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美しい星 の商品レビュー

3.8

175件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    60

  3. 3つ

    49

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    2

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2012/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三島由紀夫の長編。 「自分は宇宙人である」という確信を得た一家族が、地球人に平和をもたらす為に活動する、という話。 実際にはもう少し複雑な話であるが、しかし実際には主人公である大杉一家は紛れもない地球人である。 なぜなら、彼らはそれぞれが火星人、金星人、水星人、木星人であるという信念を抱きつつ、人間らしい生理的現象の数々を体験する。彼らにとっては「地球人の体を借りているから」という言い訳が成立しているが、読み手からすれば滑稽な言い訳である。 小説としては、人間という存在が地球に対して実際にどのような影響を与えているのかを「宇宙人」という鳥瞰的な存在から語らせることにより、非現実的な設定と現実的な内容を包括した、かなり斬新な仕上がりになっている。 三島の作品にしては珍しい、宇宙人や空飛ぶ円盤を取り扱った作品ではあるが、その実非常に厳格な修辞と冷静な社会風刺が盛り込まれた作品であると感じた。

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2012/01/23

各人がこの世の「虚構」をどう受け止め どう 対処していくか 三島由紀夫の思う究極の美について また、人間くささ 世の中のしくみ 政治 思想などを SF的手法を用いることによって自由且つ痛烈に描いている。 「本質」の突き方はとにかく痛烈。 精神的、物的、宗教的 そのすべてにお...

各人がこの世の「虚構」をどう受け止め どう 対処していくか 三島由紀夫の思う究極の美について また、人間くささ 世の中のしくみ 政治 思想などを SF的手法を用いることによって自由且つ痛烈に描いている。 「本質」の突き方はとにかく痛烈。 精神的、物的、宗教的 そのすべてにおいて 「本質」を問いかける。 根幹を揺るがしかねないもの。 本作品を読むタイミングは選ぶ必要がある。 これだけ俯瞰的に物事を見れて 「対話すること」を知っている人が 後に一方的な手段をとるに至った経緯とは。 疑問が後引く

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2012/01/14

純文学が宇宙人!? と、筋書きに驚いて、手にとってみた。金閣寺よりははるかに読みやすい。そして、宇宙人という客観的な目を借りて書いているので、意図していることもわかりやすい。 三島由紀夫って良く分からなかったけど、これを読んで少し垣間見た気がする。

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2011/11/19

途中から面白くなって来たが、難解だった。核戦争はまだ起きていないが、原子力発電所が爆発した今の状況とかぶらせてしまう。

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2011/11/10

ルサンチマンの快楽、ユートピアとしての終末思想、美の逆説。 三島の人生や思想は荒唐無稽であってもともと筋が通っているようでまったく通っていない。圧倒的な美意識の前に批評意識を停止させてしまうのが読者の一般的な反応であるし、三島も美について論じられることを最も醜いと確信しながら美...

ルサンチマンの快楽、ユートピアとしての終末思想、美の逆説。 三島の人生や思想は荒唐無稽であってもともと筋が通っているようでまったく通っていない。圧倒的な美意識の前に批評意識を停止させてしまうのが読者の一般的な反応であるし、三島も美について論じられることを最も醜いと確信しながら美を提示するのだと思う。観念は美を穢すものであるから美はそもそも荒唐無稽でどこまでも難解で理解することはできない。そのような美の性質を三島は知っていたし体現すらしていた。 この小説は三島の世界観がサービス精神たっぷりに展開されている小説の技法書として読めば理解できるのではと思う。宗教や政治を美という観点からどのように解釈することが可能かを指し示している。 わからないならばわからないなりに逆説的に証明してゆく論理構造や比喩で本質をはぐらかしたまま輪郭をなぞる手法を味わうのが文学の楽しみ方として正しい。作品との出会いがある限り、わかるときにわかるというものだと私は思う。

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2011/09/12

自分たちを宇宙人だと思っている家族の話。しかもそれぞれ別の惑星から来たという。 三島由紀夫にしては毛色の変わった、作品だとおもう。 社会批判なども織り交ぜつつも、どちらかというとエンタメ小説のようなかんじ。 でも、三島はこういうのも書けちゃうんだからすごい作家だったのだなあとおも...

