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春琴抄 の商品レビュー

4.1

485件のお客様レビュー

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2024/03/19

佐助は単なる被虐趣味ではなくて確かに春琴への愛があって、うんうんそうなるよねっていう納得感があってすごい

Posted byブクログ

2024/03/15

被虐趣味という言葉で称されることが多い本ストーリーだが、今日の関係性でいえば、そこまで逸脱した関係性と思えない…というのが正直な感想だった。 どちらかというと…伝聞調で記される2人の間の出来事には、主観や心の機微が意識的に記載を避けられている。そのため、あまり直情的に訴えるものが...

被虐趣味という言葉で称されることが多い本ストーリーだが、今日の関係性でいえば、そこまで逸脱した関係性と思えない…というのが正直な感想だった。 どちらかというと…伝聞調で記される2人の間の出来事には、主観や心の機微が意識的に記載を避けられている。そのため、あまり直情的に訴えるものがないのではないか。一方で、伝聞調による行間があるからこそ、色々な経験を積んだ人には感ぜられるものが多い…甘酸っぱかったり、苦々しかったり、憧れたり…描写されていない2人の行間を人によりさまざまに味わうことができる。ここが本書の良書たる所以であり、今日に至るまで愛される作品となってる理由なのではないか。

Posted byブクログ

2024/04/05

ページ数が少ないと言う意味では読みやすいと言えるけど、句読点が省略されている点では読みにくいと言える。自分は慣れない文章のリズムに苦戦して結構時間がかかった。 話自体は至ってシンプル。 心理描写も少なく物足りなさを感じるほど簡潔。 言われるほどの良さが分からなかったなと思い巻末...

ページ数が少ないと言う意味では読みやすいと言えるけど、句読点が省略されている点では読みにくいと言える。自分は慣れない文章のリズムに苦戦して結構時間がかかった。 話自体は至ってシンプル。 心理描写も少なく物足りなさを感じるほど簡潔。 言われるほどの良さが分からなかったなと思い巻末の解説を見ると、春琴抄のその簡潔さに究極の美を感じる人が多いよう。 「百の心理解剖だの性格描写だの会話や場面だの、そんなものがなんだとの感じが強く湧いてくる」と谷崎潤一郎は苦悩したという。 昔は(今も少し)結末を有耶無耶にして「あとは皆様のご想像にお任せします……」というような投げかけの物語が大嫌いだった。もやもやするし、意地悪に考えればそれは「逃げ」なんじゃないのと思っていた。でも今はちょっと違う。 物語の延長に読み手の考える余地を残しておいてくれることは、書き手から読み手への信頼があるんじゃないかと思っている。 全部を説明しなくても分かる、情景や心理描写に言葉を尽くさなくても感じてくれる、読み手にそんな期待を持ってくれてるのではないか。 勿論人間同士言葉を尽くさなくても理解しあえるなんていうのは傲慢な考えだけど、こと芸術においては自分の思うままを表現して、それが読み手に正しく伝わった時の心の共鳴はお互いにとって何者にも変え難い瞬間だと思う。 谷崎潤一郎の独自の文体も、敢えて省かれた心理描写も、ある種の作者と読者の信頼の形であると考えるのは慢心なのかもしれない。

Posted byブクログ

2024/04/02

愛には違いないのだろうけど、純愛や性愛や、世間一般我々がいう愛とはまるで違う。信仰のようでもあるが、この二人にしかありえないような、唯一無二の関係性。それが歪んで見えてしまうのは、我々が俗な愛しか持ち合わせていないからか。

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2024/01/19

伯母の本棚からいただいてきたもの。昭和49年発行。100円。新潮文庫の谷崎作品のカバーはだいぶ昔からこのデザインなんですね。このデザイン好き。 さて、春琴抄。短いのと伝聞調で内面に深く立ち入りすぎないからテンポ良くて良いですね。同じ芸道ということで唄や器楽だけでなく浄瑠璃や歌舞伎...

