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星々の舟 の商品レビュー

3.8

332件のお客様レビュー

  1. 5つ

    80

  2. 4つ

    124

  3. 3つ

    85

  4. 2つ

    20

  5. 1つ

    3

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2015/11/12

短編連作小説集、とあるけど、長編小説だね、これは。 そんなことはどうでもいいんだけど。 当たり前のことだけど、家族それぞれにとって、親から見た子ども、子供から見た親、または孫など、それぞれ思いは全く異なって、それがいろいろな視点から描かれているところが面白い。 こういった話...

短編連作小説集、とあるけど、長編小説だね、これは。 そんなことはどうでもいいんだけど。 当たり前のことだけど、家族それぞれにとって、親から見た子ども、子供から見た親、または孫など、それぞれ思いは全く異なって、それがいろいろな視点から描かれているところが面白い。 こういった話は珍しいものでもないんだろうけど、静かに、ジンワリと心に響いてくるね。 それぞれの話は、決してメデタシメデタシのハッピーエンドではないんだけど、そこはかとなくジワッと来る。 でも、そんな終わり方でいいの? という思いもあったりして。 無理やり結論付ける必要もないのかもしれないね。

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2015/10/22

ひとつの家族の一人一人それぞれの物語、同じ出来事でも違う目線から見るとまた違った印象を受けて…幸せってなんだろなって考えさせられる作品でした。 戦争を生きた人、愛人から後妻になった人、不倫する人たち、許されない相手を愛してしまった人たち、なんていぅか…重いです。。 誰一人幸...

ひとつの家族の一人一人それぞれの物語、同じ出来事でも違う目線から見るとまた違った印象を受けて…幸せってなんだろなって考えさせられる作品でした。 戦争を生きた人、愛人から後妻になった人、不倫する人たち、許されない相手を愛してしまった人たち、なんていぅか…重いです。。 誰一人幸せにはなれなかったよぅな気さえするんですが…この人たちにとっての幸せってなんだったんだろなぁって。。 すごく心に残った一文です↓↓ “幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない。” ミケがまだ人として幼いからなのでしょか…。 幸福とは呼べない幸せが何なのか、結局わかりませんでした。 もぅ少し大人になってから…また読みたいですね。

Posted byブクログ

2015/10/10

この人こういう話を書くんだ(大変失礼)と思う。 家族の他人には見えない悩みに、でもどこかで繋がっていると感じさせることに。 最後の父親の「幸福と呼べぬ幸せもあるのかもしれない」というつぶやきがどこかこの物語を象徴するようだった。

Posted byブクログ

2015/10/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ある家族の、どことなく悲しい雰囲気を漂わせる話。 重之、先妻の晴代、後妻の志津子、 晴代との間に生まれた貢と暁、志津子が家政婦のとき身ごもった沙恵、重之が志津子と再婚したのち生まれた美希。 志津子の葬式で、久々に再会する家族、兄弟たち。それから語られていく、それぞれの立場が生み出す複雑な関係、心の迷い。 異母兄弟の恋をしていた暁と沙恵だが、大人になった現在、暁は所帯を持ち、沙恵は近所の清太郎と婚約、のちに破棄。美希は不倫相手との恋が終わる。自分の居場所を求め家族も不倫相手からも離れるように畑に行く貢。貢の子の聡美は、イジメの加害者に親友を売ってしまう。重之は戦中会った慰安婦が死んだ原因が自分にあることを悔やむ。 それぞれの人間に悲しい現実がある。しかし慰めになるのは、当事者でない家族との関係だ。抱える悩みに光を差し込んでくれるのは、家族との会話である。 時間が経つにつれ、少しずつ変わっていく関係が心を安心させる。 辛い現実が続く物語だが、読み終えるとどこかちいさな勇気の湧くお話。

Posted byブクログ

2015/06/15

暗すぎはしないけれども何とも重い小説。 近親相姦、不倫なと負の要素たっぷりなのだけれど何だか絶望は感じませんでした。 初めは兄妹二人をメインに話が進んでいくのかなぁと思ったのですが、一つの家族の話。 どの話もそれぞれ重いんです。 特に最後の戦争の慰安婦の話なんか生々しくて 本...

暗すぎはしないけれども何とも重い小説。 近親相姦、不倫なと負の要素たっぷりなのだけれど何だか絶望は感じませんでした。 初めは兄妹二人をメインに話が進んでいくのかなぁと思ったのですが、一つの家族の話。 どの話もそれぞれ重いんです。 特に最後の戦争の慰安婦の話なんか生々しくて 本当に目を背けたくなる内容。 最後の最後でいきなり趣向が変わり左寄りな話になったなぁとは思いましたが。 どんな歴史観を持とうとも、戦争なんてない方が良いに決まってると私は思います。 どこにでもある様に見える家族にも それぞれ抱えている問題は沢山あって、背負っていかなければいけない事も沢山あるんだなぁと改めて実感しました。

Posted byブクログ

2015/10/28

この小説は2003年に直木賞を受賞したときに読んだ。 そしてこの小説から影響を受けて“家族”というものについてじっくり考えた。大きなきっかけを与えてくれた。 再読しようと本棚を探したけれど見つからなくて、結局文庫を買い直した。 あるひとつの家族の物語。父の重之を軸に、二人の息...

