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河童・或阿呆の一生 の商品レビュー

3.9

131件のお客様レビュー

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2023/01/11

芥川龍之介著『河童・或阿呆の一生(新潮文庫)』(新潮社) 1968.12発行 2018.5.16読了 芥川龍之介の晩年の作品を収録した文庫本。芥川の作品では「蜜柑」が一番好きだが、この文庫本に収録されているのは、いずれも憂鬱で病的な気配を感じさせるものばかり。死を予兆していたか...

芥川龍之介著『河童・或阿呆の一生(新潮文庫)』(新潮社) 1968.12発行 2018.5.16読了 芥川龍之介の晩年の作品を収録した文庫本。芥川の作品では「蜜柑」が一番好きだが、この文庫本に収録されているのは、いずれも憂鬱で病的な気配を感じさせるものばかり。死を予兆していたかのように、自叙伝的な小説が目立つ。先人たちが残した本を読み漁ったり、宗教に救済を求めたり、晩年、芥川が精神的疲労に陥っていたことがよく分かる。残念ながら、それらは物質主義者の芥川の精神を救う手立てにはならなかった。鬼気迫る、そんな表現が一番しっくりくる。イカロスのように翼が燃え尽きてしまった人。才悩人、芥川龍之介。 URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000008586831

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2022/11/25

全体的に暗いがどこか共感できてしまう静寂感に包まれた本。 遺作になることを分かっていたんだろうなと思う。

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2022/09/04

暗い 芥川が自殺の直前に書いた物語たちであるのでそれが自然だったりはするのだが 芥川の「唯ぼんやりとした不安」を書いていると言われている河童は特にそれがすごく読み取れるような気がする 芥川は周囲と価値観が合わなかったのかもしれない だから、周りの人物を河童に見立てることで小説と...

暗い 芥川が自殺の直前に書いた物語たちであるのでそれが自然だったりはするのだが 芥川の「唯ぼんやりとした不安」を書いていると言われている河童は特にそれがすごく読み取れるような気がする 芥川は周囲と価値観が合わなかったのかもしれない だから、周りの人物を河童に見立てることで小説という形を取った彼なりのSOSを発していたのかもしれない こんなことを言えるのも、芥川が自殺したという帰結を知っている今だから言えるのかもしれないけれど… リアルタイムでこれを読んだ時、もし、芥川と知り合いだったら自分は彼に何と声をかけるだろうか そんなことを考えていた

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2022/04/27

意識のステージ高すぎて詩読んでるみたいで難しかった 『歯車』は書いてた時しんどかったんだろうなって浅はかながら感じた

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2022/04/23

全六編。非常にユニークな世界観ですが、とりわけ河童の世界では胎児に生まれてきたいかどうかを尋ねるという所が面白い。全体的に芥川後期の作品は暗い物が多いですね。

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2022/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

高校生のときに読んだ本。 芥川、最後の作品ではないだろうか? 当時はなぜ彼は死を選んだのか?手がかりがあるような気がしたが、作風は彼らしく物語調にまとめられていた記憶 ”ぼんやりとした不安”のフレーズが頭に残っていて、 自死を選ぶ人にも明確な理由がないことも多いのかもしれない。逆に生を選ぶ人にも明確な意義を確信しているのは少数派な気もする。 彼ほどに頭のキレるひとでも、劣等感や不安感がつきまとうのは、いかにも人間感あふれる作品であった

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2022/02/13

【読み終わって感じたこと】 「河童」を除けば全体的に陰鬱な作品であり、私の読むスピードを非常に遅くさせる力があった。「蜘蛛の糸・杜子春」を先に読んでいたから、余計に対照的な暗さを感じた。 【印象に残ったシーン】 「河童」で、胎児が産まれることを拒むシーン。芥川はこの胎児に少し自...

【読み終わって感じたこと】 「河童」を除けば全体的に陰鬱な作品であり、私の読むスピードを非常に遅くさせる力があった。「蜘蛛の糸・杜子春」を先に読んでいたから、余計に対照的な暗さを感じた。 【印象に残ったシーン】 「河童」で、胎児が産まれることを拒むシーン。芥川はこの胎児に少し自身を投影していたのではないかと思った。確かに、子供は自ら望んで生まれているわけではない。その事実に対するシビアな描写だなと思った。 【好きなセリフ】 「死にたがっているよりも生きることに飽きているのです」 このセリフは、最期には自殺してしまった芥川自身の素直な気持ちなんだろうなと思った。生きることに疲れてしまった彼の人生は一体どんな暗澹さを含んでいたのだろうと思うと、私には計り知れなかった。

