美しい星 の商品レビュー
1962年に書かれた思想小説。全10章で、対話討論の始まる8章途中から漸く面白くなる。人間の欠陥として物語中に挙げられた3つの関心は現代にも当てはまるかもしれない。どこかの将軍様がクシャミして押しかねないボタンを、はたまたISらの組織を、そして、それらと同等以上に、科学の行先を私...
1962年に書かれた思想小説。全10章で、対話討論の始まる8章途中から漸く面白くなる。人間の欠陥として物語中に挙げられた3つの関心は現代にも当てはまるかもしれない。どこかの将軍様がクシャミして押しかねないボタンを、はたまたISらの組織を、そして、それらと同等以上に、科学の行先を私達は恐れている。人が人を滅ぼすとしたら、それは無邪気な好奇心によるものかもしれない。
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正直、この手のストーリーは得意とは言えない。読み始めに気になった設定に合理的な説明なく、読者の質問を置き去りにドンドン進んでしまうからだ。ただ、言えるのは本著は三島文学の中では異色なSFテイストでありながら、恐らくは、水爆が注目された時代の人類を、超客観的に見つめたいとの試みだっ...
正直、この手のストーリーは得意とは言えない。読み始めに気になった設定に合理的な説明なく、読者の質問を置き去りにドンドン進んでしまうからだ。ただ、言えるのは本著は三島文学の中では異色なSFテイストでありながら、恐らくは、水爆が注目された時代の人類を、超客観的に見つめたいとの試みだったのではないかという点だ。だから、その手法により、三島は登場人物に自論を語らせているのではないか。興味深い。しかし、物語の面白さは、それとは別である。
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社会派っぽい内容。 宇宙人やUFOを扱った純文学とは驚いた。 理解が追い付いてないので、三島の主張が十分に汲み取れてないと思う。
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自らを宇宙人と思いこんだ家族のお話。 三島由紀夫もこういうの書くんだね。 とても美しい日本語。 書かれている事象はかなり軽いけど、 それに込められた内容はなかなか深いものがある。 ちょっと中盤、話がダレルのが気になる。 巻末の話の結末は 金閣寺に似たような雰囲気。
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三島由紀夫の作品を読んだのはごくわずか。でも、作風の違いにびっくり。 狂気めいたシュールな話に、陳腐さと美しさをあわせもつ宇宙人のお話し。
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夫が空飛ぶ円盤を見て「自分は地球人ではなく宇宙人だ」と気づいた翌日、妻が空飛ぶ円盤を見て「自分は宇宙人だ」と気づく。同じく息子、娘も自分は宇宙人だと気づく。彼らは宇宙人として、地球平和のための活動を始める。ちなみに夫は火星人、妻は木星人、息子は水星人で娘は金星人。そこに、人類滅亡...
夫が空飛ぶ円盤を見て「自分は地球人ではなく宇宙人だ」と気づいた翌日、妻が空飛ぶ円盤を見て「自分は宇宙人だ」と気づく。同じく息子、娘も自分は宇宙人だと気づく。彼らは宇宙人として、地球平和のための活動を始める。ちなみに夫は火星人、妻は木星人、息子は水星人で娘は金星人。そこに、人類滅亡を望む白鳥座の宇宙人が現れる。…という無茶苦茶な設定に、このまま読み進めて大丈夫なものか、いったい三島由紀夫はこれにどう収拾をつけるのか、と不安に駆られた。人類について宇宙人たちが語る場面が面白かった。あそこがこの本の核かな。
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荒唐無稽な非現実感にもかかわらず、超現実的。言葉言葉言葉な、文学作品。最後は、救われたような、突き放されたような…
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なかなか読み応えのあるSFの体裁。仙台の三人組との論争は、意味不明ながら、なるほどと思った。金星人の恋愛は、不思議な道行となって、暁子が健気で美しかつた。
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恥ずかしながら、まともに読了した作品が金閣寺と当作品だけ…どちらも全ての文章を理解と言うか消化しながら読み進めようとしてしまい、とても時間がかかってしまった。 自分の理解力の無さが情けない。 仙台からの3人組との論争場面はすごい!よくこんなに… 最後はどうなるのか想像つかなかった...
恥ずかしながら、まともに読了した作品が金閣寺と当作品だけ…どちらも全ての文章を理解と言うか消化しながら読み進めようとしてしまい、とても時間がかかってしまった。 自分の理解力の無さが情けない。 仙台からの3人組との論争場面はすごい!よくこんなに… 最後はどうなるのか想像つかなかったけど、ちょっと安心した。本当に自分達は宇宙人と信じていたの? ごめんなさい、私が三島作品を読むレベルではないかも…
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不思議な小説。 狂気すれすれの「ものの見え方」の描写が、 哲学的でもあり詩的でもある。 登場人物たちの行動が滑稽でコメディぽい。 救済であれ殲滅であれ、 それぞれの立場で崇高な目標を抱きつつも 身近な事象に対しては 非常に俗物的である。 そして何と言っても終盤の論争シーン。...
不思議な小説。 狂気すれすれの「ものの見え方」の描写が、 哲学的でもあり詩的でもある。 登場人物たちの行動が滑稽でコメディぽい。 救済であれ殲滅であれ、 それぞれの立場で崇高な目標を抱きつつも 身近な事象に対しては 非常に俗物的である。 そして何と言っても終盤の論争シーン。 これを引き立てるために延々と「笑えない喜劇」を 読んできたのか、と思った。
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