伊豆の踊子 の商品レビュー
伊豆の踊子 『道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃ー』の始まりから昔教科書やテストで触れていた事を鮮明に思い出した。 傷心の青年が伊豆への一人旅において出会った旅芸人の中の踊子と知り合い心が解かれていく様が切なく、表現が美しい。巻末の年譜では、19歳の川端康成...
伊豆の踊子 『道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃ー』の始まりから昔教科書やテストで触れていた事を鮮明に思い出した。 傷心の青年が伊豆への一人旅において出会った旅芸人の中の踊子と知り合い心が解かれていく様が切なく、表現が美しい。巻末の年譜では、19歳の川端康成自身が伊豆に旅行して旅芸人一行と道づれとなる、となっているからその記憶や感情により生まれた作品なのでしょう。 同収録の『抒情歌』は女性の語り口で元恋人の死を悼むものとなっているが、著者の死生観といったものが伺えて、その強い思いに圧倒される気がする。 巻末の解説が三島由紀夫によるものである事もこの文庫の読み応えあるところ。
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伊豆旅行の前に読んでみようと、初・川端康成。 (高校時代に読んだ雪国は最初の一節しか覚えてないからノーカン笑) …読み進まない。 旅の合間合間にもトライしたが、どうにもこうにも。 帰ってから伊豆を懐かしみながら、気合を入れてなんとか表題作のみ読了。 …MOYAMOYAが止まら...
伊豆旅行の前に読んでみようと、初・川端康成。 (高校時代に読んだ雪国は最初の一節しか覚えてないからノーカン笑) …読み進まない。 旅の合間合間にもトライしたが、どうにもこうにも。 帰ってから伊豆を懐かしみながら、気合を入れてなんとか表題作のみ読了。 …MOYAMOYAが止まらない。 なるほど、描写力はすごい。 どの言葉もエピソードも、過不足がなく、正確に作品のピースを構成していている。 伊豆の山景色や太鼓の音の風情、良かった。 孤児根性を拗らせたという孤独な若者が、踊り子というあどけなく美しい娘に心救われる、という大筋もまあ理解はできる。 でもねぇ。 主人公の一人相撲っぷりに引いてしまうのは自分だけですかね? エリートぼんぼん学生が。 病気のじいさん見て大金ポンと渡したり、2階からお金を放ったり、それは誰が稼いだお金なの? ていうかお金を投げるなお金を。 その制服着ているだけで一目置かれて当然なんだから、流しの芸人たちに自分は差別などしない、フラットだというのならまず当時の平民らしい服を着て旅に出たらどうなのさ。 踊り子が下駄の緒かなにかを屈んで直してくれるのを、素直に好意として受け止めているけど、自分には踊り子が少しへり下っているように読めましたよ。 最初17~18歳だと勘違いして性的妄想に翻弄されていたのが実は目覚める前の13歳、清らかな想いに洗われた、というのはまだご愛嬌だとしても。 13歳にもなって全裸を異性に晒すことに何の抵抗もない状態にハラハラが止まらない。 あどけないですねえ、無垢ですねえ、クツクツクツ、じゃ済まないでしょう。 性教育という概念がない時代ってこんなんだったんだ。 で、孤児根性という初めて見る四字熟語が唐突に出てきて、主人公の旅の目的が初めて明らかになるんだけど、いや、孤児根性とか知らないし。 これで分かるよね?みたいな体で進められても。 活動を見に行けなくなってしまった踊り子は本当にかわいそうだったけれど、1人ではダメと言った女性の気持ちが分かる。 なぜ1人ではダメなのか、とキョトンとしている主人公、何を純粋ぶっているのですか。最初に性的な目で見てたでしょうが。 ラストも引くほど泣いて、同席の少年の厚意に少しは遠慮しなよと言いたくなるくらい甘えまくって、なんだかなあ、と。孤児根性で、以前は人の厚意を受けることに鬱屈した思いがあったけど、踊り子とのことでそれらが清められた、今なら何でも素直に受け取れる、というのがまた極端なんだよね。 こんな感じでつっこみが止まらない。 どうしましょう、世界の文豪相手に。
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4月のGuruGuruBooks読書会の課題図書でした。 読書会開催場所が、伊豆の河津町にあるWorking Space Bagatelleの1Fブックカフェです。この河津町は作者の川端康成も何度の足を運び、物語の舞台となった湯ケ野温泉があるのが、河津町です。
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伊豆の踊り子 旅路や宿の情景があっさりしすぎずうるさすぎずよい。主人恋と踊り子の関係性もいきすぎず主張しすぎないところがよい。 温泉宿 登場人物の区別をつけるのが難しかった。多分それぞれに個性の強い群像劇。 抒情歌 前半はわからん 禽獣 時系列のずらし方が、難しくも伏線回収...
