白痴 の商品レビュー
生きた時代の重たさもあるけど、戦争、精神、女、肉体を短編によくまとめたなぁと思う。しかも深く。文章の難しさあるけど、人生で一度読んでおいだがいい作品。
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おおお何だか想像と違った! 勝手に明治時代くらいの話だと思ってました。 坂口安吾の作品を初めて読んだんですが、この人の文章、肌に合うわー。読みやすい! ご近所の方々にももっと深く食い込んでゆくのかな、と思ったんですが、そんなことはなかったぜ。
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空襲下の限界状態で、人間の尊厳を問う。 本能のみで生きる白痴を豚と変わらないと言い切り、徹底して人間の表層を取り除いている。 多少、露骨な表現が多いが、私の存在意義を再考させられる。
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初めて読んだのは、高校の修学旅行のときだったように思う。 友人が読んでいた。 二度目にこの小説を読んでいた頃、古書店で安吾の文庫をたくさん見つけ、まとめて買ったのだった。 それらは、ぼくよりも安吾が好きな友人にまとめて渡した。 その文庫は今も友人の部屋にある。 2002年6月1...
初めて読んだのは、高校の修学旅行のときだったように思う。 友人が読んでいた。 二度目にこの小説を読んでいた頃、古書店で安吾の文庫をたくさん見つけ、まとめて買ったのだった。 それらは、ぼくよりも安吾が好きな友人にまとめて渡した。 その文庫は今も友人の部屋にある。 2002年6月11日読了
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高校時代、すっげぇ好きだった。 いま、あらためて読んでみた。 「文人ってオトナになれん人なんやなー」と思いながら、やっぱ好きだった。
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この本、高校時代に読書感想文を無理やり書くために読んだような・・・ でもほとんど内容を覚えてなかったので、もう一回読んでみました。 それもそのはず。 文章が読みにくいです。やたら難解。 ホントに高校生の時、ちゃんと読んだのだろうか・・・。 ついでにいうと、私あんまりこの手の...
この本、高校時代に読書感想文を無理やり書くために読んだような・・・ でもほとんど内容を覚えてなかったので、もう一回読んでみました。 それもそのはず。 文章が読みにくいです。やたら難解。 ホントに高校生の時、ちゃんと読んだのだろうか・・・。 ついでにいうと、私あんまりこの手の小説好きじゃないです。デカダン派というやつでしょうか。それでも読みかけたので頑張って読みました。 表題作「白痴」を含む代表作7作が収録されているのですが、「私は海をだきしめていたい」「戦争と一人の女」はどうやらリンクしているらしく、良かったです。 苦手な類の小説なんだけれど、戦争を取り扱った小説としてはかなり珍しいものだと思います。そういった意味で興味深いです。 私は当然、日本で戦争があった時代に生きては居ないので、戦争観というのはメディアによって形作られています。 坂口安吾は時代的に第二次世界大戦を経験しておられると思うのですが(終戦10年後に亡くなっています)、「戦争と一人の女」は戦争体験者が書く小説としては私にとって衝撃のものでした。 「私は然し夜間爆撃の何が一番すばらしかったかと訊かれると、正直のところは、被害の大きかったのが何より私の気にいっていたというのが本当の気持なのである。照空燈の矢の中にポッカリ浮いた鈍い銀色のB29も美しい。カチカチと光る高射砲、そして高射砲の音の中を泳いでくるB29の爆音。花火のように空にひらいて落ちてくる焼夷弾、けれども私には地上の光芒たる劫火だけが全心的な満足を与えてくれるのであった。」 −−「戦争と一人の女」より それから、殆どの作品で女性が登場するのですが、この女性たちが思わず疑問を抱いてしまうような人物です。 坂口安吾の人生と、女性との関係を知りたくなりました。 なんとなく、全体的に太宰治を彷彿とさせるなあと思ったら、太宰も坂口も無頼派だったんですね。何にしろ苦手です。
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予想以上に入り込んでしまった。 もちろん有名どころは『白痴』だけれど、私はそれ以外が気に入った。 特に『母の上京』『外套と青空』『私は海をだきしめていたい』『戦争と一人の女』 がいいと思った。 私文学史の知識浅いのだけど、戦争の最中で裸にされ、シンプルな三大欲望のみ 顕になら...
