1,800円以上の注文で送料無料

スコーレNo.4 の商品レビュー

3.8

99件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

    40

  3. 3つ

    32

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2015/04/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 マルツ商会という、古道具屋さんで生まれた麻子は三人姉妹の長女。 七葉という18か月違いの妹は、器量が良く、優しくて可愛げがあり、機転の良く利く子。 そして、一番下の紗英は、鈴を振り振り歩くみたいに賑やかで、平気で人の懐に入り込むことが出来る。  そんな二人の姉妹と比べて自分は地味で目立たない存在だという堅い固定観念が身についてしまっている麻子。  母親に対しても、結婚前にいろいろ免状をもらえる程の腕を持ちながら、普通の主婦になってしまっていると思えるので、結婚したら、平凡になるみたいなトラウマを持っている  そんな麻子が成長していく中で、恋をするけど、いつも心の中で可愛い七葉と比較して、自分だからダメとか思ってしまう。  又、就職する時も自分に自信がなくて自己PRが出来ない。 でも、「自分にできる事をすればいい」というアドバイスを受けて、得意な英語を生かす貿易会社に受かる。  最初の仕事は靴屋に派遣されたが、部長に「頑張ってください。」の一言で送りだされても、何の予備知識も靴に対する関心もない麻子には苦痛でしかない職場。 高級品の靴を前に、専門用語一つもわからないし、派遣で他の店員さん達と同僚という関係にもなれなくて、孤立している麻子。  毎日ただ疲れて、泣きたくなるような日々が続く。 そんな時に、中村さんという店員さんがお店の靴の試着を進めてくれる。 靴の採寸をしてもらって、店長から「履いてみたい靴は?」と聞かれて、あまりにも高価だから、自分には関係無いと思っていたけど、気になっていた靴を選んで、履いてみる。 最初きついか?と思った靴が歩いてみると、足の動きに完全についてきて、裸足よりも気持ちがいいくらいで、どこまでも歩ける気がした。 そしてその靴選んだ目に対して店長さんや中村さんの評価も上がる。 そしてなにより、自分自身が以前に封印していた、ほんとうに良いものに触れる喜び。 それが靴に向けられて、靴に関する知識等をあっという間に習得する。 でも、靴に対する愛情はどうしても持てなくて、というか、どうしても妹の七葉と自分を比べてしまい、自分が劣っているという思い込みで自信がなく、何も愛せなくなっていた。 そんな時に、お店の真ん中にある靴のディスプレイを自分の好きなように任される。 「好きなように。怖がらないで。」置かれた、20足の靴に同僚は目を輝かせ、店長までも大きくうなずき、お客様を引き付ける。 それが大きな達成感になるが、心の隙間は埋められない。  入社3年目に初めて、本社ビルに戻り、事務作業に情熱を感じられなくて、凡ミスが続くある日、突然「イタリア出張」を命じられる。それも、靴の買い付け。 そして、以前いた靴の店長に「お店の意向にそった商品を相談するしたい」という電話を掛けた時に「あなたの選んだものを買い付けてくれれば、私たちは全面的にそれを支持する。」っていうめちゃくちゃありがたい言葉を貰える。 そして、イタリアでは靴に吸い寄せられる麻子に、靴のオーナー達の態度も和らぎ、靴を愛する者同士の素敵な商談となる。 靴の値段がわかるという特技も最大限に生かせ、とっても充実した1日を過ごす。 そして、そんな麻子の魅力に気が付いたイタリア出張に同行した茅野さん。 10年以上前に同じ映画館で、同じ映画を見た思い出を持ち、自分が大好きなマルツ商会のレコード等を愛せる人。 茅野さんと出会って愛し合えることで、麻子は自分のコンプレックスから解き放たれて自由になれた。 そんな素敵な出会いから続くこれからの未来を予感させるハッピーエンドがとっても良かった。

Posted byブクログ

2015/04/13

主人公の不器用さが自分に似ている気がして、何度も共感してつらかった。 つい人と比べて自分は輝いていないと感じてしまうこと、環境に馴染めなくて透明人間みたいな毎日を送ること、人を好きになっても気持ちが叶わないこと、愛そうと思っても愛せないこと、就活の現実味の無さとかも… でも誰にで...

主人公の不器用さが自分に似ている気がして、何度も共感してつらかった。 つい人と比べて自分は輝いていないと感じてしまうこと、環境に馴染めなくて透明人間みたいな毎日を送ること、人を好きになっても気持ちが叶わないこと、愛そうと思っても愛せないこと、就活の現実味の無さとかも… でも誰にでもあるし越えていけるみたいだって思えて、嬉しかった。 自分の将来なんて正解なんてわかりっこなくて、でも無機質に見える日常の中で見える世界が つまり自分も きらきらしている瞬間がある。 たくさんのそれがきっとヒントになって、あなたは大丈夫だと教えてくれてるのかもしれない。 読み終えた後将来の事を色々考えて、書き出したら止まらなくなって、どんなところで働きたいのか、どんな未来が欲しいのかちょっと見えてきた。 途方もなく見えた就活だけど少しできそうな気がしてきたぞ! 重くなく軽すぎない読み口と、作者さんのものの感じ方が好きな素敵な小説でした。 七葉の件があっさりすぎたのと、1と2の恋の相手はきらきらだったのに肝心の最後の人がなんかあんまり好きじゃなくて残念。 槇の件は結局謎のままでもやもやするし。 あと主人公麻子がマコなのかアサコなのか暫くわからず、前半話に集中できなかった。笑

