ぽろぽろドール の商品レビュー

豊島ミホ【著】

2012/08/28

「人形」をテーマにした短編集。

可愛らしい題名と表紙の絵柄とは裏腹に、作品一つ一つが、どこか異様な雰囲気を漂わせている。
それはどことなく儚げで、あやうくて、妖しい。
けれど決して不快ではない。

人形というものを様々な視点から描いたこの小説のアイデアには脱帽。
淡い絵本のような表紙も、かなり良い。

2009/10/04

これまでの豊島ミホの作品にありがちな
爽やかな青春小説とは全く違う作品。「人形愛」をテーマにした6つの短編集です。装丁がとにかくかわいくて幻想的。悲しみを人形にぶつける愛情、着せ替え人形を美しく着飾る愛情、人間同士の恋愛に似た感情を抱く愛情。 一言に「人形愛」といってもさまざまな形を描いています。人形を愛するというよりは、執着する、人形を通して手に入れたい何かを・・・。執着と愛は紙一重なのかなぁ・・・。どこからがありで、なしなのかは、人によって違うもので、私には決められるものではないけれど。好きなものは？と聞かれたら、それなりにあるけど、ここまでの執着心を出せるものというのは、なかなか私にはないので、はぁ〜・・・ていうか、理解するのは難しいく別世界の出来事をへぇ、なるほどねぇ〜っていう感じで、読ませていただきました、というような気分。読んでいると、正直えぇぇ〜これはちょっとねぇ…私には受け入れられないわ…というものもあるんだけれど、ついついその後まで読んでしまう。幻想的な何かに依存しすぎている・・・そんな人を見るのはとても哀しい。完璧な美しさをもつ人形は、自分の代わり。誰かの代わり。そういえば、人形のある空間がどこか妖しげな気がするのはなぜだろう・・。閉じられた世界で、現実から目をそらしのめり込んでいく姿はどれもなんだか痛ましく、心がひんやりする思いでした。

2009/10/04

装丁が死ぬほど私好みだったのでジャケ買いしたのだけど思ったほど面白くなかったというか、全体的に薄っぺらくて設定が生かしきれていない感じがした。人形をテーマにっていうのはすごくよいと思うんだけれど煮えきれないっていうかすべてが不完全燃焼。物事を軽視しているような文章にいい気分はしなかった。

2009/10/04

人形がテーマの短編集。テーマがテーマだからか、背徳的な感じがするところがあってドキドキした。きみのいない夜にはが好きだったなぁ。最初の「血の底までさらわれて自分の中身がすっからかんになるような、運命が欲しい」という文からぐいっとひきつけられた。文章の書き方が好きかもです。

2009/10/04

人形にまつわる6編の物語。美しくて、そして悲しい。
おばさまから貰った、涙をこぼす人形。辛い事があれば私のために泣いてくれる。「ぽろぽろドール」
転校先で出会った私にそっくりな人形。好きな少年は人形は愛するのに私には触れてくれない。いつしか自分が人形になることを夢見る「めざめる五月」
戦死した坊ちゃんへの最後の言葉が後悔として残る私。マネキン職人となった私が作る坊ちゃんの姿をした人形「サナギのままで」
この3編がお気に入り。

2009/10/07

今までとはちょっと色の違う豊島さん。無性に、切なかった。印象的な人形が出てくるんだけど、やっぱり主人公たちの気持ちを反映していて、ちょっと思ってもない方へのびていく光。「五月のめざめ」が、ミラクル・ヒット。これは、この女の子の気持ちはわかるよ。一生懸命で、そう、まずい方へいってしまうという…。人形は、やっぱり人形でしかないはずなのに、グロテスクだぞ。

2009/10/04

「人形愛」というテーマだけでなく、人物や時代設定も今までにない新境地が描かれていて、これは豊島さん渾身の一作だと思う。こんなふうにもっといろんなものを書いてもらいたいし、書ける人だと思うので、次の作品が楽しみ。装丁もとても素敵。
2007/8/10読了

2009/10/04

今作、「人形」というモチーフのおかげで一気に幅が広がった印象。もともとおもしろい物語がさらにおもしろくなった。

2009/10/04

良かった。非常に良かった。相変わらず豊島さん素晴らしい。面白い。さなぎのままで、だったかな？あの話が非常に良い。また時間があるときに是非読み返したい。