細雪(中) の商品レビュー
今回も姉妹のリアルな日常描写にくすっと笑いながら読み進めたが、災害の描写の迫力がまた凄かった。下巻も楽しみ。
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細雪の谷崎潤一郎の描写はどれも読者が情景をイメージできるように書かれていて素晴らしいと思っていたが、洪水のシーンはそれが顕著で特に驚いた。 自分は洪水の中を歩いたことがないのでイメージすることしかできないけれど、貞乃助が「どす黒く濁った、土用波が寄せる時の泥海」をかき分け進む様子...
細雪の谷崎潤一郎の描写はどれも読者が情景をイメージできるように書かれていて素晴らしいと思っていたが、洪水のシーンはそれが顕著で特に驚いた。 自分は洪水の中を歩いたことがないのでイメージすることしかできないけれど、貞乃助が「どす黒く濁った、土用波が寄せる時の泥海」をかき分け進む様子がありありと想像できた。 最後の方の板倉さんに関するバタバタは衝撃的だった。こいさんどんな人と結婚するのか、下巻が楽しみ。
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この本は本当に、登場人物たちが発する上品で小気味良い関西弁の台詞が楽しい 当時の上流階級が贔屓にしていただろう実在の名店が色々登場するのも楽しい 谷崎が描写する食べ物の、なんて美しくて美味しそうなことか、、
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あらすじ 1936年(昭和11年)秋から1941年(昭和16年) 春までの大阪の旧家を舞台に、4姉妹の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品。阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られ、全編の会話が船場言葉で書かれている。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら...
あらすじ 1936年(昭和11年)秋から1941年(昭和16年) 春までの大阪の旧家を舞台に、4姉妹の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品。阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られ、全編の会話が船場言葉で書かれている。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びの美を内包し、挽歌的な切なさをも醸し出している。作品の主な舞台は職住分離が進んだため住居のある阪神間(職場は船場)であるが、大阪(船場)文化の崩壊過程を描いている。 感想 没落商家の四姉妹、ある人からフランス語で発行された本をよんで描写が良かったと言われ日本語版を読んでみた。時代背景が違いすぎるが今も昔も 姉妹は変わらないかなって思う。
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谷崎潤一郎の代表作『細雪』の中巻。 上巻に引き続き執筆されましたが、私家版として刊行された上巻と違い、完成後長らく日の目は見られない状態でした。 中巻は戦後ようやく中央公論社から刊行されます。 内容は上巻の続きで、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られるものとなっています。 自分の人...
谷崎潤一郎の代表作『細雪』の中巻。 上巻に引き続き執筆されましたが、私家版として刊行された上巻と違い、完成後長らく日の目は見られない状態でした。 中巻は戦後ようやく中央公論社から刊行されます。 内容は上巻の続きで、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られるものとなっています。 自分の人生のため、洋行の希望や、手に職をつけるための活動を始める妙子と、それを快く思わない恋人の奥畑。 そんな折に発生する大水害でヒーローのように現れて妙子を救った板倉に苛立ちが募る奥畑と妙子の恋愛事件や、お隣に住んでいた仲の良かったドイツ人一家の引っ越し、恩師の逝去、そして板倉の病気と、次から次へと発生するトラブルだらけの日々がドタバタと書かれます。 上巻同様、娯楽小説として面白い小説でした。 日本文学史上にこの作品ありと言われる作品ですが堅苦しさはなく、上中下巻の長編ですが非常に読みやすいので長さを感じさせずに読めます。 戦時中に書き始められるも国策により掲載禁止になり、戦後ようやくGHQの検閲の元で刊行を行い、昭和天皇にも献本され、今日、世界中で翻訳され読まれるという大変な作品ではあるのですが、中巻に於いては特に崇高なテーマ性なども感じられず、個人的にはただ面白い作品と思いました。 特に中巻は、要所要所にスペクタクルを感じるシーンが挟まり、エンタメ性を感じました。 下巻は衝撃展開が待っているので、中巻は4人の日々を紹介しているシーンなのかもと思います。 ただ、中巻ラストは少し驚きました。 実年齢以下に見られることが多く、奔放なようでしっかり者の妙子は、個人的に4姉妹の中で一番お気に入りなのですが、一方で奥畑があまり好きくないです。 家柄よりも出会った相手やときめきを優先して幸せになってほしいなと思っていたのですが、そんな終わり方になるなんて。 下巻もあまり良い展開にならないことを知っているので、この先は少し読むのが怖い気がします。
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大阪の名門、蒔岡家の四女(こいさん)妙子は活動的。28 歳で人形作家として一角の人物になっているだけでなく、日本舞踊にも熱心、さらに洋裁を習い、将来は洋裁で身を立てたいと密かに思っている。 自称妙子の許嫁である、同じく大阪のお坊ちゃん、奥畑啓三郎は(蒔岡家から正式に許嫁と認...
