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星新一 の商品レビュー

4.1

44件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

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2009/10/07

第29回(2007年)講談社ノンフィクション賞受賞作品。 第28回(2007年)日本SF大賞受賞作品。 第34回(2007年)大佛次郎賞受賞作品。 『本の雑誌社が選ぶ2007年ベスト10』第3位。 第61回(2008年)日本推理作家協会賞評論部門受賞作品。 2008年6月13日...

第29回(2007年)講談社ノンフィクション賞受賞作品。 第28回(2007年)日本SF大賞受賞作品。 第34回(2007年)大佛次郎賞受賞作品。 『本の雑誌社が選ぶ2007年ベスト10』第3位。 第61回(2008年)日本推理作家協会賞評論部門受賞作品。 2008年6月13日(金)読了。 2008−56。

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2009/10/04

冒頭の伝記部分は読みづらく、中盤の日本SF黎明期にワクワクしながらページをめくる。そして、終盤。おっとりと人格者な人物像から、ニヒリスティックで思い惑う執念がぬっぺりとのたうつ性格の描写へ、ぐいぐいと沈み込む。丁寧な取材を重ねて執筆した労作。あとがきにある言葉、「ノンフィクション...

冒頭の伝記部分は読みづらく、中盤の日本SF黎明期にワクワクしながらページをめくる。そして、終盤。おっとりと人格者な人物像から、ニヒリスティックで思い惑う執念がぬっぺりとのたうつ性格の描写へ、ぐいぐいと沈み込む。丁寧な取材を重ねて執筆した労作。あとがきにある言葉、「ノンフィクションとは常に時間との勝負」が、重い。日本SFの第一世代が次々に、次の世界へ旅立ってゆく今だけに。

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2009/10/04

膨大な資料を詳細に調べて書かれた労作。 エリス来日の時に奔走した小金井良精・喜美子(鴎外の妹)夫妻が新一の曾祖父母。「明石原人」の芝居も観たばかりだったので良精はそれにもからみがある人だと知った。 星一の強烈な個性は圧倒的だったが、それに比して新一はクールで寡黙な人だった...

膨大な資料を詳細に調べて書かれた労作。 エリス来日の時に奔走した小金井良精・喜美子(鴎外の妹)夫妻が新一の曾祖父母。「明石原人」の芝居も観たばかりだったので良精はそれにもからみがある人だと知った。 星一の強烈な個性は圧倒的だったが、それに比して新一はクールで寡黙な人だったようだ。 死ぬまで内面の苦しみを家族にも明かさずきたあたり、「ばかばかしい」と言って亡くなった鴎外のイメージと重なった。 SF小説の歴史本としても読み応えがあった。 作成日時 2008年03月11日 23:06

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2009/10/04

星新一いっぱい読んだよ!という人でも、本人については知らなかったりするので、中級者くらいにおすすめなのか?

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2009/10/07

これは、星新一およびショートショートが凄く好きな人にはお勧めしません。あんま星新一は読まないなあ、って人の方が面白く読めるんじゃないかしら。私は後者ですが。それにしても交友関係を見るだに その豪華さにため息を吐かざるを得ない。やはり非凡な人は非凡な人同士で惹かれあうんだなあ。元々...

これは、星新一およびショートショートが凄く好きな人にはお勧めしません。あんま星新一は読まないなあ、って人の方が面白く読めるんじゃないかしら。私は後者ですが。それにしても交友関係を見るだに その豪華さにため息を吐かざるを得ない。やはり非凡な人は非凡な人同士で惹かれあうんだなあ。元々が森鴎外の親戚(姪の息子)というのもかなりのインパクトですよね。

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2009/10/04

徹底してどろどろした感情的なものを作品に持ち込まなかった星新一の、実生活における屈託や鬱屈を丹念な取材で追う。ついに当人は生前一度も書くことがなかった星製薬の経営難とそれにまつわる人の動きなど読み応えあり。

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2011/07/16

星新一が1001話を書き上げたのは昭和58年、その1001話目が掲載された雑誌の中には角川書店の「野生時代」もあった。その頃毎月定期購読していた私は多分その号も読んでいたはずだ。なのにまるで記憶がない。そのことで特に特集とか雑誌のトップを飾るとかそんなこともなかったような気がする...