予想以上に入り込んでしまった。 もちろん有名どころは『白痴』だけれど、私はそれ以外が気に入った。 特に『母の上京』『外套と青空』『私は海をだきしめていたい』『戦争と一人の女』 がいいと思った。 私文学史の知識浅いのだけど、戦争の最中で裸にされ、シンプルな三大欲望のみ 顕にならざるを得ない状況下で生まれた作品だということはわかる。 肉欲とは一体人間にとってなんなのか。 最悪の環境でも潰されぬそれは卑しくもあり泰然と人間を構えているよう。 色々なことを思いついたが、正直一度読んだだけでは言葉にしにくい。 それってやはり当時の状況をあまりよく知らないからか。 もちろん完全には知りえないんだけど、極限のところまで追い詰めないと 理解できないもんなのかもしれない。 この作品の延長線に幸福がないのは確か。 「中途半端な所有感は悲しく、みすぼらしいものだ。 私はすべてを所有しなければ充ち足りぬ人間だった。」(『いずこへ』) 「人が物を捨てるには、たとえば紙屑を捨てるのにも、捨てるだけの 張合いと潔癖ぐらいはあるだろう。 この女を捨てる張合いも潔癖も失われているだけだ。 微塵の愛情もなかったし、未練もなかったが、捨てるだけの張合いもなかった。 生きるための、明日の希望がないからだ。」(『白痴』) 「全ては過ぎる。夢のように。何事をも捉えることはできないのだ。 私自身も思えばただ私の影にすぎないのだと思った。」(『戦争と一人の女』)
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1946年、終戦翌年に発表された作品。 映画「白痴」を観る前に読みました。 戦時中の日本。 文化映画の演出家である伊沢は、芸術を志しながらも、実際には凡庸さ、言葉の上だけの"自我"や"個性"が氾濫の中に身を置いています。 一歩先の僅かな給...
1946年、終戦翌年に発表された作品。 映画「白痴」を観る前に読みました。 戦時中の日本。 文化映画の演出家である伊沢は、芸術を志しながらも、実際には凡庸さ、言葉の上だけの"自我"や"個性"が氾濫の中に身を置いています。 一歩先の僅かな給与を貰えるかどうかを恐れ、胸に抱く大志も、そうしたチッポケな現実の前で崩壊せざるを得ない現実に疲れる伊沢は、住処に潜り込んできた白痴の女に安らぎます。 白痴は、豚のように、自らが切り刻まれても気付かない。物事を考えるのではなく、ただ通すだけ。 逃げ惑う中、最初は置き去りにしようとした白痴を連れ、彼は大衆とは別に逃げようとします。 大衆に飲み込まれそうになる白痴を掴まえ、逃げる伊沢。 戦争という虚無の切ない愛情は、全てを破壊する。 その先に何かがあると思い、希望を持とうとやっていたが、死体は人も豚も何もかもが同じようにしか見えなかった。 明日への希望など持ち合わせていなかった。 だから、白痴を捨てようにも、捨てるほどの気力も無い。 出来るだけ遠くに歩こう。 ただ、心の中に混沌とした虚無が漂っている中、背中に降り注ぐ太陽を待ちながら。
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「知らないのですもの。 びっくりするところへ、つれて行ってね。」 坂口安吾の小説で 繰り広げられる男と女の駆け引きは 流れるようだと思います。 『青鬼の褌を洗う女』のやり取りは なんだか引きつけられちゃいました。
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あまりに有名な坂口作品を集めた短編集です。坂口さんの女性の書き方が独特で好き。 戦争がもたらした焼け焦げた不安定な社会のその歪さに焦点を当てた短編。 「鬼の褌を洗う女」が好きだな。妾さんの一人称で進む短編ですが、この妾さんがまた魅力的です。道徳を重んじながらも、遊蕩・怠惰に憧れる...
あまりに有名な坂口作品を集めた短編集です。坂口さんの女性の書き方が独特で好き。 戦争がもたらした焼け焦げた不安定な社会のその歪さに焦点を当てた短編。 「鬼の褌を洗う女」が好きだな。妾さんの一人称で進む短編ですが、この妾さんがまた魅力的です。道徳を重んじながらも、遊蕩・怠惰に憧れるのは人間の性でしょうか。
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