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細雪(中) の商品レビュー

4.1

75件のお客様レビュー

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    19

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まさか板倉さんが、、続きはどうなるんでしょう!? 中巻で印象に残った場面は、出水時の板倉と奥畑の対応を比較して「人間の真価はああいう際に本当によくわかるものである」となった場面で、まさにその通りだと思った。非常時の対応は、その人の普段の行いや心持ちが如実に現れる場面である。誠実な人間は、普段からそのような行いを自然と行なっているもので、自身の行動の戒めにもなる一説であった。

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2019/07/06

鶴子一家は東京へ栄転する、台風大水の被害で建物は被害を受ける、おさく師匠は亡くなる、隣人家族は独逸へ帰る、四季折々と仲の良い姉妹はそのままに、時勢と併せて彼女たちを取り巻く状況は変化していく。 結局、雪子と妙子のお嫁騒動の話題しか書かれてないのだけれど。展開も面白いし、日本の文化...

鶴子一家は東京へ栄転する、台風大水の被害で建物は被害を受ける、おさく師匠は亡くなる、隣人家族は独逸へ帰る、四季折々と仲の良い姉妹はそのままに、時勢と併せて彼女たちを取り巻く状況は変化していく。 結局、雪子と妙子のお嫁騒動の話題しか書かれてないのだけれど。展開も面白いし、日本の文化情緒と時代性を捉えつつ言葉遣いも巧みで流れるように読める名文。

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2019/06/27

雪子と対照的に末娘の妙子は自由奔放な性格で、男との恋愛事件が絶えず、それを処理するためにも幸子夫婦は飛びまわらざるをえない。そんな中で一家は大水害にみまわれ、姉の鶴子一家は東京に転任になる。時代はシナでの戦争が日ましに拡大していき、生活はしだいに窮屈になっていくが、そうした世間の...

雪子と対照的に末娘の妙子は自由奔放な性格で、男との恋愛事件が絶えず、それを処理するためにも幸子夫婦は飛びまわらざるをえない。そんな中で一家は大水害にみまわれ、姉の鶴子一家は東京に転任になる。時代はシナでの戦争が日ましに拡大していき、生活はしだいに窮屈になっていくが、そうした世間の喧噪をよそに、姉妹たちは花見、螢狩り、月見などの伝統的行事を楽しんでいる。

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2018/11/21

上巻は雪子の縁談が中心で、差し当たり大きな事件はなかったけれど、本巻では妙子の恋愛を中心に物語が展開される。昭和13年の阪神の豪雨の様子なども、こと細かく記されている。この豪雨が妙子に大きな変化をもたらすのだが、読んでいてとても臨場感があった。 その他に隣家のドイツ人一家や妙子...

上巻は雪子の縁談が中心で、差し当たり大きな事件はなかったけれど、本巻では妙子の恋愛を中心に物語が展開される。昭和13年の阪神の豪雨の様子なども、こと細かく記されている。この豪雨が妙子に大きな変化をもたらすのだが、読んでいてとても臨場感があった。 その他に隣家のドイツ人一家や妙子の弟子のロシア人の家族との交流なども描かれている。妙子は見るからに活動的だが、おとなしい雪子のしたたかさが垣間見られた。

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2018/09/30

細雪を読んでいる間中、ずっと不思議だったのですが、どうして、延々とひとつの家庭の毎日を眺めるだけなのがこんなに面白いのでしょうか。さすが文豪。 上巻のときに、もしや…と思っていたことが本当になりました。4人姉妹(といっても長女はほとんど出てきませんが)の中だったら妙子が結構好き...

細雪を読んでいる間中、ずっと不思議だったのですが、どうして、延々とひとつの家庭の毎日を眺めるだけなのがこんなに面白いのでしょうか。さすが文豪。 上巻のときに、もしや…と思っていたことが本当になりました。4人姉妹(といっても長女はほとんど出てきませんが)の中だったら妙子が結構好きだなーと思ってたのですが、前言撤回です。身内にさえ秘密主義というか、腹黒いというか、どこか信用のおけない感じが苦手です。 逆に、上巻ではなにを考えているのか全然だった雪子が、中巻だと少しだけその心理を吐露してくれて、意外と男前だなという印象に。 妙子は、自称サバサバ系というか、内心がすごくドロドロしているのが苦手なのかもしれません。 そのせいか、上巻よりも雪子のお見合い話に引き込まれ、愛知の田舎でのお見合いは、読んでいて辛かったです。 しかし、小さなアップダウンはあるものの、取り立てて大きなドラマが起こるわけでもないのにこんなに面白いなんて。さすが文豪、さすが谷崎。と何度も唸りました。

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2018/07/01

中巻。昭和13年7月3~5日の阪神大水害にはじまる。細かな描写。「海のよう」だったらしい。読むだけで怖い。 その大水害で妙子を助けた板倉と妙子の恋愛の結末。 相変わらずの安定した物語力。 谷崎の描く「蒔岡家」という一家を見つめ続けることで、「家」というものがどのようなものなのか、...