この小説は2003年に直木賞を受賞したときに読んだ。 そしてこの小説から影響を受けて“家族”というものについてじっくり考えた。大きなきっかけを与えてくれた。 再読しようと本棚を探したけれど見つからなくて、結局文庫を買い直した。 あるひとつの家族の物語。父の重之を軸に、二人の息子、二人の娘、孫、そして先妻と後妻。 それぞれに歩んできた人生には、当然家族には明かさない秘めた思いもあったりして、そのことによって理解し合えずに長年平行線を保ったまま進んでしまった関係性もある。 だけどそこにはけして拭い去れない愛情があって、それが一見ばらばらに見える家族を細い糸で結びつけて、大きな星座のようなかたちを造っている。 背景には第二次世界大戦もあって、戦争をリアルに知っている世代とそうじゃない世代とでは、大きな隔たりがあることは否めないと思った。 どちらが偉いとかいうことではなくて、否応なしに時代に巻き込まれて自由を失った世代の人にしかわからない感情というのは、確かに存在するのだと思う。 ここからは、再読して個人的に再確認したこと。 自分の人生の主役はもちろん自分だから、どうしたって自分の記憶や経験や感情に焦点を当てて物事を考えたり解釈したりしてしまう。 最も身近な家族に対してもいろいろな思いを抱くけれど、自分から見た両親、自分から見た兄弟姉妹、自分から見た子ども…という見方にどうしてもなってしまう。 でもそれぞれ歩んできた人生があって、とくに親のことに関しては知らない部分のほうが多いけれど、親の人生はどんな人生だったのかということを知るにつけ、自分との接し方や親としてのあり方に対しての疑問が少しずつ解き明かされていく。 実際はそこまでの理解をするのは難しいけれど、私の場合は苦しんだ時期があったから、それを知ることでそれまでのいろんなことを納得できたし、いい意味で諦めたり赦したりする大きな転機になった。 親には親の人生があり、それぞれの苦しみがあったということ。 初めて読んだときから10年以上が過ぎたのだけど、その思いはまったく変わらなかった。 きっとまた読む日が訪れるだろうから、今度こそはきちんと本棚に残そうと思う。

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2017/03/08

全体を通して暴力が吹き荒れていて、最近読んだ中ではずば抜けて重かったが、久々の名著に巡り会えた。感動というより感慨深いと感じた。 雪虫…次男の話。暴力と暴行。傷を癒そうとするかのように兄と妹は結びつき、妹以外の誰をも愛せなくなる。失った義母の深い思いも抱え込むことになる。 子供の...

全体を通して暴力が吹き荒れていて、最近読んだ中ではずば抜けて重かったが、久々の名著に巡り会えた。感動というより感慨深いと感じた。 雪虫…次男の話。暴力と暴行。傷を癒そうとするかのように兄と妹は結びつき、妹以外の誰をも愛せなくなる。失った義母の深い思いも抱え込むことになる。 子供の神様…次女の話。不倫相手にオペラの約束をすっぽかされたシーンはまるでその場にいるかのような臨場感があった。女が何とか一人で生きていこうとするのは淋しいものがある。 ひとりしずか…長女の話。兄をどうにか忘れようとするのだが、そんな15年の努力も兄を一目見ただけで吹っ飛んでしまう。これほどまでに愛した者同士が一緒になれない法律というのも非情というものか。 青葉閣…長男の話。次男、次女と同じくこの男も不倫に手を染める。思うようにいかない現実から逃げるように畑仕事に没頭する。家族があり仕事もあるのだが、この男には常に孤独が付きまとっている。 雲の澪…長男の娘の話。女子高生の腿に一生残るタバコの痕を残すあたりは記憶に焼き付けられた。これは手が震えるほど恐ろしいし、やり場のない苛烈な憤りに我を忘れそうになる。 名の木散る…父の話。ただただ酷いとしか言葉がない。そういう時代だったと言えばそれまでだけど、本当に過去の話として片付けられるのだろうか。戦争を経験していない世代にもその暴力性は脈々と受け継がれているのではないか。そして再び誰も反対の声をあげることもなく戦争に突入してしまうのではないか。けれども、反省をしている限りはその危険を遠ざけることはできると思う。過去を語らないこと、忘れてしまうことは罪の上塗りなのではないか。

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2015/03/28

270328読了。一つの家族のそれぞれにフォーカスしたオムニバス。幸せだけではない、むしろ少し不幸な家族が前に進んでいこうとする作品。こういう話だと思っていなかったので、意外と重めで驚いた。慰安婦の話とか衝撃だったな。

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2015/02/22

同一の時間軸を登場人物ごとに視点を変えて表現しており、同じ事象を家族でさえも同じこととして受け止めていないというごく当たり前のことを気付かせてくれます。

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2015/02/11

村山さんの描く愛の世界 というのはいつも独特な雰囲気であふれています。読者の方も一緒に船に乗って、共に世界をくだっているような、川の流れの中に身をおいているような。時間というものが この世界だけ遅いのではないかと感じます。個人的に村山さんの話が 好きで、村山さんのものはほぼ全て読...

村山さんの描く愛の世界 というのはいつも独特な雰囲気であふれています。読者の方も一緒に船に乗って、共に世界をくだっているような、川の流れの中に身をおいているような。時間というものが この世界だけ遅いのではないかと感じます。個人的に村山さんの話が 好きで、村山さんのものはほぼ全て読んでいるのですが、こちらもまた然り。村山さんにしてはいつも以上に淡々と淡白なイメージがします。短編ということで、かなりちょっと物足りないというところで止まるのですが、村山さんの話は どれも足りないところが魅力的ではあるのに、ちょっとそれが 急すぎたかな と思うのが少し残念です。しかし非常に村山さんらしい、淡い水色の似合うような、清潔感あふれる話です。

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