千年樹 の商品レビュー
ある神社の神木である樹齢1000年を越えるクスノキをめぐる過去と現代を綴る短編。1000年を経てクスノキは悲しい事実を見つめ続けていた。
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樹齢千年の大木が見て来たのは、大半が哀しい出来事だったようだ。各短編集に二つの物語が絡み合い、その一つは繋がりもある。同一だと気付かずに読み進めていた登場人物が、同じ人だと解って読み直したら、物語がさらに深くなった。そういう人物を細かい所で何人か発見(笑)すると、作者の意図を見抜...
樹齢千年の大木が見て来たのは、大半が哀しい出来事だったようだ。各短編集に二つの物語が絡み合い、その一つは繋がりもある。同一だと気付かずに読み進めていた登場人物が、同じ人だと解って読み直したら、物語がさらに深くなった。そういう人物を細かい所で何人か発見(笑)すると、作者の意図を見抜けた気がしてうれしくなる。
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大きな木を見ると、たくさんの人生を見てきたんだろうな、と想像されます。 長い長い年月を経た、知恵をもった存在。 本作は、過去と現代を織り交ぜながら、人の世の不思議を描いています。
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樹齢千年を越す大樟の木。 その木が見つめた人間模様です。 領内の反乱により、山中をさまよったあげく餓死した国司一家と、ポチと呼ばれるいじめられっこ雅也が自殺を思いとどまるまで・・・「萌芽」 焼夷弾に焼け出された誠次の遠い約束と、ことり幼稚園の保育師・加奈子が思い立ったタ...
樹齢千年を越す大樟の木。 その木が見つめた人間模様です。 領内の反乱により、山中をさまよったあげく餓死した国司一家と、ポチと呼ばれるいじめられっこ雅也が自殺を思いとどまるまで・・・「萌芽」 焼夷弾に焼け出された誠次の遠い約束と、ことり幼稚園の保育師・加奈子が思い立ったタイムカプセル・・・「瓶詰の約束」 遠距離恋愛中の恋人を待つ啓子と、心中相手を待ち続ける遊女きよ・・・「梢の呼ぶ声」 あれよという間に切腹する事になってしまった忠之助と、大樟をナイフで傷つける事でうさをはらす中学校教師の義明・・・「蝉鳴くや」 追い剝ぎで殺した女に母親の面影を見たハチと、ヤクザの舎弟ケンジ・・・「夜鳴き鳥」 連れ子同士の結婚をした夫婦と、産まれた子を池に流しに行くトミ・・・「郭公の巣」 祖母の死後に秘密の手紙を見つけた真樹と、かえるの花嫁にされそうな昭子・・・「バァバの石段」 市役所に就職した雅也と、幼馴染のクラを野侍に連れ去られた千代丸・・・「落枝」 と、現代と過去とが交錯する形の全8編。 こうなるんだろうなぁと思い描いたラストが尽く違っていたので、いい意味で裏切られた感があってよかったな~。
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収録作品 「萌芽」 「瓶詰の約束」 「梢の呼ぶ声」 「蟬鳴くや」 「夜鳴き鳥」 「郭公の巣」 「バァバの石段」 「落枝」
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長い石段の上に茂る大きな大きな一本の木。 何百年もの時の流れの内でその木の下で 謀反にあった国司一家と自殺を図ろうとした少年、 空襲にあった少年とタイムカプセルを埋める園児、 遠距離恋愛の彼氏を待つ彼女と駆け落ちする客を待つ娼婦、 切腹するはめになった武士と鬱屈した教師、 追いは...
長い石段の上に茂る大きな大きな一本の木。 何百年もの時の流れの内でその木の下で 謀反にあった国司一家と自殺を図ろうとした少年、 空襲にあった少年とタイムカプセルを埋める園児、 遠距離恋愛の彼氏を待つ彼女と駆け落ちする客を待つ娼婦、 切腹するはめになった武士と鬱屈した教師、 追いはぎをする山賊と落とし前をつけるヤクザ、 ドライブに来た家族と望まれない子を産んだ母、 危篤状態の祖母を気遣う孫と戦前の恋人たち、 この木を切ろうとする市役所員と娘を助けに来た少年。 時を越えて彼らは何らかの接点を持つ。 なんとも暗い雰囲気の話です。木はたくさんのことを見ている。 血が流れたり幽霊が出たり病んでいたりする話の中 「バァバの石段」がひときわ温かく光って見えます。
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●2010年3月頃 千年の樹齢を誇るクスノキ。 その木の誕生から、その場所でおこる様々な物語を短編としてまとめた本。 平安時代?から昭和や平成、様々な時代を過ごしたクスノキ。 こういったときの流れを感じる話がすき。
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人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。医学の日進月歩でかつてない高齢化社会を迎えているが、悠久の歴史と比べてしまえば、人の生涯など儚い事に変わりは無い。悠久の時を生きるもの-鎮守の杜に聳え立つ樹齢千年の楠の巨樹。老木は何を見つめ、人間の営みに何を想うのか? 暗く、切な...
人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。医学の日進月歩でかつてない高齢化社会を迎えているが、悠久の歴史と比べてしまえば、人の生涯など儚い事に変わりは無い。悠久の時を生きるもの-鎮守の杜に聳え立つ樹齢千年の楠の巨樹。老木は何を見つめ、人間の営みに何を想うのか? 暗く、切ない話が続くが、樹はただ観ているだけである。これをどの様に解釈するかで評価が分かれる作品だと思う。 (以下、私独自の勝手な解釈になりますが…)楠の樹の姿は手塚治虫の「火の鳥」を彷彿とさせるものがある。人は悩み、嘆き、苦しむが、楠の生きた歴史を想えば、人間の悩みなど何と卑小なものか。限りある生だからこそ、今日と云う日を懸命に生きろ!…と巨樹の言葉が聴こえてくる様な気がする。…と、そう感じた。 巨樹がただ観ているだけなのが不満ならば、はっきり言って駄作である。 敢えて難を言わして貰えば、千年の物語なので、もっと長くして貰いたかった。
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樹齢千年のくすのきをめぐり、現在と過去が交錯する8編の物語。悲しい結末が多い中、「バァバの石段」にほっとさせられます。日本には八百万の神がいますが、海外でも、巨木を敬う文化はあるんでしょうか。実家の庭にある柿の木(太さは・・円周3M位か)、ちょっといたわってあげないといかんなぁ・...
樹齢千年のくすのきをめぐり、現在と過去が交錯する8編の物語。悲しい結末が多い中、「バァバの石段」にほっとさせられます。日本には八百万の神がいますが、海外でも、巨木を敬う文化はあるんでしょうか。実家の庭にある柿の木(太さは・・円周3M位か)、ちょっといたわってあげないといかんなぁ・・・。
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タイトルの千年樹(くすのき)にまつわる話。 昔からずっとそこにあるもの(大きな石や木が多いのだろうけれど)にはなんらかの物語があるのかもしれない。 自分の身のまわりでそんな物を探すと新しい発見があるかも。
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