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刺青・秘密 の商品レビュー

4.1

226件のお客様レビュー

  1. 5つ

    73

  2. 4つ

    71

  3. 3つ

    44

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2022/12/06

谷崎の異世界を覗く感じが好ましい。特に刺青、幇間、秘密、少年の各編は怪しさ満ち満ちていてどきりとする。さすがに美しく端正な文章である。他の谷崎作品も読みたい。

Posted byブクログ

2022/10/23

秘密 がよかった。 大概いい暮らしをしながら、それに飽きて女装を始める。女装した自分のクオリティがそれなりに高いというのもアレだが、それを超えてくる女の子に対して、女として嫉妬するところがキマってる。 その上異国で引っ掛けた女の子だと。 まーあこの主人公のような人は、手に入れるま...

秘密 がよかった。 大概いい暮らしをしながら、それに飽きて女装を始める。女装した自分のクオリティがそれなりに高いというのもアレだが、それを超えてくる女の子に対して、女として嫉妬するところがキマってる。 その上異国で引っ掛けた女の子だと。 まーあこの主人公のような人は、手に入れるまでの過程に快感を覚えるタイプの変態。好奇心の向き方が変わってんだよな。 次は田畑へ行って何を見つけるのか知らんが、そういう主人公の欲望のアリカを追う物語は面白いですね。

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2022/10/22

刺青のみ青空文庫で読了。 痴人の愛を読み他の作品を読んでみたくなり本書を手に取った。処女作でもすでに作者のスタイルが確立している。 当時もあまり一般に受け入れられてなかったであろう刺青という題材で、湿っぽい地下室で繰り広げられている情景が浮かぶ。 マゾヒズムとサディズムは表...

刺青のみ青空文庫で読了。 痴人の愛を読み他の作品を読んでみたくなり本書を手に取った。処女作でもすでに作者のスタイルが確立している。 当時もあまり一般に受け入れられてなかったであろう刺青という題材で、湿っぽい地下室で繰り広げられている情景が浮かぶ。 マゾヒズムとサディズムは表裏一体といわれるが、それを表現しているのだろうか? 女の妖怪として伝承される女郎蜘蛛を彫られることで魔性の女に覚醒する娘は妖美だ

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2022/09/11

虐げられ、笑われ、堕落していく快楽が描かれる初期作品集。 少年期の暴力的な遊びを描いた「少年」は被虐が加虐に鮮やかに転換し、後のナオミに繋がる。そのほか、身を落としてまで笑われることに喜ぶ「幇間」、女装をして夜の街を徘徊する「秘密」、まだ見ぬ浮世と女人に懊悩する「二人の稚児」が...

虐げられ、笑われ、堕落していく快楽が描かれる初期作品集。 少年期の暴力的な遊びを描いた「少年」は被虐が加虐に鮮やかに転換し、後のナオミに繋がる。そのほか、身を落としてまで笑われることに喜ぶ「幇間」、女装をして夜の街を徘徊する「秘密」、まだ見ぬ浮世と女人に懊悩する「二人の稚児」が面白い。 「異端者の悲しみ」は自叙伝的作品で、「母を恋うる記」は母親が亡くなった二年後に書かれた潤一郎版「夢十夜」のような作品。

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2022/07/26

腕利きの彫物師である清吉 彼に見染められた娘は背に刺青を彫られていく そして、背の刺青が完成するに至り「娘」は幾多の漢たちを足踏みにしていくような「女」に変わっていく 清吉が本当に女に望んだものとは… その妖艶さに惹かれて何度も読み返してしまう

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2022/07/23

近代文学に対する苦手意識があったのだが、耽美主義的な作品に浸りたいと思い初めて谷崎潤一郎の作品を読んだ。まずは、頁数が少ない『刺青』から。(青空文庫にて2022.07.23読了) 恥ずかしながらやはり、見慣れない漢字や聞き慣れない言葉遣いなどがあって難しい。これがもし頁数が多か...

近代文学に対する苦手意識があったのだが、耽美主義的な作品に浸りたいと思い初めて谷崎潤一郎の作品を読んだ。まずは、頁数が少ない『刺青』から。(青空文庫にて2022.07.23読了) 恥ずかしながらやはり、見慣れない漢字や聞き慣れない言葉遣いなどがあって難しい。これがもし頁数が多かったとしたらおそらく私は早々に最後まで読むのを諦めていたと思うが(今まで挑戦した近代文学は殆どこのパターンだった)、こちらの作品はなんといっても短い。もう少し頑張ろう、と意識的にページを捲っていき、今こうして感想を書いている。 まず最初の印象は、「あれ?もう終わった?」だった。 なんだか物足りなく感じ、もう一度読み返す。それでも幾らか疑問が残ったため、『谷崎潤一郎 刺青 解釈』と検索し、色々な解釈を眺め、すとんと私の中で答えを出した。 少女は、背中に蜘蛛(おそらく男を喰らうと言われている女郎蜘蛛)を彫られたことでサディズムを目覚めさせられた。一度読んだ時点ではそのような曖昧な印象だったが、再読して漸く妲己(妺嬉?)の絵のくだりが、少女に元々サディズムの気質があったことを示唆させていたのだと気づいた。自分の教養不足を恥じる。 また初見の際、彫り師についてはわかりやすいサディズムだなと感じていた。だからこそ、私は最後がよくわからなくなっていたのだが、ここは様々な解釈を読んで納得した。 彫り師はサディズムであったが、見かけた女の足に焦がれ、踏みつけられたいと思う一面があった。これは解釈を読まなければ自分では気づけなかった部分である。 それを前提に再度最後のページを読み返し、私は高揚した。 ひとつの刺青をとおして、女はサディズムを目覚めさせられ、サディズムに見えた男は自ら「帰る前にもう一遍、その刺青を見せておくれ」と言う。これは、この時男がマゾヒズムに性的嗜好を委ねたことを表しているのではないか。 私はまだまだ近代文学に苦手意識があり、正しく読み解けている自信もないし、解釈を読まなければこの面白さもわからなかっただろうが、今、私は言いようのない感情を抱いている。この感覚は癖になりそうだと思う。他の谷崎作品も読んでみるつもりだ。