星新一が1001話を書き上げたのは昭和58年、その1001話目が掲載された雑誌の中には角川書店の「野生時代」もあった。その頃毎月定期購読していた私は多分その号も読んでいたはずだ。なのにまるで記憶がない。そのことで特に特集とか雑誌のトップを飾るとかそんなこともなかったような気がする。当時私の周りには星新一派と筒井康隆派がいた。もちろん小林信彦の「オヨヨシリーズ」を推す人もいたが、ある意味彼らはひとつのジャンルの中にいた。未熟な読者である私には、その中に阿部公房や平井和正は入らない。軽く、シニカルな笑いと何か暗示するものがある作品だった気がする。私はどちらかというと筒井康隆派だった。題名は忘れたが一番覚えているのは、病院か牢獄に入れられた男がいつも奇妙なことを話す。彼と話した男がそのインタビューを後で見て気がつく。彼は質問される事の何分かまえにその答えを話していたのだと。何故この話が記憶に残っているのかわからないが。もうその頃は本当に代表的な作家で第一人者だったのだが、彼が星製薬という大会社のの御曹司として生まれその社長でもあったことなどまるで知らなかった。星製薬と関係があるのかどうかはわからないが、私の生まれた街にも「星薬局」というのがあり私が生まれる以前につぶれたらしい。だがその看板は今もその場所にあるスナックに飾られていたように思う。全国展開していたチェーン店の一つだったのかもしれない。前半、彼の父親の話が続く。明治に生まれ一代で事業を起こし成功と失敗を繰り返しながらも政権や時代と密接にかかわり斬新な発想で事業展開した男。そして戦争終結と同時に彼を取り巻く情勢は一変する。昭和26年、「死なないことに決めている」と言っていた父の急死により社長に就任するも会社は借金と戦争の打撃から立直れず、巨大な求心力を持った父親の死により崩壊へと向かう。20代でそんなシュラバな会社の社長となってしまうまでは実にのんびりとお坊ちゃまだったようだ。森鴎外を兄に持つ祖母と東京帝国大学の教授だった祖父、そしてそうそうたる地位を持つ母方の家系、エリートの血筋と大会社の社長の長男として何不自由ない少年時代。もちろん友人や学友も皆セレブ。そんな彼が突然の社長となれば結果は火を見るよりも明らか。彼は子供の頃から自分の感想とか内面を文章に残していない。もちろん社長時代にどんなことがありどんな風に感じていたかも当時を知る人から聞くばかりで何を感じ何を考えたかはかかれていないようだが、読んでいて無責任だなあと感じる。信頼した部下に裏切られたといっても、何も考えずに殿様が家来に部下によきに計らえといっているようなものだと思う。まあ、自分の無力さを知っているから、どうしようもなかったのかもしれないが。中盤はSF作家になるきっかけからジャンルとしてSFが定着するまでの話が書かれている。SFの世界に入りその草分けとしてショートショートを書き続ける。その人気とは裏腹に文学としてなかなか認められなかったSF 、直木賞の候補になったときを知る編集者が「バカの一つ覚えのように、二言目には、人間が書けていない、という選考委員がいる場所に星さんを出してもわかりっこない」というのがある。今も昔も変わりないという事か。賞にこだわりながら、とうとう最後まで賞とは無縁に終わった星新一、何故そんなにこだわったのかは良くわからなかったのだが、常に第一人者でいたいと言う思いが、もうかけないと思いながらも1001話書くことへのこだわりに変わったようだ。作者は暗に賞にこだわったことと星製薬の社長だったことに関連があるかのように書いているように思われるが、単純に何か歴史に残りたい、そんな思いだけだったのかもしれないと思うのだ。もうかけない、そんな時期がいつかは作家には来るものなのかと思う。特にSFのようなジャンルでは、想像力は頭が柔軟な若い時期ならともかく年々衰えていくもの、書けない事の苦しみは早いし人一倍だろう。それでもショートショートの星新一であり続けようとした。作家とは大変な職業なのだと改めて思う。

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2009/10/04

一番好きな小説家「星新一」の全てが書かれています。 「全て」というだけあって、読み応え十分。分厚いです。しかし、それが気にならないような流れるような文体。 勿論、星新一の著作も本棚に入れたかったのですが、何分数がありますので追々…;

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2009/10/04

柴野の予測どおり、「セキストラ」の評判は抜きんでていた。なかでも矢野が驚愕した。柴野と同じように親一の会話にはふだんから度肝を抜かれていたが、やはりこの男は違う、と思った。日本探偵作家クラブでサーカスを見学したとき、会場にいた乱歩にさっそく「先生、ついに天才がひとり出ました」と耳...

柴野の予測どおり、「セキストラ」の評判は抜きんでていた。なかでも矢野が驚愕した。柴野と同じように親一の会話にはふだんから度肝を抜かれていたが、やはりこの男は違う、と思った。日本探偵作家クラブでサーカスを見学したとき、会場にいた乱歩にさっそく「先生、ついに天才がひとり出ました」と耳打ちした。乱歩は、ああそうか、そうかと目を細めてうなずいた。(p208) 日本人好みの「怨念やのぞき趣味や、現代との密着感やなま臭さや、攻撃性が持つナマの迫力」などが徹底してしめ出された透明感のある星作品を、日本の批評家が評価しにくいのはよくわかる。(p413)大人でなければわからない。新一もそのつもりだったし、編集者たちもまたそう考えていた。しかし、子供にもわかるやさしい言葉と読みやすい文体で書かれているために、子供たちが手に取るようになった。……読者の低年齢化によって、星新一のショートショートは子供が読むものというイメージが広がった。デビュー直後のように、新一の作品が文芸時評や新聞の書評欄で大きく採り上げられることはなくなっていった。出ニューのころを知る編集者たちにとって、星新一のライバルといえば、安部公房だった。……かたやノーベル文学賞候補作家、かたや子供向け作家である。(p411-2)

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2009/10/04

読み応えたっぷり。決して軽い読み物ではないけれど。ぐいぐい。同時代感もあるのかもしれない。作者と同世代というところが。1001編目の作品を受け取った編集者たち・・・クライマックスでありながら、なんだか虚無感が漂う。彼らの年齢が作家とのギャップを物語るようで。

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