Posted byブクログ

2014/07/09

最後が笑顔になるから好き❀.(*´◡`*)❀. 続けて選んでる⁉︎ 七葉のお話もあるんかな(。´・ω・)ん? 読んだ時が読める時なんかなぁ 読めて良かった 2014.7.9

Posted byブクログ

2013/12/07

直感と目利きの感性を研ぎ育った道具店"マルツ商会"の姉妹。ストーリーは姉・麻子の成長ステップを軸に、丁寧に一つ一つの骨董品を撫でる様な表現で綴られ、女性ならではのたおやかさに、共感できるパーツが幾つもあるのでは!…。スパイスを効かせる妹・七葉、紗英や家族、家と...

直感と目利きの感性を研ぎ育った道具店"マルツ商会"の姉妹。ストーリーは姉・麻子の成長ステップを軸に、丁寧に一つ一つの骨董品を撫でる様な表現で綴られ、女性ならではのたおやかさに、共感できるパーツが幾つもあるのでは!…。スパイスを効かせる妹・七葉、紗英や家族、家とを結ぶ序盤の伏線の回収は"骨董屋の背筋"の源流と太くて温かい繋がりが素直に素敵な作品。固く縮こまっていた彼女が等身大以上に輝きだすラストには感動。

Posted byブクログ

2013/09/26

一つ違いの美人の妹を持つ、骨董屋の少女の成長ものがたり。小学生からスタートし、初恋や家族との葛藤がみずみずしい。

Posted byブクログ

2016/05/07

三人姉妹なので、気持ちいっしょかもと思いつつ、主人公は、長女なのでちょっと違うな~と読み進めつつ、姉もこのように思っていたのかしらなんて思わずにはいられないお話でした。笑 少しずつ成長していくと同時に、恋愛模様もでてきたりして、共感できました。

Posted byブクログ

2013/08/05

女のひとが書く女の成長の話は的確だ。前半の密度と後半の恋愛の過程の書かれ方が何か違いがあるが、何だか表現できない。これが表現できたら、批評になるのかな。

Posted byブクログ

2013/07/21

静かな本でした。 淡々と主人公の感情の流れを時系列に沿って書いてある。 その変化が面白くて、妹との関わりや好きな人との関わりが良かった。 そうやって成長するんだなーって思ってほっこりする。 自分の心の変化も大事にしたいなって思う本でした。

Posted byブクログ

2013/07/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

骨董品を商う家に生まれた姉妹のうち、姉の麻子は 美しいものへの共感と目利きを備えるナイーブな少女。 妹の七葉は美少女で勝気。 二人は仲のいい姉妹だが成長とt共に距離が変わっていく。 恋をしてそれぞれの道を進む中、麻子は妹へのコンプレックスから 抜け出して、佳いものと人を結び合わせる仕事に生きがいを感じ 新しい恋を始める。 という、少女が社会人になって、自分の壁を越えていく中で 結婚や恋、将来にどう向き合うかという成長を描くお話です。 読後感は大変よく、麻子が社会人になって、自分の本領を活かして 仕事に生きがいを見つけ、素敵な恋に踏み出してからは、 疾走感すら感じます。 ただ、そこに至るまでに長いページを割いていて、お話の流れ上 若干の閉塞感があります。 クライマックスに入ってから、麻子が変化して、 家族や七葉との関係を恢復していくところや、 茅野さんとの恋のゆくたてを、もっと読みたいのに 紙幅が尽きてしまうのは、ちょっともったいないのです。 幸福への予感があるだけに。 七葉のことももう少し読みたかったですね。 閉塞感と私は書きましたが、その間の雰囲気は悪くなく 優しい穏やかな空気が全編を覆い、ふわりとした空気感が 作品を心地よいものにしています。 その柔らかな閉塞感から麻子が抜け出て、生き生きしてゆく 対比を描くためにも、繭のような閉じた感じは必要なのですね。 でもちょっと、先に述べたようにせっかくのカタルシスが 語りきれていないと思うので、星は3つです。本当は3.6 くらいあげたい感じ。 内容のバランスがもっと良くなりそうで、 これが確かデビュー作ですよね。 数字で評価するのはちょっぴり難しい本でした。 それと惜しいのは、茅野さんが彼女を誘うところ。 本当は彼、簡単にお部屋に女性を呼んだりしないと思うんですね。 ただ、「何かを飛び越す」勇気を麻子が行動で示すのを描くために いい人なのに性急かな?と思う誘い方をすること。 常識人で明るく、いい意味の大胆さも持ち合わせていると思うので 嫌な感じの恋人ではないのです。 ただ、そこでそう誘う?って思ってしまう方もいるかも。 私自身は、ある程度確信を持って本気だと思ってるから 思い切って誘ったんだろうなと感じていました。 そういう思い切った感じが、麻子の踏切台でもあるのでしょうね。 ここからもう一つ、二人で歩き出すのかな。

Posted byブクログ

2013/05/05

主人公が茅野さんの話すことを聞いてて、「もうだめだ」と思う場面が好き。相手の言うことや行動がどうしようもなく魅力的に感じると、いい意味で「もうだめだ」って思っちゃうんですよね。 ここ読んで、あー恋いいなーって気持ちが湧いてきました。

Posted byブクログ