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2022/05/10

あとがきを読んで知ったんだけれど「刺青」は処女作ということで、才能が「開花」してますね。 谷崎には「開花」という言葉が相応しいように思える。 あまり谷崎文学に触れてこなかったけれど、彼の小説の見方がぐっと変わりました。 最初に有名な「痴人の愛」を手に取ったのですが、沼に落とされた...

あとがきを読んで知ったんだけれど「刺青」は処女作ということで、才能が「開花」してますね。 谷崎には「開花」という言葉が相応しいように思える。 あまり谷崎文学に触れてこなかったけれど、彼の小説の見方がぐっと変わりました。 最初に有名な「痴人の愛」を手に取ったのですが、沼に落とされた感と、またこれから谷崎文学に触れたいという方がいたら私はこの本を薦めたいです。 妖しくも艶めかしい内容ですが、それを上回る描写力。 沈美の作家とも言われていますが、圧倒的存在感と真逆の少しふわふわした感じが良い按配で詰め込まれている、気品高いお重の中の風変わりなお菓子と言ったところ。 甘くて妖艶。 少し苦い。

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2022/04/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初の谷崎潤一郎。 この短編集には女性に"酷い目に遭わされたい"というマゾヒズムを感じた。 酷い目に遭わされる、という生物として人間として好ましくないとされる事柄を求めてしまうような、真っ当な道から外れた欲求というものは、真っ当でないが故に人の心の中で煮詰められ、重厚さを持つのだと思う。 さらにいうと明治という男性優位な時代背景も、女にいじめられたいという欲求をさらに深めたのではないか。 そんな異常性壁を恥じながらも、自身の美しいと思うものから逃れない人間の哀れさが美しかった。 『刺青』 ある種普通から逸脱した者同士が通じる。 少し道から外れたもの同士だけがもつ不思議な信頼関係が面白かった。 『少年』 上位の存在が、その正体を表すとき。それが最も美しい瞬間なのかもしれないと思った。 『幇間』 異常性癖でありながら、愛らしさから居場所を手に入れている。全体から見てこの話だけ怪しさがなく、明るくさっぱりしているなと思った。 『秘密』 題名のとおり、"秘密"の魅力が語られている。憧れが肥大していく様が良い。 『異端者の悲しみ』 卑屈ながらもプライドが感じられ、それに足してさらに卑屈になり……という雁字搦めな心境に少し共感した。 ひたすらいかに自らが卑しいか書いているのに、長ったらしく感じないのが見事だ……。 『二人の稚児』 煩悩から逃れられないことと煩悩の愛おしさ。葛藤の話。 『母を恋うる記』 幻想的な世界観が良かった。月の光を受けた影を使って位置や行動を示すのがなんとも美しい。

Posted byブクログ

2022/04/13

青空文庫で読了。「異端者の悲しみ」「母を恋うる記」は未読。 刺青: 文字だけで情景や表情が浮かび上がった。読んでいて気持ちいいゾクゾクを感じた。

Posted byブクログ

2022/03/27

谷崎の小説を前にして何を語っても陳腐になるなぁ。ひとこと、初めて谷崎を読む人に、この短篇集からどうぞ、といいたい。永井荷風に「谷崎をしてボードレールやポーの境域を磨するに至らしめるであろう」と大絶賛されるとおり。 「異端者の悲しみ」、これは谷崎自身のことだろうとわかる。決して人...

谷崎の小説を前にして何を語っても陳腐になるなぁ。ひとこと、初めて谷崎を読む人に、この短篇集からどうぞ、といいたい。永井荷風に「谷崎をしてボードレールやポーの境域を磨するに至らしめるであろう」と大絶賛されるとおり。 「異端者の悲しみ」、これは谷崎自身のことだろうとわかる。決して人間嫌いではないが、周囲と誠実で懇意な付き合いが出来ない男の煩悶。 「母を恋うる記」は、いわば音のない浪曲のような調べ。夢の中で亡き母に逢う話だが、胎内から産道を通り出て母に抱かれるような書きようだなと。今回の発見✨

Posted byブクログ