価格破壊 の商品レビュー
解説の小松伸六氏は、スーパーマーケットの経営者矢口にモデルがあるのかどうかわからない。なんて書いていましたが、どう考えてもこれ、中内功がモデルでしょ。 ルソン島での戦争体験、薬局で闇商売、スーパー設立、生きた牛肉を買って自らで加工販売、大手電器会社(松下電器)と再販(独占禁止法...
解説の小松伸六氏は、スーパーマーケットの経営者矢口にモデルがあるのかどうかわからない。なんて書いていましたが、どう考えてもこれ、中内功がモデルでしょ。 ルソン島での戦争体験、薬局で闇商売、スーパー設立、生きた牛肉を買って自らで加工販売、大手電器会社(松下電器)と再販(独占禁止法)をめぐり長期にわたる裁判等々。どこをとっても中内功物語だ。小説内では、裁判の結末は政治による裏の力が働いて、電器会社側の勝利となっているが、実際には松下電器側が折れる形で和解したらしい。 スーパーマーケットのパイオニアであり、一時代を築いたダイエーは、今はもうどこにもない。中内氏がワンマン過ぎ、社内にはイエスマンしかいなくなり、時代の流れに乗り遅れていったのだ。いまやダイエーのライバル会社イトーヨーカ堂ひきいるセブンイレブンが日本を席捲している。小説ではその凋落まで触れていない。 神戸出身の私としては、ダイエーの文字が世の中から消えてしまったのはとても寂しい。
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貪欲に成功を求めるなら、綺麗事だけでは済まされない。小説読んで人生が学べます。大事なのはまず行動!いつの時代もハングリーを求める方は必読です。軋轢に負けそうか貴方にもオススメ!VeryGooです!
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流通の仕組みと闇、価格の裏側を解りやすく描きながらも、説明調に終始しない確かな筆力。 また主人公の戦争体験についての描写も強烈に鮮明で、彼の切迫感がひしひしと伝わり、城山三郎氏ならではの作品だと感じた。 主人公矢口はダイエーの創業者をモデルにされているらしいが、彼の人生を追...
流通の仕組みと闇、価格の裏側を解りやすく描きながらも、説明調に終始しない確かな筆力。 また主人公の戦争体験についての描写も強烈に鮮明で、彼の切迫感がひしひしと伝わり、城山三郎氏ならではの作品だと感じた。 主人公矢口はダイエーの創業者をモデルにされているらしいが、彼の人生を追うのではなく、あくまでも物語の中心を貫くのは「価格破壊」の灯火について。 価格破壊=たたき売り、ではない。 価格を破壊できる体制を整え、勝負する。 矢口の行動を見るにつれ、発想の転換、忍耐力の重要さをより認識する。 教科書的な本にもなるが、彼とは対極に位置するメーカーに在籍する身にとっては苦々しい気持ちにもなった。
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ダイエー創業者、中内功をモデルにしている。スーパーマーケットという業態がどのように市場を席巻していったのか、知ることができる。一人のカリスマ経営者の信念が一時代を築いた。流通業界に与えた影響は計り知れない。
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BtoC (大衆相手)から BtoB(企業相手)の商売に手をだして、本来の才能や神通力などが失われることもある。評判だったお好み焼き屋のオヤジがナイロン工場を始めて失敗する。「大衆は海である。焦れば溺れるが、身を預ければ浮かばせてくれる。機械を相手にせず、大衆相手に生きるべきだっ...
BtoC (大衆相手)から BtoB(企業相手)の商売に手をだして、本来の才能や神通力などが失われることもある。評判だったお好み焼き屋のオヤジがナイロン工場を始めて失敗する。「大衆は海である。焦れば溺れるが、身を預ければ浮かばせてくれる。機械を相手にせず、大衆相手に生きるべきだった。大衆を相手にする商売だからこそ花開いたのだ。大衆を捨てて、神通力が失せ、自分も捨てられる羽目になったのだ。」 古い本だけど、今も十分通じる。安売りの薬屋から年商500億のチェーンスーパーに育てる主人公は、ダイエーの中内功がモデルらしい。後半、”平安”電器とダイエーとの再販価格をめぐる争いも描かれています。
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人間の能力とは努力のことでしかないと、矢口は思う。とくに流通業界では先天的な勘とか高度の技術とかを必要としない。他人が8時間働くものなら、16時間働く。その努力の差の積み重ねが、そのまま能力の差となって現れるまでである。
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本棚の整理中に手に取り読んでしまった。今から見ると古く当たり前なところがあったりはするし現実を脚色してるんだろうなというところもあるが、とはいえそれ以前と比較すると大きな契機が描かれているしまあそこそこ。城山三郎にしてはもったいないかなあとは思う。
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子供の頃にNHKのドラマで観た記憶があったので古本屋の店頭で見つけて即買いしました。 時代はグルグルグルグル回りますが、そこに生きている人たちも巻き込まれて右往左往して大変だ。 巻き込まれるより巻き込みたい。 独立した一本どっこの渦になりたいのです。
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おもしろ! 「急がなけりゃ、くさってしまう」「何がくさるの」「なんでもくさる。食料もくさる、家もくさる、人間だってくさる」
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ダイエー創業者・中内功をモデルに描いた小説。 経済小説を拓いた城山三郎の真骨頂。 流通革命、価格破壊を目指した中内は、日本中を安い物で満たすことを目指した。そのルーツは戦争にある。日本は物量でアメリカに負けた。戦友がバタバタと死んでいく中、それでも、中内は生き残った。 戦後、中内...
ダイエー創業者・中内功をモデルに描いた小説。 経済小説を拓いた城山三郎の真骨頂。 流通革命、価格破壊を目指した中内は、日本中を安い物で満たすことを目指した。そのルーツは戦争にある。日本は物量でアメリカに負けた。戦友がバタバタと死んでいく中、それでも、中内は生き残った。 戦後、中内は価格破壊を掲げ、流通革命を起こしていく。そして、一代でダイエーを築いたそのパワーに圧倒される。 この小説は、ダイエーの基礎をどうやって築いていったかの軌跡がよく分かる。家族も省みず、ひたすら仕事に打ち込み、社会のひずみと戦った。 いかに安く消費者に提供するか。いかに安く提供する仕組みを作るか。そのために、松下電器とも戦った。プライベートブランドも作った。 メーカーではなく小売が値段を決める今の社会は、中内が拓いたものに他ならない。
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