伊豆の踊り子 旅路や宿の情景があっさりしすぎずうるさすぎずよい。主人恋と踊り子の関係性もいきすぎず主張しすぎないところがよい。 温泉宿 登場人物の区別をつけるのが難しかった。多分それぞれに個性の強い群像劇。 抒情歌 前半はわからん 禽獣 時系列のずらし方が、難しくも伏線回収感。現段階では主題をつかめず。 三島由紀夫の解説も今はわからん
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40~50ページほどの話が4つ掲載されている。 その中の1つが「伊豆の踊子」。 本のタイトルは「伊豆の踊子」だけど、読んでみると最後の2つの話の「叙情歌(じょじょうか)」と「禽獣(きんじゅう)」が面白かった。 どちらも主人公の語りが長々と続く感じで、少しだけドストエフスキーの「...
40~50ページほどの話が4つ掲載されている。 その中の1つが「伊豆の踊子」。 本のタイトルは「伊豆の踊子」だけど、読んでみると最後の2つの話の「叙情歌(じょじょうか)」と「禽獣(きんじゅう)」が面白かった。 どちらも主人公の語りが長々と続く感じで、少しだけドストエフスキーの「罪と罰」を思い出させるけど、あんなに鬱々とした感じではなく、それよりは幾分軽やかな雰囲気の語り方。回想したり心情を吐露する感じが良きでした。
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読友さんと不定期で読む日本の古典2冊目。自身の未熟さ故に旅に出ることを決意する自分(旧制一高生)。旅の途中で旅芸人一家と出会う。そこには少女の姿。芽生える恋心。旅芸人は売春も兼ねる可能性を知るが、少女は14歳であることを知り、また風呂場では全裸で手を振ってくる。その瞬間恋心ではなく、「愛おしさ」に変わる。旅芸人一家と自分の社会的身分の相違に気付き、さらにこの少女もまたいずれは売春により生きていく可能性がある。愛おしさと身分の壁を見事に描写した。さらに雨、泉、涙という水の存在が彼をカタルシスへと導いた。⑤
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ちょっとよくわからなかった 表現が細かいのはわかるけど、物語というか、何を伝えたいのかがわからない これほ川端氏の筆力をディスってるわけではなく、ほぼ自分の現時点での読解力の限界なのだけれど、川端文学にアレルギーを持っている人たちの気持ちも少なからず分かる思いである
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伊豆の踊り子 ・子供なんだ。私達を見つけた喜びで真裸のまま日の光の中に飛び出し、爪先きで背一ぱいに伸び上がるほどに子供なんだ。私は朗らかな喜びでことことと笑い続けた。頭が拭われたように澄んで来た。微笑がいつまでもとまらなかった。 ・下田の港は、伊豆相模の温泉場なぞを流して歩く旅芸人が、旅の空での故郷として懐かしがるような空気の漂った町なのである。 ・海の上の朝日が山の腹を温めていた。 ・二十歳の私は自分の性質が誇示根性で歪んでいると厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱に耐えきれないで伊豆の旅に出て来ているのだった。 禽獣 ・だから人間はいやなんだと、孤独な彼は勝手な考えをする。夫婦となり、親子兄弟となれば、つまらん相手でも、そうたやすく絆は断ち難く、あきらめて共に暮らさねばならない。おまけに人それぞれ我(が)というやつを持っている。 ・それよりも、動物の生命や生態をおもちゃにして、一つの理想の鋳型を目標として定め、人工的に、畸形的に育てている方が、悲しい純潔であり、神のような爽やかさがあると思うのだ。良種へ良種へと狂奔する、動物虐待的な愛護者達を、彼はこの天地の、また人間の悲劇的な象徴として、冷笑を浴びさせながら許している。 ・自分の犬を飼うようになってからは、道の雑犬など見向きもしなくなった。人間についても、またかくの如くであろうと、彼は世のなかの家族達をさげすみながら、自らの孤独も嘲るのであった。
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「川端康成 少年」文庫化&新装 発刊 もちろん食指が動く未読作品。 ということで、川端康成作品おさらい。 伊豆踊り子 他3編 短編集。 二十歳の一高生は、伊豆に一人旅にでる。自分の孤児根性の歪みの反省とその息苦しい憂鬱に耐えかねての旅。 旅の途中、旅芸人一行と出会い、一...