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2022/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芥川龍之介最晩年の苦悶の短編集。こちらの気持ちが下降気味だと引きずられてしまう。 何故そこまで死を希望したのか、理由は幾つか読んでみたけれど、本当のところはわからない。ただ、相当な遅筆だった事、スペイン風邪に2度かかり、2回目はかなり重症だった事は、今回知った。 たぶんこの本はもう読まないと思うので覚書です。 「大導寺信輔の半生」 芥川の半自伝的小説と言われている。精神的風景画として6章からなる。未完らしい。 本所 出身地への嫌悪・恨み 牛乳 母乳への憧れから牛乳への嫌悪    母親は身体が弱く信輔に母乳を与えず 貧困 幼児期の貧困への嫌悪・敵意 学校 中学校での孤独 規則への嫌悪 教師への    敵意  本  小学生から本を愛すが、貧困の為欲しい本を             手に入れる事に難儀する。物語の中に転身    する。 友だち 頭の良い人・頭脳のある人を好む。    社会的階級の差別に壁を感じる。 芥川の作品が高尚であるので、それと決めるには難しいけれど、資金的な悩みは大きなものだったのかもしれない。 「玄鶴山房」 この家の主人玄鶴は結核で、もう最期は近い。その家族と看護師の平穏を装う生活の中での心理描写。 『家政婦は見た』を何故か思い出しちゃったよ。 その心理戦が、凄く好きでした。 この頃、芥川は義兄の借金をも背負い込み、困窮を友人らに訴えていた。 「蜃気楼」 たぶん芥川本人が、鵠沼の海岸を散歩する。蜃気楼は見えず、水葬の亡骸を見つける。ただ、それだけなのに、全体的に暗鬱な感じ。 「河童」 物語は精神病患者の思い出話として語られる。河童の国に迷い込み、そこでしばらくの間生活する。河童の国は社会が成立していて、そこでの出来事の描写が現実社会への批判になっている。出産や結婚については、なかなかシビア。胎児が産まれたくないと答えればそこまでとなる。同胞を食用にしたりする。人間社会に戻ったその患者は、再び河童の国に行くことを望む。 で、芥川の命日は『河童忌』。 「歯車」 歯車は偏頭痛が始まるサインのように「僕」の視界で回り始める。これはちょっとわかる。頭痛が始まるサインって人それぞれだけど、私は首の辺りで音がする感じ。 物語の始まりにホテルが出てくる。そのホテルに幽霊が出るという。その辺りの描写は、村上春樹の『ダンスダンスダンス』と重なった。 結局、幻想とか妄想が語られていて小説ではない感じ。何かを誰かにわかって欲しかったのかしらね。 「或る阿呆の一生」 自殺後見つかった51の項目からなる作品。 自身に関係した物事について、端的に回想している。ラストは敗北。 こんなに冷静な文章を書けていたのに、何故、死を選んだのか。もう作家として文壇で認められていたのに。書けば、売れる。が、かなり推敲するタイプだったので沢山書けない。収入は増えない。家族は増える。女性にモテてしまう。 もう少し、中期のような作品を書いて欲しかった。

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2021/08/01

久しぶりに芥川の作品に触れたいと思い本作を読むことにした。 今まで読んだ芥川の作品は、羅生門や地獄変のように箴言的なものを感じたり、蜜柑のように描写がきれいなものが多いと思っていた。 本作は、晩年に作られた作品を集めたものらしく、今まで読んできた芥川の作品とは違ったものだった。 ...

久しぶりに芥川の作品に触れたいと思い本作を読むことにした。 今まで読んだ芥川の作品は、羅生門や地獄変のように箴言的なものを感じたり、蜜柑のように描写がきれいなものが多いと思っていた。 本作は、晩年に作られた作品を集めたものらしく、今まで読んできた芥川の作品とは違ったものだった。 特に、死後に出版された「或阿呆の一生」と「歯車」は中身ががちゃがちゃしており、これを解説を見ないで、いろいろと理解できる人がいたらすごいと思った。 ただ、理解しにくい内容でも、何となく不安感や厭世感は見えているので、そのあたりの空気感を楽しむのには良いのかもしれない。

Posted byブクログ

2021/08/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

有名作家に何をいまさら…と笑われる感想かもしれないが。 恐ろしいほどの文章力。 数行のパッセージで映像が喚起される。 儚い、面白い、美しい、悲しい、哀しい、恐ろしいをすべて詰め込んで。

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