自分たちを宇宙人だと思っている家族の話。しかもそれぞれ別の惑星から来たという。 三島由紀夫にしては毛色の変わった、作品だとおもう。 社会批判なども織り交ぜつつも、どちらかというとエンタメ小説のようなかんじ。 でも、三島はこういうのも書けちゃうんだからすごい作家だったのだなあとおもう。 本文中に三島由紀夫って出てきておもしろかった。いわゆる自虐ネタってやつでしょうか。

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2012/01/03

思想と美を追求した社会・政治を言及する宇宙の形成を紐解いた上質で異質な物語。 久々にグッときたアタリ本。 SF調な空想癖がある家族の物語だと思い読んでみたが、読み始めた後に私の読みやすい本だと気付いた。(SFと推理ものは苦手) これは最初の入り口はSFに見えるが内容を理解する...

思想と美を追求した社会・政治を言及する宇宙の形成を紐解いた上質で異質な物語。 久々にグッときたアタリ本。 SF調な空想癖がある家族の物語だと思い読んでみたが、読み始めた後に私の読みやすい本だと気付いた。(SFと推理ものは苦手) これは最初の入り口はSFに見えるが内容を理解すると、核兵器や人間(地球人)の愚かさを訴え人間の本質を細部まで扱き下ろし人間を救済する物語だった。 物語の主人公で埼玉に住む大杉一家は、それぞれの惑星の選ばれた者たちである(仮想の設定) 父は火星、母は木星、息子は水星、娘は金星。 それぞれその星の宇宙人であり人間(地球人)とは異なる「特別なる者」であることを信じ、人間を時に上から目線で見下ろしながら神様的な慈愛と歪曲で人間の生活を見守る。 客観的に人間を眺めているからこそわかる人間の本質を三島由紀夫は大杉一家を通して語っているが、それが実に面白く感心してしまう。 また大杉一家は独特な価値観で人間を救済しようと考えているが、 同じく他の惑星の宇宙人だと言うある3人組も、独特な価値観(破壊)で人間を救済しようと目論む。 この者たちとの論議合戦も面白く、宇宙人からみたら人間なんて非力な平和ボケした愚かな生物なのだなと物思いに耽ってしまう。 読了後は笑ってしまいながらも、核兵器や政治的な話を深く描いているので、何とも言えない空虚な余韻を感じる。 また星や月に興味がある人はさらに楽しめると思う。 大杉一家が宇宙を眺めるさいに度々語られる星や惑星の描写が美しく、自分も特別な人間なのかもしれないと危険な思想に取り付かれそうになる文章能力である。

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2011/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分を宇宙人だと思っている家族。それぞれの出身は、違う星。だから究極に信頼しあえていない。家族を思うとき、人間となんら変わらない苦悩のなかにいる。最後は1つの円盤に乗って。。。どこに向かったのだろう。重一郎と仙台から来た3人のディスカッションのところは、クライマックスだが、自分には難解で消化できなかった。もう一度読まないといけないな。

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2011/05/10

地球とは別の天体から来た飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核兵器を持った人類の滅亡をめぐる現代的な不安を、SF的技法を駆使してアレゴリカルに描き、大きな反響を読んだ作品。著者は、一家を自在に動かし、政治・文明・思想、そして人類までを著者の宇宙に引き込もうとする...

地球とは別の天体から来た飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核兵器を持った人類の滅亡をめぐる現代的な不安を、SF的技法を駆使してアレゴリカルに描き、大きな反響を読んだ作品。著者は、一家を自在に動かし、政治・文明・思想、そして人類までを著者の宇宙に引き込もうとする。著者こ抱く人類の運命に関する洞察と痛烈な現代批判に満ちた異色の思想小説である。 社会的な内容に対して設定の発想すごすぎ。

Posted byブクログ

2011/01/10

三島文学にしては、異色の作品。内容は、SF風にまとめられている。また、ディスカッション小説でもある。

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