「川端康成 少年」文庫化&新装 発刊 もちろん食指が動く未読作品。 ということで、川端康成作品おさらい。 伊豆踊り子 他3編 短編集。 二十歳の一高生は、伊豆に一人旅にでる。自分の孤児根性の歪みの反省とその息苦しい憂鬱に耐えかねての旅。 旅の途中、旅芸人一行と出会い、一人の踊り子に心惹かれる。そればかりではなく、貧しい旅芸人達は、孤独であった彼を慰めていく。 14歳の踊り子への想いが恋であったかという所は、人それぞれ。私は、踊り子の純真無垢な裸体を見た時点で慈愛へ浄化されたかなと思う。 旅芸人の厳しい生活と踊り子の行く末。 旅は終わりを迎え、別れに彼は涙を抑えない。 それは、悲しみだけでなく、自身の歪みからの解放、これからの生き方への希望があるのかと。 そして!忘れていたのか?読めていなかったのか? 「少年」への期待値なのか? 青年はなかなかの泣きっぷり。もちろん、東京へ帰る船の上で泣くのですが。あ、もうこれ以上は、書けないわ。 「温泉宿」 底辺を生きる温泉宿の酌婦達。彼女らを買う、当時底辺の男達。彼女達の悲哀と逞しさ。 各章を季節に分けて、温泉宿を描く。 「抒情歌」 霊能力がある女性が、死んだ元彼に語りかける。 彼女に語らせる作者の死生観なのかな。 50ページくらいだけど、難解。 輪廻転生を一番美しい抒情詩としながら、人間の霊魂のみを尊ぶことをひとりよがりとする。 自分は花となり花粉を運ぶ胡蝶に結婚させてもらうと結ぶ。 「禽獣」 犬小鳥の飼育からの生死。出産・動物の性など具体的。ちょっと、なんでしょうねえ、と調べたら、川端康成本人がこの作品に対する書評が誤読されて嫌いだとか書いているらしい。テストとかで作者の意図に反する出題がされがちなヤツですね。 漱石の文鳥は、ペット的感だったけど、こちらはねえ、ちょっと気持ち悪いですよ。
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四編から成る本だったが、最初の伊豆の踊子」 「温泉宿」までで挫折 伊豆の踊子も何とか読み終えたといった感じ 孤児根性で歪んだ心の主人公とあるが、その描写がないまま主人公の青年は心洗れていき、結末は清々しく感じられたので読後感は良い 伊豆の踊子では踊子・薫の清純さとその他の女性の...
四編から成る本だったが、最初の伊豆の踊子」 「温泉宿」までで挫折 伊豆の踊子も何とか読み終えたといった感じ 孤児根性で歪んだ心の主人公とあるが、その描写がないまま主人公の青年は心洗れていき、結末は清々しく感じられたので読後感は良い 伊豆の踊子では踊子・薫の清純さとその他の女性の対比が明瞭で青年が心惹かれるのもわかるが、女性に対しての著者の好みも表されているのだろうかと邪推してしまった 「温泉宿」では登場する女性達の生活が底辺すぎていて読んでいて辛くなってしまった
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