大阪の名門、蒔岡家の四女(こいさん)妙子は活動的。28 歳で人形作家として一角の人物になっているだけでなく、日本舞踊にも熱心、さらに洋裁を習い、将来は洋裁で身を立てたいと密かに思っている。 自称妙子の許嫁である、同じく大阪のお坊ちゃん、奥畑啓三郎は(蒔岡家から正式に許嫁と認められていないが)、妙子が洋裁なんかで身を立て、職業婦人となることを辞めさせてくれと、仲あんちゃん(次女)幸子に掛け合う。 幸子が妙子に聞いてみると、啓三郎は、ぼんぼん育ちで、財産をすぐ使い果たしてしまうことは分かっているので、自分が家計を支えたい。そのためにフランスへ行って洋裁の勉強をしたいという。戦前に、妙子はなんてしっかりしているのだろう。四姉妹の中でも両親が二人とも早く亡くなってしまった末っこの妙子は姉たちと考え方が異なる。 それに引き換え、何も出来ないボンボン啓三郎や本家の旦那の「職業婦人」を軽蔑した態度にはイラッとくる。まあでも、この時代勿論保育制度なんて整っていないし、上流階級でなくても、「主婦」か「職業婦人」かの二択だったのだろうな。 妙子だけではなく、主婦の幸子も魅力的だ。考え方は妙子と異なり古風だが、一人娘を育てている他、二人の妹のことも母親替わりに面倒を見て、いつも二人の意見を尊重しながら、本家との橋渡しをしている。 だけど、妙子は旧家蒔岡家の中では進歩的すぎる。頼りない浮気症のボンボン啓三郎よりも、啓三郎の店の元丁稚奉公で、写真家の板倉と結婚したいともらす。板倉は洪水の時、命を掛けて妙子を救ってくれたし、一人渡米し、写真を勉強して「板倉写真館」を経営し、身を立てている。それに板倉なら妙子の生き方を理解してくれる。 板倉は少し馴れ馴れしいが男として魅力的だという妙子の気持ちに共感出来る。しかし、家庭環境が全く異なる育ち方をした人が義理の弟になるのは嫌だという、幸子や雪子の気持ちも分かる。妙子は熱意のまま突っ走る所があるのだ。 でも、まさか板倉とあんな終わり方をするとは…。板倉は運がなく、本当にいい人だったと思う。それに引き換え、蒔岡家の人々の冷たいこと。 妙子はどうするのだろう。私なら板倉のことが本当に好きだったのなら、三年くらいは立ち直れないと思うけど。 下巻に続く
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カテゴリ:図書館企画展示 2020年度第3回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」 第2弾! 本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。 川津誠教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しています。 展示中の図...
カテゴリ:図書館企画展示 2020年度第3回図書館企画展示 「大学生に読んでほしい本」 第2弾! 本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。 川津誠教授(日本語日本文学科)からのおすすめ図書を展示しています。 展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
四女の妙子の出番が多い巻でした。 妙子は奥畑という「船場の坊」と駆け落ちしようとしたことがありますが、今度は阪神間に記録的な水害が起こり、川の氾濫で今にも溺れ死にそうなところに駆けつけてくれた、板倉という丁稚上がりの写真家と恋仲になります。 そして妙子は今までやっていた人形作りをやめて、洋裁の道に進み、洋行してあちらで手に職をつけたいと望むようになります。 幸子らは反対して、欧州の動乱により洋行は中止になります。 そして、板倉は耳の病気が元で細菌が体に回り、片脚を切断され、しばらくして亡くなってしまいます。 神戸の鮨屋の「与兵」に幸子、夫の貞之助、雪子、妙子で食事にいく場面の新鮮なお鮨のネタの描写がなんともいえず美味しそうでした。 コロナが収束したら、久しぶりに回る方のお鮨でもいいから食べに行きたいと思いました。 この小説は、こういった上流中流階級の家族のやることの描写を楽しむ小説でもあるのだなと思いました。 今まで読んだ小説の中でも文章の美しさが大変際立っていると思いました。 下巻に続く。
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上巻は雪子の縁談が軸であったものの、二度の頓挫の後は新たな話も出て来ず。 その代わりに本巻では姉妹の内で最年少の妙子の恋愛が主題になる。 結婚において家同士の格式を重んじる槙岡家だけれど、妙子は当人同士の意思が第一と考え、女性もこれからは手に職を持つべきと、進歩的な存在として描か...
上巻は雪子の縁談が軸であったものの、二度の頓挫の後は新たな話も出て来ず。 その代わりに本巻では姉妹の内で最年少の妙子の恋愛が主題になる。 結婚において家同士の格式を重んじる槙岡家だけれど、妙子は当人同士の意思が第一と考え、女性もこれからは手に職を持つべきと、進歩的な存在として描かれる。 その彼女が家同士が同格の許嫁であった奥畑の遊蕩ぶりに愛想を尽かし、水害の折助けに来てくれた奥畑家の丁稚であった板倉との関係を深めていく。 緩やかな物語が劇的・悲劇的な展開に。 けれどその格の違う恋愛が、実は雪子を縁遠くしていたという。
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姉妹の中で末の妙子は、他の旧式な考えと違い進歩的である。そこが家庭に様々な気苦労や事件を巻き起こすことになる。結婚に対する家の考え方、気遣いを特に家族に対して行動するのが常識とされた昭和初期。医師のステータスも随分異なる。2020.9.5
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