中巻。昭和13年7月3~5日の阪神大水害にはじまる。細かな描写。「海のよう」だったらしい。読むだけで怖い。 その大水害で妙子を助けた板倉と妙子の恋愛の結末。 相変わらずの安定した物語力。 谷崎の描く「蒔岡家」という一家を見つめ続けることで、「家」というものがどのようなものなのか、感じられるような気がする。

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2018/01/27

 中巻では、隣に住んでいたドイツ人が帰国するなど、戦争の跫音が次第に大きくなってくる。もっとも、蒔岡家は世間に比べればその影響は決して大きくないように見え、それでいて後に崩壊することが予期されるような不思議な穏やかさを纏った生活が描かれている。季節ごとの風流な行事も鮮やかで、起き...

 中巻では、隣に住んでいたドイツ人が帰国するなど、戦争の跫音が次第に大きくなってくる。もっとも、蒔岡家は世間に比べればその影響は決して大きくないように見え、それでいて後に崩壊することが予期されるような不思議な穏やかさを纏った生活が描かれている。季節ごとの風流な行事も鮮やかで、起きている事件の哀しさや激しさと不思議な共存を成し遂げている。  そんな中でも一番の事件は四女妙子と写真家板倉の悲恋だろう。板倉は家柄が悪いために、三女幸子は二人の交際を快くは思うことができない。『ロミオとジュリエット』のように(・・・といっても未だに読んだことがないのだけれど)、読者は「身分違いの恋」=応援したくなる存在、と考えがちではないだろうか。  しかし、この小説では幸子視点(彼女の一人称ではない)で語られることも相まって、二人の恋は妙子たちの浅はかな行動として映りやすい。身分の違いは小説内で「人種」という強い言葉で形容されることもある。人種と聞くと、やはり想起するのはアパルトヘイトのような「非道極まる差別行為」だろうか。現に、軽薄で甲斐性なしの幼馴染奥畑ですら、人種が同じだけマシだとまで描かれているのだ。板倉が死にそうなシーンなど、幸子が「板倉には悪いけど、死んだら面倒ごともなくなって助かっちゃうな・・・」という趣旨の独白をしている。  では、この小説は人種差別を糾弾するような社会派オーラを纏っているのかといえばそんなことはない。悲劇の恋は終わるとともにあっさりと他の場面に移ってしまうし、この時代はこういう価値観だったんだよ、という程度の雰囲気しかない(ゴーディマ『ジャンプ』で描かれるアパルトヘイトだって、単純には描かれない)。  みんなで桜を見たことも、蛍狩りを楽しんだことも、お見合いがうまくいかなかったことも、大水害が起きたことも、愛する人が死んでしまったことも、そして忍び寄る戦禍の影でさえも、この物語では平等に過ぎ去ってゆく。  それは、今季を逃し周りが憂慮しているのをどこ吹く風で「ふん」としている雪子のような視点かもしれないし、人の栄枯盛衰をただじっと見守る老樹の視点かもしれない。時代に取り残される人、時代の先を突っ走る人、その狭間に立つ人、何も気にしない人。人によってその人が感じる時の流れは様々であり、その流れに身を任せるのも逆らうのもその人次第。そうした、様々な時の流れが共存することが、この小説が美しい所以なのかもしれないな。

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2017/07/16

★評価は再読了後に。 滑稽な感じを受けるのは当方だけなんでしょうか、関西とか血筋とか。作家の狙いとか意図とは別にあまりに時代が遠くになってしまった感じがして、これではあまり今では読まれないのかな?とふと思った次第。 そんなことはないかな?それが作家の意図なんでしょうか?世に出回る...

★評価は再読了後に。 滑稽な感じを受けるのは当方だけなんでしょうか、関西とか血筋とか。作家の狙いとか意図とは別にあまりに時代が遠くになってしまった感じがして、これではあまり今では読まれないのかな?とふと思った次第。 そんなことはないかな?それが作家の意図なんでしょうか?世に出回る谷崎評を念頭に置くと、そうではないなと思う。関西出身の人の独り相撲的意識を何気に理解できるだけに猶更その感ありです。

Posted byブクログ

2016/10/11

中途半端な終わり方やと思ったが、三部に分けたのは筆者の知るところではないハズなので仕方ないか。 「上→中→下と、どんどん引き込まれる。」とは言えないダラダラ感。 さて、「下巻」に感動をもらえるのでしょうか・・・?

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2016/09/30

中巻、ページ数が増える。 大半は大水でのお話が大半。丁稚奉公を前にしていた板倉が妙子を助けることから急展開になる。しかし、終盤に病に陥ることになる。下巻へ続く。

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