伯母の本棚からいただいてきたもの。昭和49年発行。100円。新潮文庫の谷崎作品のカバーはだいぶ昔からこのデザインなんですね。このデザイン好き。 さて、春琴抄。短いのと伝聞調で内面に深く立ち入りすぎないからテンポ良くて良いですね。同じ芸道ということで唄や器楽だけでなく浄瑠璃や歌舞伎の例も触れられてましたが、このシンプルだけど強力な引力を持つ話は歌や演劇など別の表現方法でも映えるんでしょう。実際繰り返し映画化もされてますし。手元にあるものの表紙折り返しのそでには1972年『讃歌』の写真が引用されてました。どれか見てみようかな。

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2024/01/08

ちゃんと谷崎潤一郎を読んだのははじめてかも。 男女の具体的な描写が無いにもかかわらず、官能的な物語。この二人の物語は、もっと深く濃厚なものであろうことが、短い短編にもかかわらず、想像が展開する。これ以上の表現も説明も不要なのだろうが、まだまだこの二人の物語に身を置きたいという余韻...

ちゃんと谷崎潤一郎を読んだのははじめてかも。 男女の具体的な描写が無いにもかかわらず、官能的な物語。この二人の物語は、もっと深く濃厚なものであろうことが、短い短編にもかかわらず、想像が展開する。これ以上の表現も説明も不要なのだろうが、まだまだこの二人の物語に身を置きたいという余韻を残す。

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2024/01/04

私はこの本に今までにないほどの愛を感じた。 谷崎純一郎の作品は歪んだ愛というものが多いが、歪みはあれど純粋な愛である。

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2024/01/03

容姿端麗で盲目、三味線師匠の春琴と、奉公人の佐助との重い愛の物語。 教えと称し暴力を振るう春琴に進んで仕え、自らも盲目の世界へと足を踏み入れる佐助には狂気を感じた。 背伸びをして読んでみたが難解な文体で理解度は7割程度。 世界観が好みなので他作品も手に取りたい。

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2023/12/12

100ページに満たないに関わらず、読了にかなりの時間を要した.何を語っても現代の価値観を持った人々には語りきれない(咀嚼しきれない)と思う.言葉にできない感情になる. 句読点をあまり使わず、捲し立てるように淡々と伝聞史を叙述しているので、途中文字を追うだけで頭を擦り抜けるを何度も...

100ページに満たないに関わらず、読了にかなりの時間を要した.何を語っても現代の価値観を持った人々には語りきれない(咀嚼しきれない)と思う.言葉にできない感情になる. 句読点をあまり使わず、捲し立てるように淡々と伝聞史を叙述しているので、途中文字を追うだけで頭を擦り抜けるを何度も繰り返すなどした. かなり、純文学に対しての価値観などを捻じ曲げられたので星5にしたいが...まだ噛み締められてない部分が多々あるので再読時にする.(歯痛を冷やす場面は狂おしいくらい好き) 追:これを読んで、本当に世界が変わった(本当に...)

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2023/11/27

丁稚の佐助がその師匠春琴への忠と愛の極致に至福を見出す物語。 物語態というのが目新しく、原典の記述に著者があれこれと考察を加えながら進んでいく。句点が意図的に省かれている効果か、非常に読みやすい。 一通り読むと、冒頭の墓の情景がより美しく映じられる。春琴に侍り彼女の生活の一切...

丁稚の佐助がその師匠春琴への忠と愛の極致に至福を見出す物語。 物語態というのが目新しく、原典の記述に著者があれこれと考察を加えながら進んでいく。句点が意図的に省かれている効果か、非常に読みやすい。 一通り読むと、冒頭の墓の情景がより美しく映じられる。春琴に侍り彼女の生活の一切に如才なく気を配る佐助の様が、自ずから墓石に投じられるのである。

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