千年樹 の商品レビュー
急斜面の百段を超える石段を上っていった先にうち捨てられた神社がある。かつては幼稚園があり『雅也』もここにかよっていたのに。 雅也が、同じ幼稚園に通っていた同級生たちからいじめを受けるようになって久しい。今日も殴られ、買い物に行かされているところだ。雅也は境内にある大きなくすの木の...
急斜面の百段を超える石段を上っていった先にうち捨てられた神社がある。かつては幼稚園があり『雅也』もここにかよっていたのに。 雅也が、同じ幼稚園に通っていた同級生たちからいじめを受けるようになって久しい。今日も殴られ、買い物に行かされているところだ。雅也は境内にある大きなくすの木の根元に座り込んだ。 樹齢千年といわれているこのくすの木は『ことりの木』と呼ばれている。天狗が子どもをさらうという言い伝えがあるのだ。幹は太く瘤があちこちにあり、大きく広げた枝を風が揺らすと、まるで波のような音がした。 もう、死んだほうがいいのかもしれない 雅也はことりの木にロープをかけた。だが、寸前で思いとどまり止めようとした時、自分の足を引く子どもの姿を見る。 始まりは、臣下に裏切られ、非業の死を遂げた父母と幼き子。長い時の間、この木のそばで起こる死の物語。悲劇でもあり、人間の愚かさと傲慢さを現しているようで、それらすべてを見下ろしながら大木はあざ笑うかのように枝を揺らす。 昔の出来事を現代の人たちに重ね合わせ、出てくるメンバーも小さい頃ここの幼稚園に通っていた子どもたちを中心としていて、行きつ戻りつしながら読み進めました。ラストでまた、雅也に戻り、とうとう木が切られたときはなんとなくほっとしました。ああ、ようやく終わったな・・という感じです。
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8つの短編が現代の登場人物とくすのきで繋がっています。短編というより章でいいのかな?「ことり(子取り)の木」と呼ばれるくすのきの周りの過去と未来。戦や戦争の話が多く、この時期(8月中旬)に読んだのも何かの縁かもしれません。描写でちょっとキツイところがあるので、飲み食いしながらは読...
8つの短編が現代の登場人物とくすのきで繋がっています。短編というより章でいいのかな?「ことり(子取り)の木」と呼ばれるくすのきの周りの過去と未来。戦や戦争の話が多く、この時期(8月中旬)に読んだのも何かの縁かもしれません。描写でちょっとキツイところがあるので、飲み食いしながらは読めませんね。最初に出てくる3人の親子は成仏したのだろうか。娯楽性よりしんみりした雰囲気やメッセージ性が高いと思います。星4.5。
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ある場所に千年にも亘り生い茂っている大木(くすのき)を中心とした短編集。 なかなかスケールの大きい小説ではあるが、少々暗いイメージが最後まで拭えなかった。 我が家の近くにも記念物になっている大きなケヤキの木がある。 この木の元でも多くのドラマがあり、キヤキはそれを見続けているの...
ある場所に千年にも亘り生い茂っている大木(くすのき)を中心とした短編集。 なかなかスケールの大きい小説ではあるが、少々暗いイメージが最後まで拭えなかった。 我が家の近くにも記念物になっている大きなケヤキの木がある。 この木の元でも多くのドラマがあり、キヤキはそれを見続けているのだろうな。 そんなことを考えた。
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「人に歴史あり」ならぬ「樹に歴史あり」。 そういえば、おじいちゃん家の庭にも、大きな樹があったんだっけか。 そのたもとに埋めたタイムカプセル。 ジャムの空き瓶に手紙を入れて。 20年前のことだ。 まだあるのかなあ。 そんなことに思いを馳せる・・・
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よかったなぁ。 人にはたくさんの思い出とともに実は 生きているもので・・・ それってなかなか一緒にいるときはわからないもので、おばあちゃんやとうさんがいなくなった今だからこそわかるものが大きいと思う。 そして私もまた死んでいくのだ。
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すごくいい!と薦められて読みました。 うん、確かに良かったけどそれほどでもなかったかな…。 千年樹が現代と過去を何かしらで繋いでゆく物語。 若い人より年配の人の方が感じるモノがあるのかもしれない。
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千年前の悲劇をきっかけに育ったクスの樹に関わる連作。別時代と現代を対比させ、ホラー要素は低いが暗い内容。文章、展開はしっかりしており、まとめ方も上手い。最初の苛めの登場人物が、さりげなく再登場して現代の時の移りも描かれる。萩原浩に感覚的なずれを感じていたが、少し見直した。ただ、好...
千年前の悲劇をきっかけに育ったクスの樹に関わる連作。別時代と現代を対比させ、ホラー要素は低いが暗い内容。文章、展開はしっかりしており、まとめ方も上手い。最初の苛めの登場人物が、さりげなく再登場して現代の時の移りも描かれる。萩原浩に感覚的なずれを感じていたが、少し見直した。ただ、好みの問題だが救いのない重さって、後味があまり良くないな〜
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悲しい話が多かった。 「夜鳴き鳥」など、母と子の関係を描いた話がいくつかあったが、どれも胸が苦しくなってきた。
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図書館にて。 1本の木を巡る様々な時代の短編集。 初めの2作が似た物語に感じたのでどうかなと思ったけど、 それぞれ雰囲気があってなかなかでした。 それぞれの物語が少しずつリンクしているのも最近のはやりなのかしら。 「バァバの石段」が好きだった。
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樹齢千年の樹はなにを見てきたのでしょう。 千年樹の元で生きてきた過去の人間たちと今の人間が不思議に交差して描かれています。 話はおもしろくもないし、涙ものでもありませんが、さすがだなぁ・・・と思いました。
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