白痴 の商品レビュー
「白痴」(坂口安吾)読了。短編集。「いずこへ」「白痴」「母の上京」「外套と青空」「私は海をだきしめていたい」「戦争と一人の女」「青鬼の褌を洗う女」の7編。これらの持つ雰囲気(堕ちていく感じとか露悪的なところとかです)が私の苦手な太宰と似てはいるけれど同じではない。 坂口安吾は初め...
「白痴」(坂口安吾)読了。短編集。「いずこへ」「白痴」「母の上京」「外套と青空」「私は海をだきしめていたい」「戦争と一人の女」「青鬼の褌を洗う女」の7編。これらの持つ雰囲気(堕ちていく感じとか露悪的なところとかです)が私の苦手な太宰と似てはいるけれど同じではない。 坂口安吾は初めて読んだのですが、しかし例えば「いずこへ」の『私はそのころ耳を澄ますようにして生きていた。』とはまたなんとも素敵な書き出しではないか!この一文を読むだけでわたしは坂口安吾という作家が好きになってしまう。 坂口安吾の日本文学史における立ち位置については知らないけれどこれらの短編を読む限りにおいて広く一般に受け入れられるものとは思えない。(たぶん一部の熱狂的な読者は存在し得るだろうけれど。)かつてもしそうであったのならそれはやはり「時代」の所為なんだろうな。 極限下(戦争中)における倒錯した幸福感や欲望等々について戦後生まれのわたしとしては理解しがたいところもあるのですが、あるいはよりむき出しの人間的普遍的本能的なものが露わになるのかもしれないとも思う。しかし読み終わるのにずいぶん時間がかかってしまったな。
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読んだ。 共感できる内容だった。 ただ、語り口がやはり、戦時中。 没頭して読むという感覚はなかった
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意外と面白みがあるけど、いまいちよく分からないという部分があり。 戦争や女性が絡む話は、かなり面白かった。 ただ読んでて続きが気になるって類の話ではないので、やや退屈。
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「いずこへ」「白痴」「母の上京」まで。 今の精神状態で読むものではなかった。またの機会に。 ※読んだのは昭和23年発行のもの。
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青空文庫で読了。 100ページにもみたないので、2時間かからないくらいでした。 空襲で生きるか死ぬか、その中での一瞬が描かれた作品。 主人公の男は社会で抑圧され、世情も戦時中というなかで鬱屈したものを抱えて生きている。 周りもまっとうな人間もいれば、風俗で生計してたり不倫してい...
青空文庫で読了。 100ページにもみたないので、2時間かからないくらいでした。 空襲で生きるか死ぬか、その中での一瞬が描かれた作品。 主人公の男は社会で抑圧され、世情も戦時中というなかで鬱屈したものを抱えて生きている。 周りもまっとうな人間もいれば、風俗で生計してたり不倫していたり、口喧しい人やら、その中に白痴(敢えてこう表現します)がいる日常。 主人公もたまたま白痴の女から好かれ、空襲の被害にあったが命は助かった。女も疲れて隣で寝ている。 今を生きることで精一杯。 何ら今の時代と変わらない一瞬じゃないかと思う。
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まぁ、他人にバカというなら、ここまでバカと言ったほうがよいのかもしれない。物語に緩急はないが、相変わらずの観察眼は健在。なにかとなにかの紙一重さを切に感じる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
更に読み込む為に再読。なので再読後に感想は譲ります。 2/9 再読、了!感想。 --- 坂口安吾。1度読み続けて再読。少々時間のかかった再読だったけど、安吾の描く女性の姿は「生(性)」に対する潔さすら感じ、好感もって読み終えました。本は女を痴呆・白痴・淫売として扱うが死を意識せざる得ない局面で、迷いなく「生きる」ことを選ぶ振る舞いにより露わになった女の「命」と真摯に向き合う本態ともいうべき自然を前に、物事を観念的とらえることが「生きる」為にどれだけ意味のあることなんだろうか?と僕はパラダイムシフトに陥らざるをえなかったが、うち1篇「白痴」における男と白痴の女の姿に集約され、この本を象徴する作品であり本のタイトルを「白痴」とするのも納得。個人的に作品の中で「青鬼の褌を洗う女」に終わる後ろ3篇が好みだったりするんだけど、これは小説というフィクションに女を語り手とし男を語るというフィクションを作り上げた安吾の遊びへの共感からだろうと思ったりする。
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男女の云々は苦手だけれども、何故かさらりと読めた。文章も古いですが読み難さはない。色気たっぷり、な雰囲気かな。ただちょっと出てくる女性が似た様な人物像なので、収録の仕方が悪いのかな。筆者の本はこれが初めてですが、他にも色々読んでみたいと思います。
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そして私は、私自身の本当の喜びは何だろうかということに就て、ふと、思いつくようになった。私の本当の喜びは、あるときは鳥となって空をとび、あるときは魚となって沼の水底をくぐり、あるときは獣となって野を走ることではないだろうか。 私の本当の喜びは恋をすることではない。肉欲にふけること...
そして私は、私自身の本当の喜びは何だろうかということに就て、ふと、思いつくようになった。私の本当の喜びは、あるときは鳥となって空をとび、あるときは魚となって沼の水底をくぐり、あるときは獣となって野を走ることではないだろうか。 私の本当の喜びは恋をすることではない。肉欲にふけることではない。ただ、恋につかれ、恋にうみ、肉欲につかれて、肉欲をいむことが常に必要なだけだ。 私は、肉欲自体が私の喜びではないことに気付いたことを、喜ぶべきか、悲しむべきか、信ずべきか、疑うべきか、迷った。
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坂口安吾の短編集。 『青鬼の褌を洗う女』は面白く読めたけど、それ以外の作品は居心地悪い感じがしました。 読者の目の前には作者によって規定された型枠しか差し出されないような作品。 フィクションにはもっと柔軟・多様な可能性を秘めていてほしいと思う私には、合わない作風でした。
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