぎ。
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三島文学にしては、異色の作品。内容は、SF風にまとめられている。また、ディスカッション小説でもある。
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地球とは別の天体から飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家通して描く、SF的現代批判小説。 非常に難解であり、読んだ当時得た気づきも今は風化してしまった。 父が世界観と地球館が整理されるという理由で薦めてくれたのを思い出した。
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三島由紀夫の本は、前に金閣寺か何かで挫折して以来まったく読む気になれなかったんですけど、この本はすらすらと頭に入ってきて、読みきることができました。 天才だと思いました。 いや、天才としか言いようがない。 異彩を放ってますね、美しい星! 本来小説ってこうあるべきなのかなとか、つ...
三島由紀夫の本は、前に金閣寺か何かで挫折して以来まったく読む気になれなかったんですけど、この本はすらすらと頭に入ってきて、読みきることができました。 天才だと思いました。 いや、天才としか言いようがない。 異彩を放ってますね、美しい星! 本来小説ってこうあるべきなのかなとか、つい思ってしまいました。こうあるべきって具体的にどういうことって言われても、うまく説明できないんですけど。笑 普通、ここまで客観視できないし俯瞰できない! 発想から何から非凡すぎて、この小説はどれだけのものを内包してるのか…って考えたら、気が遠くなりました。 もう読んでる間中、無数に枝分かれしてる様が浮かんでました。 神的視点を持っていると思った。 三島由紀夫自身が宇宙人なんじゃないの!と思わずにはいわれない。笑 私が浅いからこんなにも感銘をうけるのか…どうなのか… 正直、この小説で三島由紀夫が言いたかったこととか、微塵も理解できなかったと思います。 でも、何か圧倒されるものがあった。 というか、何も理解できなくても、単純に読んでいて面白い小説でした。 ユーモアがあるし、三島由紀夫の作品の中でかなり読みやすい小説だと思います。 いやー美しい星面白いです。 ぜひまた読み直したい。 この作品が、三島文学の中でとくに目立った作品ではないということにはびっくりしました。 どうなってるんだろう。三島由紀夫の思考回路は! とにかく、かなり衝撃をうけました。
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三島作品の中では異色といわれているSFっぽい作品。 宇宙人が登場しながらも派手な展開は一切なく、思想と論争の繰り返し。 最後に意外な何かがあるのではと勘繰ったものの、何もなかった事に逆に驚きました。 特におもしろい、と思ったわけでもないのですが、設定と展開の違和感で妙に印象深い小...
三島作品の中では異色といわれているSFっぽい作品。 宇宙人が登場しながらも派手な展開は一切なく、思想と論争の繰り返し。 最後に意外な何かがあるのではと勘繰ったものの、何もなかった事に逆に驚きました。 特におもしろい、と思ったわけでもないのですが、設定と展開の違和感で妙に印象深い小説です。
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三島唯一のSF異色作。 最初のインパクトはあるが、やはり三島。 落ち着くところに落ち着いた感じ。
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あるとき自分は宇宙人であると気づく家族。 それぞれ火星、金星、木星、水星という別々の星の宇宙人であり、 愚かな人間(や、政治、国際情勢)を蔑みあわれむ一方で、 自分たちのような崇高な宇宙人こそが この愚かな人間を救うべきだと使命感を感じます。 一方、白鳥座の三人組は破滅こそが地...
あるとき自分は宇宙人であると気づく家族。 それぞれ火星、金星、木星、水星という別々の星の宇宙人であり、 愚かな人間(や、政治、国際情勢)を蔑みあわれむ一方で、 自分たちのような崇高な宇宙人こそが この愚かな人間を救うべきだと使命感を感じます。 一方、白鳥座の三人組は破滅こそが地球を救う唯一の方法だと言う。 (いわゆる安楽死的な考え方。) 導入部分で、このいかれた家族にひきこまれました。 自分たちが宇宙人だなんて、ばかだなーこの人達。 途中で、自分たちも愚かな人間だったって気づくんだろうなって思っていたら、 最期までこの上から目線のスタンス。 ただのSFにとどまらず三島さんの思想や美徳のはなし この一家の言う、人間は遠いさわがしい存在って、ちょっとだけわかるな
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円盤に魅入られ、自分達が宇宙人であることを知った一家。SFな題材だがテーマはかなり人間的。所謂ディスカッション小説。面白いのだが、父親と三人組が討論する場面は読んでいて疲れてしまった。最後のページまで登場人物たちは集団で妄想に取り憑かれているのではと疑っていたが、至極真面目に宇宙...
円盤に魅入られ、自分達が宇宙人であることを知った一家。SFな題材だがテーマはかなり人間的。所謂ディスカッション小説。面白いのだが、父親と三人組が討論する場面は読んでいて疲れてしまった。最後のページまで登場人物たちは集団で妄想に取り憑かれているのではと疑っていたが、至極真面目に宇宙人の話であった。三島由紀夫は常にこんなことを考えていたのだろうかと思うとやはりすごい人だなと思う。
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